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2016年4月3日日曜日

病原菌の力を持つ戦士

 
 とはいえ、しかし、インフルエンザと農業病害虫、家畜の病原菌で相手を無力化できる可能性というのは魅力的と言えば魅力的。
 
 
 ∧∧
( ‥)非人道の極みだけどな
 
  (‥ )だけど成功すれば
      交戦する必要がない
      こっちの犠牲を
      ほぼ0にできるし
      こっちの基準からすれば
      生物兵器でもない
      非難されても
      過失で押し通せるのは
      美味しいぞ
 

 *異世界と接触した時、相手の異世界が中世、古代レベルの社会なら、病原菌との共進化がまださほど進んでいない。だとすると、相手はあまり免疫がないことになり、こちらの世界のなんてことのない病気や害虫が、相手には致命的ということがありうる。これを利用すれば相手を社会まるごと、こちらの手を汚さずに抹殺することすら可能かもしれない、という意味。
 
 
 ∧∧
(‥ )しかしそれをやったら
\‐  英雄の物語ではなくなってしまう
    物語として拒否されて
    しまうのである
 
  (‥ )ジョジョで登場した
      パープルヘイズのように
      ウイルスを力として
      持っている英雄は
      創作にもいるが
      そういう場合は
      戦士としての制限があって
      社会を滅ぼすような蔓延を
      体現しているわけでは
      ないんだよねえ
 
 とはいえ、病気の蔓延という恐るべき事態を擬人化した想像上の超存在はすでにあるのだ。
 
 ∧∧
( ‥)吸血鬼ですな
 
  (‥ )吸血して眷属を増やす
      まさに伝染病
 
 創作物における扱いを見る限り、吸血鬼は伝染病のような側面を持つ一方で、戦士としても成立しているようだ。それはなぜか?
 
 ∧∧
(‥ )やはり人型であること
\‐  本物の伝染病よりも蔓延が
    遅いこと
    頑健で無敵である一方
    弱点がたくさんあって
    機会さえあれば人間でも
    倒せること
    ここですかね?
 
  (‥ )人間が肉体で戦える
      存在であり
      なおかつ勝てる存在
      だとすると勝負は五分で
      勝負が五分である以上
      相手は戦士であり
      認められる
      そういうことかもしれぬ
 
 例えば、インフルエンザ怪人が登場したとする。俺はインフルエンザだー、と叫びながら、夜な夜な、人間をインフルエンザ怪人に変え、その怪人がまた他の人間をインフルエンザ怪人に変えるのだが、その過程がひどくのんびりしている。怪人1人が1日に1人インフルエンザ怪人を作り出すだけなのだ。
 
 ∧∧
(‥ )もちろんこれでも状況は深刻で
\‐  こんな倍々ゲームを始めたら
    1ヶ月もしないうちに
    日本人全員が
    インフルエンザ怪人に
    なってしまいますけども
 
  (‥ )現実には大パニックだな
      奇襲攻撃をしかけられて
      警察や自衛隊や国家が
      情報を集め
      状況を見極めている間
      半月後手に回るだけで
      怪人の数は2の15乗
      つまり32768人
      ちょっとした
      都市人口にまで
      増加しているわけだし
 
 だが、ご都合主義な正義のヒーローならば、問題ない。正義のヒーローとは軍隊に匹敵しながら、その出動に自治体の要請も首相の判断も、国会の決議も必要ない、非合法な私刑人である。即座に対応してインフルエンザ怪人を倒すであろう。
 
 ∧∧
( ‥)ましてや吸血鬼みたいに
    弱点だらけだとね
    ヒーローすら必要ないかもね
 
  (‥ )徒手空拳の人間でも
      知恵があればなんとか
      対応できるのではないか?
      視聴者にそう思わせる
      ことができるのは大きい
      実際そうであるからこそ
      敵を倒す自分は
      勇者になれる
      そして、敵である
      インフルエンザ怪人や
      吸血鬼にも戦士としての
      資格が出てくるわけだ
 
 ∧∧
(‥ )ただこれだとちょっと蔓延度が
\‐  低すぎますかね?
 
  (‥ )病気じゃないけど
      流言飛語で相手を壊滅させる
      ってのがあったよな
 
 レズニックの小説「暗殺者の惑星」。史上最悪の快楽殺人鬼を倒すために雇われた暗殺者。射撃、格闘術の腕は高いが、超一級というわけではない。後は声色をまねるのが得意で、簡単な道具で目鼻の雰囲気、髪の色を変える。これだけだ。
 
 ∧∧
( ‥)でも地方政府を占拠して
    独裁者となりおおせた
    快楽殺人鬼を守る
    万の親衛隊を混乱させるには
    それで十分なのであった
 
  (‥ )相手がいつどんな姿なのか
      分からない中で
      暗殺者が内部に侵入して
      流言飛語を飛ばしながら
      実際に同僚を殺しまくって
      いたら
      訓練された軍隊だって
      混乱するだろうしな
      ぽっと出の地方有力者に
      集った武装集団じゃ
      同士討ちが始まるよね
 
 これも、一対無数、という圧倒的な戦力差があるなかでのやり方だから認められるのだろう。

 **ちなみにこの小説の暗殺者は別に正義の味方ではない。侵入先で現地警察の実力を推し量るためだけに、まったく無実の人間をいきなり殺しているし、結局、彼はその報いを受ける事になる。自身が仕留めた快楽殺人鬼とは別ベクトルで、この暗殺者に道徳というものは無いのだ。
 
 ∧∧
(‥ )でも自ら殺した死体と
\‐  皮をはいで半殺しにした人体で
    飾り立てた広間に
    立てこもる殺人鬼
    そこへほとんど徒手空拳で
    接近していく暗殺者の姿は
    その時、確かに戦士であった
 
  (‥ )多分ここにヒントがあるな
      病原菌の力を持つ怪物を
      戦士として描くことが
      出来る道
      それがここにある
      

 

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