自己紹介

イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック

2022年4月24日日曜日

100メートル前進に命をかけて、その全てを一瞬で失う

 
 去る4月22日、マリウポリで撮影、投稿された動画は、ロシア軍のBTRが被弾損傷、動けなくなり、それを露軍は戦車T-72で回収。その後、T-72がBTRに代わって前進を再開するが、これもまた被弾。乗員が脱出するという内容。

 これ自体は先に取り上げたのだけども
 
 ∧∧
(‥ )多分だけど
\−  その前の動画があったよ
    場所は同じで
    影の様子からすると
    時刻は朝
    おそらく
    T-72が被弾損傷するより
    前の時間だね
 
  (‥ )では時系列がつながって
      いると仮定して
      見て行こうか
 

 
 この動画はマリウポリ市の東岸にある通りを北から南へ走り抜けていくもの。googleを見るに通りの名前はMoskovska通り。
 
 通りの北にある学校が、この動画では左(東)に見える。
 
 通りの右にある建物はFeniks Tov。多分、画材関係の店。
 
 この二つの間を抜けて、撮影者が走っていく。影は右(西)へ比較的長く伸びており、撮影時間が朝であることを示していた。


 撮影者が向かうそこでは、露軍のBTRが集合住宅の角を遮蔽物として、左前方に向けて機関砲を連射している。つまりそこにウ軍がいるのだろう。
 
 そしてBTRから降車した露兵が集合住宅へ走り、梯子をかけて破壊された建物に入る。その場に後から走ってきた撮影者が合流する。動画の内容はそういうもの。
 
 
 ∧∧
(‥ )手前にある画材屋さん
\−   Feniksの壁に
     弾痕があること
     道に機関砲の薬莢が
     落ちていることからすると
     すでにこの手前で
     戦闘や掃討作戦が
     行われていたわけだね
 
  (‥ )BTRは装甲されて
      戦闘可能な兵員輸送車
      乗ってきた露兵が
      次々に降車して
      集合住宅に入って
      仮拠点を作るわけだ
 
 しかしおそらくはこの後、BTRは集合住宅の角を抜け、次の建物に取り付こうと数十メートル前進した地点で被弾損傷。タイヤを失い、行動不能に。
 
 このため、T72がやってきてロープでBTRをつないで牽引、回収。
 
 その後、T72がBTRに代わって前進するも、これもまた被弾、損傷、行動不能となる。
 
 その様子がこれ(これ自体はすでに上げた)。



  この動画では、撮影者は前進するT-72を側面、東側から撮影しており、戦車に搭載されたカメラによる画像も動画には利用されている。戦車のカメラは当然、北から南を見ている。
 
 撮影時刻はよくわからない。空が曇って明白な影がないので。ただ、建物の西側の壁が顕著に明るいので、時刻は正午をすぎているだろう。
 
 でっ、この後の動画もある。

 それは被弾、損傷した戦車を放棄して乗員が脱出。走って、建物に逃げ込むというもの。



 
 撮影している方向は南から北。脱出した乗員はMoskovska通りを北へ走り抜けて、右(東)に折れてそこにある学校に駆け込む。
 
 そして以上の全ての場所を地図にまとめて置くとこうなる。






 この地図は北から見ており、白いスケールバーは100メートル。最初のBTRと後のT-72は、火線の方向が違う。BTRは最初、西南を撃っており、T-72は南南東であった。
 
 ∧∧
(‥ )つまりウ軍を南へ
\−  数十mほど押し込むことに
    成功したわけだ
 
  (‥ )だけどT-72を損傷したので
      100メートル後退した
      わけだよ
 
 ∧∧
(‥ )...これってウ軍を
\−  数十メートル後退させるのに
    何時間も...多分、半日ぐらい
    使ってるだろ
    だけどBTRも戦車も撃破されて
    一気に100メートルを
    失ったわけだ

 
  (‥ )ロシア軍の前進速度が
      2週間で600mぐらいに
      見えることと整合的だよね
 
 今回は戦車が撃破されて100メートル後退したが、しかし露軍はなお優勢であった。

 1日50メートル前進して次の1日に100メートルを失う。その逆で1日に100メートル前進して次の1日に50メートル後退するような状況。そう考えると1日の移動速度は50メートルとなり、2週間で700メートルの移動となり、つまりは実際のロシア軍の移動速度に近くなる。
 
 ∧∧
(‥ )これを何十日も
\−  繰り返してるのか...
   助かった露戦車乗員は
   興奮で目がいってるようにも
   見えるし
   嬉しいようにも
   がっかりしているようにも
   見えるよね
 
  (‥ )助かったのは嬉しいけど
      1日分の仕事と
      自分の戦車がぱー
      だからな
      命をかけた仕事の結果が
      これかと思うと
      複雑だよね
 
 命をかけて何時間もかけて、100メートル前進して。しかし一瞬にそれを失うことがある。これを何度も繰り返してじょじょに前進するが、仲間も装備も次々に失われていく。これが市街戦。
      
      
   
 
 

2022年4月22日金曜日

2週間で600mぐらい前進してるかな

  
 4月22日に出てきた動画より抜粋。
 


 ∧∧
(‥ )まずロシアのBTR
\−  兵員装甲輸送車が
    被弾してタイヤを破損
    行動不能に
    T-72がそれを回収
    そしてT-72が同じ場所から
    攻撃に向かうが
    これもまた被弾
 
  (‥ )派手に爆発した割には
      T-72は後退
      乗員は無事だった
      みたいだな
      *車両自体は
      放棄されたらしい
 
 場所はマリウポリ(Mariupol)の東岸市街地であった。



 
 ∧∧
(‥ )道の片面が直角配置された
\−  集合住宅だね
    こういう配置は
    マリウポリでは
    ほとんど例がないよね
 
  (‥ )さらに道の対面が
      開けていて
      高い建物がないんだ
      こんな場所は
      もうここしかない
 
 他に、

 動画の一部に特徴的な高い建物が写っていること。これは近所にあるKaskadという建材屋の隣に立っている、レンガ製らしき建物であった。
 
 道の開けた面に壁があること。

 その壁が白いブロックで作られており、これと似たものが近所にあるFeniks Tovから見えること。そもそもこの壁、Feniks Tov(額縁や色相展示があることからすると、美術系や内装系の会社か?)を囲むものらしい。
 
