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2014年4月15日火曜日

忘れていないか? 自分が把握していない経費がこの世界に存在することを

 
 自営の人は雇われている人よりも能力がある、という意見はおかしい。
 
 ∧∧
(‥ )この見解、どう思います?
\‐
 
  (‥ )反対に言うとあれだ
      自営業で今まで
      生き残ってこれたから
      優秀なはずだ、という
      評価をする人もいるし
      自画自賛する人もいる
      これは事実だね
 
 まあ確かに、”自営業で生き残って来れた者は優秀だ”という意見の理屈は分かりやすい。
 
 ∧∧
( ‥)まず自営業には余力がない
 
  ( ‥)反対に言うと
    ‐□ 大量に売れる商品を
      大量に作る場合には
      人が大勢必要になる
 
 そうなると企業になり、そして雇われる人が出てくる。この時、規模自体は大きくなるので、ガス光熱費、材料費、輸送費などといった必要経費を抜いて残った利益が、もとの売り上げの5パーセントしかなくても、それが年間一億円という場合もありうる。
 
 ∧∧
(‥ )その企業が仮に10人を
\‐   雇っていた場合
     一人当たり年間に500万を
     払っていても
     5000万円が残るね
 
  (‥ )雇われ人を必要とするほど
      生産と売り上げの
      規模が大きくなるとは
      そういうことなのだ
 
 割合でいったら貧乏、かつかつぐらしの自営業者と同じ、あるいはそれ以下でも、残った隙間が大きければ複数の人が充分に暮らせる。そういう理屈になる。
 
 ∧∧
( ‥)さらにいえば
    企業であれば収入を
    ならすことができる
 
  ( ‥)商品を納品しても
    ‐□ すぐに金になる
      わけじゃない
      お金の入りは翌月、
      あるいは翌々月、
      あるいはもっと先という
      こともありうる
 
 会社はそれに耐えなければならない。
 
 だが隙間が大きければ、会社を構成する細胞である雇われている人自体はそんな収入の変動に直面する必要はない。会社がそれを平均にならしてくれるのだ。
 
 会社が緩衝剤として機能する。そう言えば良い。
 
 ∧∧
(‥ )反対に言えば自営業は
\‐  少ない割合、
    収入の変動に直接
    さらされているわけだね
 
  (‥ )まあ、あれな、
      水が少ない上に
      やたらと水位が変動する
      沼に住んでる魚みたいな
      ものだろうな
 
 まあ、だから、自営業者で生き残ってきた人間が我と我が身を優秀とほめたたえるのは、分からんでもないことだ。他人を優秀とほめるふりをして自分をほめている人も見た事があるが、彼もそれが必要だったのだろう。変動する世界の中で生活することは意外とストレスが溜まることであり、こういう時、人間には宗教のような信念が必要だ。企業が愛社精神を喚き立てることと、これはなにも変わらない。
 
 ∧∧
(‥ )でも、冒頭の意見はこうも
\‐  続きますね
    自営業なんて協調性が
    無いだけだろう? と
 
  (‥ )そういうところは
      あるだろうな
      というか、そうでなければ
      やってけないからね
 
 ∧∧
(‥ )だから生活がカツカツなんだ
\‐
 
  (‥ )まあ、それは以上のように
      ただの事実だろうね
      水位が低くて変動しやすい
      環境では生活はどうしても
      カツカツになるからね
 
 ただ、その言い様の先に、ゆえに自営業は優秀ではない、という結論が隠れているとしたら
 
 ∧∧
( ‥)それは間違いだと
 
  (‥ )そういう環境で
      生き抜く能力を持っている
      それは確かであるからね
 
 多分、能力の有無と収入の大小を混同したことが間違いなんだろう。
 
 能力の有無は収入と関係ないし、収入の大小は能力の有無とは関係ない。それはむしろ、その人が選んだ道だ。
 
 ∧∧
(‥ )そもそも何の能力の
\‐  どの優劣なんだ、という
    話がありますけどね
 
  (‥ )水位が変動する
      浅瀬で暮らす魚は
      その環境で生き抜ける
      だからといって
      水位が深くて集団で
      暮らしている魚の群れに
      入れるわけもない
      その逆もまたしかり
 
