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2010年4月30日金曜日

地獄編

 
 遺伝子型血液占い(AA, AO, BB, BO, AB, OO)、これが存在するのだから、みんな遺伝子が粒子的なものであることは分かっているはず、そしてしかるに誰でも膨大な変異を蓄積していること、そこに淘汰がかかれば、そりゃあえらいスピードで進化するのは、実は誰もがすでに分かるはずではなかろうか? という話(より正確には、あっ、でも自分のことを考えればそんなことあるわけないか)をメモ的に書こうかと思う前に、

  
    (‥ )血液型占いはなぜしょーもないのか? と考えている時、
        逆に血液型占いをお手軽に検証する方法を考えてみて、
         電車の中でぴんときました。
 ∧∧
( ‥)何がです?

:血液型によって性格が固定されていて、それら同士に相性があるんだったら、離婚と血液型の相関関係を調べればすぐに分かるんじゃねーの?


 ∧∧
( ‥)誰でも思いつくような・・・

    (‥ )誰でも思いつくから有効と楽観してみる。


 ∧∧
( ‥)おまけにひどい研究ですよ。私は反対です。

    ( ‥)まあまあ、こんな論文なら誰かが書いてるはずだ。
      -/
 
 と思って検索をかけたのだが、そうすればいいじゃんという意見は引っかかってくるが、論文となるとどうもひっかかってこない。おっ!! と思ってクリックしたらしょうもない一般論が述べられている始末。

 うあ? 誰でも思いつくけど、誰もやってないのか?

 もしも相関関係があるという結果が出たのなら、血液型占い賛成派も反対派も引用してそうなもんだし、そういう論文が出たら、「あなたのようにやったがそんな相関関係、統計的に有意には出ない」というような反対論文(あるいはその逆?)があってもいいはずだと思うのだけども。

 ∧∧
( ‥)書いた人がいないか、相関関係が出てこなかった、
    つまり論文のネタにならなかったのではないですか?

     (‥ )まあ、そういうこともありうるんだろうな。

 確かに、噂で「血液型と性格の研究をしたのだが、卒論になってくれるような結果が出なかった」、あるいは「ない」という結論を書いた、そんな話は聞いたことがある。でも、あれはほとんど都市伝説みたいな話で、なんとも言い様がない。

 あるいは見落としているだけかもしれぬ。それが”ある”ということは1個見つければ十分だけども、”ない”ということは証明不可能だ。

 とはいえ、英語でも検索してみたけど、どうも引っかかってこない(血圧の話がひっかかってきたりしました)。

 まあ、あれだよねえ、血液型占い、理論にしては基礎がぐだぐだだから。そもそもあのまんまじゃあ検証できんよなあ。

 ∧∧
(‥ )□型の人は几帳面、□型の人はマイペース、□型の人は・・・
\-  *相手の性格を定型にはめると非常にいやがる人もいますので、
    すべて□でお送りしています

     (‥ )行動を調べる時に、そんな基準を提示されてもねえ。

 まっとうな科学の論文だって、あばうとーなカテゴライズで処理したら相関関係が有意に出てきて、やった!! と思ったのもつかの間、検証してみようとちょっとカテゴライズを崩したら相関関係が無くなっちゃって、「ごめん、オレ、間違ってた」、そうやって引っ込めちゃった事例が幾つか思い浮かべられるし、調べればもっと出てくるだろう。

 ∧∧
( ‥)論文にするにはもっとちゃんとした
    基準がありませんとね。

     (‥ )その点、あれなんだよな、星占いを統計学的に
         論証しようとした論文があったって言うだろ?

:火星の配置と職業が有意に相関するという話らしい(当然、反論もあるそうだけども、ごめんねうろ覚え)

 ∧∧
( ‥)それをまねて冒頭↑のあれですか。
    非人道的だと思いますが。

     (‥ )まあ、どちらに対しても、そうだね、とは
         言っておこうじゃないか。

 とはいえ、統計的処理で相関が出たといっても事と次第ではとんでもないものをシグナルとしてひろってくる場合があるというから(さっきの火星の話もさることながら、ああ、これも? という事例あり)、そんな論文が出たところでどうなるわけでもない。しかし、そんな論文でさえ書くのは大変そう。

 ∧∧
( ‥)例の都市伝説的な話も、実話なのでは?
    几帳面をどう測定するのか? と考えだしたら
    もう論文になりませんよね?

      (‥ )複雑なことを論証するには、まず単純なものから
          論証した方がいいんよね。
          卒論でやろうなんて無茶だよ。

 思うに、血液型と性格は有意に相関している!! というの論文があったとしても、それは

 ∧∧
( ‥)血液型占いからはかけ離れたものになっているかも
    知れませんね。

      (‥ )火星と職業にちょっと相関関係があるかもよ、
          みたいなもんでね。

 
 そして、さらに、仮説としてそれが生き延びられるかというと、さてどうだろう?

 

さあ逃げよう!! 世界の果ての向こうの時間のかなた

 
 世界はゴールデンウィークというものに突入したらしく、東京も電車も人がなにやら少なかった。

 さて、

 仕事の関係で1970年前後の論文に目をざーっくりとアバウトに通して見る。

 ∧∧
(‥ )この論文、これから敗北する論文ですよね。
 □-
     (‥ )そうね。

 この地層は古生代末期のものに違いないのだけども、その地層から後の中生代で見つかる化石Aが出てきた。ゆえに、この化石Aは思われていたよりも以前、つまり古生代末期から存続していたに違いない。

 ∧∧
( ‥)でもこの化石Aって地層の相対年代を知るための
 □-  キーになる化石ですよね? 

     (‥ )つまりあれだな。

 時代を決定する鍵になる化石が産出するタイムスパンを”ある前提から古生代だってことになっている地層”の”その年代”から決定した。

 ∧∧
( ‥)・・・・

     (‥ )だから敗北したんだろ?
 
 オチは、中生代の化石が出たんなら、その地層は中生代じゃねーの? でした。

 
 

便利な体系の方がお好みです

 
 ふと以前に書いたことを思い出して、検索をかけてみる。

    ( ‥)ああ、一応、今でも血液型占いに6つの型を
      -/ 取り入れたバージョンがあるんだなあ。
 ∧∧
( ‥)遺伝子型占いって呼称もあるみたいですね。

 いやしかし、6つの型(AA, AO, BB, BO, AB, OO)というのは”手軽な占い”としてはちょっと不便じゃねーの? と思っていたら、案の定、不便でしょ・・・という意見が引っかかってきた。そりゃあそうだよなあ。

 ∧∧
( ‥)なぜ?

    (‥ )いや、だってさ。型が4つなら覚えやすいけど
        型が6つだろ? 

 単純に性格の型が4つから6つに増えたら覚える内容が増える。それに

   (‥ )それに相性を占うとき、相性の組み合わせが4×4=16通りから
      6×6=36通りに増えちまうべや。
 ∧∧
( ‥)ああ、まあ、そうですねえ。

 B×AとA×Bは同じじゃない? とも言えるけども、それでも、6型のグループとその組み合わせとなると、ちょいと人間の頭にはきつい。組み合わせを全部書き出してみればいい。それだけでいやになる。

 それに

    (‥ )それに両親の血液型を知らないと自分の型が分からない
        場合も多いし(A型とB型)。
 ∧∧
( ‥)両親の血液型(表現型)がわかっても、自分の遺伝子型が
    分からない場合もあるでしょうしね。
    *A型とA型の両親から生まれたA型の人の遺伝子型は?

 それじゃあ不便だから6つははやらないんじゃねーの? 世間は4つで十分でしょ。と思って見てみると、見た限りではやっぱり世の中、4型血液占いで動いているっぽい。

 ∧∧
( ‥)楽だから?

     (‥ )血液型占いって占いの中ではプロが存在しない
         あるいはプロの存在を抜きにしても会話が成立しうる
          占いだろ?

 星占いはこれではすまない。あっちは12のグループがある上に惑星の配置が関わってくるんだから。あれでもり上がるにはプロが必要だ。

 ∧∧
( ‥)逆に血液型占いは手軽な占いだから
    会話でしばしば使用されるのだと?

     (‥ )会話に参加する全員が所属グループを知っており、
         覚えやすく、全員参加で会話を展開しやすい。
         お手軽、便利。

 だから人気だし、だから4型じゃないだろうか。少なくとも、6型がはやらず、4型が圧倒的という状態はそれで十分説明できるんじゃないですかね。

 人間は社会生活をするサルですけん。そりゃあ自分の立ち位置をいつも気にしておりまして。あなたの性格、あの人との相性、そんなことをお手軽に知りたがるし、会話に入りたい。そりゃあ、書店にいってそういう本があったら手に取りますわ。

 というか、それを知るのは/知った気になるのは、人間にとって死活問題。

 だがしかし、それゆえにつまるところ、血液型占いとは会話の手段でしかないんじゃなかろうか?

 そして実のところ、本気で信じている人間なんて、たぶんほとんどいないのではなかろうか。

 ∧∧
( ‥)そんなもんですかね?

     (‥ )例えば、ある株式会社の社長が
         「私は血液型占いで人事を決めています!!」
          と言ったらどうなると思う?


 話題のために便利に使われるけど、誰もが使い道をきちんと分かって本気になどしていない道具。それが血液型占いだと予測。


    (‥ )例えるなら、あれ、面白い漫画のストーリーや設定をそらんじて
        夢中になっているけども、それがフィクションだって
        みんな、頭のどこかで冷静になっている状態に近似。

 ∧∧
( ‥)そんなもん?

 
 そんなもんじゃないですかね? さもないと「血液型占いで××しています」と言った場合に想定される皆の反応は説明できない。

 ∧∧
( ‥)想定ですけどね。

      (‥ )じゃあやるかい? おいちゃんはいやだよ。
 
 誰かやりますかね? もちろん責任はとれません。

 血液型占いじゃないけども、UFOがやってきたらどうしますか? 自衛隊では法的に無理です、と議員さんたちが答弁した時の皆の反応を思い出せばいい。大統領の奥さんが占いで意見していたって話が出たとき、世間がどう反応したか思い出せばいい。幽霊だのUFOだの、星占いにタロット、血液型占い、みんな「なんか信じていまーす」と常日頃から言って重宝してる。そのくせ、いざ、ちょーっと本気なことをすると皆がドン引き。うわっ、信じてなんかねーじゃんよ。

      ( ‥)例えるならあれかな、公式の場で、
          「○○(アニメキャラ)はオレの嫁」
          とマジ発言してしまうような。
 ∧∧
( ‥)ああ、そういう......

 世間の人たちがいう「これ信じてまーす」を真に受けると、時としてえらいことになる。
 
 ∧∧
( ‥)世界を理解するためのなんちゃって体系、なんちゃって理論
    それが血液型占いその他もろもろってことですかね?

     (‥ )便利な物差しなのじゃないかなー。

 ただ、世界を体系づけて分かった気になるのには便利だけど、現実世界を推し量るのには使えない目盛りが刻まれている。

 

2010年4月29日木曜日

そりゃあ調べませんよ勝つまでは

 
 ふとネットで検索をかけていて、「不倫は文化だ」にたどりつく。

 ∧∧
(‥ )なんでも石○純一さんの発言とされるこの言葉は実のところ
\-   近似的には「文化や芸術が不倫から生まれることもある」
     という発言だったとありますが・・・

     (‥ )へー、そうなの?

 ああ、そうだったんですか・・・。それは知りませんでした。認識を改めないと。

 というわけで脳内をアップデート中

 がりがりがり・・・・・


 ∧∧
( ‥)あの,,,,メディアから流布した情報を鵜呑みにしておいて
\-   今度はネットの記述を鵜呑みにするんですか?

     (‥ )ああ、そうねえ、それは良くないことだよねえ。


 うん。鵜呑みは確かに良くないよな。注意しないとね。

 ∧∧
( ‥)あの、、、調べないんですか? 文献を当たるとか、図書館にいくとか
    確認しないんですか?

     ( ‥)いや、聞いた情報のすべての妥当性を
         検証するのは無理だよ。


 うん、無理なんだ。この宇宙にはできることと、できないことがあり、物事の確認には優先順位がある。

 ∧∧
( ‥)不倫うんぬんはともかく、この事象自体は
    メディアの妥当性に関わる問題ですよ?

     ( ‥)えー? でも本人がおいしいと思って
       -/ これを否定しなかったって書いてあるぜー


 どこに? ネットに。


 ∧∧
( ‥)いや、ちょっと、それおかしい。

     (‥ )そうねえ。この理屈はたわ言だよね。


 あー、でもなんだ。ほら。「不倫は文化だ」って石○純一さんがいかにも言いそうな台詞だし。

 あぁ?

 ∧∧
( ‥)いや、完全におかしい。そのキャラクター性が確立したのは
    その発言が”あったとされる”ことが原因じゃないですか。
    根拠不明の原因が導く結果で原因を正当化してるんですよ?

     (‥ )そうねえ、これはもはやたわ言を通り越してるよね。

:あなたは嘘つきです
:いや、私は嘘つきではないよ
:嘘だ!!

 確かにこれはいかんよな。

 ∧∧
( ‥)でも調べないのだと。

     (‥ )そうね、調べないだろうね。


 これはなんたる傲慢、怠慢か?!! 物事の妥当性は直に調べ、そして絶えず追求されてしかるべきではなかったか?


     ( ‥)ああ、でもこの世界はそういうもので満ちあふれている。
 ∧∧
( ‥)はあ。例えば?