 壁に組み合わさった小屋状の建築物。
 
 集合住宅の間に四角の低い構造物があること。
 
 さらに道の向こうに比較的高い、長方形の建物が見えていること(通りの突き当たりにそういうものがある)。
 
 以上の証拠と一致点から考えて、間違いない。
 
 そしてこの場所。ウクライナ軍が立てこもる製鉄所まで1.3km。ロシア軍の地図では3月末より制圧済みとされてきた場所の真っ只中であった。
 
 ∧∧
(‥ )またもや
\−  制圧したはずの地域で
    攻撃を受けているのか
  
  (‥ )制圧すれば終わり
      市街戦はそういうもの
      ではないってことだ
 
 
 市街戦は、制圧すれば終わり、ではなかった。本拠地ある限り、ウクライナ軍はそこから出てきて、あちこちで戦闘をしかけてくる。こうしてロシア軍はソヴィエトロシアが設計した要塞都市で次々に斃れていく。
 
 3月末の動画に映ったロシア軍の地図は、東岸をほぼ制圧したことを示していた。
 
 しかし、その後も激しい戦闘は続いた。
 
 9日までの状況はこうであったし



 
 22日までの状況はこうであった。




 
 ∧∧
(‥ )一応、ロシア軍は
\−   前進はしてるんだよね
 
  (‥ )中央からやや北に
      よっていた戦火が
      南西に下がったように
      見えるよね
      ざっくりいうと...
      2週間で600mぐらい
      前進してるかな
 
 ネット上では動画の撮影場所を同定している人が幾人もいて、そういう人の情報を見ると、ロシア軍はどうやら市街地の北部では安全を確保したらしい(4月の5日と8日に、ロシア兵が東から西へ走り抜けていたあたり)。

 ∧∧
(‥ )とはいえ製鉄所まで
\−  先はなげーぞ
    まだ距離が
    1.3kmぐらいあるから
    ウクライナ軍の本陣に
    たどり着くまで
    あと4週間ぐらいかかる
    計算だべ
 
  (‥ )まあウ軍が弾薬尽きて
      突然抗戦不能になる
      可能性もあるけどな
 
 実際それで、ウ軍はマリウポリの西岸と北の陣地を放棄せざるをえなかった。それと同じことが製鉄所で起きる可能性は当然ある。
 
 ∧∧
( ‥)とはいえロシア軍
    この状況は地獄だろ
 
  (‥ )だからよ
      降伏しろだの
      すでに制圧しただの
      不規則発言や
      ホラ話もしたくなるよな
 
 他にも、対独戦勝記念日の5月9日には市内で勝利のパレードをするとか言っている。気持ちは分かる。しかし、それはもう、ホラ話を通り越しての失笑ものだろう。
 
 
 

2022年4月19日火曜日

制圧済みとは言っても、そのど真ん中で襲われる

 
 激戦続くマリウポリ。4月19日。ウクライナ軍が坂を下ってきたロシア軍車両を襲う。

 

 
 さて、注目すべきはこの襲撃場所だ。ここはマリウポリの西岸、市街中心部から南の海岸へ降りるMetalurhiv通り。海岸にほど近いカフェAraratの横。
 
 実はこの場所...
 
 ∧∧
(‥ )16日のカディロフ部隊の
\−  地図で赤塗りされて
    ロシア軍制圧とされていた
    地域のど真ん中だよね
 
  (‥ )東岸と状況が似てるな
      赤塗りした
      制圧済み地域に
      ウ軍がやってきて
      襲撃をかける
      このように
      制圧済み地域は
      制圧や安全を
      必ずしも意味しない
 
 ロシア軍は物資が足りないせいか、車両は軍用ではなく民間のワゴンなどであった。そこにZマークを書いたのみ。それがのこのこ上から降りてくる。
 
 このことからロシア軍はこの通りを、一応、安全だと思っていることがわかる。
 
 ∧∧
(‥ )でもよ動画を見ると
\−  ウ軍はウ軍で
    こちらもぞろぞろ
    ほとんど無警戒に
    やってきて
    通りの斜め前から
    車両を襲撃しとるがな
    ウ軍もこのあたりは
    かなり安全と
    みなしているよね
 
  (‥ )つまりさこの通りは
      両軍とも
      いつもはいないって
      ことなんだよ
 
 多分、何十人かで守る拠点がお互いあちこちにある。そこから移動したり出張ったり、退いたり、進んだりしている。そして人数に限りがある以上、中間地帯は両軍ともお互いにほとんどぶつからない。そんな感じに思われた。
 
 以上を踏まえると、動画に写り込んだ地図からわかる、ロシア軍の制圧領域は、制圧を必ずしも意味しない。
  
 そもそもこのMetalurhiv通り。そのちょっと北には集合住宅で周囲を守られた区画があって、そこをロシア軍が車両置き場に使っていた。つまりこの通りの上。市街を東西に貫く大通りの近くはほぼロシア軍の支配下にあることがわかる(ただし、11日と13日にウ軍ドローンの攻撃を受けていたけども)。
 
 そしてその安全地域から少し下った南側でロシア軍は今回の襲撃を受けた。
 
 ということは...
 
 ∧∧
(‥ )うむ
\−  この通りの北半分は
    ロシア軍優勢
    そして南半分は
    特に南の西側は
    ウクライナ優勢って
    ことだね
 
  (‥ )これを踏まえて
      19日時点での
      両軍の陣地を描くと
      こんな感じかな




 カディロフの地図は参考にすべきだが、割り引いて考える必要がある。
 
 ウクライナ守備隊は北にある工場を放棄。そこから退いて合流した(製鉄所に合流したらしい)。
 
 西岸のウ軍は南北二つの通りに挟まれた、長方形の領域に押し込まれているように見える(地図の蛍光緑が濃い場所)。ただし、この領域だけでも東西幅が3kmはある。西岸ウ軍の陣地はもっと広いかもしれないし、もう少し狭いかもしれない。
 
 12日に出てきた衛星写真と、そこから分かる戦火の分布からすると、ロシア軍は西岸西方にある侵食谷に取り付いて攻撃をしかけているように見える。今回は省いているが、15日の衛星写真と戦火からすると、その傾向がより顕著だ。
 
 また、西岸におけるロシア軍は東の海岸沿いから台地の下を取り、西方からの進出と合わせて、台地を包囲、孤立させようとしているようだ。
 
 ∧∧
(‥ )一方で東岸は
\−  まったく進捗がないな
    出てくる動画は
    いつも同じ場所を
    T72やBTRで
    砲撃しているだけだ
 
  (‥ )ウ軍が隠れそうな
      集合住宅を
      ひたすら破壊している
      だけのように見えるけど
      戦車の砲撃って
      こういうことに
      使うものなのかね?
 
