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2016年4月18日月曜日

二律背反の帝国

 
 プラトンを見れば分かるように、人間は前提から論理的に導きだされた結論を真理であると勘違いする。
 
 あるいはこう言えば良いか?
 
 一部の人間は、論理的に導かれた結論は真理である、無邪気にもそう考えていると。
 
 無論、これが間違いであることは明白だ。プラトンの世界観も宇宙観も数学への思いでさえも間違いであり、たわ言だったし、プラトンの弟子であったアリストテレスのもろもろもすべて間違っていた。
 
 ∧∧
(‥ )人間とはこういう誤謬を
\−  犯す動物なのである
 
  (‥ )考えてみれば当たり前
      なんだけどね
 
 論理は単語の関係性の正しさに関する議論で、答えの是非まで保証する力は無い。
 
 しかも、賢い人がその深淵なる考えの根拠とする事柄とは、しばしば単なるオカルトである。
 
 例えば、

 正義は正しい。倫理は実在する。道徳は真理である。歴史は発展する。未来は完成へと近づく。
 
 ∧∧
( ‥)全部たわ言であると
 
  (‥ )正義は言い訳
      倫理は暴力
      道徳は設定
      歴史は発展せず
      未来は完成などしない
 
 だが、賢い人間はどうしてもこの誤った大前提から逃げることができない。いやむしろこれは人間の本性なんだろう。


 だから歴史は発展し、未来は完成へと至る、という世界観が組み込まれた理論に人は夢中になる。
 
 かつて言われた。

 オスマン帝国は1万年先でも存続しているであろう。
 
 あるいは言われた。

 白人が世界征服できたのは我々が選ばれた優秀な民で、我々の支配の元で世界は制御されるべきであると。
 
 あるいは言われた。

 マルクス主義に基づけば理想社会が未来に自動的に実現される。だとするとマルクス主義に反対する人間は、約束された理想の社会の実現に反抗する犯罪者でしかないのだと。
 
 あるいはほんの10年ばかり前に言われた。

 アメリカ型民主主義という理想型が実現したことで歴史は完成し、アメリカ型資本主義によってついに不況というものがこの地上から消えたと。
 
 これらのすべてがただのオカルトであったこと、明白である。
 
 ∧∧
(‥ )しかしオカルトであるがゆえに
\−  人々は夢中になるのであった
 
  (‥ )そしてゆえに挫折するのだ
      根底がオカルトだからな
      そりゃあ
      うまくはいきません

 
 世界は完成しない。歴史は人類が滅びるその瞬間まで片時もとどまることがなく、一瞬でも同じではないだろう。
 
 ここから次のことが言える。
 
 我々の現在もまた完成することなどないのだと。
 
 だが人はどうしてもオカルトから逃れられぬ。
 
 例えば最近はよく言われるのではないか? 

 日本は終わった。これからは中国の時代である。

 日本は没落し、日本人は海外へ出稼ぎにいかねばならないだろう。
 
 これもまた以上と同様、オカルトであるし、楽観的すぎる未来予測であろう。
 
 ∧∧
( ‥)欧米が500年かけて
    世界中から収奪した富が
    今、全世界に再び拡散し
    還っていく過程だとしたら
 
  (‥ )残念、日本人は
      出稼ぎに
      いけないってことだ
 
 いけるわけがない。上からどんどん富が分散されて、豊かの平均値が下がっているだけなのだから。

 つまり、日本から富が失われているにもかかわらず、それは低い国へ流れ込むだけで 結果的に、日本より豊かな国が出現しない。ゆえに逃げ場が無い。

 事実、そうであったではないか。

 西欧の次にアメリカが、その次に日本が、次々に豊かになったが、じゃあ西欧やアメリカの人が日本に出稼ぎにくるかというとそうはならない。つまり一度豊かになった国に住む人はもはやどこにも逃げられない。これを踏まえれば次に起こることは明らか。中国も同じ運命を辿ること必定。彼らも逃げ道を失った。
 