 非難ごうごうの科学技術に対する事業仕分け。だけど、それを評価するblogや書き込みもたくさん見つかる。「やれなかったことを、やってみせたじゃないか」という案配。

 ∧∧
( ‥)だけど?

     ( ‥)この手の記述を端から見ているとね。
       -/

 ああ、この人たち、何にも知らないのね。という感想。

 あるいはこう?

 調べてないですよね。読まず、聞かず、歩かず。尋ねず、で書いたでしょ? とっ、人のことを言えない私がそれらをそう評価します。ああ、世界はなんて間抜けで残酷なんだ。

 ∧∧
( ‥)だけど。

     (‥ )それでも決して調べないんだろうなー、とね。

 ∧∧
( ‥)それで?

     (‥ )それと同じように、「不倫は文化だ」発言の
         妥当性を私は調べていない。

 調べませんよ、勝つまでは。歩きませんよ、かなうまで。


 ∧∧
( ‥)なんで

     (‥ )体力の限界。

 年はとりたくないもんだ。それは誰でもそうなのに、ぺきっと折れて、楽さゆえに誰もがぺたりとへたり込む。


 

2010年4月28日水曜日

判断の根拠は配置だけではたぶん説明がウンヌン

 
 対立する仮説の良し悪し(この場合はどちらの方が現時点で妥当性があるかという意味)は何をもって判断するべきか、あるいは何をもって判断しているのか?

 ∧∧
( ‥)誰が?

     (‥ )自分も含めて色々な意味で

:仮説を支持する証拠の数が多いほどいい。それは当然ありますわいなあ。

 ∧∧
( ‥)でも、人間は仮説を通して世界と証拠を眺める
    動物ではないんですかね?

     (‥ )だからデータからグラフを描く方法が必要になる
         のじゃないの?

:ものすごく単純に考えると、例えば最節約とか、あるいは最小二乗法(トータルとして誤差最小のグラフを描く)みたいに手持ちの仮説とは別に、全部のデータを無理無く説明する仮説(グラフ)を発見する方法。そういうものがないとたぶん、どんな仮説も破壊できなくなる。逆にいえばそういう検証手段がないとどうにもならない。

 ∧∧
( ‥)データからどんなグラフを描いてもいいのなら、
    どんなデータがあってもグラフを正当化できますからね。

     (‥ )政府がUFOの存在を認めないのは、政府の陰謀だ。
         ゆえに資料がないのはエイリアンクラフトが実在する証拠

:判断の根拠は証拠や根拠の配置や分布にもあるってのも、たぶんそうなんだろうと思う。

 ∧∧
( ‥)例えば?

     (‥ )Aを支持する論文が100個ある。対抗するBを支持する
         論文が1個ある。

 数だけでいったら多分、Aを支持する論文の勝ち。でももしも、Aを支持する100個の論文が共通して”ある根拠K”に根本的に依存しているとする。それに対してBを支持する論文1つが”別の根拠L”に依存しているとする。

 ∧∧
( ‥)根拠Lが根拠Kに勝つことが論証されたら
    どうなるか?

     (‥ )そしたらBを支持する論文1つが
         対抗する100に勝ちうるよな?
         (必ず勝つ保証があるわけではないけども)

 だから証拠の数や妥当性の検証だけでなくて、証拠の配置や分布によってたぶん、その(証拠それ自体の)インパクトは変わってくるはずだ(と思う)。
*この場合、証拠や根拠の位置や配置というのは共有派生形質のように考えています。

 ∧∧
( ‥)だけど、それだけではないと?

     (‥ )それだけじゃないでしょ。

 こんなことを言った人がいた。

 相対性理論は水星の近日点の移動を”すでに”説明できていたし、さらには日食のさいに星の見かけの位置がずれて見えるだろうということを予言していた。それは1919年の観測で確認されたが、実はそのデータは当時の技術水準で行われたのでいささか怪しげな点があった(今はもうそんなことはない)。それに対し、質が良かったのは以前から観測されていた水星の近日点の移動と、相対性理論の計算結果による答えの一致だった。しかし、相対性理論が受け入れられる大きな理由になったのは、1919年の日食観測の方だった。
*S・ワインバーグ「究極理論への夢」第5章の冒頭がこんな話

 ∧∧
( ‥)しかも考えてみれば妙な話なんですよね。1919年以前の
     状況でも、「じゃあ日食を観測にいくか」というプランを立案して
     実行しちゃう人たちがいたんですから。

     (‥ )まだ確証のない理論に魅了されて、その確証を行うために
         人生の少なくとも一時期をそれに賭けちゃう人たちが
         いるってことなんだよな。

 ようするに、人間、理論の魅力も判断の材料にしているのではないかというワインバーグさんの話。それは言われれば当たり前といえば当たり前。しかし妙と言えば妙な基準。戸惑うといえば戸惑う話でもある。

 もちろん、妥当性だの理路整然としているだの、シンプルだのとか、そういう理論の基礎がしっかりしたものである上に、さらに、

 「問題解決において将来性がありそうだという予想」

 の意味合いで魅力的なんだろう。

    (‥ )実際、魅力的って言葉だけなら、死んだらラーメンや
    -    チャーハンがあたりに生えてて食べ放題、温泉が
         あっちこっちに湧いているという天国と世界観を
          チョイスするのが妥当に・・・・
 ∧∧
( ‥)それはむしろ地獄じゃないですかね?

 あるいはこの言い様を

 「既存のものだけでなく、それまで解けなかった問題さえも解く新しい能力」

 とでも言えば当たり前な選択基準だとも思える。

 でも、「この問題まで解ける!! すげーー!!」という確信、驚き、賛同、理解ってのは具体的に何なのだと言われると困るよなあ。問題を理路整然と解けること=正しい、ではないだろうから。


 ∧∧
( ‥)でも、「これ使えるじゃん!!」という
    使い勝手のよさってのは・・・・

     (‥ )その仮説を採用する生々しい根拠であるよね。

 ∧∧
( ‥)あなたにもこういう判断基準でチョイスした
    心当たりがありますか?

     ( ‥)・・・あるんだよなあ。


 「ありえない!? 生物進化論」*これ→Untitled Document という本を書いたときに、節足動物の系統をどう考えるかで、ウプサラ大学のバットさんの仮説を最後に紹介しているのだけども。

 データを大量に、それを最節約に解析すればいい、もしもそう考えている人がいたら、この仮説のチョイスはまことに奇妙になるはず。だって系統解析に使っている形態データの数でいったらブリッグスさんたちの方が

 ∧∧
( ‥)明らかに多いですよね?

     (‥ )たぶんそうなんだよな。
      □-
 
 だけども、ブリッグスさんたちではなく、最後に紹介したのはバットさんの仮説だった。

 以前、北村ってやつは狂信的な分岐学信者だ、と、どこぞにそんな書き込みがあったのを見たことがあるけども、いやあ、それは明らかに違うと思うぞ? だったらなんでバットさんの仮説を選んだのか説明がつかないじゃない。実際、「なんでお前はデータの数で勝るはずのブリッグスたちを最後に取り上げないのだ?」と誰かが文句を言ってくるかと思ってたけども(3000部が売れるくらいじゃ)、そんな突っ込みはやってきませんでしたとさ。あら悲し。

 ∧∧
( ‥)あなたはバットさんの仮説の魅力にひかれた?

     ( ‥)いやなんというかですね。
         ああっ、その手がありましたか!!というね。

 ブランキオカリスの触角+大付属肢って一体何ね? どっちが第1触角よ? と思っていたけども、あれもこれか??・・という衝撃

 ∧∧
( ‥)だけど、使い勝手がいい、美しく魅力的が、
    =妥当ではないのですよね。

     (‥ )そりゃあそうだね。


 それは当たり前。使えるし魅力的だけど駄目ってのもいっぱいある(昔の天動説ってこういう?)。

 とはいえ、基礎さえしっかりしている上に、性能が以前よりも向上して、使い勝手が良い、という確信があったら、それはたいていの人にとって当面の間は魅力的に違いない。



 

2010年4月27日火曜日

すると論文における論証された証拠の分布を?

 
 その写真はないでしょう・・・・。とはいえ、しかし。

 ∧∧
( ‥)1つの証拠がつぶれたとしても
    それでその論文の論証全体が一気に大崩壊となる
    わけではありませんよね?

      (‥ )そりゃあそうだね。

 実際、同じコア(ボーリングで地下から掘り出した円柱状の岩石/堆積物のサンプル)を見ても研究者とその論文によって解釈が違う。そこに面白さがあったわけで(だから余計に写真とその有孔虫の同定に、ちょっと待ってー!! それ止めてーー!! だったのだけども)

 ∧∧
(‥ )コアを見ると、クロスベッディングのある層が複数重なっています
\-   ああ、きれいですねえ。
 
     (‥ )では問題、その複数のクロスベッディングは
         どうやってできたと解釈するのが妥当でしょう?


*Cross-bedding:流れのあるところでできた堆積物で、傾斜する層が幾つも重なった構造を示すもの。
//////// ←こんなの。この場合、水の流れは右から左を示す
 
     \\\\\\ 
      //////
    ///////
 ∧∧ 
( ‥)こういう重なりはどうできたのか?
    解釈は複数ありますよね。

     (‥ )そして、この堆積が起きたのはクレーターの
         底でね。

ありうる解釈
1:長い時間をかけて堆積した
2:地質学的には瞬間的(事変が起きた数時間後には堆積開始)

 ∧∧
( ‥)でっ? あなたはどちらの解釈を?

     (‥ )論文をざっと見た限りでは2だねえ
      □- 

 1も2もどっちも一応は説明できている。例えば堆積の層が変わって場合によっては流れの向きも変わるのは、

1だと河川とかの流路が変わるから。つまり長い地質学的な時間をかけて流れが変わった証拠だとみなす立場。

2だと、そりゃあ崩壊した外縁からクレーターの中に水が流れ込んでくるわけだし(周りは海です)、流れの向きは色々と変わるんじゃないの? というやつ。

 とはいえ、上にいくほど堆積物の粒子が細かくなるというある論文の指摘を読むと。

 ∧∧
( ‥)・・・それ、なんかいかにも一瞬ぽいですよねえ。

     (‥ )そうなんだよなあ。

 乱泥流の堆積物がそういう分化を起こす(粗い粒子が下、細かい粒子が上になって堆積する)ことからすれば、これだって堆積は一瞬じゃないの? と思えるわけでして。でもって仮説2をとる論文が1より多く、なおかつ論証に使っている証拠の数も多いように思える(例えば1の論文では、最低限、こういう意味合いでは堆積物の分化は述べられていなかったんじゃなかったかな)

 ∧∧
( ‥)つまり論文とそれにおける論証に使われた証拠の数で
    あなたは妥当性を判断しているのだと。

     (‥ )まあ、ねえ、単純に考えるとそうかねえ。

 ああん? するとあれですか? 論文とそこに分布する証拠(あるいは論証された証拠とその分布)の有様を見て、論文の妥当性をあちきは判断しているってことになるのですかね。

 ∧∧
( ‥)論文を個体かなにかだとした場合、
    それらにおける特徴の分布で判断しているってこと?

     (‥ )のように一見思えるけどね。


 というか、自分はそういうことをしているのか? と思った。

 だがしかし、実のところそれはどうだろうか?

 

私はハエな人

 
 辞書を片手に論文を読む。[Meteoritics & Planetary Science] 2004  鉱物名がわからなーい

 ∧∧
( ‥)はい、辞書を引くー

    ( — —)あー、めんどくさ
 
 読んだ内容は、当事者たちが泥仕合、脇から丁寧な書き方で大砲をぶっ放す日本の研究者の方の論文が一番良かった感じ。なんとかまあ読み終わって、記事を書いて、向こうへ送る。

 でっ、思う。

     (‥ )なんか最近、自分がハエになっていく気分
 ∧∧   -
( ‥)?


 死にゆく仮説、滅びつつある理論、駄目になっていく研究者。その周りをぶんぶんぶんぶん

 ∧∧
( ‥)あなたの仕事は絵だろうが、文章だろうが、
    現時点で一番妥当な仮説を
    チョイスして紹介することじゃないんですかね?

     ( ‥)逆に言えばあれだよな、駄目になっていく
         仮説を発見し、その駄目具合を
         検討する仕事でもあるよね。

 ぶーんと飛んでいって、ぺたぺたと探り、うーん? と考えてから
 →A:卵を産む
 →B:リサーチに戻る

 ∧∧
( ‥)まあ、自らをハエというのはどんなもんでしょうね

     (‥ )そうねえ、あんなに性能良くないもんな。

 こいつらは予知能力でも持っているのか? と思える程にハエはそういうのを嗅ぎ付けるのがうまいという。まあ、時々、部屋に迷い込んで困っているやつがいるように、単に迷走中ってことも普通にあるんだろうけども。

 とはいえ、人間、ハエほど高性能にはなかなかなれぬ。

 だけども、しかし、その、なんだ・・・


     ( ‥)この人のこの論文の場合、微妙というより
       -□ なんかなあ、素人でもまずいのが
         まるっと分かるというか。
 ∧∧
( ‥)まあ、見た限りではそうですね。


 その解釈がいいのかはともかく、確かにこのコアサンプル(円柱状の岩石サンプル)はこういう解釈ができますよねえ、と最初はそう思って読み始めたのだけども、「この写真のここにこれがいます!!」と言われたあたりで・・・・。

 「すいません。見えません」

としか言えませんのです。ごめんなさい。というか、これはロールシャッハ・テストですか? せめてあれは載せないで欲しかった。そしたらもう少し・・・。


     (‥ )おいちゃんの観察力が絶望的に悪いのかもしれんけど。
 ∧∧
( ‥)確かに、そういう解釈もありますね。
  -□ まあ、他の研究者の方も「見えません」と書いてはおられますが。


 彼の人はもうご高齢。聞けばこの分野ではそれなりな立場だそうな。

 ではその過去の業績たるやいかに? 

