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2016年3月26日土曜日

言ってもいいけど選ぶのは脳に優しい異世界

 
 ∧∧
(‥ )先日だよね
\‐  googleの囲碁ソフト
   AlphaGoが囲碁の
   世界チャンピオンに
   勝利したってのは
 
  (‥ )良く知らんけど
      人間の定石を覆すような
      選択肢を見つけて
      打ってくるという話みたい
      だったけども
 
 つまり定石たる碁盤目の隅から打つのではなく、人間には先が見通し切れない真ん中からAlphaGoは打ってくるという。
 
 ところで、このソフトを現実的に運用する時、消費電力と維持費はいかほどなのであろうか?
 
 これについて検索したけども、よく分からない。
 
 ∧∧
(‥ )人間が見通せない手を
\‐  見つけて打ってくる
    解探索という点では
    これは画期的
    なんでしょうなあ
 
  (‥ )言い換えれば
      人間と違う手を打つとは
      残念ながら
      人間の再現ではないって
      ことでもあるね
 
 あるいは再現ではないにしても、利用可能なエネルギーを落とすと、能力が人間と同程度になってしまうということであろうか? 

 例えば囲碁ソフトを運用する時に使う消費電力を下げて省エネ化し、ついには人間一人の人件費と同程度の支出でも運用できるように機械もソフトも改良した時、能力が人並みになって定石通りの打ち方をするようになるとか。そういうことはあるのだろうか?
 
 ∧∧
( ‥)ああ、エネルギーの大量投入と
    力押しの大演算が
    不可能になって
    それでも現実的な手を探ると
    真ん中は良く分からないから
    碁盤目の隅から打つねー と
    AIが人間の定石を
    やりだす可能性ね
 
  (‥ )そうだったらおもろいけど
      よく分からんと
      なんとも言えんよなあ
      このお話は
      このぐらいにしておくか

 
 さて


 人は言う。今時の異世界は全部ゲームばかりだと。
 
 ∧∧
(‥ )でもゲームとは仮想現実
\‐  いまや誰もが共有する
    息抜きのための
    第二現実なのである
 
  (‥ )ゲームとは違う異世界を
      見たいとか言う人もさ
      本物の異世界を
      見せられたら
      本を放り出すだろうしな
 
 例えば地球から20光年離れたてんびん座の赤色矮星グリーゼ581。この星には幾つか惑星が見つかっている。そのひとつ、惑星グリーゼ581cは太陽である赤色矮星にちょっと近すぎるが、生物が存在できる可能性が指摘されている(*注釈すると、グリーゼ581星系にはもっと生存に適した惑星gが報告されていたのだが、これは存在しないのではという論文があるので、ここでは論じない)。
 
 ∧∧
( ‥)しかしその環境は異様で
    主星たる赤色矮星に近いせいで
    自転と公転が一致してしまい
    惑星の半分は永久に昼
    その反対は永久に夜
 
  (‥ )気圧などの設定にも
      よるけども
      昼半球は100度を越え
      夜半球は氷点以下だ
 
 当然、昼半球の水は全て沸騰して蒸発してしまう。蒸発した水は、惑星の反対側にある夜半球で雪となり、すべて凍りついてしまうだろう。つまり惑星の半分は高温、乾燥した砂漠の世界であり、反対側は何千メートルもある分厚い氷に覆われた闇と星空の世界。海があるとしても、それは沸騰と凍結、二つの世界の中間、永久に黄昏れが続く領域だけになるだろう。
 
 ∧∧
(‥ )夜半球から流れてきた
\‐  氷河が融解して海を作る...
    というかむしろ湖でしょうね
 
  (‥ )光合成生物がそこにいて
     酸素を作っているとする
     入植した人類が住めるのは
     この黄昏れた
     トワイライトゾーンのみ
     地平線に浮かんだまま
     永久に動かない赤い太陽
     そこからふきつける熱風
     反対の空の彼方には暗い地平
     明るい星なら見えることも
     あるかもね
 