 相手陣地の解体に戦車の砲撃を使う。いや、それは当然ありうる話に思えるけども、効率的なのか現実的なのか判断がつかなかった。
 
 これは本来なら爆撃で行うことでは?
 
 もしかしたら爆撃がうまくいかなくなってきたのであろうか?
 
 東岸では、この三週間、ずーっと同じことをしている。地図では制圧済みの赤塗り場所で、三週間ずっと市街戦を行い、兵士が駆け抜け、戦車が集合住宅やスーパーを砲撃して更地にしようと、ただただ砲撃を加え続けている。

 もっとも、集合住宅がこんなことで更地になるわけがない。壊れた建物と遮蔽物だらけの街並みが広がるだけであった。
 
 ∧∧
(‥ )それを考えるとさ
\−  西岸の制圧済み地域も
    制圧してるか
    わからないよね
 
  (‥ )西岸で
      はっきりしているのは
      東西の大通りより
      北側はロシア
      露軍は台地のウ軍を
      包囲しようとしていて
      マリウポリの駅より東
      港より西は
      おおむねロシア
      そのぐらいしか
      言えないのよね
 
 まあ要するにマリウポリ陥落なんて夢の話ってことであった。
 
 ちなみに14日の動画(実際には9日ごろ撮影の可能性がある)では、港近辺の住宅街に、ロシア軍が激しい攻撃を加えている。



 これを見ると、大きな家屋や建物、隠れられそうな林などに、かたっぱしから攻撃を加えているように思われた。
 
 ∧∧
(‥ )もうめちゃくちゃだな
\−
 
  (‥ )米軍もベトコン相手に
      枯葉剤をまいて
      ナパーム投下して
      隠れ場所の森を
      消し去ろうとしたからな
      考えることが同じじゃね?
 
 しかし、正直な話、こんなやり方がうまくいくとは思えない。
 
 ∧∧
( ‥)撃ち込んだ場所に
    敵兵がいる可能性は
    非常に低いし
    攻撃したって
    視界の開けた
    更地になるわけじゃ
    ないからね
 
  (‥ )なんかよ
      ロシア軍ジリ貧だよな
 
 
 
 *ちなみに、18日の空撮で町の東西をつなげる橋が落ちている様子が確認できた。ウクライナが立てこもっている東側で破壊されているから、多分、ウ軍が破壊したのではないだろうか。
 
 ∧∧
( ‥)つまり町の東西の
    ロシア軍は
    仮にマリウポリを
    制圧しても
    大きく迂回しないと
    合流できないし
    対岸から
    補給も受けられないわけだ
 
  (‥ )思うけどさ
      東岸にいるカディロフ部隊
      いざとなると
      西岸のロシア軍を
      見捨てて国境まで
      退くよね
 
  
 マリウポリ包囲という局面では優勢なロシア軍だが、実のところ色々と薄氷なのである。
 
 

    
  

2022年4月14日木曜日

都市マリウポリにおける今のウ軍陣地は硫黄島ぐらい

   
 戦火というものは攻撃であって、攻撃するということは、そこが相手の領域だということ。
 
 ∧∧
(‥ )だからマリウポリでの
\−  戦火の分布を見ると
    ウクライナ軍の
    陣地がわかる
 
  (‥ )でっ11日の戦火から
      ウ軍の領域を見ると
      硫黄島と同じぐらいの
      広さなのよね
 


 
 ネットのみんなは縮尺を考えず、包囲されて小さくなったウ軍領域を見て、これはもう陥落寸前、寸土にウクライナが追い詰められている。そう考える。しかし、実際のウ軍陣地はまだキロメートル単位で測れる大きさを持っていた。

 そしてその広さは硫黄島ぐらい。

 太平洋戦争末期における激戦地、硫黄島。守備する日本軍2万に対して、11万の大軍で挑んだアメリカ軍。1ヶ月後、アメリカ軍は攻略に成功するが、戦死7000。負傷者2万を出した。そして日本軍2万は事実上の玉砕、文字通りの全滅。しかし、これによって1ヶ月を稼いだ。
 
 ∧∧
(‥ )それを考えれば
\−  マリウポリのウ軍は
    まだまだ戦えるよね
 
  (‥ )ウ軍の場合
      すでに1ヶ月戦闘して
      弾薬が残り少なく
      なっているだろうから
      一概に比較は
      できないけどな
      まだ戦えるということは
      言えそうだよね
 
 もちろん一概には言えない。

 ウ軍はすでに弾薬が尽きかかっているかもしれない。確かに銃撃戦こそしているが、少なくとも戦闘車両のほとんどは喪失したようだ。ジャベリンも尽きたらしい。それに高さ170メートルある硫黄島に対してマリウポリは高さ70メートル。しかもすでにロシア軍は同じ高さに陣取っている。
 
 その一方でマリウポリには障壁となる集合住宅があり、戦車の移動をさまたげる林があり、谷があった。
 
 ∧∧
(‥ )とはいえ
\−  まだ十分以上に
    戦えそうじゃね?
 
 
  (‥ )クレムリンは5月9日の
      対独戦勝記念に合わせて
      マリウポリ市内で
      パレードする気だという
      報道があるけど
      無茶だよなあ
 
 さて、どんな情報源からなのか、マリウポリを包囲するロシア軍は大隊戦術群(BTG)が6個。これに加えること他のロシア軍部隊(やはりBTG?)。そしてカディロフ隊やドネツク部隊が加わっているとも言う。
 
 その数は、戦術群が10両ぐらいの戦車を持つことを踏まえると、戦車が60両とかそれ以上であろうか(部隊編成はどうも理解しかねるけども)。当然、歩兵戦闘車など他の戦闘車両はもっと多いのだろう。人員は1万ぐらい+逐次投入...つまりは1〜2万ぐらい? という具合であろうか。
 
 いかにも大軍に思われるが...
 