 人間、置かれた立場のことしか分からない。会社員でも、経理にいるか、総務にいるか、営業にいるかで考え方が全然違うはずだ。
 
 ∧∧
( ‥)部署によっては金の流れを
    把握しているから
    お前たちはこんな給料では
    生活できないと言うが
    会社も限界なんだよ!
    そう絶叫することも
    ありうる
 
  ( ‥)あるいは主婦のことを
    ‐□ 考えてみよう
 
 専業主婦は支出を知っている。だが、どんな投資で収入が発生しているか、それを充分に把握しているとはいえない。家計上手だからといって、実は、会社という組織が緩衝してくれた”一定で安定的な金額”でやりくりしているだけかもしれない。
 
 ∧∧
(‥ )あるいは会社員によっては
\‐  以上の何もかもを
    分かっていないことすら
    ありうる
 
  (‥ )なぜどうしてどうやって
      金が動いているのか
      把握していない人がいる
      それは当然だ
 
 一体、誰が好き好んで、自分の日常業務以外の経費の流れを把握するだろうか?
 
 経費どころか、支出を把握していない人もいる。奥さんにまかせっきりなそういう男たちが、定年退職後にどうなるのかは、スーパーにいくと分かる。彼らは何一つとして何も出来ないのだ。彼の目の前にあるのは、見た事もない、料理の材料という未知の行程だ。
 
 ∧∧
( ‥)あなたのような自営業者は
    一応、全部できているけども
 
  (‥ )ところがだよ、確かに
      自分は本を作る
      そして金をもらう
      自分の必要経費も
      当然分かっている
      支出も分かっている
      だがな取引先の会社と
      本を作り上げる
      作業全体にかかる経費や
      支出、収入、利益のことは
      全然分かっていないのだ
 
 なんとなく見たり、聞いたりした範囲内では、どうもこうらしい、という予想がたつが、それはあくまでも仮説であり、モデルでしかない。
 
 やはり業務外の経費の流れが見えないのだ。
 
 そして、分からない、ということは”その場の予測や動態”が見極められない、ということを意味する。
 
 ∧∧
( ‥)あなたもamazonのkindleや
    電子書籍にはおおいに
    期待したし
    恐れも感じたけども
    実際にはそういうことは
    まだ起きていない
    あるいは進行中なのだが
    遅々として遅い
 
  ( ‥)出版界の仕組みを
    ‐□ なんとなく把握してから
      考え直すと
      ああ、こりゃあ駄目だ
      ということが分かったけど
 
 *ようするに出版界は書籍を電子化する余力がほとんどない。また、例えば仮に自炊を認めて電子化を促進させる、そればかりか、今すぐすべての書籍を電子化できたとしても、電子化させた書籍自体を流通させる力が出版界にはない、おそらく。そしてこれは単純に経費の問題でもある。
 
 ∧∧
(‥ )でも世間の人は出版界は
\‐  馬鹿で保守的で愚かだから
    電子化を阻んでいるのだと
    解釈する
 
  (‥ )冒頭から話題にした
      言い様もそうなのだがな
      それは、
      僕らが金の流れ
      すなわち、必要経費、
      収入、支出、これらを
      ちゃんと把握していない
      からだと思うよ
 
 そうだ、人は立場によって支出と収入、そして必要経費の把握がまったく異なっている。この違いを、そして自分が把握していない経費がこの世界に存在するという自覚を持たない限り、人は安易なモデルで誤った答えを出すだろう。
 
 忘れていないか? 自分が把握していない経費がこの世界には厳然として存在するということを     
 
 

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