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2016年7月2日土曜日

民主制とは死ぬことと見つけたり

 
 多数決は良く間違える。
 
 
 ∧∧
( ‥)...それってまるで
    必ず正しい答えを導く
    意思決定の方法が
    あるかのような
    言い方ですなあ
 
  (‥ )実際には
      間違えていいし
      そういうものだけどな
 
 
 イラクに攻め込むべし! 
 
 アメリカ国民はそう判断してブッシュを支持した。
 
 その結果はゲリラ戦どころではない、誰も状況が把握できない混乱と戦費の増大だった。
 
 ∧∧
(‥ )失敗したことから
\−  次の大統領オバマさんは
    撤退を選んだ
    そして戦地から家庭に戻る
    夫や父や妻や母は
    アメリカの
    ミドルクラスを
    立て直して欲しいと
    演説した
 
  (‥ )ほら失敗から学んでる
      まっ、撤退は撤退で
      悪影響ありまくりで
      イラクではISISが出現し
      シリアは内戦となり
      混乱は波及して
      難民はEUに
      なだれ込んでいるんだがな
 
 イラク侵攻は失敗だった。その結果を受けて、アメリカは撤退を選択した。
 
 もちろん撤退もまた無責任かつ失敗、失政ではある。
 
 だが、それでもなお、このことから分かるであろう。

 アメリカ、というか民主制に統治能力などないのだ、ということが。
 
 少なくともこれでひとつ皆は状況を把握したのだ。

 ほら、失政したからこそ、利口になったであろう?
 
 あるいはこうである
 
 民主党が金をばらまくと言った、それを真に受けて投票する馬鹿と、ばらまきに必要な予算を計算し、そりゃ無理でしょう、といって投票しなかった人間。
 
 ∧∧
(‥ )民主制ではどちらの一票も
\−  等価なのである
 
  (‥ )馬鹿と賢明の一票が
      等価だ
      誰かが指摘した通り
      確かにぞっとする話では
      あるな
 
 
 だがしかし、民主党は何もできなかった、いやむしろ明らかに自民党以下であり、それは失政であった。このことは、一票を投じた馬鹿も含めて、誰の眼にも明らかであった。
 
 ∧∧
( ‥)というわけで
    民主党は次の選挙で惨敗
    自民党の一人勝ちで
    現在に至ると
 
  (‥ )あの政権交代まで
      みんなは
      政治家なんて馬鹿でも
      誰でもできる
      そう思っていたが
      そうではないってことが
      分かった
 
 ほら、失政を選んだことでまたひとつ利口になった。


 少なくとも人々はごく単純で素朴な理解だが状況を把握したのだ。
 
 もちろん、こんなものは理解などと呼ぶにはほど遠いものである。
 
 これは、火に触ると熱い、ということを学んだ程度のことで、知能としてはごく初歩的なものでしかない。
 
 ∧∧
(‥ )でも実行して失敗して
\−  そして確かに理解したって
    ことでもあるんだよね
 
  (‥ )ほら、ちゃんと
      ”判断できて”いる
 
 ひるがえって考えてみよう。

 多数決は良く間違える。

 この言い様には、ひとつには単なる事実の指摘という面がある。
 
 良く間違える。それは事実であろう。
 
 だが、こんなことをわざわざ言い出すってことは、言った奴の頭には動機がもうひとつあるであろう?

 多数決は良く間違える、この指摘には、本当は正しい結論を知っている我々がいるのに、大衆は馬鹿で愚かで必ず狂った判断を下す。だから利口な我々や俺様が管理しないといけない、という発想がそこにあろう。
 
 ああ、しかし、そういう考えこそが間違いなのだ。なぜって、答えを予め分かっている、というのは、俺の判断に間違いはない、宇宙のすべては私の手の内なのだ、と主張することに等しい。それは俺のプログラムにバグは無いと豪語する無知蒙昧も同じこと。
 
 ∧∧
( ‥)民主制とは人間個人個人を
    演算素子として
    解探索を行う
    巨大な演算機械である
 
  (‥ )知性など必要ない
      知性などなくとも
      解探索は可能なのだ
 
 実際、民主党のばらまきに舞い上がるような馬鹿でも、民主党は失政であった、という痛みは分かるであろう?
 
 知性など必要ない、知力も無意味だ。痛いとか、嘘だった、とか、それだけを把握できる神経がそこにあれば演算素子として十分機能する。これ、ミツバチ程度の能力だ。人間なら誰でも持っている。
 
 もちろん、演算素子として痛みを感じるとは死ぬ、ということでもある。
 
 例えば、

 二番では駄目なんですか?さんが堤防を仕分けしたから水害が起こった

 そう言われたことがある。
 
 ∧∧
(‥ )それ自体は実は正確な
\−  批判、指摘ではないんですが…
 
  (‥ )ああだが言わんとする
      ことはもはや明らかだろ?
 
 100年に1度、1000年に1度の水害なんかのために大規模土木工事をしてどうするんですか? コンクリートから人へですよ、建築ゼネコンのために血税をつかってどうします? 2番でもいいじゃないですか。
 
 このような言い様は、1000年の1度の大災害、東日本大震災が起きたことでまったくもってその意味と価値を失った。
 
 これ以前と以後とでは以上の主張への評価は正反対になったのである。
 
 2番では駄目なんですか?さんが堤防を仕分けしたから水害が起こった、という批判は確かに間違っている。だが、実は正しいのだ。
 
 そしてこれは民主制について重要な点を明らかにしている。
 
 多数決は間違う
 
 それは当然。間違うからこそ演算が進むのだ。お前は演算をなんだと思っていたのか? 俺のプログラムにバグは無いと主張する阿呆のように、神様にでもなったつもりでいたのか?
 
 そうではない、失敗し、それが結果に跳ね返るから民主制は答えを見つけ出せる。
 
 ∧∧
( ‥)そして重要なのは
    失敗した以上
    誰かが必ず死ぬという
    ことなのである
    これがないと
    演算が進行しない
 
  (‥ )2番じゃ駄目なんですか?
      が仕分けしたから
      洪水が起こった
      津波が阻止できなかった
      犠牲者が出た
      あの言い様は
      実はこのことを指摘して
      いると見るべきだ
 
 誰かが死ぬからこそ、演算が実現する。

 これぞ民主制の真骨頂。

 すなわち、民主主義とは死ぬことと見つけたり。
 
 さあ、諸君、一心不乱に死のう。絶頂に楽しいぞ?
 
 
 
 
  

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