 ∧∧
( ‥)でもよ
    敵軍が立てこもる
    40万都市に
    その程度の数って
    少なくね?
 
  (‥ )とはいえさ
      ウクナイナを
      三方向から包囲する
      総延長1800kmの
      戦線に用意した全軍が
      20万だでよ
      そのうちの1万以上を
      ひとつの都市に
      投入するのは
      むしろ贅沢
 
 しかし、絶対的にはまるで足りない戦力に違いない。硫黄島に立てこもる日本軍に5倍の戦力で挑んだ米軍でも多数の死傷者を出した。

 それを踏まえれば、マリウポリ包囲に投入されたロシア軍。戦車が60とか80両、それに加えて多数の戦闘車両。さらに1万とか2万の兵隊。一見、十分すぎるほどに見えて、以上を踏まえればこのロシア軍の数、実はまるで足りなかったように思える。

 マリウポリを包囲、陥落せよ。この計画、そもそもが無謀だったのでは?
 
 ∧∧
(‥ )でもあれだな
\−  人数に限りがあるなら
    これ以上のことは
    ロシア軍には
    無理だったろうしね
    現実には理想論を
    言ってられんのです
    今だって各方面で
    ウ軍の反攻を
    許しているわけだし
    現状の配置でもぎりぎりだ
 
  (‥ )そこで強制徴兵ですよ
 
 3月の終わりまで、マリウポリの動画に登場するロシア兵は40ぐらいの兵隊だった。つまり勤続20年とか、そういう経験を積んだ兵士たちである。そんな彼らが負傷して運び出される姿や、遺体になって横たわり、周囲で仲間が厳しい顔をして体を休める。そういう動画や画像が出てくるようになった。
 
 兵員輸送車BTRが機関砲を撃ちまくる援護の下、わずか一件の家から負傷兵が3名、救出される。あるいは20名あまりの仲間たちの間で、回収された3名の遺体が横たわる。
 
 こういう動画や画像は多くないので、あまり注目されていない。しかし、40歳になったプロの兵士達の損害が大きいこと、これは疑いない。
 
 ∧∧
(‥ )そして4月の今になって
\−  出てきたのが
    20歳と思える
    若い兵士たちの姿ですよ
    撤収した北から
    配置換えされた兵隊なのか
    ドネツクとかで
    強制徴収された若者なのか
 
  (‥ )死んだ穴埋めに
      召集されて
      そしてみんな
      死んでいくんだよ
 
 
 これが市街戦。5月9日の対独戦勝記念日にパレードなど、夢のまた夢だろう。
 


 
 *最近のウ軍の攻撃には、7日に装甲車BTR-4で露軍のT72に損傷を与えた事例がある。少なくとも7日までは戦闘車両が1台はあった。しかし他にそういう画像はない。
 
 9日に屋根の上からロシア軍のBTR-2を破壊した時に使われたのは、70年台のロシア製ロケットランチャー(PRO-A)であったし、他の攻撃も迫撃砲やドローンを使った攻撃であった。
 
 ウクライナ軍は銃撃戦こそ行なっているものの、物資の欠乏は明らかであった。

 
 

2022年4月12日火曜日

マリウポリの台地を見よ おそらく、まだ踏みとどまっている

  
 都市マリウポリ(Mariupol)は町のど真ん中に蛇行して流れる川がある。4月10日。その河口にロシアのメディアが入った。
 
 ∧∧
( ‥)とうとう台地から
    河口まで降りたか
    ロシア軍
    よく進撃できたな
 
  ( ‥)西の大通りから
    −/ そのまま市街地中心へ
       突入して
       市役所を制覇
       そこからさらに東へ進み
       ついに台地を降りた
       なかなかにやりよる
 
 失態続きで馬鹿にされまくりではあるが、さすがユーラシア最強の陸軍国。むりやりでも、なんでも、ロシア軍はここまでやりとげた。
 
 町を守備するウクライナ軍はどうやら三つに分断されているらしい。北部の工場。東岸の製鉄所。そして西岸の台地の一部、それぞれに部隊がたてこもっている。

 北部は状況がよく分からない。それらしい動画があったが、場所の同定ができなかった。

 東岸は状況がほとんど進んでいない。ロシア軍が東岸市街地の北で西へと動く行動を示したが、それが橋頭堡を確保するようなものであったのか、ウクライナ軍に迫る結果をもたらしたのか? それはまだ分からない。
 
 ∧∧
(‥ )進捗あったのは西岸で
\−  衛星画像で見る
    戦火分布からすると
    ウクライナ軍は
    三方を包囲され
    台地から
    追い落とされそうな
    感じだけど
    実際どうかね?
 
  (‥ )11日にロシアの
      メディアが
      ドローンで空撮してな
 
 
 その画像を地図と照らし合わせるとこうなる。
 

 
 ∧∧
(‥ )ふむ 河口から
\−  850mほど西へいった
    海岸での空撮ですか
    見えているのは
    西側で
    マリウポリの駅方向
    その向こうに
    戦火があるね
    これは衛星画像には
    なかったものだね
 
  (‥ )戦火がある
      つまりそこには
      ウクライナ軍が
      いるんだよ
 
 当たり前だが、ロシア軍は危険な場所にメディアを入れない。メディアが入ったとは、そこは安全な場所。つまりマリウポリの河口から1kmぐらいまではロシア軍が制圧した。このことがわかる。

 しかし言い換えれば、そこから西側、マリウポリの駅とその大通りから西。おそらくは台地も含めて、その領域は今もウクライナ軍の制御下にある。そう解釈できる。実際、戦火は台地上にある病院からも上がっている。
 
 以上を踏まえて西岸の状況を地図にすると、こう。



 
 さて、こういう地図では地形の高低が分かりにくい。
 
 地形から状況を理解すると、まず、マリウポリの町は台地にある。西岸市街地は周辺を蛇行する川とその河川敷に囲まれている。さらに、台地には侵食で出来た谷がいくつもある。
 
