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2019年10月18日金曜日

ダム建設は危険という根拠は2000年の時点で無くなった

 
 2019年10月13日の1:00。台風19号の雨で千曲川は長野市でついに越水。そして堤防は決壊して、長野市の東北部、長沼、赤沼地域が浸水した。
 
 この時、千曲川の支流である浅川に建築された浅川ダムを批判する人が現れた。浅川ダムのせいで洪水被害が大きくなったと。
 
 ∧∧
(‥ )でもダムの存在で
\‐  下流の浸水被害が
    大きくなるとは
    今ひとつ
    わからぬ理屈ですな
    なんすかね? これ?
 
  (‥ )ためた水を
      ダムが放流すれば
      増水するけど
      その増水って
      そもそもそこに
      来るはずの
      水だからな
 
 遅れてやってきた水のせいで被害が拡大するとは、これいかに?
 
 まあなるほど、確かにそういうことが成立する条件を考えることはできる。しかし、13日のその日、その時がそうであったという説明が、そもそもない。つまりいかにももっともらしく見えて、実は根拠になっていないのであった。
 
 それに、千曲川の支流である小さな浅川。この川は13日の1:00に逆流状態になった。要するに千曲川の水かさが増してこれ以上、水が流れなくなったわけだ。水が目詰まりを起こしたと考えればいい。それを踏まえれば千曲川の水こそが浸水被害の原因であることは明白。そうである以上、浅川ダムが浸水被害を助長したということはない。
 
 一方でこういう本もある。
 
 「危険でムダな浅川ダム」中村勇 2010年
 
 ∧∧
(‥ )70ページ程度の本だね
\‐
 
  (‥ )おかげですぐに読めたよ
 
 残念ながらこの本、前半部分こそ浅川ダムの論評と批判なのだが、後半は浅川そのものから離れて、話は千曲川に移る。しかも、長野市のさらに下流、飯山市にある西大滝ダムの話になってしまう。
 
 なんでこんなことになるのかというと、本の骨子が、

 危険なのは千曲川だ。浅川も浅川ダムもどうでもいい、どうでもいいものを作るな! そうだね、あえて言うと浅川ダムの建設予定地は地質が危険だから地滑りするよ! だから反対は正当! 

 というものだからであった。


 だから、浅川ダムが無駄である(と著者は信じている)ことを説明した後は、問題の本丸である(と著者が信じている)千曲川と西大滝ダムに話が移ってしまうのである。
 
 *問題の本丸が千曲川にあること自体は、多分、正しい。
 
 ∧∧
(‥ )まあなんにせよ
\‐  本の前半部分だけど
    浅川ダムの批判は
    読めるわけだな
 
  (‥ )主張は明白だね
 
 浅川は氾濫したことがない。だから浅川ダムは無駄である。
 
 赤沼の洪水は千曲川によるものだから、浅川は関係ない。だから浅川ダムは無駄である。

 ダムの建設予定地の地質は貧弱(と著者は信じている)ので、貯水すると大規模地滑りが起こる
 
 浅川ダムは穴あきダムで、1メートル四方程度の穴で放流し、通常時はそのまま川の水を流す。そして洪水時に水をためる。しかし、この穴が土砂でつまれば制御できない貯水が起きて大規模地滑りが起こる。
 
 ∧∧
(‥ )でもあれだね
\‐  平成12年(2000年)に
    浅川ダム地滑り等
    技術検討委員会が
    委員1名を除いて
    建設予定地の地質に問題なしの
    答申を出してるんだね
 
 =>https://www.pref.nagano.lg.jp/asakawa/jigyo/keka/documents/h12_02_22_jisuberi_gijyutu_kentou.pdf
 
 
  (‥ )委員の一人
      奥西京都大学教授は
      合意しなかった
      共産党は
      この不合意を根拠に
      議会で浅川ダム建設に
      反対意見を述べ
      奥西教授は今回の水害では
      赤旗に寄稿してるけども
      それ以上のものには
      ならなかったのだな
 
 
 要するにダム建設は危険だ、という根拠は2000年の時点でなくなったのであった。
 
 ∧∧
(‥ )でも先の著作
\‐ 「危険でムダな浅川ダム」では
   2010年でも
   相変わらず危険危険と書き立てる
   というか
   意見書の引用も無しですか
 
  (‥ )まあ反対する人とは
      そういうものだし
 
 
 とはいえだ、この地質的に問題ない、という見解があると浅川ダムに対する反対意見はほぼその意味を失う。

 穴あきダムの穴がつまることで意図せぬ貯水が起きて大規模地滑り、決壊、氾濫。だから反対! という論法も根拠を失うのであった。
 
 残る根拠は、浅川の増水は赤沼の浸水と関係ない、というものだけだ。しかし、だったら建築してもよくね? という話になってしまうだろう。
 
 さてはて、反対派の立場に立てばこれは困った話である。かように反対理由が無くなっても反対するとしたら、別の反対理由を発明しなければいけない。
 
 ∧∧
(‥ )事情仕分けに参加した
\‐  政野淳子
   (まさのあつこ)さんが
    浅川ダムは穴あきダムだ
    穴あきダムだと
    下流域での浸水被害が
    長引くとか言い出したのも
    それが原因ですかな?
 
  (‥ )反対理由がなくなったので
      反対理由を発明したって
      ところかねえ
 
 しかし、こういう行き当たりばったりな主張をしていると、浅川の増水は赤沼の浸水と関係ない、という初期の反対理由と齟齬が生じてしまうのである。実際、浅川ダム反対派の主張は全体的に混乱的だ。
 
 浅川は洪水に関係ない、しかし浅川ダムが洪水を引き起こす
 
 こうした反対派の混乱的な言及は、以上が原因だろう。
    
      
  

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