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2014年11月11日火曜日

もう輪廻の前世においてすでに失敗しているのだよ

 
 昆虫も怪獣も恐竜も、彼らは全員、男の子たちのヒーローである。
 
 だから例えば、恐竜の本を作れば売れるに違いない。出版社の編集者はそう考える。
 
 だが売れない。
 
 それも普通に売れないのではない。
 
 ぎょっとするくらい売れないのだ。
 
 編集者はこの現実に直面して当惑し、そして考える。
 
 おかしいな? なんでかな? 
 
 どういうことなんだろう?
 
 なぜなのかは知らない。だが、編集者は現実を見て、原因はよく分からないが恐竜の本は売れないのだな、そういう知識を手に入れる。
 
 これは大きな一歩であり、実行した者のみが持つ経験でもある。
 
 ∧∧
(‥ )でも熱烈なお客さんとか
\‐  あるいはマニアを自称する人
    あるいは駆け出しの業界人は
    こうすれば売れるはずだ
    僕ならこういう本が欲しい
    きっとこうだから
    売れないんだ
    だからこうするべきだ
    そう熱心に語りますよね?
 
  (‥ )弱った事にな
      本に絵を提供している
      イラストレーターまで
      こういうことを
      言い出すんだよな
      間近で結果を
      見ているはずなんだけどね
 
 
 恐竜の本なんていう浮世離れした事例を持ち出したが、こういう無駄な評論家目線はどんなジャンルでもありがちだ。
 
 監督とチームの状況をまったく把握しないままに戦況を語る観戦者がスポーツを論評し、政治と予算の都合を考えたこともない経済学者が自分の理論だけで得意げに政策をぶった切って怪気炎を上げる。
 
 あるいはラノベの巨乳な表紙を嘆き、こうしたらもっと素晴らしい作品ができるはずだ! そう提案する。
 
 あるいはアニメを嘆き論ずるのか、あるいはドラマか? あるいは漫画か? はたまた人生か??
 
 どれもありがちだし、どれも聞いたことがある話だし、今日も何かしらそういう言葉が紙面を飾り、あるいはテレビやラジオでがなり立てられ、ネットを罵詈雑言が飛び交う日常。
 
 そしてこれらはどれも、誰もがどこかで普通にやっていることでもある。
 
 まあ、それはしょうがない。これを禁止されたら僕らはみんな口を封じられて、はけ口もなくなり死んでしまう。
 
 とはいえしかし、こんな意見がすべて役に立たないこと、これもまた明らかなのだ。
 
 ∧∧
(‥ )売れないものは売れないし
\‐  売れないという現実がある
    そして
    お客の思いつきは
    結局は机上の空論で
    実行されないからね
 
  (‥ )実行されない思いつきは
      まったく意味はない
      そもそも
      実行された結果が
      今なのだからな
 
 弱ったことに、今ある姿が答えなのだ。
 
 あらゆる手はすでに試された。
 
 確かに世の中の今はそう単純ではない。現在には、今まさに出てきた試案、そして敗北して消え行く試案。そういうものも混ざっている。試された本、試されて売れない本、だが原則として今あるのは勝ち残った結果が並んでいるのだ。これを忘れてはいけない。


 ∧∧
( ‥)つまり今すでに
    答えは出ているのである
 
  ( ‥)評論家きどりってのはな
    ‐□ 今を見ていないだけ
      なんだよね
 
 だから評論家気取りの連中の言葉をよく聞いてみるがいい。
 
 僕のアイデアは良いだろ?
 
 僕の考えに賛同してくれますよね?
 
 皆さんもそう思いませんか?
 
 これは自分を評価してください、というお願いでしかない。アイデアを現物にして実際に販売しているわけではない。
 
 僕はこう思います、皆さんもそう思いませんか?
 
 これを言った時点で負けである。すでに何もやる気がないってことだ。
 
 ∧∧
(‥ )どうなっちゃいますかね?
\‐
 
  (‥ )思いつきは実行して
      初めて商品になり
      商品が売れて
      初めて金になり
      金が出来て初めて
      生活ができるのだ
 
 だがそうではない。
 
 私のアイデアをどう思いますか? こういった時点で、そのアイデアは死んだのである。それは商品にならず、売る事も出来ず、当然、金にならず、当然、生活もできない。
 
 ∧∧
( ‥)つまり
 
  ( ‥)5年たって見てみることだ
    ‐□ ほとんど全員が消えとるよ
 
 そして10年たってから見てごらん。以前、誰がそこにいたのか、それすらも思い出せなくなっているから。
 
 
 ∧∧
(‥ )でもある意味、そこで話が
\‐  輪廻しちゃうんだろうね
 
  (‥ )5年でほぼ全滅
      10年で真っ平ら
      その時点で失敗の記憶が
      ほぼリセットされている
      わけだからね
      同じことをするし
      自分のアイデアを
      画期的だと思うのだよね
 
 
 よく言われることがある。会社と経営者は人間そのものよりも寿命が短いと。
 
 確かにそうである。非常に長い歴史を持つ会社はあるし、長くその地位にいる経営者も多い。だが実際のところ、多くの会社も、そして経営者もその寿命と任期は数年とか10年程度なのだ。
 
 だから会社も経営者もごく短期的で、目先の事しか考えない。これは必然であろう。経団連がめちゃくちゃなことしか言わないのもそれが原因だろ? という揶揄もあるが、そうかもしれぬ。
 
 ∧∧
( ‥)イラストレーターとか
    駆け出しの業界人とか
    ちょっと業界通になった
    つもりのお客とかも
    そういうものだと?
 
  (‥ )だって、
      イラストレーターとか
      駆け出しの業界人の
      寿命って
      5年とかそんなもんだべ
 
 さあ、諸君、輪廻をしよう。そして未来を見てみよう。
 
 未来世界では今の僕らも君たちもすでにみんな死に絶えて、そうして5年後の新しい僕らが同じたわ言を言っているはずだ。
 
 だから問うのだ。
 
 未来がそうであると言うのなら、現在の我々も、比喩的な前世においてすでに失敗しているのではないのかと?
 
 
 
 
    

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