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2019年4月13日土曜日

ネロから2000年後のセネカへ

 
 暴君ネロによって自害させられたローマの哲学者セネカ。
 
 その手紙を集めた著作「ルキリウスへの手紙」あるいは「倫理書簡集」
 
 ∧∧
( ‥)ぱらぱら読んでみた
    限りではどうだ?
 
  ( ‥)そうねえ
    ‐/ 内容自体はどうでもいい
       ものだな
 
 自分の人生と自分の時間を生きるのは難しい。多くの人は自分の時間を生きる前に無駄に過ごして無くしてしまう。真の友情を見つけ、対話し、自分の時間を生きよう。
 
 まあ、そんな内容。
 
 ∧∧
(‥ )...たわいもない内容だな
\‐
 
  (‥ )ところがさ
      これが1200億円を
      蓄財した人間の言葉だと
      考えると途端に意味が
      変わってくる
 
 好意的に言うと、財をなしても心のやすらぎは別の場所にあった、ともとれる。
 
 意地悪く言うとこうである。彼は中身が立派なら、客は調度品ではなく私たちを見て評価するだろう、そう言った。しかしそんな言葉も、ああ立派な調度品に囲まれて富を誇示するだけでは飽き足らず、調度品にも負けぬ自分を見せつけようと言うわけですか。そう解釈できる。実際、私の内面を見てくださいなど、傲慢極まる要求であり、それは欲の権化だ。

 なんと人の欲とは底がないものか。セネカの高貴な文章を見るからこそ、彼の深すぎる欲を思い知らされる。
 
 ∧∧
( ‥)なるほどね
    あこぎな手段で
    途方もない蓄財をした
    男だからこそ
    たわいない主張に
    強烈な意味が出るのだと
 
  ( ‥)セネカは教え子のネロに
    ‐/ 殺されて良かったよなあ
 
 本来なら良いわけないが、これでこそ彼は歴史に名を残しただろう。
 
 なるほど、彼の主張はたわいない。しかし彼がいくつもの著作とその文章中で触れる何気ない日常の描写は、ローマ帝国の生きた日常を伝えており、これは素晴らしい。
 
 ∧∧
(‥ )意地悪く言えば
\‐  ネロ帝に殺されたからこそ
    セネカさんは価値が出たし
    そのおかげで色々な情報が
    後々にまで残ったのだね
 
  (‥ )ネロ様さまですよ
 
 主張内容自体はどうでもいいものだ。しかし彼の主張は帝国にとっては非常に深刻でもある。

 彼は散財を描写しておらず、彼の資産は退蔵されるだけであったことがうかがえる。

 つまるところ、セネカは殺されてしかるべきだった。そしてネロのおかげでセネカは歴史に名を残し、著作も残った。

 これはネロという教え子から師への、最後の賜物ではなかったか? 
    
 
 

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