 オーウェンのように最後は「うわっ!! どうしたんですか?」であっても、それまでの業績は大変立派って場合がいくらだってあるのがこの世界。だから思う。

 彼の人やいかに?

     ぶーん
             ∩
  ・・・・・・・・・・⊂( ‥)
 
 ∧∧
( ‥)おや、探索に

 
 かさこそかそこそ、そっと静かに見守ろう。いつか活字で書く日もあるだろさ。

 


2010年4月26日月曜日

相性が悪いの?

 
 去年、海岸から採集して、ちっちゃな水槽でずーっと飼っていたイソギンチャクくん。エアレーションも濾過も、何にもしないで数ヶ月に一度の頻度で水換えをする程度。

 しかし、なんか最近もっさーっと海藻が生えてきて、反対にイソギンチャクくんはなんか元気無くてぺしゃんこ状態。

 海藻がのびすぎた芝生のようになってしまったので、とってみると

    ( ‥)水槽の砂利の表面、そのほとんどが
      -⧻ 一緒に抜けました。
 ∧∧
( ‥)根というかなんというかを
    張り巡らせていたんですね。

 ちっちゃな水槽は一気に明るくなり、しばらくしたらイソギンチャクくん、ふわっさと触手を展開。元気な様子。

    (‥ )イソギンチャクと海藻って相性が悪いのかね?
 ∧∧
( ‥)どうなんでしょうね?

 どっちも付着生物だから相性が良いわけないとも言えるけども、考えてみれば不思議なことでもある。

 

2010年4月25日日曜日

沈黙か、それとも勘違いか

 
 独自の理論を考えてしまう人は多い。

 ∧∧
( ‥)まあ、そりゃあ人間ですからね

    (‥ )現象を説明する仮説を思いついちゃうのは
        当然だし、自然なことなんだよな。

 しかし、

 自分の理論はこんなにすばらしいのに、なんで誰も相手にしてくれないの? 研究者はなんでオレの理論と違うこと言っているの? オレ様は足し算、引き算、かけ算、割り算を駆使して計算したけど、研究者の答えはなんかおかしいよ、合わないよ。なんなのこれ? なんでマスコミはこれを無批判に取り上げるの? なんでオレの理論を取り上げないの?

 ははーん。分かりましたよ。お前達みんなバカなんですね??

 ∧∧
( ‥)まあ、「自分以外が全員馬鹿」仮説というのは、
    自分の理論が取り上げられないという現象を
    説明する仮説ではありますね。

     (‥ )説明する仮説ではあるんだよな。

 まあなんだ、どっかでオレ様鳥進化論を展開している掲示板とか、恐竜絶滅は隕石衝突が原因じゃないぴょん、計算が合わないぴょん、理屈がおかしいぴょん、30万年前ーー!! とか、ネオダーウィニズムは間違っているのは明らかなんですプンプンとか、そんなのはネットだろうが、本だろうが、時にはマスメディアやサイエンスライターにおいてすら(ごくごくまれではあるが論文にも)現れることなんだけども。

 でもさあ、お茶でも飲んで、落ち着いて考えてみようじゃないの。この状況を説明する、もっともっと楽で簡単な仮説があるよねえ。

 ∧∧
( ‥)自分が間違っている。自分が見落としをしている。
    自分で計算した時の前提が現実と違う、
    役にも立たない公式で計算した。etc...

    (‥ )「自分以外が全員馬鹿だ」仮説より
        「自分が馬鹿でした」仮説の方が
         現実的だと思うのだけどもね。

 というかほとんどの人はまずは「自分が馬鹿でした」仮説の方を考えるのではなかろうか? 実際、例えば学生時代に計算したのに答えが違うのだから、この問題集が間違っているなんて、叫ぶ奴はいない。そうではなくて、あれ、おいらはどこで計算間違いをしたのかな、、、、そう考えて見直すものだ。

 しかしいざ社会に出ると、

オレ様の理論と違うから研究者は全員馬鹿、読んだことはないけど、論文は全部紙くず!!

 とこんなことをネットや一部書籍で叫ぶ人はすでに申し述べた通り、意外といる。

 でっ、ふと思う。

    ( ‥)もしかしたらだよ、学校の授業中にも
       「オレ様の答えと違うこの問題集は間違いかも!!??」
        そう思っていたやつって、実はいたのかな?
 ∧∧
( ‥)オレ様理論屋さんの予備軍は子供時代からずっといて、
    ずっとずっと「おかしい、変だ」と思っていたのだけど
    ただ黙っていたので目立たなかったのだと?

 
 いやだって、妙じゃないかい? 授業中に「この問題集は間違いです!! オレが正しいです!!」そういう風に叫ぶ奴はいないのに、いざ、社会に出ると「オレ様正しいです、偉い研究者は間違いだ」と言う人間がいきなり出現するというのは、どうもおかしい。

 ∧∧
( ‥)そういう人たちは、方程式は解けるけど、
    経験的に論文の妥当性の判断をつけることができない。
    単純にそういうことなのかもしれません。
     
    (‥ )そうねえ、そういう説明もできるよなあ。

 例えばの話、科学は矛盾のない論理的な体系である、そう思い込んでいる人は「自分の頭の中では理路整然と成り立っている体系なり世界観」を作り上げることさえできればそれで十分だと考えるかもしれない。

 実際、「矛盾のない体系=科学=真実」と設定するのであれば、理路整然としている体系の作成=科学=真実となるだろうし、そうでない体系は自動的に≠科学≠真実ということになるだろう。

 論理は経験を認めることがほとんどないので、仮説(この場合は自分のもの以外の理論)をサポートするデータは無視するだろう。

 ようするに彼らは経験的に論文の妥当性を判断することができないだろう。

 彼らが認めるデータはせいぜいのところ、「すべてのカラスは黒い」を破壊する「白いカラス」のような証拠だけではなかろうか? 逆にいうと一見すると「自分以外の仮説」を反証して完全破壊するような(最低限、彼らにはそう見える)データにすぐ飛びつくのはこのためか?
 
 ∧∧
( ‥)そう説明すれば「授業中に叫ぶ人」がいないことと
   「社会に出てからオレ様理論を声高に叫ぶ人」が出現すること
    この2つが説明できるのでは?

    (‥ )オレ様理論屋さんは学生時代にどんな挙動を示していたのか?

 彼らはちょいとばかし勉強ができたんだろうか? あるいは世界が自分とずれてしまう不満をずっと心の奥底に抱え込んで、沈黙してきたのか?
 
 それは沈黙か、あるいは勘違いか? いずれなりや? あるいはいずれでもないのか。

 
    ( ‥)じつはさあ、学生時代の記憶を辿ると、
       1人、怪しいやつがいたのを思い出してなあ。
 ∧∧
( ‥)ああ、この人ですね
  -□ ←メモリー


 彼の場合、以上のどっちでもあるような・・・
 
 
    
 

カラスと乙女

 
 こと座流星群。極大は過ぎてしまったけども、ひさかたぶりに夜の丘へ

 ∧∧  流れ星、流れませんね
( ‥)
 -( ‥)そうだねえ。


 ベンチで寝っ転がって空を眺めると、360度とまではいかないものの、ぐるりと見渡すことができる。とはいえ、秋、冬には枝だけだったサクラの葉っぱが今ではのびて、視界に見通せない場所ができていたのも事実。

 というわけで、広場の北にある(こっちは寝転がれない)ベンチへ移動。

 ∧∧  流れませんね
( ‥)
 -( ‥)そうだねえー


 日付も変わって12時を過ぎ、東の空には青く、白くベガ(織り姫)が輝き、その左下にあまり目立たずにデネブが、右下の離れた場所にアルタイル(ひこ星)。やっぱりちょっとぱっとしない


*
 ∧∧
(‥ )天頂、すなわち頭の上にある赤っぽい星は
    アルクトゥルスですね。

     (‥ )うしかい座のアルファ星であるね。
         脇のかんむり座もここらにしては
         よく見える。

 南にはさそり座のアンタレス、南西には明るく輝く土星とその下に見える乙女座のスピカ。地平線には西空に傾き沈もうとしているからす座と、半月がしし座の下にあり。

 星は流れないものの、神奈川県の中央としては悪くない夜空を楽しんだことだし、帰ろうとしたその時


 ∧∧  あっ、流れました \
( ‥)           *
 -( ‥)流れたね。

 乙女座の南西、からす座の少し上を、ぽろーっと、やや明るい、ちょっと鈍い色をした流星が少しゆっくりと流れた。流星群によって流れ星の様子がどうも違うらしいのは面白い。流れた場所はこと座の輻射点とは天空をはさんでの反対側だけども、流れた向きを反対へ延長すれば輻射点に辿り着く。やっぱり、こと座流星群の流れ星で良いらしい。

 45分ばかし外にいて、見れたのは1つだけだったけども。

 ∧∧ でも見れました。
(‥ )
 -( ‥)いい夜だった。


 空をよぎる高圧電線が、さそり座の上で、ジンジンとかすかなうなりを上げていた。

 

2010年4月24日土曜日

流れる星、小さく

 
 ふと外に出たら

 ∧∧
(‥ )晴れてますよ、晴れてますよ。

    (‥ )おー、ひさしぶりの星空と月だ。

 月は半月、少し買い物にでもいこうと思ってふと眼を上げたら、暗くて小さいけども、流れ星が1つ流れた。

 ∧∧
( ‥)流れましたよ、流れましたよ
 -
    (‥ )うしかい座とかんむり座の間をかすめるように
        流れたねえ。

 はてー? こと座流星群でいいのかな? と思いつつ、星座早見盤で見てみると、おー、こと座の流星群でいいっぽい。

    ( ‥)流れた方向から辿ると、そうね、
      -○ 流星群の輻射点に一致するみたいね
 ∧∧
(‥ )こと座流星群、見れましたね。

 後で、まだ晴れていたら見に行ってみましょうか。こと座が高く上がって、ベガが光り輝くころを見計らって。

 

2010年4月23日金曜日

つつがなきやこの世界

 
 図書館へ資料を探しに。ふと思う。四面楚歌のケラーさん。彼の人はこの先どうする気なのだろうか? 打開できる状況とは思えない。

 電車に乗っているとふと、吊り広告が眼に入る。テレビはもう持っていないから、身の回り以外、自分の眼や耳で見たり聞いたりすること以外、この世界で何が起きているのかはほとんど何も知らない。

 見た限り、世界はいつも同じく、間抜けで平和でつつがなきや。

 でっ

 ∧∧
(‥ )吊り広告によりますと、
    いつだか、引きこもりの事件があったみたいですね

   (‥ )あら本当


 帰って調べて見ると

 ∧∧
(‥ )事件が起きたのは、引きこもりはある状況下で最適解である、
\-   そういうことをあなたがblogに書いたその、ちょうど前の日ですよ。

    (‥ )あら偶然な。

 そんなことが起きていたとはね。あれかな、ワイドショーとかニュースとかでは「なんでこんな事件が起きるんでしょう??」とか「暗いニュースが多いですね どうなっているんですか」とか、そういうもっともらしいけども無害で当たり障りのない(役に立たない)コメント述べて、それで皆が給料かせいでいたのだろうか?

 ∧∧
( ‥)なんか、発展性のない世界ですね。

    (‥ )それがテレビコメンテーターの最適解さね。

 最適解な転落をだしにして、どうでもいいコメントこぼして最適解に金稼ぐ。そうであったとしても、それはそれだけの話。

 ヒトを喰うのは人間だ。

 ∧∧
(‥ )検索だと、引きこもりは社会全体の問題という表現が
\-  引っかかってきます。

    (‥ )そりゃまた役に立たないコメントだねえ。

 そこまで主語がでかけりゃ原因が分かりませんと言っていると同じじゃないすかね。このラジオが故障したのは産業界全体の問題ですと言ってるようなもんじゃあなかろうか? それでなにをどう解決するというのやら。

 ∧∧
( ‥)あなたの仮定、「ひきこもりは最適解」という
   立場からはどうなんですか?

    (‥ )ん? 解決する、それ自体は可能かつ簡単でしょ?

 最適解が成り立つ条件を破壊すればいい。

 ∧∧
( ‥)それで? どうなります?

    (‥ )かごの中で飼っていた鳥を外に離したら
        その大部分はどうなると思う?
 
 人間は先読みする動物だというけども、実際にはそうできるだけでそうはしなかったりする。現在、最適な解答であってもその先はそうではない。そんなこと知っていても今の最適解を捨てられない。目の前の肉か、10年後の生活か? 

 ∧∧
( ‥)目の前のお肉です。

    (‥ )そうだよなあ。

 今の場所が最適でも、時間からみればそうではない、そんなこと、わかっているけどやめられない。しかしチクタクチクタク時計の針だけは進んでく。

 それでもやれる人は何かを残すだろうか? それとも消耗しきってしまうのか?

