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2009年10月6日火曜日

草野球のエース

 
 うえっ、寝ちまった、寝ちまった、寝ちまったああ。なんてこったい

 ∧∧
( ‥)はい、仕事ー

    (;— —)うー
       -□

 世の中、平和だ。一般の人はそう思うし、研究者も意外とそう思う。だけどもなかにはオレ様理論を考えるだけでなく、あきたらずに本にしたり、blogで公開したり、あるいはよせばいいのに2chでスレ立てたり、あちこちにスパムメール送ったり、学会に怒鳴り込もうとしたり、あるいは出版社に大発見を原稿で送ってきたりする人がいる。

 昔なつかしの永久機関からポアンカレの予想を解いたってものもあれば(今はあるのかね?)、オレ様進化論もあるし、わけわからん陰謀論やら相対性理論は間違っているやら色々、概念が突飛すぎてアイデアがどのジャンルのものなのか分からないものさえある。

 ご本人たちはそれぞれ世紀の大発見だと思っているらしいけども、そういう世紀の大発見をしたと思っている人たちがごろごろ転がっているのが世の中。別に珍しくもない。そいでもって認めてもらえない時に言う言葉もいつもだいたい一緒。

 ∧∧
( ‥)オレを認めないのはおかしい
    論文を掲載しないのは学会が保守的だからだ。
    研究者は古いパラダイムと価値観に支配されている、ですね

    (‥ )教科書読みたくない、論文読みたくない、実験したくない
        英語読めない、論文にできない、アイデアは出したのだから
        お前らが論証しろ
        まあ、だいたいいつも一緒だなあ。

 これをある人がこう表現した。見知らぬ男がまさに試合中の野球場に来て言った。オレ様、お前らよりすごいから試合に出させろ。なに?? 出せない?? 出たいならまずは入団テストを受けろ?? そういう保守的なことにこだわっているからお前らは・・・・

 ∧∧
( ‥)はあ、めちゃくちゃな理屈ですね

    (‥ )いやいや、彼にとっては理路整然としているんよ。

:自分はすごいから認められてしかるべきである
:しかし相手は自分を認めてくれない
:自分は認められてしかるべきであるから、認められない原因は相手にある
:自分がすごいのは自明の理であるから、認めない理由は理不尽に違いない
 
 ∧∧
( ‥)そりゃまたお馬鹿な話では?

    (‥ )馬鹿というのはお馬鹿な表現であるから
        むしろこういうべき?

:彼は相手の判断基準を理解していない

 ∧∧
( ‥)野球やサッカーなら実績や入団テスト
    科学なら材料と解析手段をすべてオープンにして
    論文にして学術誌に投稿せよ、ということですね。

    (‥ )判断基準はどこの業界でも持っているものなんだ。

ただし、もちろん、判断基準が理解できない人にとってそれは理不尽にしか見えない。

教科書を読め、論文に目を通せ、実験をしろー、検証手段を思いついてそれを実行するんだ、英語だろうがドイツ語だろうが国際誌に目を通せ、適切な解析手段でデータを処理しろ、所定の手続きにそって論文を作成し、それを学術誌に投稿するんだ。試合はもう始まっているんだ、さあ、早く、早く、早く。

というのは科学の世界におけるひとつの実力テストなわけだけども、知らない人には理不尽にしか写らない。

 そして思うに、このことはたぶんやはり次のことを示している。

:オレ様理論を思いつく人は、データを適切に説明するグラフを発見する方法、つまり適切な解析手段を持っていない

 ∧∧ 
( ‥)そしてそれを持っていないから
    ”整合性のある一部のデータ”で満足したり
    帰納的に仮説を検証できなくなったりすると。

   (‥ )話がつながったろ? 

 解析手段を持たないことはデータを処理しきれないことを示す。それは一部のデータを偏重することにつながるし、かつまた仮説の検証を放棄することにもなる。そして研究者が持つ世界観を共有しないことにもつながる。となれば、彼らの行動/言動は必然。

 ∧∧
( ‥)ゆきつく先も同じでしょ

   ( ‥)今まで見た人はすべて同じであった。

 

 おかしなもんで、オレ様理論を言い立てていた人が、教科書読めば? と言われて、よっしゃ!!と一念発起して科学という世界の山を登り始めた例はこれまで見たことがない。


    
 

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