 
 公転周期はたった13日だ。夜半球にいれば13日で夜空の星が一回りする様子が分かるだろう。そして重力は地球のおよそ2倍である。
 
 ∧∧
(‥ )こんな世界の物語を
\‐  読めと言われても
    さっぱり理解できない
    でしょうね
 
  (‥ )時間の概念からして
      違っているからな
 
 永久に黄昏が続く世界に、1日という考えはない。季節もない。夜半球ならともかく、トワイライトゾーンでは廻る星が絶えず見えるわけではない。これでは1年という概念があるかどうかすらも疑わしい。というか、そもそもこの惑星の1年は地球時間で13日である。
 
 
 ∧∧
( ‥)時間からして
    世界観が違いますからね
    現地の時間感覚で
    物事を説明されても
    何がなんだか
    分かりませんよね
 
  ( ‥)舞台が地球であっても
    ‐/ 異世界の理解は
       難しい
 
 例えば、WW2でヒトラーが現れたのは、結局のところ、ドイツが中央集権化や官僚の育成に失敗したからではないか、そう考えてみる。
 
 ∧∧
(‥ )選挙で選ばれたリーダーが
\‐  全部の権限を握るってのは
    普通は考えられませんよねえ
 
  (‥ )カノッサの屈辱など
      神聖ローマ帝国が
      中央集権化に失敗して以後
      帝国は分裂して
      ドイツ帝国の出現まで
      統一されなかった
      統一には強力な指導者が
      必要である一方で
      統一された事が無い
      そりゃ不自然な独裁が
      成立するよな
 
 では、なぜ帝国はそもそも統一できなかったのか? それは土地の生産性が低いからではないだろうか? 少なくとも生産性が高くて食料の余剰もあれば統一に必要な軍隊も官僚も維持できる。なければ無理だ。
 
 ∧∧
( ‥)では中世以前にどういうわけか
    西欧にジャガイモが
    突如出現したとする
 
  (‥ )必ずしもジャガイモで
      なくてもいいのだ
      未知の植物で気候が
      冷涼でも育つ
      デンプンを含んだ根菜なら
      条件は満たされる
 
 要するにこの話である=>hilihiliのhilihili: ジャガイモタイムマシン
      
 この場合、ローマ帝国はゲルマン人に征服された後、再統一されるかもしれない。実際の歴史ではついに現れなかったゲルマン人のローマ皇帝がいたかもしれないし、西欧に暗黒時代はないだろう。反対にイスラームの大征服もスペインで止まらずにパリやゲルマーニアまで攻め込んだかもしれないし、モンゴル帝国もロシアで止まらずに西欧になだれ込んできたかもしれない。
 
 当然、歴史が全部変わる。
 
 ∧∧
(‥ )大都市パリに玉座を構え
\‐  月桂冠と緋色のマントで
    その身を飾るは
    西ローマ帝国を支配し
    ゲルマーニアも統べる
    大ハーンにして
    西欧ムスリムの守護者
    スルタン・インペラトール
    アルタン
    とかそういう世界になって
    いるかもしれない
 
  (‥ )そして
      この世界にヒトラーは
      いないわけだ
      帝国が存続すれば
      独裁者はいても
      それはあくまで
      官僚に支えられた
      君主であるからな

 さて、このヒトラーのいない世界の物語、我々はすんなり理解できるだろうか?
 
 ∧∧
( ‥)無理だろうね
    文化、言語、習俗
    民族、宗教、歴史
    全部が今と同じようでいて
    すべてが違う
   
 
  ( ‥)異世界を見たいと言う人は
    ‐/ いるけども
       実際には脳が
       耐えられないだろうな
 
 だから、異世界はどれもゲームの焼き直しばかりだとか、口先だけの文句は言うものではないのだろう。
 
 ∧∧
( ‥)あるいは
    言ってもいいけど
    言ってるだけでしょ と
 
  (‥ )世の中そんなもんよ
 
 
 
 そして異世界はこれまでもこれからも、神話の中の物語として続くのみ。なぜなら、それが一番、脳に優しかったからである。
 
 

 
 
  
    

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