とはいえ、しかし、図書館の人と話をして思った。まさに真の分類学。整理整頓をする技術である、そう割り切って、というか最初からそんなことを知った上で「十進法分類」の本を読み、そして図書館を利用するお客さんのニーズと現実と、そして配布された公的な分類表との板挟みになりながら整理するという営み。
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( ‥)でもその世界でも旧来の分類ではカバーできないところを
ちゃんと個々に調整しているわけですよね。
(‥ )そして分類体系を知った人にはわからねーなんだけども
知らない人には便利ーってわけなのだが。
分類学における実際の分類の営みはこういうものであるらしい。それこそ個々の図書館でそれぞれ対応が違うのだろうし、本屋になるともっと違う。
そこで思う。生物分類学は、ではどうなのだ?
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( ‥)どうなんです?
(‥ )?それが良く分からん。
分類学は生物学において必要だ。それは当たり前。図書館で本を利用する時に本の分類が必要だ、というのと同じ。だが一部の人はこうも言う。生物分類学は本の分類よりももっと現実のものである。
∧∧
( ‥)?どう現実的なんですか?
(‥ )系統を反映しているとか?
だけども分類学と系統学の最大の反目点は、端から見ていて思うに、
系統を反映すると使いずらいという分類学
系統反映した分類体系じゃないと意味わかんねーだろ、という系統学
とまあ、こんな感じっぽい。系統を反映することは系統学からの要請であるが、それを断固拒否する人々もたくさんいる。
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( ‥)反対に、分類体系をほとんど知らずに系統解析する人も
いるでしょ?
(‥ )あれはあれで問題が起きるのだけどもね。
分類体系を知らない、というよりは同定をちゃんとしないままやると、特に最初の基準になるものの同定を間違えると大変なことになる。
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( ‥)例えばサバの遺伝子はこれです、と提出しつつ
そのサバが実はアジだったとか。
(‥ )まあ、問題を極端にデフォルメするとそうなるね。
アジをサバだと勘違いしてこれがサバの遺伝子ですと(実際にはアジの遺伝子を)提出してしまった場合、いざ、アジの切り身を解析した時に、これはアジではなくてサバですと表示されるという話。さすがにこんなことはないが、ある程度、似た話はどうも実際にあるらしい。
∧∧
( ‥)まあ、解析結果は正しいわけですね。
(‥ )同定が、というか名前のラベル貼りが
おかしいだけでね。
でも逆にいえば同定する能力はやっぱり大事だろ、そういうことでもある。
∧∧
( ‥)でも、同定する能力と分類学とどうつながるんですか?
(‥ )そこ問題というか疑問でなあ。
α分類、β分類、γ分類って言葉がある。記載だとか同定とか、そういうのが必要なのは良く分かる(将来はどうなるのか分からないけど)。でもそれと分類体系そのもの、目とか科とかの擁護とがどう関係するんだろうか?
∧∧
( ‥)分類体系は同定を容易にする理想的な検索表だとか?
(‥ )いや、分類体系ってそんなもんじゃないぞ。
例えばクジラが分類学においては哺乳類にされている。それは系統的にも正しいが、もしも便利な検索にするのならクジラと魚とアシカは全部一緒くたにすべきだろう。花だってそうだ、花の色で分ければいい。
∧∧
( ‥)検索表でもなし、さりとて系統をそのまま直訳したものでもない。
( ‥)生物分類学とはなんだろうか?
そして何を目指しているのだろうか。