 神奈川県では霧雨が降っている。こと座流星群の極大は残念、見れそうにない。

 見渡す限り、世界は間抜けでつつがなきや。それがたとえ緩慢な老化と崩壊の過程にあるとしても。

 

 

2010年4月22日木曜日

渚にて、私は流れ着いた人を見た

 
 某図書館へ遠出。書庫にある雑誌を出してもらう間、使える資料はないものかと本を漁っていると、ぶつぶつ小言をいいながら歩いてくる1人の人物あり。

 図書館で寝ているんじゃねーよ、昼間っから会社にもいかずに図書館にいるんじゃねーよ ぶつぶつぶつ

 ∧∧
(‥ )なんか人生を愚痴ってますよ

  ( ‥)まあ、図書館を避難所にしている貧乏人もいれば
    -□ 調べものの最中に寝ている人だっているからな。
 

 はてさて、そんなことを語る人は一体、どんな親父だと思って見たら、言っていること以上に痛い格好で、身だしなみは悪く、無精髭、服装はくしゃくしゃ、背は丸く、低く、当然、覇気もなし。無惨。いや、それともあれか、自分より低い貧乏人を血眼になってバカにしないと、もはや一歩だって歩けないのか。

 座ったら座ったで、勉強したって理屈っぽいやつになるだけなんだよ、高卒で十分なんだよ、会社で理屈をこねずに会社のために働けばいいんだよ、と周囲の学生や調べものをしているサラリーマン、メモをとっているリタイヤした老人相手に聞こえるようにぶつぶつぶつぶつ

 ∧∧
(‥ )あああ、とうとう自分の失敗した人生を正当化し始めました!!

  ( ‥)人生とはままならんものなんよ
    -□ 

 後で見たら、本を開いたまま机に突っ伏して寝てた。

 ∧∧
(‥ )・・・・・・

  ( ‥)あっ、この本、掘り出し物。
    -□

 図書館。そこには漂流した人生が流れ着く。

 

 

じゃすみんてぃー

 
 ∧∧
( ‥)本日、というか昨日はチューリップのスケッチをしました

     ( ‥)萼と花弁とでは特徴が違う?
       -□ ∪
 
 チューリップの”花びら”6枚のうち、花弁は3つ、萼は3つ。内側に3枚、外側に3枚。よく見てみると、花弁と萼とではどうも形というか構造というかが違うっぽい。

 ∧∧
(‥ )花弁は雄しべ由来なんでしたっけ??
\-
     (‥ )だったっけねー?

 それは聞いたり読んだりしただけの話。とはいえ確かに、例えば八重咲きのチューリップを見ると、葯がついた花弁が混ざっていたりするのは事実。

 ∧∧
( ‥)花弁と雄しべは構造が同じ?

     (‥ )? どうなんだろうねえ??

 そういえば2年ばかし前に咲いたチューリップの花をてきとーな押し花にしておいたよな。探してみたら出てきましたのですよ、八重咲きのチューリップのぺっちゃんこ押し花。

 だがしかし

     ( ‥)花弁がくしゃっと重なっているので、
       -゜ そもそも葯がついた花弁があるのか
          分からんなあ。
 ∧∧
( ‥)水で戻してみては?

 押し花標本を水に浸けたり、煮たりすることで構造を観察する、というのは聞いたことがあるぞなもし。でもってやってみる。

 ∧∧
( ‥)どうですか?

     ( ‥)お湯にいれて戻ったジャスミンティーというか、
       -□  なんというか・・・・

 さてー? 構造は残っているのかいな?

 

2010年4月21日水曜日

分類を系統的に教えてほしい

 
 先日、預かった質問にこんなものがあった。

 生物の分類を系統的に教えてほしい。


 ∧∧
( ‥)・・・・

     (‥ )一瞬、何を聞かれているのか分からないだろ?

 知り合いの研究者にこれをふったら、「はっ??」と言って面食らっていた。その人自身は分類をきっちりできる人であるのだけども、やはり先の質問には戸惑うらしい。

 ∧∧
( ‥)まあねえ、分類と系統学は全然別ものですからねえ。

     (‥ )魚の系統分類ってどうなってます? とか聞かれたら、
         取りあえず魚類検索かFishes of the worldを読めばいいよ。
         暫定的な部分はもちろんあるけど、
         そう答えればいいんだよな。

 被子植物の分類を教えてくれと言われたら、合弁花と離弁花、単子葉植物で分けてる保育社の図鑑を見ればいいんじゃない? 系統を知りたいのならPlant Systematics でぐぐって本を買って読むといい。そう答えれば多分オッケー

 だが分類を系統的に教えてほしいとはなんぞいや?

 ∧∧
( ‥)たぶん、知ってる生き物の系統関係を教えてください
    という意味ですよね?

      (‥ )おそらくはね。

 だが一瞬だけども、何を聞かれているのかさっぱり分からなくて頭が混乱するのもまた事実。

 さっき検索をかけて探し物をしていたら「Yahoo 知恵袋」だかなんだかがひっかかってきて、恐竜とは何類なの? という話。ベストアンサーは鳥盤目と竜盤目は別分類という前世紀の遺物のような古典体系とバッカーとかの時代にふと提案されて、しかし系統学の出現で消えていったもののみ。なんでも爬虫類の分類は新説、異説で混乱しているそうな。

 ∧∧
( ‥)実際にはここ1世代あまりの間、
    大枠は固定されてますよね?

      (‥ )してるねえ。

 当たり前と言えば当たり前なのだけども、ようするに世間的にはそういうことは何も知られていないらしい。

 ∧∧
( ‥)まあ、英語圏と違ってそういう本は
    少ないですし。

      ( ‥)日本は科学の情報において
          圧倒的に不利だからな。

 一般の人と研究者の知識や理解には、まるまる20年ぐらいの差が絶えずあると思う。間にいるサイエンスライターってやつも、研究者とずれがあって、実のところ、一般の人とあまり変わらない。

 ∧∧
( ‥)おいおい

      (‥ )悲しいけど、これ、しばしば事実なんよね。


 取材しないと特にそうなるんだ、これが。

 
 

火山な日

 
 
 ∧∧
(‥ )おや、Amazonからメールが届いてますよ
\-
     (‥ )なんて?

 このたび、アイスランドの火山噴火の影響で輸入商品全体の入荷に遅れが生じており・・・

 ∧∧
( ‥)しばらくお待ちください、だそうです
\-
     ( ̄  ̄;)あう

 こんなところで火山するはめになるとは。

 

これを説明する仮説はどれが望ましい?

 
 ふと人から話を聞いて言われたサイトを覗いてみる。

 どうも某ライターさんが書いた本(噂な評価を聞くにしてもかなりやばい本らしい)を読んで感銘を受けたらしく、ショウジョウバエが”ヒトで言えば3〜4万年程度の短期間で”別種に進化するなんて”偶然だのみのダーウィン学説”を危うくするのだ以下うんぬん。

 でっ、その文章を読んでこう考える。


    (‥ )世の中の人っていうか、あれね、少なくとも世の中には
        外見の変化と遺伝子の変化が同時だ、そう思っている
        人がいるってことなんじゃないかな? 
         これは興味深いと思わないかね。
 ∧∧
( ‥)表現形と遺伝形の変化が同時だと?
    冒頭の文言はそういう理解に基づいた誤解(結果的な誤謬)
    だとあなたは解釈しますか?

 というか、、、そういうことなんじゃなかろうか?


    (‥ )あるいはこう? ”Aさんは外見と遺伝子の変化が
    -    同時に起きていると思っている”という仮説は
         以上の文言をうまく説明するじゃん。どうよこれ。
 ∧∧
(‥ )でも、”偶然遺伝子に起きた変異が代々受け継がれて”
\-   という文言も出てきますよ?

 
 あれー? これはどう解釈するべきなんだろ?


 ∧∧
( ‥)まずこうでしょ? 生物の遺伝子はいわばアトムのような
    粒子であるというメンデルの仮説がある。粒子ならば
    融合して希薄化するということはない。劣性遺伝なら
    何百世代経ってもまだまだかなりな割合で残っている場合もある。

      (‥ )だから生物には膨大な遺伝的変異というストックが
          すでにある。それを淘汰すれば、そりゃあ急激な
          進化が起きるわなあ。今西だの断続平衡説だの
          そんなものを持ち出すまでもなく集団遺伝学で。

 そういえば昔、育種の方が書いた本であったよな。仮にこれらの野菜、果樹に今後一切の変異が起きなかったとしても品種改良は無限に可能である。

 ∧∧
( ‥)無限かは知りませんが、言わんとすることは
    分かりますね。

      (‥ )組み換えとかも考えなきゃいかんのだろうけども、
          そう豪語するのは当然だと言えば当然だよな。
 
 でっ、それを踏まえて考えるに、偶然頼みだから無理というのは、そもそも淘汰を考えにいれていない、そういうことか。少なくともまずは最初にそう思う。

 しかし

 ∧∧
( ‥)でも生存競争はみんなが知っている単語ですよね?

      (‥ )すると行き着くのさね、外見と遺伝子の変異が同時。
          ようするに、遺伝子を粒子として理解していない
           のではないかと。

 仮に”そう理解している”とすると、例えば彼が生存競争を知っていて、それがふるいとして機能すると主張されていることは知っていても、手持ちの玉がたまたまふるいを通る(あるいは通らない)大きさに変異しなければ自然選択なんか働くわけがないわけだし、その時、たまたま変異する可能性は低いのだから自然選択は機能するわけがない。そう解釈するのではあるまいか。

 ∧∧
( ‥)というのがあなたの解釈ですね。

      ( ‥)なのだけどねえ。

 ∧∧
( ‥)その人たちが生存競争がふるいとして
    機能するということを知っているかどうかも
    また問題ですが。

      (‥ )知らないなんてことがあるのかね?

 ∧∧
( ‥)ネコがネズミを丸かじりしても
    それがふるいだなんて普通は
    思わないのでは?

      (‥ )生存競争と自然淘汰を知らないのか、
          あるいはメンデル遺伝を知らないのか・・・

 さてさていずれなりや?

 ∧∧
( ‥)第3の選択肢。両方知らない。

      (‥ )それはまことに妙な話であるんだけどね。

 昔、血液型占いにこんなのがなかったっけ。同じA型でもAOとAAは違う。

 ∧∧
( ‥)メンデル遺伝ですねえ。典型的な。

      (‥ )こんな話が占いでまかり通るわけだろ?
          逆に言えばだよ、メンデル遺伝は粒子で
          考えるということを知識として知らないわけがない。

 いやしかし、メンデル遺伝=遺伝はいわば粒子だから融合希薄化するなんて考える必要はないよー。という理解をする必要は必ずしもない、と言われれば、そうでもある。

 ∧∧
( ‥)メンデル遺伝を知ってる≠融合希薄化はありえない
    ですね。

      ( ‥)さてもさても、仮定が多く、
          未知なることもあまたある人間の理解なり。

 
 *今回は存続をめぐる争いを、生存競争という単語で代用しています。

 ∧∧
( ‥)それにしても、あなたはこういう話に
    意外と食いつきますね。

      (‥ )融合遺伝時代の人間の思考を読み取る
          事例になると思わないかね?

 なかなかに興味深い。


 

こと座の流星群

 
 4月の22日にこと座の流星群が極大に。

 ∧∧
(‥ )でも、神奈川県は曇りか雨のようです
\-
     (‥ )やれやれ、残念だね。
         ドイツの方はどうなんだろう

 まあ、流れる数は、なんでも1時間に10個程度とかそんなものらしい。そんなものらしいけど・・・

 ∧∧
( ‥)だけど見たい?

     (‥ )それでも見たい。

 
 だが、なかなか世の中うまくはいかぬ。


 ∧∧
( ‥)今の季節なら、こと座は夜もふければ
    東の空に上がってきてますよね?

     (‥ )そうだねえ。この前、夜中に家から出たら
         もう、夏の大三角が見えたしなあ。

*夏の大三角 デネブとアルタイル、ベガからなる三角のこと。


 こと座のベガ(織り姫)というと冬も終わりに近づいた早朝、東の空にあかあかと、早々輝いていたもんだったけども。

 ∧∧
( ‥)織り姫だけにベガには夏のイメージがありますけどね。

     (‥ )あの星は北極星に近い上に明るいからなあ
         夏以外でも意外と目立つのよね。

 反対に彦星のアルタイルは今ひとつぱっとしない。

 

2010年4月20日火曜日

工事中

 
 HPのコンテンツを色々と見直して、生命の樹の内容をバージョンアップしなけりゃあいかんぞなと。

 ∧∧
( ‥)何年も前にざっと大枠を作っただけ
    でしたからね。

    (‥ )今は被子植物を作っているわけだが。
     □-  同時並行して甲殻類と節足動物、
        哺乳類、爬虫類をバージョンアップしなければ。

 とはいえ、ざっくりとした工事が終わるのに2年ぐらいかかりそう。
 
 


オオシマザクラ

 
 某所で見かけたサクラ、調べてみたらそれはどうもオオシマザクラだった。


 ∧∧
( ‥)ソメイヨシノさんよりも
    白いんですね。

     (‥ )同じサクラでも、調べて描くと
      □-  色々な違いが分かるもんだなあ。

 昨日はタンポポを描いたが、さて、タンポポやいかに?
 
