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2015年4月25日土曜日

正しさは人の目を曇らせる

 
 夢を見た。
 
 地面を掘るとミミズが出てきた。ミミズは食えると聞く。だがこれは食えん。いかにも土臭そうだし、第一、小さい。
 
 起きると腹が減っていた。
 
 夢を見た。
 
 フリスクのような白い錠剤型のお菓子なんだが、一粒が妙に大きい。しかし飴玉ではなくそれより小さい。砂糖菓子でもない。半透明ではないのだ。包装箱の説明には、
 
 甘くて爽やか
 クールにリフレッシュ
 大声で奇声を発したくなる衝動を抑える効果もあります
 
 と書いてあった。
 
 これは食っちゃいけないものだ! 
 
 そう思って起きると腹が減っていた。
 
  (‥ )俺は一体どうしたんだ?
 
 ∧∧
( ‥)お腹が空いているんでしょ?
 
 
 さて
 
 自分が会社にいるとする。不満は色々とあるだろう。上司、同僚、部下、通勤、業務、賃金、そして時間。
 
 不満は当然、皆にあるから色々と愚痴ることもあろう。
 
 しかしこの時、
 
 そうだよね? おかしいよね、こんな会社変だよね。こんな会社は潰れるべきだよ!
 
 そう言い出したら
 
 ∧∧
(‥ )白い目で見られるだろうと
\‐
 
  (‥ )皆が賛同して
      一揆を起こすことも
      ありうるが
      それは扇動者に説得力が
      あるからじゃない
      不満があまりにも
      大きい場合だな
 
 つまり、物事を決定するのは理念や正しさではない。損得だ。
 
 損得勘定をした時、自分は一揆が起きた方が得である
 
 周囲を見回せば、得になる人間が十分多いので、一揆は成功するだろう
 
 こう言う時に賛同が連鎖し、一揆が起こりうる。
 
 しかしそうでない場合
 
 ∧∧
( ‥)そうでない場合に
    この会社はおかしいよね?
    こんな会社は馬鹿だよね?
    つぶれるべきだよね!!
    そう言い出したら
    皆から白い目で見られる
 
  (‥ )会社は賃金を生み出す
      共有された仕組みなんだ
      それを破壊しようとか
      それが馬鹿であるとか
      まくしたてる
      それは会社に所属する
      仲間に対して
      お前ら死ね
      お前ら馬鹿
      そう言っているのと
      同じなんだよね
 
 そりゃあ白い目で見られるだろう。
 
 それにしてもこれは疑問であろう。
 
 なぜ白い目で見られるような言動を言い立ててしまったのか?
 
 それは損得勘定を計算しなかったということだろう。損得を計算しないで正しさだけをぶんぶん振り回している、危ない人だとも言える。
 
 そして、

 周囲の人間の損得がどのぐらいなのか? 一揆に賛同してくれるかどうか? それを推し量ることにも失敗した
 
 そういうことでもあろう。
 
 あるいはこう言えば良いだろうか。
 
 彼は正しさに目が曇らされて、損得勘定も皆の生活も動機も読むことができていないと。
 
 ∧∧
(‥ )だから失敗する
\‐
 
  (‥ )失敗するのは当たり前だな
      だけど正しさに
      目が曇っている以上
      彼は反省なんかしない
      今度はみんなを
      恨み始めるのだ
      そもそも空気を
      読めないからな
 
 俺は正しいのに、それに賛同しないこいつらみんなおかしい。
 
 こいつらは政治や社会の問題には目を向けず、不真面目な話ばかりしている。こんなことは異常だ。
 
 彼はこういうことを言い出すようになる。
 
 ∧∧
( ‥)でもそれでは成功しない
 
  ( ‥)人は損得で動く
    ‐□ 正しさに目が曇って
      皆の損得を見極めることが
      できていない以上
      必ず失敗する
      ようするに口先だけなのだ
 
 だがしかし、口先だけで、しかもこれほど空気を読めないし、損得も見極められない人間、これがなぜか死なない。
 
 これは矛盾である。
 
 どういうことであろうか?
 
 色々な場合がありうるが、ひとつはこういう可能性がありえよう。
 
 実は生活に困っていない。
 
 ∧∧
(‥ )まあ確かに
\‐  愚痴を通り越した
    批判と否定を
    繰り返す割りには
    その組織にずーっといる
    人っていますからね
 
  (‥ )そういうのってな
      周囲から見ると
      口先だけの駄目な人に
      見えるのだけどね
      正しさに目が曇っていると
      そういうのは
      自覚できなくなるよね
 
 いや、むしろ
 
 会社がおかしい、社会が異常だ。それが分からないお前たちは馬鹿だ。お前のせいで俺の考えた計画も実行できないんだ。
 
 だから僕のせいじゃないですよ。

 こうやって何もかも他人のせいにして自分だけを正しい立場に置いて、それでいながら決して危険な外へは出ようとしない。自らが批判し続ける組織で飼い殺しにされる立場に甘んじて、それがゆえに安心して舌鋒鋭く批判する。

 そういうことであろう。
 
 そして、これは...確かに甘美かもしれぬ。
 
 ∧∧
( ‥)あなたもします?
 
  (‥ )読者が馬鹿だから
      俺の本が売れないのだ!
      とか言うのかい?
      言うのはかまわないし
      言うけども
      それだけじゃ死ぬし
      言ってるだけじゃ
      意味ないよ
 

 しかし、逆に言うと彼にはそれが出来る。

 世の中は馬鹿だらけで正論を言うと叩かれる、こんな社会は狂っている。

 安全地帯からこのように、舌鋒鋭く世界を批判して止まない。
 
 正しさというのは、それほどまでに人の目を曇らせるということか。
 
 
 
 

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