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2009年8月17日月曜日

言いがかり

 
 よくこんなことを言う人がいる。曰く、ダーウィンはウォレスのアイデアを盗んだ。

 しかし同じ人がこういうことも言う。曰く、ダーウィンの進化理論は間違っている。

 そしてこうも言ったりする。曰く、業績を盗まれたウォレス可哀想
 
 あるいはこう。ウォレスは生涯貧乏だった。可哀想に。

 ∧∧
( ‥)なんか変な主張ですよねえ 総合すると
    間違った理論を盗まれた人が可哀想っことでしょ?

    (‥ )単にダーウィンを貶めたいだけなんだろ?

 ダーウィンというか自然選択理論が嫌いなだけなんでしょうねえ。”自然選択理論を否定せねばならぬ”という結論にデータをすりあわせるとこうなるという事例、そう解釈すれば分かりやすい。

 ∧∧
( ‥)いわゆる疑似科学と同じ構図ですね。

    (‥ )そうだね。

 ダーウィンがウォレスのアイデアを盗んだという都市伝説には意外と根強いものがある(アポロは月にいっていなかったというのと同じ程度な意味で)

 ∧∧
( ‥)実際は違うでしょ?

    (‥ )違うね。残されている資料もさることながら
        アイデアを盗用するメリットがないからな。

 実際、当時のイギリスで進化理論なんていったらそれだけで干されたり失脚したりする。現代でいえば、僕はテロリストです、そう叫んでしまうようなもので、そんな思想犯罪なアイデアを盗用するメリットなんかどこにもない。

 そうではなくて構図全体が逆に近いと思えばいい。

    ( ‥)そもそもダーウィンがダウンの田舎に引きこもって
        家を要塞化させたり、就職しないですむように
        投資を慎重に始めたのだって、干されても大丈夫な
        ようにする準備だよなあ。
 ∧∧
( ‥)まあ、そう解釈できますね。進化理論のメモを書き貯め、
    データを集めている一方で学会に背を向けるわけですから。

 つまるところダーウィンは進化理論の発表と、それに当然のように従って起こる”干される”という危険に対して防衛策を幾つもこうじていたと考えれば理解しやすい。

 反対にウォレスは進化理論を言ってしまったばっかりにまともな就職もできずに干されたらしい(後にダーウィンとハックスリーの助力で年金をもらえるようになるが)。

 ∧∧
( ‥)だから貧乏だったとすると皮肉ですねえ。

    (‥ )盗用されたから貧乏なんじゃなくて
        言ったばっかりに貧乏になったことになるからな。

 ウォレスは若かったんでしょうね。あるいは性格的に向こう見ずだったのか、さてはて。


 

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