 

 
 

2010年4月19日月曜日

つるつる

 
 ふと、ベランダに咲いたチューリップを見ていたら、ちいちゃなハチが花の中でじたばたしている。チューリップの花がいわば花瓶状で花弁がつるつるすべるからとっかかりがないらしい。羽を動かし、ぶーんと飛んで一回外に出て、それから花弁の縁につかまってからもう一度、花の中へ。

 ∧∧
(‥ )わさわさと花粉をかき集めています。
    (‥ )器用だねえ。

 自分よりも大きな雄しべの葯にしがみつき、かきかきと花粉を後ろ足へと集めてく。そしてつるつるすべりながらもやがて飛んで、出て行った。

    (‥ )花が昆虫をトラップするのってすごく簡単な
        進化ですむのかもな。
 ∧∧
( ‥)原種のチューリップはもっと広く花を
    咲かせますよね。

 原種はもっと昆虫に優しいのかもしれぬ。

 

2010年4月18日日曜日

サクラ咲く

 
 サクラのコンテンツを改良して、ソメイヨシノのスケッチをアップ 約束。

 ∧∧
(‥ )ソメイヨシノは葉っぱの蜜腺の位置に
\-   ずいぶん大きな変異があるみたいですね。

     (‥ )そういえば、ソメイヨシの葉っぱを手にしたら
         蜜腺が1つだったり2つだったりしたよなあ。

 てっきり、ソメイヨシノは接ぎ木で増やすから、このちんみょうな葉っぱは台木の芽だろか? とか色々なことを考えてた。文献によるとソメイヨシノは野生化したものや雑種があって、ややもするとそれぞれの個体の有様たるや混乱的な状態らしい。

 さて

 人間のあるべき姿とはなんぞいや?

    (‥ )生活するのに充分な給料がもらえる状態である。
    -   しかし自由競争が働く世界で、リストラの可能性もある。
        この世界で利益最大にするにはいかにする?
 ∧∧
( ‥)そこそこ必要以上にがんばるとか、でも危険なことはしないとか、
    よらば大樹の陰で、成功した人に群がるとか?


 コストは最小限にして利益を防衛すると。
 

    (‥ )では、給料が安定的に保証されていて充分に高く
         なおかつリストラもない場合は?
 ∧∧
( ‥)要求される最低限度の仕事をして、それ以上働くとコストになるから
    それ以上は働かなくなるのでは?
 
 定時出勤、定時帰宅


    ( ‥)では仕事しなくても衣食住が保証されている場合、
        利益を最大にするにはどうすればいいか?
 ∧∧
( ‥)そりゃあ、、、働かないことですよね?

 リスクをとってまで華々しい成功をつかむ気がないのなら、この場合は働かない時こそ利益最大。


    (‥ )つまり、引きこもりと親のすねかじりなニートこそが
        人間のあるべき姿!!
 ∧∧
( ‥)はあ、、まあ、条件次第ではそれが
    最適解かもしれませんけどさ。
    なんか落ちるとこまで落ちたというか、、、。

 落ちるとこまで落ちる。それはつまり。

    (‥ )位置エネルギー最低。おう、つまりこれが一番安定的だ。
        あくせく働くのは不安定状態だったのだ!!
 ∧∧
( ‥)まあねえ、そっから登るの大変そうですけどねえ。


 水は低きに流れる。位置エネルギー最低になったら、これをもう一度押し上げるのは大変なエネルギーを食うのだなあ。

    (‥ )世界は理不尽だ。
 ∧∧
( ‥)いや、それがこの世界の振る舞いでして。



 さて、人間原理って言葉がある。

    (‥ )人間原理を知ってるかい?
 ∧∧
( ‥)あれでしょ? あなたたちお猿さんが宇宙を認識すると
    お猿さんの生存に適した状態に宇宙が確定するってやつでしょ?

 こんなジョークがあるそうな。


 人間が宇宙を認識した時

 宇宙は人間の生存を許す絶妙な物理定数へと確定した。

 しかし、人間が幸せになるような定数には確定してくれなかった。


 ∧∧
( ‥)ザマミロ猿!!

    (‥ )はっはっはっ

 きっとこの宇宙のほとんどは失望で出来ているに違いない。

 とはいえ、ソメイヨシノはきれいであった。

 そして約束は1つ果たされる。私はここにいる。



2010年4月16日金曜日

世の中間違ってると思った時それは自分が間違っている

 

 ∧∧
(‥ )レディー・ガガって
\-   なんですか??
 
    ( ‥)ソフビ
      -□

 ∧∧
( ‥)はい?
\- 
 
   ( ‥)ソフビがすかした
     -□ 美少女フィギアたちに
        本気のさば折りを
        ぶちかまして大暴れ

 あれが常々噂に聞いた、人々が仰ぎ見る希望というものか

 閑話休題
 

 世の中が間違っていると思った時、それはそう思った自分が間違っている。

 ∧∧
( ‥)そう言ったら、
    相手に反発されました。

    (‥ )じゃあ、
        こういったらどう?

 世の中が間違っている、そう思った時、それはそう思った自分が手にした仮説が、世の中の動態を記述することに失敗したことを示している。

 ∧∧
( ‥)こうあるべし、
    こうすれば皆が
    もっと幸せになれる
    そういう理想像を
    誰もが持つのです。

   (‥ )こう調整すれば
       より利益が得られる。
       そういうプランの
       提示だよね、それは。

 しかし、そういうプランが人間や社会の動態や振る舞いや、あるいは現実の有様を記述できる仮説とは限らない。

 ∧∧
( ‥)まあ、、、
    そうとは限りませんね。

     (‥ )というか、むしろ
         逆じゃねーか?
 

 ”あるべき姿”を提示した。
 
 そうだと言うのなら、それはすでにして現実の有様を記述できていないのではなかろうか?

 あるべき姿と今の姿。
 
 今の姿に絶望したから、あるべき姿を提案したんじゃねーの? だったら、そのあるべき姿とやらで、今の姿は説明できんわなあ。

 ∧∧
( ‥)かくあるべし、という
    理想論は今現在の有様を
    説明していない、
    むしろ積極的に否定する
    理論であると?

     ( ‥)ならば

 そんな理論が挫折するはこれ必然。

 現状を説明することもできず、記述すらできていない仮説が機能するとは思えない。そんなもの、ポンコツだポンコツ。

 かくて理想は必然的にポンコツ役立たず。ゆえに未来永劫、永久に敗北する運命。しかし言った連中は怨嗟の声を上げて、恨みの目で人々を見ながら干涸びる。あら悲し。

 ∧∧
( ‥)どうすりゃ
    いいんですかね?

    (‥ )えー? 
        てきとーにやりゃあ
        いーんじゃねーの?

 肩ひじはると干涸びちゃうよ。
 
 
 

2010年4月14日水曜日

世界は際限もなくぶれるという理解

 
 科学ニュースの分野で時々言われる表現。

 この分野では次々と新しい発見があって3年、5年もたてば仮説ががらりと変わる

 ∧∧
( ‥)ああ、恐竜好きな人の間とかでもそういう表現が
    使われることありますね。

     (‥ )端から見てると、いやあそうかあ?
         という感じなんだけども。

 先日もほとんと同じことを言われて、「はあ、そうですかね」と返す言葉が濁った。いやいや、恐竜なんてこの24年の間にただただ答えが収束していってませんかね? ぶれがでかくなる事例なんかあったっけ。確かにここ壊れるんじゃないか? という箇所がじりじり壊れはじめているように見える事例もあるけども、それも結局のところ収束だよなあ。

 考えても見れば、新しい発見があれば仮説や理論ががらりと変わる。それも3年とか5年なんていう短いタイムスパンでがらがら変わるってのはずいぶん奇妙な世界観でもある。理論や仮説ってのは既存のデータを説明するものであって、1つや2つの新しいデータを加えたり抜いたりすれば壊れるなんていうものではそもそも困る。

 ∧∧
( ‥)そんな脆弱な理論は普通、提案しないでしょ?

     (‥ )出してもいいけど、そんなではすぐにつぶされて
         スタンダードになる暇なんか、そもそも
         ないだろうしなあ。

 まあ、確かにあんまりよろしくない理論に基づいた論文が数年ばかし流行して、そして丸ごと消滅するってこともあるらしい。

 ∧∧
( ‥)でも、あなたの言っているその事例って
    その理論を採用しない他の研究者(複数)が
    「いや、こんなんだめだろ」とずーっと
     言ってたやつでしょ?

     ( ‥)だって話だな。
 
 なんか流行ってるなー(分野がちょっと遠いので又聞き小耳)、と感じていたらいつのまにか聞かなくなったので、どうしたんだろ? と思っていたら実のところそんな話であったことが本に書いてあった。
 

 翻って考えるに、データからグラフを描いた後で、1個か2個の新しいデータを加えたら途端に既存のグラフが大きく壊れるって事例は、日常生活からしてもあんまりない。

 ∧∧
(‥ )まあ、重大なことを見逃していたのに気がついて
\-   はっ!! そうか、と大騒ぎになることは
     ありますが。

     (‥ )でもそれだってあれさね。結果を引き起こす
         小さいけども重大な原因(ほとんどその単一の原因で
         結果を導き出すような強烈なやつ)を見逃していたとか
         そういう場合さね。

 ふとした、でも致命的な計算間違いを見つけた、そんな感じ? 

     (‥ )でも、でっかい母集団の中からサンプルを幾つかとって
         母集団の傾向を推論するような場合、1個か2個の
         追加データで結果がどかーんと変わるかね?
 ∧∧
( ‥)あんまりありそうにないですねえ。


 3年、5年で理論や仮説ががらがら変わるという世界観はかなり奇妙に思えるし、事実、世界はそういう風にふるまっていないと思う。

 

2010年4月13日火曜日

すんげー生物って話

 
 古墳まで出かけて花咲くサクラをスケッチ。高台から丹沢の山々に降りていく夕日を眺めるカップルを見た小学生が、「うわ、やべーよ、あのカップル」とつぶやきながら自転車で駆けていった。

 南風にあおられてサクラの花びらが飛んだ。
 
 ∧∧
( ‥)でっ?

    (‥ )例えばの話、レンズ眼を共有するからといって
        タコと人間は単系統であると言ってよいか?

 ∧∧
( ‥)よくないですね。

    (‥ )最低限あれだよね、他のデータが
        支持してくれそうにないよね。

 派生形質を共有することが必ずしも単系統であることを保証するわけではない。


    (‥ )ざっくりというと人間は裸の動物である。
        「体毛を退化させた」というこの派生形質を
        共有していないからチンパンジーとゴリラは
        人間とはまったく別系統であると言ってよいか?

 ∧∧
( ‥)だめでしょ?
 

 派生形質を持っていないからといって別系統とは限らない。


    (‥ )レンズ眼という派生形質を(ほぼ)一律に共有する
        頭足類に対して、同じ軟体動物ではあるが巻貝、
        二枚貝の眼の構造は色々な形式のものがある。
        これをもって巻貝や二枚貝の方が異質性が高いと言えるか?
 ∧∧
( ‥)はあ、いやあ、何をどう比べるんですかね??

 
 とっこのように考えた時、

 ワンダフル・ライフのロジックは私にはさっぱり分かりません。


 
        

すばらしきかな?その人生

 
 スーパーで切り花を見る。ヤマユリの手合いと思われるものは雄しべから葯がとられていたけども、テッポウユリかタカサゴユリとおぼしきものは葯が取り除かれずにレモン色の花粉をこぼしていた。

 ∧∧
( ‥)花粉がさほど強烈な色でない場合、
    取り除かないということでしょうか?

    (‥ )かもね。

 さてさて

 何気に部屋の隅に置いておいた「ワンダフル・ライフ」著グールドをぱらぱらとめくってみる。いつも見るたびに思うけども、訳の分からない本。

 共有原始形質で束ねられた節口様類は系統群ではないから既存の節足動物とは異質のグループであるとか

 ∧∧
(‥ )早川書房の大判では261ページの記述ですね
 □-

    (‥ )共有原始形質で束ねられただけのグループは単系統群である
        とは限らない、としか言えないし。
        かつまた、そこに入れられた生物が
        派生的な形質で束ねられた系統群と近しい系統関係にない、
        とも言えないんだよなあ。

 ∧∧
( ‥)一応、これは人様の見解を紹介しているよ、という
    体裁をとっている箇所ですけどね。

    (‥ )人様の見解だろうが、自分自身の見解であろうが、
        引用したからには、その妥当性が問われることに
        なるのだがね。

 まあ、実際、314ページとかでも同じ論法が使われているので、グールドさん自身もそう考えていたんでしょう。ようするに原始形質だけでは単系統群だとは言えない、を、原始形質なのだからまったく別の系統群である、と拡大解釈している。

 ∧∧
( ‥)混乱的?

    (‥ )混乱的。言い出せば切りないぜ、この本。
     □-

 共有原始形質は単系統群を束ねるものになるとは限らない、という論法は分岐学の見解だけども、こうした論法を以上のように拡大解釈して使う(というよりもむしろ曲解している)一方で、分岐学ではバージェスは語れない(318ページ)と主張する(でもほんのちょっと後にブリッグスたちの論文が出ちゃうんだけど)。

 また、例えば、

「合体節化というパターンを共有する上で現在の節足動物はバージェスのものと異質性の点で劣っている。バージェス動物群が滅びたから合体節化という手がかりが使えるわけだが、このような過程で重要になった合体節化を異質性減少の根拠として使ってはいけない、というのはおかしい」という307ページの主張は

 ∧∧
( ‥)なんか難しい文章ですが

     (‥ )ようするにこういうことじゃね?

