自己紹介

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2014年7月30日水曜日

個人の話ではなく組織の話として

 
 艦隊これくしょん。WW2における日本軍の艦船を擬人化した女の子たちを率いて戦いをするシミュレーションゲーム。
 
 ∧∧
(‥ )軍事兵器が好きな人は
\‐  あれに関して
    賛否の意見がある
    みたいですね
    こんなの兵器じゃないと
 
  (‥ )まあ、
      カレーに何をかけるのか?
      そういうレベルから
      始まって
      なんにでも
      賛否はあるものだ
 
 しかしまあ、賛否うんぬんは放り出すとして。あれ、よく作ったもんだよな。傍から見ててそう思う。一体どうやったのか知らないけども、奇跡的じゃね?
 
 ∧∧
( ‥)擬人化って容易なことでは
    ないですからね
 
  ( ‥)軍事オタクも
    ‐□ イラストレーターも
      集中力はすごいのだ
 
 問題は、この手の集中力は自分の興味のあるものに向いている、というだけの話であって、他のことには概してまるで無力だ、という点にある。
 
 イラストレーターについてだけ話をすれば、例えばこう
 
 ∧∧
( ‥)女の子は描けるけど
    自分の好きな女の子を
    描く事以外に興味ないよ
 
  ( ‥)これありがちなんだよな
    ‐□
 
 というか、調べない人も非常に多い。好きなこと以外調べない。こういうのは好きな事に集中力を持つ人間にしばしばありがちな話。だがこれは、擬人化において致命的な問題となる。
 
 ∧∧
(‥ )擬人化してよ、と言われて
\‐  はいはいと受注を受けるが
    肝心な擬人化対象について
    調べませんと
 
  (‥ )女の子が好きだから
      描いているけども
      擬人化するべきものが
      好きなわけでは
      ないからね
 
 では、調べれば良いのか? と言えばそうではない。調べて分かったと思って、それが大間違いだということは普通にある、調べて理解したぐらいではどうにもならないのだ。理解は正しさを保証しない。それゆえ、誰か専門知識のある人に助けを求めるか、自分が専門知識を持つようになるしかない。
 
 もし、女の子が好きで、絵が描けて、それが標準以上の腕で、なおかつ擬人化すべきもの(この場合は艦船)に興味がある人間ならば、擬人化に大きな困難はない。
 
 ∧∧
( ‥)商船空母に欲情する人間が
    英国の商船空母いいな
    ソードフィッシュいいな
    これを女の子にしたいな
    そういう思いで
    擬人化同人誌をつくる
 
  ( ‥)こういう状況なら
    ‐□ 話は簡単なんだ
 
 こういう場合、全部一人でやれば良い。自分で考え、自分で決定し、自分で計算し、自分の金を使い、自分でスケジュールを調整し、自分で資料を集め、自分で理解し、自分で欲情し、自分で描き、自分で作れば良い。
 
 ∧∧
(‥ )同人誌が時として
\‐  輝きを放つ瞬間だね
 
  (‥ )問題はさ
      同人誌以上のことを
      する場合だな
 
 大量のイラストとそれを運営できるプログラムと、それを実現できる資金と、それを調達し企画を通せる企画力を集結させてゲームを作る。
 
 ∧∧
( ‥)これが言うほど簡単ではない
 
  ( ‥)イラストだけにしても
    ‐□ 大問題だよね
 
 擬人化できるだけの技術があり、なおかつ魅力的な絵を描くイラストレーターを集めなければならぬ。
 
 イラストレーターに資料を渡し、検討し、理解してもらい、艦船でありながら女の子としても魅力的なものとして落とし込まねばならぬ。
 
 ∧∧
( ‥)口で言うのは簡単だけど
    とんでもない手間ひまが
    かかりますよと
 
  (‥ )甚大な努力が必要なのだ
      時間も金も必要だ
      資料を渡して
      打ち合わせするだけでも
      専門知識がいるのだ
      そのことをするための
      人材が必要になる
      要するにだな
      東奔西走以前に
      これを誰にやらせるか?
      この人材の抜擢一つで
      もはや大問題よ
 
 詳しければ良いわけではない。詳しいだけで調整できない奴や、そもそも話が通じない奴もいるのだ。ひとりでやれば出来ることでも、人数が多くなるとまるで出来なくなる。そういうことは当たり前に起こる。当たり前なことを当たり前にこなす。それは個人では容易だが、組織となるとそうはいかない。当たり前のことすらまるで出来ない。それが、組織というものが本来示す性質なんだろう。
 
 当たり前なことを当たり前にこなせる組織。それだけでも大変なのに、それ以上のことをすべし、となると容易なことではない。
 
 擬人化といって馬鹿に出来るものではない。個人でやることさえも難しいのに、ましてや組織的にやるとなったら尋常でないことをしなければならない。
 
 ∧∧
(‥ )マキャベリさんの話だっけ?
\‐  傭兵隊長さんか誰かに
    お前、軍事の本書いてたよね?
    今、目の前にいる兵士たちを
    この広場から出してみな
    と、からかい半分に言われて
    物は試しとやってみたが
    めちゃくちゃになった
    という話
 
  (‥ )軍人のように統制の
      とれた集団でも 
      それを指示して
      広場から整然と出す
      こんなことすら
      容易ではないという
      話よな
 
 こういうことは私たち素人には分からない。今年のバレンタインに関東、山梨を襲った豪雪の時だってそうだった。自衛隊は要請に応じて偵察部隊を出し、移動し、救援活動を行っているのに、なんでもっと大量に出て雪かきをしないのか? と平気で言い捨てる連中がいたのであるから。
 
 ∧∧
( ‥)組織を組織的に動かす
    その訓練を積んだ集団
    そのひとつが軍隊である
 
  ( ‥)軍事の根幹のひとつは
    ‐□ そこにあると
      思うのだけどね
      違うのかね?
 
 僕らはしばしば組織の中の部品でしかない。だから複数の人間を動かす、ということをしたことがない。それゆえその困難を分かっていない。だから平気でもっと大勢で雪かきガーとか言い出す。だから平気でめちゃくちゃな精神論を安易に言い立てる。これはありがちだ。
 
 ∧∧
(‥ )擬人化もそんな簡単な
\‐  もんじゃありませんと
 
  (‥ )人を集めるだけでも
      大事なんでな
 
 それ以上となると、それはもう、どえらいことになるのである。
 
 そこに思いをいたしても罰は当たるまい。
 
 *それにしても、例えばコミケでは何十万もの人が集まると聞くが、あの運営は一体全体どんな人たちがどう行っているのか、なんとも畏怖を感じる話だ。
      
 
 
 
    

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