 ∧∧
( ‥)僕らは軍人ではないけど
    こういう地形の厳しさは
    理解できるよね
 
  (‥ )ここは面倒くさい地形だよ
      動き回るのは大変だ
 
 地形は人間の行動を絶対的に規制する。これは訓練された軍人だって同じことだ。
 
 googleを見るとマリウポリの台地を一望できるすばらしい画像があった。そこから東を見た画像はこれ。



 
 オレンジに色塗りしたのが、ロシア軍が制圧した領域(Russian Territory)。

 見れば理解できようが、台地は奥(東)へ進むにつれて低くなり、ややなだらかに河口へ降りる(*実際にはそれでもかなりきつい傾斜や段丘がある)。

 町の中心と市役所は画面の左にある。つまり、そこを取ったロシア軍はそのまま東へ進み、台地を降りたわけだ。
 
 そして、戦火があった場所からすると、11日におけるロシア軍の進出は以上までであろうこともわかる。台地を降りたロシア軍は次にここから西へ進んでくるのだろう。
 
 一方、11日、ウクライナ軍はロシア軍が戦闘車両を隠していた街区を攻撃して、幾つかの車両を破壊した。画像に添付した場所がそこ。
 
 ここは確実にロシア軍の領域であることがわかる。そして反対に、ウクライナ軍の攻撃がそこまで届くことも理解できよう。
 
 
 以上に続き、西を向いた画像はこれ。



 手前にある白い建物は病院で、これは11日の動画で燃えていたものだ。奥にあるのはSportkompleks(多分 sport complexの意味で総合スポーツ施設)というもので、このあたりが台地の最高点であるように見える。
 
 ∧∧
(‥ )背後は壁になる集合住宅
\−  周囲は侵食された谷
    さらに木々が生えた公園に
    囲まれている
    人の動きも車両の動きも
    制限されるから
    防御するには
    なかなかによさげな
    場所ですなあ
 
  (‥ )ここにウ軍がいるか
      どうかは知らんけどな
      防衛するに
      良さげな地形であることは
      理解できるよね
 
 画像のずっと奥には、わかりにくいが台地の西を縁取る大きな侵食谷がある。戦火の分布からすると、現在、ロシア軍はこの谷を抜けようとしているらしい。そしてウクライナ軍の反撃にあっている。
 
 *この谷のもう一つ向こうにも侵食谷がある。そこで4月7日。ウ軍のBTR-4が、その機関砲でロ軍のT-72を損傷させた。画像に添付したのはそれ。この地域では、10日にウ軍の迫撃砲によってロ軍の車両が破壊されている。
 
 ∧∧
(‥ )要するに
\−  ウ軍は健闘し
    有利な場所に
    今も陣取っているわけだ
 
  (‥ )もちろん
      これらは証拠に基づいた
      解釈だ
      本当に正しいのか
      それは今後の証拠で
      検証しなければならん
 
 とはいえ、次のように言える。マリウポリに立てこもるウクライナ軍は、西岸に限っても東西4.5km、南北1.5kmほどの領域を占めているように思われる。

 もちろん、ロシア軍の領域がもっと広い可能性もある。例えば数百メートル広いとか。

 しかし、それでもウ軍は、4km x 1kmぐらいの領域を支配していることになる。

 だからロシア軍の言う、マリウポリは陥落寸前、マリウポリの9割はロシア軍が支配した! という宣伝文句はふかしすぎであった。
 
 ∧∧
( ‥)まあプロパガンダだからな
 
  (‥ )本当のところ
      ロシア軍の損失は
      甚大らしいよ
 
 
 あまりの損害に耐えかねて、毒ガスを使う誘惑にロシア軍が負ける。これはありうる話であった。12日、マリウポリで毒ガスが使用された。多分、サリンではないか? という報道が流れている。
 

 
 

4月5日と8日 駆け抜けるロシア兵

  
 激戦続くマリウポリ(Mariupol)から投稿される画像は、東岸のものが多い。

 理由のひとつはやってますアピールが激しいカディロフ部隊が東岸にいるからだ。しかし、ロシア正規軍のものと思われる投稿画像も多い。例えばこれ、4月5日付けの動画。



 動画をつなげて、写り込んだ建物とgoogleの地図とを対応させたもの。
 
 ∧∧
(‥ )まあ場所の同定は
\−  MapperKrummという人の
    Tweetを参考にしたけどね
 
  (‥ )この人、投稿された動画の
      場所を特定するのが
      非常に優れているのだよな
 
 ともあれ、MapperKrummの特定を参考に画像を見ると、確かにここであった。マリウポリの東岸の市街地。そこにあるVolodymyrska通りをロシア軍が駆け抜けていく。
 
 実は似た動画がもうひとつあって、これは4月8日付けのもの。


 
 こちらは自力でわかった。路面電車のレールが写っていたし、路面電車の通りは限定的だ。さらにここにあったレストランが画像をアップしていたので。

 場所はTravnya Ave という通りで、そこをロシア軍が駆け抜けていく。

 さて、実はこの二つ、隣の街区で、しかもロシア軍の動きは同一直線に乗るのであった。


 
 動きが同一直線に乗る。もしかしたらロシア軍は毎日出勤しているのかもしれない(考えにくい話だが)。
 
 あるいは、日付は違うが、ふたつの動画は同じ作戦行動を記録したものなのかもしれない。*ただし、兵士の影の向きからすると、少なくとも時刻が違うように思われたし、同じ兵士はどうも登場していないようだ。
 
 ともあれ
 
 ∧∧
(‥ )東岸市街地の北側を
\−  東から西へ
    350mぐらい
    移動してるね
 
  (‥ )言い換えるとここは
      ロシア軍にとって
      安全なのだ
      仲間が駆け抜ける脇で
      警戒に立っている兵士も
      ほとんど
      突っ立ってるからね
 
 ただし、画像にも添付したように、ウクライナ軍はこうしたロシア軍の領域(Russian Territory)にもかなり深く入り込んで攻撃してくる。4月9日には屋根に登ったウクライナ兵が、ロシアの制圧領域内で、ロシア軍のBMP-2を対戦車兵器で破壊している。
 