:AはBよりも異質性が低い
:AがBよりも異質性が低くなった理由はCである
:理由CをもってAがBよりも異質性が低くなったと主張してはいけない、という仮想的な反論Hがあるとする
:だが仮想的な反論Hはおかしいことは明らかである
:以上の結論からAはBよりも異質性が低いと考えてよい

 ∧∧
( ‥)?

     (‥ )意味がないんだと思います。

 まあこんな難しい話で頭をこんがらがらせる必要はないんじゃなかろうか。「合体節化という派生的な形質を共有している生物=単系統群=合体節化を共有していない生物群と別系統」ではない。

ようするに

合体節化という派生的な形質を共有している生物≠単系統群≠合体節化を共有していない生物群と別系統

 事実、合体節化は収斂かもしれない。また、合体節化を共有していないからといって(距離はあるかもしれないが)別の系統群であるとは限らない。

それがどういうわけか、グールドさんの世界では派生形質Aを共有しているから単系統群だ(あるいはひとつの分類群だ)、派生形質Aを共有していないから別系統群だ(あるいは全然別の分類群だ)、派生形質Aを持つものと持たないものとでは距離があって持たない者の方が異質性が高い、になっているわけで。

 ∧∧
( ‥)まあ、それはあなたが分岐学のパラダイムで
    考えるからでしょ? とか反論する人も
     いそうですけどね。

    (‥ )パラダイムって便利な言葉だけどさあ、
        方法論の妥当性それ自体は語ってくれないんよね。
        というかむしろ妥当性のなさをあえてマスクする目的で
        詭弁に使われやすい言葉じゃね?

 パラダイムなんて、そんなお上品な言葉だけじゃあ科学の世界じゃ勝てないさね。

 そしてまた、ワンダフルでライフな論文がその後出たのかと言えばどうだろう? そうでない論文ばっかだと思う。

 

 

2010年4月12日月曜日

なんで注意してくれないの?という叫びを聞いた

 
 昔、こんなことがあった。その場にいたところ、サイエンスライターというかフリーのジャーナリスト2名が言い争いを始めた。ようするに

「あなたが取り上げて記事にしている仮説は科学界のスタンダードではない!!」

「スタンダードである仮説が必ずしも正しいわけではない!!」

という言い争い。まあ、要約すればそういう話。

 ∧∧
( ‥)あなたは黙って見ているだけでしたね。

    ( ‥)どうでもいいことだからな。


 まあ、それはともかく、とうとう一人が怒って言った。

「私の記事が正しくないというのなら、なんで研究者は文句を言わないんですか!!」


 ∧∧
( ‥)なんでだと思います?

    (‥ )その人の本を研究者が知らないか、どうでもいいか
        そのどっちかだろ?

 例えば漫画や雑誌は多くの人に読まれるが、1人1人の個人が読む漫画や雑誌はごく限られている。多くの人が読んでいる媒体でさえ、個人がフォローできる量なんてごく一部。ましてや理工系の本の販売部数なんてたかが知れているわけで、中身に問題のある記事を述べた本が3000部売れたからといって、別にどうなるわけでもないし、ましてや研究者のアンテナに引っかかるわけでもない。

 とはいえ、実のところさきに取り上げた人の本(複数)の内容に関しては「おいおい」と思っている研究者が幾人かいて、実際、「ああ、あの人ね、しょうがないよねー」と感想を述べているのは見たことがある。ただ、面と向かっては言わないというだけの話。そりゃあいちいち言わないよなあ、みんな本業があるわけだし。

 ∧∧
( ‥)もちろん研究者の言うことや
    現時点でスタンダードな仮説が
    絶えず正しいわけじゃないでしょ?

    (‥ )そりゃあそうだね。

 有名大学の教授なのに全然業績がない人もいれば、若く精鋭で、えっらく敷居の高い国際誌にがんがん投稿している人もいる。反対に若いのにまるで後ろ向きで、ああこの人もうだめだな、という人もいれば、数学からプログラミング、本業から科学哲学まで全部こなして的確に物事を指摘する人もいる。

 研究者の能力や実績、その言葉の妥当性はそれぞれ様々で、当然、それらの言葉が絶えず正しいということはありえない。しかし絶えず間違っているわけでももちろんない。研究者の言葉が絶えず正しいわけではないのだからオレ様正しい、という論の展開はありがちだけども、それは意味がないし、説明になっていない。

 そしてかつまた、現時点でスタンダードな仮説だからといって、それがそのまま妥当であり続けるわけではない。しかしさりとてスタンダードな仮説が絶えず間違っているわけでも、また当然ない。もう150年もスタンダードなのだから、そろそろ壊れてもいいはずだとか主張する人もいるけども、そんな論証はもちろん意味がない。

 ∧∧
(‥ )検証で生き延びてきた=これからも生き延びる、ではないけども
\-  最低限、スタンダードな仮説は実績があるとは言えますよね。

    (‥ )つまりだ、スタンダードでない仮説をサイエンスライターが
        あえて取り上げた場合、その選択肢の妥当性は当然、
        問われるべきことなんだよねえ。

 検証にさらされたにも関わらず生き延びてスタンダードになった仮説は、実績があるのだと言える。

 それを無視して、今だスタンダードになっていない少数派の(悪くすると衰亡して少数派になった)仮説を取り上げる場合、それなりな理由が必要だ。

 ∧∧
( ‥)研究者から注意がないではないか、とかうんぬん以前に
    そもそもその仮説を採用した妥当性を説明できますか?
    ということですね。

    (‥ )まあ、ご本人は説明できると思っているから
        あえてその仮説を取り上げたわけだけどね。
 
 この喧嘩のもとになった人の場合、その点に問題があるとしたら、あえて取り上げるに至った説明が説明になっているようには聞こえないってだけの話で(少なくとも北村には説明になっているようには聞こえなかった)。
 
 
 ∧∧
( ‥)でも難しい問題でもありますね。
    それは何を持ってその説明を妥当と見なすのか?
    ということでもありますからね。

    (‥ )妥当な論証をするには、いかなる論証の仕方が
        妥当であるのか、それ自体を論証しなけりゃいかんのよね。

 研究者もスタンダードも馬鹿で間違いで保守的で、しかるにオレ様正しいからオレ様の理論も結論もまた正しい。普通に考えてこんな論証はバッテンなんだけども、じゃあなにゆえこの論証は駄目なのか?

 あるいは逆にいうと妥当とされる論証とオレ様な論証の相違点とはなんぞいや?

 そういうことが絶えず問われるし、それを論証せよ、かつまたその論証が何ゆえに妥当なのかを論証せよと問われます。


2010年4月11日日曜日

それに意味があるかと問われれば、無しと答える

 
 そういえばこんなことがあった。

 最近になってあるサイエンスライターが恐竜の絶滅は隕石衝突が原因ではなく、衝突が起きる前からすでにじょじょに滅びていた。隕石衝突は衰亡した白亜紀の生態系にとどめを刺したにすぎないという内容の本を書いた。

 ∧∧
( ‥)じょじょに滅びた説ですね。

    ( ‥)実際には化石記録が充実するにしたがって、
        じょじょに滅びた説はじょじょに怪しくなって
        きたよねー、というのが研究者の流れだったと
         思うけどもね。

 興味のある人は「恐竜学 進化と絶滅の謎」とか「白亜紀に夜がくる」とか読んで、それから論文にまでいってくださいな。


 まあ、それはともかく

 そんな本が出たのだが、一ヶ月もしないうちに、「結局のところさ、恐竜絶滅は隕石衝突でよくね?」という論文が出て、テレビや新聞でも報道されることになる。

 つまるところ、先のサイエンスライターさんの書いた内容は研究者の動向と一致してないんじゃないの? ということなんだけども、とはいえ、この不一致に気がついた人はどうもほとんどいなかったらしい。

 当たり前と言えば当たり前。読んだ本の内容が妥当かどうか、他の本や論文まで読んでそれをクロスチェックする人間なんかそうはいない。いざとなればそうする人間だって、聞いたすべてのことに関してそうするわけではない。

 ∧∧
( ‥)でっ?

     (‥ )サイエンスライターって何者だと思うかね?

 妥当性の追求。そういう淘汰圧はサイエンスライターにはほとんどかかっていないと思うし、こういう事例は事実としてそうだということを例証しているように見える。

 そしてそうなってしまう原因もまた示しているように見える。

 ∧∧
( ‥)?

     (‥ )サイエンスライターが妥当性を必ずしも追求しないように
         消費者も手にした情報の妥当性を必ずしも追求しない。

 まあ、当たり前の話ではある。そういう手間ひまと技術をサイエンスライターに委託する代わりに、それに対して対価を支払っているんだから。だがしかし、それゆえにサイエンスライターには妥当性の追求という淘汰圧が充分にはかからない。

 一冊の本を書いた場合、現実的には3000人あまりが本を買って読んでくれるが、逆に言うと3000人しか読まない。

 本の内容が妥当であってもそれは3000人しか伝わらない。

 とはいえ、たとえ間違っている本であっても、その間違いは3000人にしか伝わらない。

 ついでに言えば、

 ∧∧
( ‥)間違っていようが、正しかろうが、本の
    内容を吟味する人はさらにその何分の1かだと。

      (‥ )正しい、あるいは妥当な結論に到達できるのは
          さらにさらに少数。

 間違った妥当でない本から正しい結論へ自力で至る人もいれば、反対に妥当な内容を曲解してオレ様理論を思いついちゃう人間だっているだろう(というかいる)。

 妥当でない本を書き続けてもその悪影響はあまりないんだろう。

 だが妥当な本を書き続けてもその影響もまたあまりない。

 ∧∧
( ‥)妥当な本を書くことに意味はない?

      ( ‥)意味はない。

 だが効果は0ではない。1億2000万の3000はほんのわずかではあるが、それは0ではない。

 ならば問える。

 これまでの50年間なにしてきたの?

 だから言える。

 このままなら次の50年もどうせ失敗するよ。

 

 

2010年4月10日土曜日

サクラはまだ残っているか

 
 眠い、疲れた、仕事が(一応)終わった。

  
     ( — —)あー、やる気ねーや、もう。
 ∧∧
( ‥)あらー、電池切れですか。
    体力ナッシングですね。

 人間、35を過ぎれば体力の低下を食い止めるのが精一杯。油断しているとあっという間に馬鹿になる。オレ様、頭いいー!! それが分からないお前ら馬鹿、とか思うだけじゃなくて言葉にして言いはじめたら、それはもう死人と同然。あら、いやだ。死ぬなら前向き、全力で。

 
     ( _ _)もう、寝ていい?
 ∧∧
( ‥)まだ、お昼ですよ?

 先日、ちょいともらってきたサクラの花はまだコップの中で咲いている。元気なうちにスケッチしないと。




常識的な頭に体力を

 
 例えばある人が科学に関する記事を書くことになったとする。

 その人が比較的まっとうな内容を書くために一番重要な条件ってなんじゃらほい? と考えた場合。その人の頭の出来が常識的であるというのならば、


    ( ‥)そうねえ、大事なのは体力じゃないか?
 ∧∧
( ‥)? 体力ですか? 頭じゃなくて?


 いやだって、体力ない奴は本を読まんがね。せいぜい2、3冊読んで分かった気になっちまう。それも難しいことを理解しようという気力がないから、研究者の書いた本は読まない。

 せいぜい、研究者は難しいことばっかいっている、ぷんぷん、と逃げ出す口実を思いつくのがせきのやま。だけどさ、尻尾まいて逃げる前にちゃんと読もうね。逃げる時は読んでから逃げよう。それが最後の意地だ。

 体力の無い奴は物事をネットでしか調べないし、調べてもせいぜいぐだぐだのWikiどまり。やる気ない学生がてきとーにレポート書いてこれから遊びにいこうというのならともかく、仕事としてはそれでは駄目だ。


    (‥ )体力ないと辞書を引かないし、英語も読まない、
        図書館にいかない、バックナンバーを調べない
        論文を読まない、というかそもそも探さない
        英語よりも先に日本語の大切さを、とかいって
        面倒くさいことから全力で逃走。
 ∧∧
( ‥)はあ、まあねえ。
 

 体力ないと取材しないし、自分の書いた原稿だって5回ぐらいしか見直さないのではなかろうか? 若い時なら10回ぐらい見直しているうちに、誤植もさることながら、論の展開がおかしいことにも気づくだろうけども、ならば、年をとるとどうなのだ? 体力がないならどうなのだ?


     ( ‥)体力はどんどん落ちるから、40歳なんて
         なったら、まずは自分の頭と能力の衰えを
         自覚しないとまずいぜや。だいたい、ライターってのは
         40あたりからおかしくなるし。
         そもそも人は35歳を過ぎたら老人です。
 ∧∧
( ‥)まあ、それこそ今のあなたがそうなんですけどね。
    でっ? 常識的な頭ってどのくらいのレベル?


 問題集を解いていて、回答欄を見たら、自分の答えが間違っていることに気がついて、「おっかしいなあ、どこで間違ったんだろう?」とぶつぶつ言いながら参考書を読み直し、自分の式の展開を再確認するレベル。


 ∧∧
( ‥)??? はあ? それでいいの?