 ∧∧
(‥ )どこもかしこも
\−  未来がないのだね
 
  (‥ )それこそが未来なのだ
      残念だけどね
 
 
 しかも、今や我々全員が時代遅れになりつつある。


 事実、どこもかしこも駄目だ。

 植民地で暴虐を働いた西欧は、それをうまく言いくるめようとしたが殺到する難民でおかしくなりつつある。

 アメリカはトランプ議員がもてはやされるような状況だし、日本は言わずもがなだ。
 
 ∧∧
(‥ )中国も時代遅れであろう
\−
 
  (‥ )というかなあ
      やってることが
      根本的に破綻していると
      思うよ
 
 
 例えば、今の中国は大清帝国の版図をほぼ継承しているけども、
 
 ∧∧
( ‥)実はその大清帝国って
    モンゴル帝国の継承国家だよね
 
  (‥ )しかもあくまでも
      清朝皇帝の天下である
      というだけの
      枠組みなんだよな
 
 そりゃ皇帝の天下であれば、異民族でも服属できようし、当時はチベットを支配下に置けたのも当然だと言える。そもそも皇帝からして征服民族で軍人貴族なのだ。
 
 ∧∧
(‥ )でも今の中国は独裁制では
\−  あるけども帝政ではなく
    むしろ民族主義や
    ナショナリズムを持ち出して
    いますよね
 
  (‥ )歴史的にやむを得なかった
      結果ではあろうけどな
 
 西欧で銃器という革新が起きた時、国家は民族主義とナショナリズムを発明し、人民を湯水のごとく突撃させる戦争を開発した。その圧倒的な武力を見たアジアの国々は、それを慌てて模倣しようとしたのである。
 
 ∧∧
( ‥)でも結果的に
    それに成功したのは
    ほとんど日本だけであった
 
  (‥ )隔離された島国で
      同じ民族ですって言っても
      あまり齟齬がなかったから
      だろうけども
      諸帝国は違ったのだ
 
 特に、オスマントルコ帝国やオーストリア帝国は悲惨なことになった。あらゆる少数民族が民主主義を主張してナショナリズムで殺し合いだ。バルカン半島の問題とそれに端を発したWW1、さらにユーゴ紛争、アルメニア人虐殺、クルド問題などはその最たるものだろう。
 
 ∧∧
(‥ )それと同様
\−  中国にも類似の問題が
    山ほど存在いたします
    そして一方
    中国も清朝末期には
    ナショナリズムの導入と
    近代化を目指して
    もがいて
    そして今に至る
 
  (‥ )つまりだ
      現代中国は
      大清帝国やモンゴル帝国の
      後継国家を目指し
      その版図の制圧を
      志向しておきながら
      その一方で
      帝国を必然に瓦解させる
      ナショナリズムを
      使わざるをえない
      こんな二律背反が
      どんな結果をもたらすか
      予想つくべ
 
 世界を支配する理は、道徳や正義ではないし、ましてや歴史が発展し理想郷で終わるというものでもない。
 
 
 なにかもっと別なものに世界の動きは規定されているし、それは過去500年から700年程度の歴史を見れば明かではなかろうか?
 

 つまり正義を信じ、論理を振りかざし、理想に燃える熱弁家の考える未来はやってこない。彼らのモデルは現実世界を実際に支配している作用とかけはなれている。なれば理想論者が説くあきらめの未来像、実のところこれは素晴らしき未来像でもあるのだが、そんなものが実現しないこと明白であろう。
 
 ∧∧
( ‥)実際にやってくるのは
    もっと泥臭くて
    ひどい世界なのである
 
  (‥ )今の世界は古くさくなって
      現実に適応できず
      障害を起こしている
      ゆえに世界は
      次の均衡状態へ手探りで
      紆余曲折しながら移行する
      今の枠組みがそれなりに
      残るだろうけども
      現在の国家と政権と
      価値観はすべて変質し
      あるいは
      瓦解するってことだな

 
 
 未来に希望など存在しないことをまず認識すべし。すなわち、日本は没落したとか、これからは上手に衰退する時代だとか、そんな楽観論に逃げている暇はない。
 
 
 
 

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