 実際、ここしばらく東岸で行われた戦闘と、その場所を地図に示すと以下のようになった。


 
 ロシア兵が駆け抜けていった場所は、4月6日にT-72で砲撃を加えて街区ごと破壊していた場所のすぐ近く。わずか200メートル程度しか離れていないのだった。
 
 ∧∧
(‥ )歩兵が駆け抜けられる
\−  比較的安全な場所から
    200m離れたら
    戦車を使った戦場か
    安全と危険
    敵と味方がわずか200m
 
  (‥ )これが市街戦なのだな
 
 
 そして以上のことからわかる。やはり、市街戦というのは明瞭な前線を持たない。塹壕全てに兵士を配置して、はっきりした前線を持ったWW1とはまるで違う。あちこちに拠点のようなものがあって、そこから出張って攻撃したり、牽制したり、後退したりするものらしい。
 
 なお、以上の動きを示したロシア軍がその後、どういう成果を上げたのかはわからない。彼らの行き先には医療センターがあるので、そこへ向かったのかもしれないし、あるいはそこを占拠するのが目的なのかもしれない。いずれにせよ、続報はない。
 
 
 以下追記:以上の動画では民生品を持ったロシア兵が3名写っている。



 
 ∧∧
(‥ )補給がうまくいってないのな
\−  どこからかっぱらって
    きたのやら...
 
  (‥ )使えるものは
      なんでも使う
      合理的精神では
      あるけどねー
 
 
 
 
 
  

2022年4月8日金曜日

踊るカディロフ 制圧地域のそんな場所で戦ってるのかい?

 
 チェチェンの支配者カディロフ首長の親衛隊カディロフ部隊。残忍さや拷問、人身売買などで悪名高い部隊である一方、働いてますよアピールでやたら動画投稿することで有名。
 
 4月5日に投稿されたのは住宅街から機関銃を撃ちまくった後、踊って決めポーズを取るおちゃめな姿。



 しかし、楽しそうなご本人たちには悪いが、注目すべきは背景であった、背景こそが場所の同定につながる情報であり、場所の同定は前線の位置を教えてくれる。
 
 幸いにもこの動画、撮影者がぐるっと180度視界を動かしてくれているので、画面をつなぎ合わせることができた。
 
 できたのだが...
 



 
 ∧∧
(‥ )...どこだよここ
\−  
 
  (‥ )んー...東岸だってことは
      わかるけど
 
 画面をみると壁が黄色で二階建て、三角屋根をした建物が見えている。これはどうも集合住宅で、いわば長屋のようなものらしい。そしてやや郊外で見られる形式のものであった。例えば町の中央を流れるカルミウス川。その東岸にこういう長屋がある。ついでにいうと最近のカディロフ部隊の投稿は東岸地区だから、以上も東岸地区で撮影されたと考えるのが妥当。
 
 ∧∧
(‥ )これらの集合住宅も
\−  市街戦における
    防御壁として
    使われることを
    想定してるよね
 
  (‥ )大通り沿いに
      並んで壁になったり
      あるいは
      長方形に並べて
      陣地として使える
      街区や区画を作ったりな
      明らかそういう作りだな
 
 旧ソ連邦の都市ではよく見かける構造だ。実際、マリウポリにも建築物の長方形配置はいくつもある。ただし、そのほとんどはもっと高層の集合住宅だ。
 
 実のところ、動画背景のように二階建て長屋形式で、なおかつ中央が広場になっている場所は多くない。

 それにも関わらず、この場所を見つけるのは難しかった。ひとつは画像が不明瞭であること。そしてもうひとつは画像の解釈を色々と勘違いしていたこと。
 
 そしてなによりもうひとつは...
 
 ∧∧
(‥ )ここ....ですかね?
\−  かなり意外なことに
    マリウポリの東岸市街
    住宅密集地のほぼ中央だ
 
  (‥ )いやはやこれは
      驚いたな
 

 
 なにが驚いたって、ここはロシア軍の地図ではとっくに制圧された場所であったから。しかもカディロフ部隊が発砲している方角は東(画面右)であって、つまりはロシア軍制圧地域の奥側である。
 
 同定に間違いがあるんじゃないか? と思って何度も確かめたけども、多分、本当にここで良い。



 
 この画面の地図は実際の方角を90度倒して、右側を北にしている。道路の左突き当たりの建物が、その部分で張り出して三角屋根を作ること。画面左奥の建物が、これもどうやら張り出しを持っているらしいこと。画面右奥の建物が、どうも凸型の輪郭をしているように見えること。画面右、撮影者背後の建物に小さな長方形の軒先があること。さらに背後の建物の左右が舗装されておらず、土になっていること。見れば見るほど、ここで良いらしいことがわかる。
 
 ∧∧
(‥ )いやしかし驚いた
\−  ウ軍は制圧地域の
    奥までやってきて
    攻撃しているし
    カディロフ部隊は
    出張ってきたウ軍の
    背後に回る感じで
    反撃しているってことに
    なるのだね
 
  (‥ )カディロフ部隊は
      やらせっぽい動画も
      投稿するから
      信用しすぎるのは
      危険なんだがな
      東岸市街地の
      露軍の攻撃方向って
      実際かなり
      ばらばらなのよね
 
 これはつまり、ウ軍は籠城した場所からあちこち出張って攻撃している、ということ。
 
 ∧∧
(‥ )市街戦って想像とは
\−  ずいぶん違うんだね
    細かな陣取り合戦かと
    思いきや
    あっち出かけたり
    こっちで反撃したり
    迎撃したり
    牽制したりするのだね
 
  (‥ )なんか塹壕戦みたいな
      ものを想像していたけど
      もっと動きが
      あるものなんだな
 
 
 まあ考えてみれば当然ではあった。もし制圧した一部屋一部屋に兵隊を配置できるなら、塹壕全てに兵隊を置いて、戦線が膠着したWW1と同じことになるであろう。
 
 しかし、現実には攻守共に人員に限りがある。そうであれば、双方ともに陣地を作ってそこから出動し、あちらを奪い、あるいは奪われ、こっちを攻撃して牽制し、こちらに出かけて嫌がらせをして帰っていく。そういうことが延々と続くことになるだろう。
 
 ∧∧
(‥ )ウクライナ戦争全体だって
\−  あっちが出たり
    こっちが引っ込んだり
    こちらが包囲されて
    あちらが退いたりと
    色々、細々、
    動いているからね
 