     (‥ )これすらできないやつがいっぱいいるじゃんか。


 確かに学校の授業では「オレ様の答えが正しいのだから問題集が間違っている!!」と叫ぶやつは(少なくとも個人的には)見たことがない。

 だが、これがいざ、進化だ、温暖化だ、隕石衝突だになると「オレ様正しいのだから、他の連中みんな馬鹿、研究者は陰謀を企てている」と言い立てる連中がごろごろ出てくる。

 ∧∧
( ‥)ああ、いますねえ。どういうわけか。

     ( ‥)問題集より論文の方が簡単だと思っているわけで
         考えてみればシュールな話なんだけどね。

 常識的な能力者で体力があれば整備された登山道なら自力で登れるだろう。

 だめな能力しかもたない人間では標識を勝手に読み間違えて、整備された山道でさえ遭難するだろう(でっ、新しい(と勝手に思った)山頂を発見しちゃうん)。

 ∧∧
( ‥)登山道とはこの場合、科学者がすでに確立した
    知識体系のことですね。体力があって標識をちゃんと
    読めるのであれば山に登ってレポートを書けると。

      (‥ )まあ、すでにある知識体系ってのは科学の
          真骨頂でもなんでもないんだろうけどね、
          逆にいうと研究者に接近すればするほど
          常識と体力だけじゃあ駄目になるんだろうなあ。

 最前線じゃあ、登頂うんぬん以前にどこが山頂なのか皆さん五里霧中で探索しているわけで、そこまで接近するのは素人には危険、危険。特にパラダイムシフトって呼称されるような事態が発生している時は特にそう。

*パラダイムシフト:現状を打破するという(触れ込みで)新しい物差しが提案されたのだが、どの物差しを使うのかで研究者同士が物差しを使った殴り合いをしている修羅場。怖い、怖い。

 

2010年4月8日木曜日

それはよくできた造花

 
 買い物の途中でふと眼をやったらユリの造花があった。いつもなにげに視界の端にはとらえていたけども。

 ∧∧
(‥ )雄しべに葯がありませんよ?
゜-
    (‥ )ああ、ユリってほら、花粉が黒褐色というか
        黒オレンジっていうかで、それがぼたぼた花びらに
        落ちるから、葯は取るんだよ(推論)。

 *葯(やく):雄しべの中で花粉が実っているというか、収納しているパーツ。雄しべがマッチ棒なら棒は花糸、葯は頭。ユリの葯はソーセージ状。

 だから葯は取る、というかたぶんそうなんだろうと思う。以前、もらった花束をしばらく置いていたら、葯をとられた花の脇にあったつぼみが開花して、純白の花びらに花粉をわさわさこぼしてた。実際、売られているユリの花はどれも葯が取られてる。

 ∧∧
( ‥)でもこれ、造花ですよねえ?
゜-
    (‥ )そうだけど、市販品の本物と違ってちゃ
        造花の意味がないんじゃねーの?

 葯が無い分、手間も人件費もコストも削減できるのではなかろーか?

 

それはなめすぎじゃね?

 
 世の中の人間は物事を鵜呑みにする人が一番多く、2番目に多いのが鵜呑みにせずに考えるが、正しい結論に到達できない人たち。そして一番数が少ないのは考えて正しい答えに辿り着ける人。

 何で人間がこういう分布を示すのかはよく分からないが、どうもそういう分布をしているように見える。

    ( ‥)登山なんかしないでピクニックですます人が一番多く、
        登山はするが充分な装備を持たない人がそこそこいて
        ルートがなくても目的地に到達でき、
        なおかつ帰還できる人が一番少ない。
 ∧∧
( ‥)なぜなのかはよく分からないけども、
    まあそうですね。

 鵜呑みにするってことを馬鹿にする人はしばしばいるけども、考えて間違った答えに到達してしまうくらいなら、鵜呑みにした方がまだしもましだ。

 考えても考えても全然正しい答えに辿り着けずに無駄なことばっかしている人の場合、特にそう。聞かず、学ばず、読まず、見ず、歩かず、調べず、買わず手に取らず、そのあげくに得体の知れない妄言を発信する人間は世の中に結構多い。困ったことだ。

 ∧∧
( ‥)でっ?

      (‥ )いやねえ、おいちゃんは生物系だからかも
          しらんけどさ。

 例えば地学ってさあ、あれ、すごく難しい学問なのよ。リサーチしてるとさあ、馬鹿なせいかもしらんけど、泣きたくなるんよねえ、おいら。

 世の中には、教科書を読まなくても、論文を読まなくても、啓蒙書も日経サイエンスさえ読まなくたって、あまつさえ天体の知識がなくても化学の知識がなくても原子核物理を知らなくても海洋学を知らなくても堆積学を知らなくても、たとえそうであってもオレ様なら地学なんか自力で分かると勘違いしている人がいっぱいいるけども(オレ様理論屋だろうが、サイエンスライターだろうがいるんだこれが)。

 本を読んでつくづく思うに、ああいう人たちは地学をなめ過ぎだと思うんよね。


 ∧∧
( ‥)でもそういう妄言、妄想はそんなに広まらないと。

     (‥ )結果的にはそういうこっちゃな。

そういう妄言、妄想への人々のざっくりとした反応

A群:そうなの? それは大変なことだね。 (だが忘れる)
B群:そうだったのか!! 研究者は馬鹿だ、陰謀を企てているんだ!!(A群から無視されておしまい)
C群:「すごいですね、新説ですね。是非、論文にシテクダサイ」

 

2010年4月7日水曜日

それはフリーズする人なのかどうなのか?

 
 ふと思う。

 例えば、「人殺しは禁止なのだから死刑も禁止である」、と主張する人、この場合これは、

:人命を奪うことは絶対的に禁止である
:死刑は人命を奪う行為である
:ゆえに死刑は絶対的に禁止である

そういう論法をとる人であると仮定する。そういう人にたいして


    (‥ )私の言っていることは全部嘘だ、と言ったら
        その人は頭がフリーズしちゃうのかね?
 ∧∧
( ‥)さあ?

 この場合、こういう人は「私の言っていることは全部嘘だ」という発言を「私が発言するすべての発言は虚偽である」と受け取るとする。

:私が発言するすべての発言は嘘である(発言A)
:「私」の発言Aは「私のすべての発言」に含まれる
:ゆえに発言Aは虚偽である。しかし発言Aが虚偽であるならば発言Aの内容、「すべての発言が虚偽である」もまた虚偽である。とするならばすべての発言に含まれる発言Aは虚偽ではない。しかし発言Aが正しいのならば発言Aの申し述べる通り発言Aは虚偽であり、以下うんぬん

     (‥ )無限ループに陥ってフリーズすると思う?
 ∧∧
( ‥)さあ、どうでしょうねえ?
 

     (‥ )無限ループに陥らなければおかしいと
         思うのだけども、どう思う?
 ∧∧
( ‥)いや、知りませんよ。
 


風評被害

 
 朝が来た。今日は曇り、午後から雨っぽい。なにやら先ほどみょうちくりんな鳥の声が聞こえた。きれいだけど、ひゅるひゅる、ひゅいひゅい、ぴゆぴゆ 

 ∧∧
( ‥)なにそれ?

     (‥ )いやなんだ、表現のしようがないというか。

 きれいだけど、奇妙な声。

 さて、

 自分で書いてから→rireki、思ったのだけども


     (‥ )ベイツ擬態ってあれは風評被害か?
 
 ∧∧
( ‥)あぁ?.....まあ、そういうことですかね?
    この場合、食べられないことは利益に
    つながるわけですが。

 風評被害があるのは人間がたいした識別能力もない(比較的もとのままの)阿呆な猿だから? 

 

無限小の過去から未来の今を

 
 
     (‥ )逆にだよ、過去のある時点では、
         宇宙は超高温、超高密度で原子もなくて
         陽子、中性子、電子が自在に動き回って、
         さらにその前はクオークが荒れ狂う世界だった
         わけだよな。 
 ∧∧
( ‥)まあ、そう予想されているし、それを
    再現する実験もあるんでしょ?

 中性子星のような超高密度(*うろ覚えで言うと内部でエネルギーを生み出す核反応を起こせなくなった恒星が、これまで核反応で支えていた自重をついに支えきれなくなり、自重によって圧縮崩壊するさいにできる超高密度の天体)の星では、原子核が融解して陽子や中性子が解放され自在に動き回る。

 ならば、

 自由になった陽子、中性子は複雑な構造物を生み出しうるのではないか。もしかしたら自己複製をするような構造、つまり生物すら生まれるのではないか? という予測は昔あったし、それをネタにした小説もあった。

ちなみに、原子核とそれをとりまく電子から構成される原子や分子が行うのんびりした反応に対して、中性子星の表面で誕生しうるような生物は、その反応速度が(理屈の上では)べらぼうに速くなるので、たぶん、生まれてすぐに死んでしまうけども、それで充分、人間の一生分と同じ経験ができる。

 ∧∧
( ‥)じゃあ、クオークでもそういうことは起きるんですかね?

     (‥ )どうだろうねえ? クオークが自己複製するような
         複雑な構造物を生み出すっていう可能性は
         あるのかねえ?

 ともあれ、初期の宇宙にあった(とされる)そんな一時の世界に生物はいたんだろか? いくら反応速度が速いと仮定しても、その速度、光速が限界なわけですし(*普通に斉一的に考えてます)。それに、

 ∧∧
( ‥)先の超未来の仮想生物もそうでしたけども、
    生物を誕生させるようなエネルギーの流れがあるほど
    初期の宇宙ってむらがあるんですか?

     (‥ )はてねえ、どうだろうねえ?

 誕生するにしても、彼らの主観時間においてさえ充分な時間はあったのか? クオークでなくてもいいから中性子星にいてもおかしくないと仮定された生物であってもいいけども、そんな生物でさえ存続できる時間が宇宙の初期に充分あったのか? でもまあ、あっけらかんと、そんな生物がいたよーんと(先に読み終わった本では初期宇宙と超遠未来を含めた時間をどう計測するのか? というもっと哲学めいた考察だったけども)そう考えた場合、、、

 ∧∧
( ‥)その生物が未来を見据えた時、どう
    思うんでしょうね?

     (‥ )自分を構成するクオークが陽子や中性子の内部に
         あるいはそれすらも原子核の中に封じ込められてしまう
         そういう未来が予測できたとしたらどう思うのかね?

 自分たちはなすすべもなく、体を構成する媒体もろともこの宇宙の表舞台から消え去ると気がついたら、さてどう思うのやら。

 ∧∧
( ‥)未来の僕らからすれば、彼らの許された時間は
    ほんの一瞬ですよね?

     (‥ )主観的にはどうなんだろうね。

 いずれにせよ、こちらの主観時間からすればほんの一時、現れて、そしてなすすべもなく、まったく何の痕跡も残さぬままに消え去った心があったとしたら、それはぞくぞくするものがある。

 しかしありきたりなことでもある。

 ∧∧
( ‥)遠未来どころか、個人の寿命は
    たいした長さじゃないですからね。

     (‥ )なすすべもなく、ほんの一時で
         二酸化炭素と水に還る。
 
 とはいえ、だからそれがなんだ? と言えばまったくそうでもある。

 
     ( ‥)だから言ったのさ。絵を描く能力があるのなら、
         それを大事にして絵を描き残せばいいよって。
 ∧∧
( ‥)たとえ、それが僕らの短い一時をさらにほんの少し伸ばすだけの
    行為であったとしてもですか?

 しかり。

 
 

無限大の有限

 
 さて、先日、本を読み終えたのだけども。

 ∧∧
( ‥)45年前の本ですね

    (‥ )面白かったが、最後におよそ次のようなことが
     □-  書いてある
 
 宇宙の初期が高温高密度であったとすると、もしその世界に人間のような生物がいれば、その寿命は何万分の1秒かもしれないが、その間に人間の一生分よりもはるかに多くのことができただろう。反対にはるか未来の低温低密度の世界にいる生物は何億年もの寿命をもっていても、その経験できることはほんのわずかだろう。

 原文のままではないけども、およそこんな。

 ∧∧
(‥ )宇宙がこのまま膨張して、物理法則が変化しないなら
 □-  星は燃え尽き、ブラックホールも蒸発しつくして
    光、ニュートリノ、電子、陽電子だけになるんでしたっけ?

    (‥ )?だったっけ? うろ覚えだな。
        そのうち、宇宙論の本もちゃんと
        読むか。

 うろ覚えもさることながら、

    ( ‥)考えてみれば物理法則が変化しないならって
        おかしな言いようかもしれんけどね。
 ∧∧
( ‥)物理法則ってのは人間が観察した自然のふるまいを
    記述する便利な公式のことですからね、本来は。

 ともあれ、

 仮に残ったもの同士でなんらかの総合作用が、ごくごくゆっくりとでも起こって、それでなおかつ何か複雑な構造(どのくらいでかいのか分からない)ができたとして。

 ∧∧
( ‥)でも生物って、例えば太陽から放射される光エネルギーが
    散逸する過程で生じるような、ようするに何か流れがある場所に
    できる現象でしょ? 宇宙の最後の果てにそんな流れが
    ありますかね?

     (‥ )さあ、どうなんだろう?
         
 
 ともあれ、仮に何かいたとして、何億年どころか何兆年も生きるとしても、どんどん起こることが少なくなるとはどんな感じなりや? 

 ∧∧
( ‥)単位時間あたりで比較すると経験できる事柄、
    集められる資源やエネルギーが少なくなるって
    こと、、なんですかね?

     ( ‥)どうなんだろ、自分自身を構成しているものが起こす作用も
         反応もどんどん遅く、少なくなるんだろうか?
         もしそうなら、自分の主観的な時間は変わらないが、
         同じだけの出来事が起こる客観的な単位時間(なんだそれ?)
         は果てしなく伸びていくわけ?

