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2015年7月29日水曜日

偉大なりネロ帝

 
 29日、3:00現在、神奈川県の中央のここ、外の気温は29度、湿度は90%
 
 ∧∧
(‥ )えらいこっちゃですな
°
 
  (‥ )冷房が切れない
      気候であるよ
 
 さて
 
 ローマの暴君ネロ帝は巨大な館を建てたという。己の巨像を据え、庭の池はまるで海のごとく広く、邸内の部屋のほとんどに金箔を貼り、そこに宝石と真珠をちりばめた。食堂には花や香水をまきちらす仕組みを用意し、浴場に海水と硫黄泉を引いた。
 
 これでやっと人間らしく住めるようになった
 
 ネロ帝はおおいに満足したという。
 
   ( ‥)...ネロ帝
     ‐/ なんと偉大な
 
 ∧∧
( ‥)そうなんですかね?
 
 もちろん、これはあくまでスエトニウスによる「ローマ皇帝伝」に伝えられた話。
 
 ∧∧
(‥ )どこまで本当なんですか?
\‐
 
   (‥ )さてね? とはいえ
       暴君にふさわしき
       偉大な所行よ
 
 富は偏りがないと存在しない。帝の偉大な浪費は帝国中からかき集められた富で成立している。
 
 ∧∧
(‥ )しかしそのネロ帝とて
\‐  現代人に比べれば
    生活は質素なもの
 
  (‥ )邸宅の作りと広さは
      豪華かつ贅の極み
      だけどね
      電気もなければ
      ガスもないしな
      照明も冷暖房も不十分
      食べ物とて
      現在より香辛料が少なく
      運輸も保存も不完全で
      品種改良すらまだ
      進み始めたばかり
 
 偉大なるネロ帝に我々の食事を食べさせたら、さて、なんというか? 
 
 ∧∧
( ‥)やっと人間の食べ物に
    ありつけた...とか
    言いますかね?
 
  ( ‥)帝国中の富を奪い
    ‐/ 一身に集中させて
      これで人間らしいくらしが
      できるようになった
      そうのたまう
      なんと正直な叫びよ
 
 これは確かに暴君の所行ではあるが、果たして我々がこれを批判できるであろうか?
 
 ∧∧
(‥ )まあ、あなたたちは
\‐  贅の極みを維持するためだけに
    働いていますからね
    ネロ帝に堂々と申し開きが
    できるでしょう
    
  (‥ )確かに
      俺たちは帝に堂々と
      言えるわけよ
      帝よその贅沢ゆえに
      あなたは謀殺される
      でしょう
      我々はこの贅沢ゆえに
      過労死いたします
 
 人間らしい生活をするには、どうしても無理がある。全世界から収奪するか、さもなければ贅を維持するための維持費と人件費を支払うため、過労死寸前まで働かねばならぬ。これは摂理。
 
 だが、これを否定する人がいる。彼は言う。見よ、あそこに楽園があると。
 
 かつてその楽園はソ連であった。
 
 それはアメリカになり、そして今はヨーロッパのどこかだ。
 
 例えばドイツ。
 
 日本よりも輸出が好調で富を集め、それでいながら人間らしい暮らしが保証されていると伝えられる正社員の王国。
 
 ∧∧
(‥ )...という触れ込みだったけども
\‐  どうも胡散臭い
 
  (‥ )実際にはユーロ安を
      隠れ蓑に
      輸出してるだろ?
      とか
      貯蓄する国内ではなく
      消費ばかりする
      ギリシャとかに
      売りつけたろ
      とか
      膨大なトルコ系移民を
      いいように搾取しただろ?
      とかな
      疑惑がぼろぼろ
      出てくるわけだ
 
 人間らしい暮らしとは、実際には暴虐なのだ。より人間らしい暮らしに近づけば近づくほど、それは純然たる暴力に変化する。

 人間らしい正社員を保証するために、格差調節ダイアルを60から90に上げる。それが何を意味しているのか、知らぬとは言わせぬ。その軋轢がギリシャ問題でも噴出しておるらしいが、それも当然。富が偏りから産まれる以上、人間らしい暮らしは暴力以外のなにものでもない。それがこの宇宙の法則だ。
 
 そうである以上、理想郷などまやかしに他ならぬ。事実、すべてがまやかしであった。
 
 ∧∧
( ‥)それを踏まえますとね
 
  (‥ )ネロ帝は偉大だぞ
      暴虐の果てに
      これでやっと
      人間らしい生活ができる
      そう堂々と言いよる
 
 王者とはかくあるべし。これぞ暴虐の極み。
      
 
これはhilihiliのhilihili: 人間が人間らしく暮らせるとは歪んでいるということだの続き
 
 
 
 

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