  (‥ )市街戦とは
      こういうものかー
 
 迎撃するウクライナ軍も苦しい。しかしロシア軍もその損失は、どうやら甚大であるらしい。3月末までは40代ぐらいのプロの兵隊が動画に出ていたが、4月に入って負傷兵やぎこちない新兵たちが登場するようになった。増援と言えば聞こえは良いが、使い捨ての駒のように使われることは必至だ。
 
 何千、何万という市民を無残に殺して侵略しながら、しかしロシア兵自身も要塞都市の中で容赦無くすりつぶされて死んでいく。これが市街戦。
 

 

2022年4月5日火曜日

マリウポリ 東岸進捗なし 西岸進捗あり

 
  
 激戦続くマリウポリ。3月27日に投稿された、露軍カディロフ部隊が旗を掲げた場所。この場所は都市の真ん中を通る川の東岸の地区で、住宅街を南北に貫き、海岸へ抜ける大通りの行き止まり。ここから先は台地から海岸へ降りる坂になる。
 

 
 さてもさても、わざわざ旗を掲げる動画を撮影できるぐらいだ。この時点では露軍にとって安全な場所であったのだろう。当然、露軍の地図では制圧済みとなった地区であったが、4月2日の動画では、戦車がアパートを砲撃する場所になっていた。


 
 ∧∧
(‥ )制圧失敗しとるがな
\−
 
  (‥ )まあほとんど
      ゲリラ戦だからね
      ウクライナ軍は
      拠点から出張って
      攻撃だって
      するだろうしねえ
 
 とはいえ、実のところマリウポリの東岸は、露軍の地図とは裏腹に、街区の3分の1ぐらいは制圧できておらず、戦闘が続いている。
 
 4月4日に投稿された画像も、カメラが撮影している場所と向きからすると東岸地区で激しい戦いが続いていることを示していた。



 この画像、実はロシア軍優勢を伝えるものなのだが、実際には制圧したはずの地域で起きている戦闘を伝えているわけなので、馬鹿じゃねえの? という画像。
 
 
 ともあれ、以上を踏まえてマリウポリの戦況を図示すると、以下のようになる。町の東岸はほとんど膠着状態で、露軍は少なくとも目立った前進をしていない。
 




 ∧∧
(‥ )進展があったのは
\−  西岸地区ですかね
    4月3日の衛星画像と
    戦火の分布からすると
    露軍は中心街から南へ拡大
    台地の上はほぼ制圧した
    ように見えるね
 
  (‥ )さらに
      戦火の分布からすると
      西の方で戦いが
      起こっているように
      見えるんだよね
 
 マリウポリは河川の侵食で周囲を削られて作られた台地状の地形で、さらに西部には、これまた侵食による谷間が堀のように南北に伸びている。
 
 そして、露軍が占拠したらしい市庁舎南の台地は、周囲よりやや低かった。つまりウクライナ軍はまだ高い位置を占めている。

 もちろん露軍がすでに占拠した大通りならウクライナ守備隊と高さが同じか、むしろ高くて優位。しかしその方向からウクライナのいる場所に露軍が近づこうとすると、そこには壁になるアパート群や、さらに微小な侵食谷などがあった。
 
 以上を踏まえると、守備側はまだなお、守りに優位な領域を占めている。
 
 ∧∧
(‥ )露軍はあれだね
\−  堀になる西の谷を避けて
    さらに西から
    海岸に降りて
    そこから海岸沿いに
    東へ移動
    守備側を下から
    包囲する気かな?
 
  (‥ )軍事的に意味があるかは
      知らないけど
      少なくとも
      守備側の手数を
      引き付けられるから
      良い作戦かもね
 
 守備隊の大通り側が手薄になれば、露軍はうまくすれば占拠した大通りから、壁になるアパート群を抜いて攻撃することすらできるかもしれない。そんなことができる重火器やら戦車やらが残っていればだけども。
 
 ∧∧
(‥ )動画を見るに
\−  露軍は戦車や
    装甲兵員輸送車や
    歩兵戦闘車をまだ
    残しているけど
    突破できるほどの
    数を残しているか
    よくわからないよね
 
  (‥ )さらに歩兵もな
      なんか西側諸国では
      考えられない戦法を
      露軍は使っていて
      歩兵がすごい勢いで
      死んでるみたいだし
      露軍もつらいみたいね
 
 *西側では考えられない戦法:twitter上の証言として出てきたマリウポリにおける露軍のやりかた。戦車に50名あまりの歩兵を随員させ、ウクライナ軍の陣地へ接近する。そうして取り付いて(ここで座標を確定でもするのか)、次に後方の砲兵が砲弾を撃ち込んでウクライナ守備軍の陣地を撃破する。ただしこの過程で露軍は相当量の歩兵を失い、場合によると半分が戦死する。
 
 **カディロフ部隊の戦死者にジャガイモと玉ねぎ、米とオリーブ油が見舞いとして支給されたという(西側の人間にとっては)衝撃的なニュースがあった。従軍した息子が具材になって帰ってきた! と揶揄されたトンデモな処置だが、注目すべきは並んだ具材の数からすると100名以上が戦死しているという事実であった。1ヶ月の戦争の累計なのか? それともこれはマリウポリだけでの出来事か? カディロフ部隊は偉い人が登場するやらせ動画が多い一方で、激しい銃撃戦や負傷者の動画も少しある(そこには偉い人が登場しなかったりする)。もしかしたら下っ端が市街戦における使い捨ての駒としてバンバン死んでいる結果なのかもしれない。
 
 
 さて、後、どういうわけか、人工衛星の画像を見ると、4月3日、マリウポリ市外にある空港で複数の火災が起きていることがわかるのだが...
 
 ∧∧
(‥ )ウクライナ軍の攻撃ですか?
\−  ここまで届くの?
 
  (‥ )どうだか知らんけど
      じりじりウクライナ軍が
      マリウポリに
      近づいているのは
      事実らしいのよ
 
 ∧∧
(‥ )...これさ
\−  ロシア軍絶望的じゃね?
 
  (‥ )ウクライナ軍が
      接近してくるのなら
      守備側を撃破しても
      根本的な解決には
      ならんからな
      絶望的だよね
 
 
 露軍がこれからわずか一週間でウクライナ守備隊を撃破したとしても、肝心な自分たちの補給や援軍は来るであろうか? こなかったら今度は自分たちがボロボロのまま籠城する羽目になる。
 
 そしてそもそも一週間でウクライナ守備隊を撃破できるであろうか?
 
 ∧∧
( ‥)無理だろ
 
  (‥ )だよなあ
 
 
 もちろん、一週間で撃破できなくても良いのだろう。ウクライナの援軍だって一週間ではマリウポリにまで来ないであろうから。
 
 しかし、1ヶ月かかっても落とせなかったら? 1ヶ月という見込みすらいまや楽観的と思えるが、しかし、1ヶ月もあればウクライナ軍はマリウポリに到着するのではないか?
 
 
 ∧∧
(‥ )ロシア軍絶望的だな
\−
 
  (‥ )ロシア軍本部だって
      馬鹿じゃないから
      いろいろと援軍を
      送っているみたいで
      あるけどね
 
  
 しかし、状況が劇的に改善したようには見えないのである。一部の話では、マリウポリの露軍に届いた装備は使い物にならなかったそうだ。
 
 ∧∧
(‥ )ロシアは経済制裁で
\−  自国の武器生産すら
    滞っているみたいだしな
 
  (‥ )だっはははははは
      経済制裁って
      こわいよねー
 
  
 

2022年4月1日金曜日

20220年3月31日のマリウポリ これが市街戦

 
 激戦続く南部の港町マリウポリ
 
 そこで活躍(?)しているのが、チェチェンのカディロフ部隊。
 
 ∧∧
(‥ )拷問、虐殺、誘拐
\−  児童などの人身売買...
    そういう
    悪逆な部隊という
    評価の一方で
    なんかいい加減で
    お茶目さんなところが
    あるんだよね 
 
  (‥ )頑張ってるところを
      みせたくて
      なんにもない場所に
      銃を撃って
      いさましく
      TikTokに投稿したり
      なんか妙に張り切って
      地図を広げて
      作戦会議したりな
 
 一部からはTikTok軍隊とか、対戦車ミサイルを撃ってみました迷惑系youtuberなんて揶揄されるカディロフ部隊。しかし彼らの投稿画像に登場する地図を見ると、現状におけるロシア軍の縄張りが分かるというもの。

 29日のこういうものや....


  
 あるいは31日のこういうもの


 
 *ちなみに1枚目に写っているロシア軍の将校は19日に戦死したと伝えられたモルドヴィチェフ中将。チェチェンのカディロフ部隊は動画をアップする際、時や場所や時系列をかなりいい加減に扱っているように見える。要するに仕事がかなりてきとー。もしかしたら中将が戦死する前の画像をアップしているのかもしれないが、地図に描かれたロシア軍の縄張りは、29日当時までに伝えられた露軍の縄張りと確かに一致する。だからモルドヴィチェフ中将の戦死は誤りだったのだろう。
 
 **なお、戦死したと伝えられる他の将校で、モルドヴィチェフ中将のように生存を裏付ける画像が出た人はいない。要するに他の将軍、将官たちはやはり戦死したらしい。
 
 
 ともあれ、以上を踏まえて30日前後におけるロシア軍の縄張りを推論すると、こうなりそうであった。



  
 ∧∧
(‥ )町の西から市中央に突入
\−  同時に町の東部から西へ進み
    中央の橋を取って
    東西をつなげようと
    しているのだろうね
 
  (‥ )ただどうも
      ここから進めなくなって
      いるように見えるな
      図における黒枠に囲まれた
      黄色い点は衛星写真から見た
      戦火の場所なんだが...
  
 戦火があることは制圧を意味しなかった。戦火とは攻撃しているわけで、つまり、そこにはウクライナ軍がいる。
 
 西から突入したロシア軍は市の大通りに沿って、中央まで突き進んで市庁舎を取った。しかし、そのまま橋へはいかず、大通りの南側にこもるウクライナ軍に攻撃しているらしい。これも戦火からうかがえる。
 
 反対に町の東側では奇妙に真ん中が開くように露軍の縄張りが広がっていて、陣取るウクライナ軍を包囲しているように見える。
 

 ∧∧
(‥ )橋を取ろうと前進して
\−  残っている敵に
    後ろを塞がれたら
    いやだもんね
  
  (‥ )がむしゃらに突き進んで
      市庁舎を確保
      次は後ろの憂いを
      なくすために
      周囲の掃討戦を
      しているのかな?
 
 しかし一方、それは本格的な市街戦の始まりを意味していた。実際、ここ数日になって激しい銃撃や砲撃の画像が出回り始めている。幾つかは場所の特定が難しいが、次のように特定できるものもある。
 
 これは31日、戦闘車両(T-72 ?)で住宅を砲撃する動画。ここは町の東側の住宅街であった。


 
 これは31日に通りを移動する戦闘車両。周囲の状況からすると、これも町の東で、Pashkovskoho通りを通っている。


 
 いずれも29日に衛星から戦火が確認できた場所で、マリウポリ(Mariupol)の地図に重ねるとこうなる。



 
 2022月3月31日時点におけるロシア軍の縄張りは、以上のようなものであると思われた。そして29日に戦火が見えた場所で、31日になった今でも戦闘が継続されている画像が投稿されているのだから...
 
 ∧∧
(‥ )要するに目立つような
\−  進展はないってことだろ
 
  (‥ )進展自体は
     あるはずだけどな
     あそこの家を取った
     この部屋を取った
     この通りは制圧した
     そんな感じでな
 
 実際、Pashkovskoho通りを抜けていく戦闘車両のロシア兵たちは頭を出している。つまりこの通りの安全は31日には確保されているわけで、通り一つ分ぐらいは前進できたことを意味しているだろう。
 
 かように進展自体は確かにある。しかし、それはわずかの累積で、目に見えるような進展になるまでにたくさんの時間と犠牲を必要とした。そして、あまりに時間がかかると攻める側が逆包囲されて全滅することすらある。それが分かっているから断固として攻め落とそうとするロシア軍。それが分かっているから奮戦するウクライナ軍。これが市街戦。
 
 
 

ブログ アーカイブ