 時間が経っても経っても、経てば経つ程、出来事も反応も遅くなる引き延ばされた未来ってことになるわけかいな。はて? そうだとすると、たとえ無限大の未来があっても経験できる事柄は結局、有限の範囲内に収まっちゃうということ?

 ∧∧
( ‥)そういえば、なんか昔、無限大の時間があっても
    集められる資源は有限だ、って記事がありましたよね?

    (‥ )あれってそういうことだったのかな?
 
 分からんなあ。知らない、分からない、把握できないことが世の中にはいっぱい。



2010年4月6日火曜日

アブラナ

 
 サイエンスライターに関して補正も含めて、コンテンツを3つアップ



 ∧∧
( ‥)このコンテンツをアップすることに
\-  どういう意味が?

    (‥ )人の人生に意味なんて求めちゃだめだよ。

 意義も意味もありはしない。サイエンスライターがいようがいまいがそんなことどうでもいいことだ。

 そんなことはさておき

 スケッチにいってその帰り際、アブラナを見る。雑草化したものだけどもその様子は旺盛だ。花の形がひどく印象的だった。あんなに不思議な形をしていたっけ?

 ∧∧
( ‥)あまり身近で見る機会がなかった
    ですからね。

    (‥ )いやこれがかっこ素敵でね。
    ゜-
 

まだ時間がかかる

 
 ドイツは夜の9時半ぐらい?

 ∧∧
(‥ )こちらは間もなく夜が明けます
 
    (‥ )今日は曇りかあ
 
 昨日は雨だった。
 
    ( ‥)サクラのスケッチはしたものの
      -□
 ∧∧
( ‥)まだ不十分ですか。


 早くしないと散ってしまう。

 ∧∧
(‥ )意外と雄しべが多いですね
 ゜-
    (‥ )まあ、バラの仲間らしいっちゃらしいよね。

 タネツケバナとミチタネツケバナのスケッチも進めないといけない。
 

 
 

2010年4月5日月曜日

雨が降る

 
 
 ∧∧
(‥ )夜が明けますね

    (‥ )雨だな

 サクラも濡れている。
 
 

2010年4月4日日曜日

それはあまりも有限な

 
 
    (‥ )ふと思ったのだがね
 ∧∧
( ‥)はいはい

 テレビが保有する1クールあたりのコンテンツをすべて見るには何時間かかる?

 ∧∧
( ‥)特番を抜いてもコンテンツの探索に使う時間が
    あまり変化しないとして、単純に考えたら
    24時間×1週間×放送局の数じゃないですか?

    (‥ )東京、神奈川だったら24×7×8ぐらい?
        およそ1300時間。実際にはそれ以下だよな。

 ∧∧
( ‥)そりゃそうでしょうね。番組は1時間か30分ですから
    1時間か30分に1度、チャンネルを変えれば
     探索はそれですみますから。

    (‥ )30分あたり、1放送局につき1分を使って合計
        8分くらいかい?

 単純に30分につき10分として、これを24時間続けたとして

 ∧∧
(‥ )1日あたり480分、6時間ですね
\-
    (‥ )それを一週間継続して56時間か。

 するとなんだ? 1クール、90日あたり56時間でテレビのコンテンツはほぼすべて探索が可能ということか?

 ∧∧
( ‥)まあこういうことをする人はよっぽどの
    人だけでしょうけどね。
    ザッピングに累積6時間もかければ自分の暇な
    数時間に見ることができる番組の探索は終わるでしょ?

    ( ‥)そうねえ。大半の人がテレビを見る時間は
        1日の限られた数時間だからなあ。そして
        毎回コンテンツが変わるニュースや、
        ネタが変わりうるお笑い番組、
        続きが気になるドラマを見るわけで。

 でっ、ここで思うに、そういう持続的な番組はともかくとして、実のところ(理想的には)56時間で90日分のコンテンツをすべて探索できるとした場合。
 

    (‥ )では、テレビと書籍のコンテンツを
        比較するに56時間で読める本って
        どのくらいだと思う? 
 ∧∧
( ‥)さあ? 本による差が大きすぎますよ。

 最近の新書なら3時間で1冊ってとこか? でも本によっては56時間かかってもその1冊すら読めない場合すらある。でもこの場合は面白いものを探索する時間であるから。読むにまで至る必要はない。

    ( ‥)町のつぶれかかった本屋さんの持つコンテンツを
       読書しないまでも、興味が引かれそうな本を探索しはじめた
       場合、何時間かかるか?
 ∧∧
( ‥)10分から1時間程度では?
    興味ないのはさっと飛ばしますからね。
    探索と読むことを同等に扱うべきではないですよ。

 では、例えばコンテンツを探索しやすく時間もつぶしやすい漫画喫茶を例に考える。漫画喫茶に56時間いたらそのすべてのコンテンツを探査できるか?

 ∧∧
( ‥)ざっとした探査自体は最初の10分で可能でしょ?
    網羅したことにはなりませんけどね。

     (‥ )チョイスしてから読みはじめて、読了した後、
         再び探索を始めて、、、、。1回の探索が
         10分として累積56時間に達するまで
          336回の探索が可能?

 つまり探査時間10分が累積56時間に到達する間に漫画であれば336のコンテンツを閲覧可能?

 ∧∧
( ‥)いや違うでしょう。目当ての漫画を見つける時間と、
    何か面白いものを探す時間はもう別物ですよね。
    探索時間10分、というのはこの場合、あなたは
    面白そうな漫画を新しく発見するまでにかかる平均所要時間
    として考えていません?

     ( ‥)そうだよなあ、1コンテンツ、最初の1巻/1冊の
         内容を探査するのに30秒程度で可能か?
         だとすると探索時間が累積で56時間に到達するまでに
         6720のコンテンツを探査可能?
 
 ∧∧
( ‥)でっ? コンテンツを消費し尽くして、選んだコンテンツを
    読了するまでにかかった時間はどうなります?
    単純に言えば漫画喫茶通いを始めた人が3ヶ月で飽きれば
    テレビと同等、飽きなければテレビ以上、あるいはうんぬん。

     (‥ )ああ、そうか、探索時間とその累積という
         変数が大きすぎるもので比較するから
         分からなくなってくるのか。

 ∧∧
( ‥)単位時間あたりのコンテンツの生成と保有量で
    テレビと活字を比べればいいのでは?

     (‥ )だとしたら活字(漫画も含む)の方が
         単純に、圧倒的に多いんだよな。

 本は置いておけるので、実のところ相当古いコンテンツもそのまま置いておくことができる。例:古本屋。

 ∧∧
( ‥)だとしたらテレビがコンテンツにおいて質も量も
    本に劣るのは当然じゃないんですか?
    1週間に刊行される雑誌の数、単行本、過去の累積。
    どれでも圧倒的優勢ですよね。
    漫画/小説原作のテレビ番組ってものがあるくらいですし。

     ( ‥)分母が巨大だからという説明でもあるよなあ。
         テレビが不利なのは放送局(つまるところ電波うんぬん)
         が限られているので単位時間あたりのコンテンツの
         数がすぐに頭打ちになるってことなんだが。

 つまりそれはあまりにも有限な。

 しかしこの考えはかなり妙でもある。仮に小説にせよ、漫画にせよ、分母が巨大だから質の数においてもテレビにまさるのだとしたら探索時間も巨大化するはずではないか。

 ∧∧
( ‥)つまり単位時間あたりに手に入れられる
    利益は変わらないはずなんですよね。

     (‥ )人間が時間あたりに探索できるコンテンツの数が
         実はとんでもなく膨大なので(56時間あれば
         7000あまりのコンテンツが探査可能?)
         単位時間あたりに探査できるコンテンツの数が
         飽和に達していない。だから分母の巨大化にも
         対応できているのかもしれないけどもね。

 ∧∧
( ‥)でもテレビは探せどもつまらないわけで、
    漫画とかは探せば面白いものがあるわけですよね?
    膨大なコンテンツがストックとしてあるし、
    淘汰も受けるわけですし。

      ( ‥)1コンテンツあたりの必要経費も
          テレビは小説、漫画に比べて馬鹿高い
          からなあ。

 30分番組を80万で作れって言われたら、テレビ局の人間はどう言うか? 頭を抱えるのか、涙をこぼすのか? あるいはため息をつくのか? 何にしてもテレビの単位時間あたりのコストが膨大であることは明白なわけで、かつまた単位時間あたりのコンテンツをこれ以上増やすこともできそうにない。漫画のように過去の累積を売るものでもあまりない(懐かしい番組を振り返ろう形式の廉価番組とかDVDとかは例外だけど)。

 ∧∧
( ‥)そしてコンテンツの数を増やすには
    未来にかけるしかないが。

      ( ‥)でも、3ヶ月に1つという頻度ではなあ。
          頭打ちはすぐだぜや。


緩慢で引き延ばされた崩壊を

 
 70を過ぎたその人がいった。4月に入って番組が変わったら、民放もNHKもつまらないのよ。どこを見てもつまらないの。
 
 ∧∧
( ‥)でも、急につまらなくなったわけじゃあ
    ないですよね?

    ( ‥)じょじょにじょじょに、ゆっくりと、しかし確実に
        つまらなくなってきたんだろうなあ。

 70を過ぎた人ですらそう思うのだ、他の人々はさていかに? 世界は失望の連続になっているか?

 ∧∧
( ‥)予算が少なくなっているからですか。
    でも、縮小する出版界ですら漫画の面白さは
    健在ですよね?

     ( ‥)テレビはコンテンツの質を維持する上において、
         失敗したってことだな。

 もう20年近く前のこと、こんな話を聞いた。ある人が機材をそろえることで撮影から編集その他もろもろまで含めて格安で合理的に番組制作をできることをアピールした。しかしそれは失敗した。

 ∧∧
( ‥)なんで?

     (‥ )合理化は失業をともなうだろ?
         そんなことやられちゃ皆が困るんだよ、
         というのは受け売りだけどね。

 どこまで事実か、どこまで妥当かはよく分からない。しかし現状の説明にはなっているかもしれぬ。20年前、よもや携帯やパソコンに圧倒される未来世界が津波のようにやってくるなんて当時の30代は思いもしないし、予想もできなかっただろう。

 しかも悲しいかな、年をとれば体は重くなり、頭はバカになり、今の地位を守ることにきゅうきゅうとするだけの、いまやただのおいぼれだ。

     ( ‥)人間はすばらしい、命はすばらしい
         見ろ!! この緩慢な崩壊と自己喪失の
         無様な過程を。しっかと見るがいいさ。

 ∧∧
(‥ )はあ、それはともかくとして、なんか若手の芸人の
\-  起用がより多くなっているみたいですが。

 若手は人件費が少ない。面白い若手でブームを起こせば、お金の割りには利益がそれなりに出るし、そして人件費が上がれば使い捨てればいい。どうせ次の使い捨てを探せばいいのだから。

 ∧∧
( ‥)つまり今どきの新書と同じだと?

     (‥ )まあ、どっちも経済の原理で
         動いているからなあ。

 労働力も才能も本も商品という点では変わらない。どのあたりが平衡状態だろう? 使い捨てはどこまで進む? 書籍だったら年間、万のオーダーだ。では芸人ならどうなのだ? 年間1万人か? それなら素敵だ、すばらしい。

 ∧∧
( ‥)あなたの予想だと、現在の指導的な立場にいる
    人たちはこの現状を是正する気は特にない。
    定年退職で脱出できるし、それまでに問題を起こされては
    困るから部下に何もさせず、状況は是正されないと
    していますけども。

     ( ‥)普通の人間の考えじゃね? どこだって同じだぜ。
         というか、彼らはそうする気だ、という意見は
          実際に聞いたことがあるしなあ。

 まあ、既得権益にすがってやせ細りながらも、必死に食らいつくんだろう。どこもかしこも同じです。

 ∧∧
( ‥)あなた、こういうのを見るの大好きですよね。

     (‥ )命の根源をのぞいている気がしないかね?
 
 頭がまわらなくなり、知らず知らずに体力が落ち、新しい選択肢を探すよりも目の前の肉を守ることにきゅうきゅうとしたあげく、道先が薄暗くなっても見てみないふりをして、誰かに責任を押し付けて逃げる機会をうかがう。

     ( ‥)そしてきっと最後は廃墟のような体を
         けだるそうに動かして、口から泡を飛ばしながら
         自分の人生を誰彼かまわず語るんだ。
 ∧∧
( ‥)それが命の根源ですか。

 だけどもさ、自分の人生なんて、自分以外に誰も興味ないんだ、そんなもの。
 

渦潮を見て歓喜する自分がもっと本質という妄想

 
 
 ∧∧
( ‥)でっ? 誰がどう絶望するんです?

     (‥ )自分が連続した系譜の一部で、便宜的に
         切り出された、外界に実在なんかしない
         恣意的な定義/区分だとしてだよ。

 こういう話に不安を覚える人はいくらかいるけども、もっと不安を覚えるのが。


    ( ‥)そもそも人間には魂どころか、意識だって
        実体としては存在しないだろって話は
 ∧∧
( ‥)ああ、不安感を覚えるみたいですねえ。

 
    (‥ )でも、自分たちは物質が織りなす現象であって
        死ねば雲散霧消する。死後の世界なんて無いって
        考えははるか昔から洋の東西を問わずあった
        みたいなんだよな。場合によると歓迎される
        考えでもあったらしい。
 ∧∧
( ‥)歓迎? なんで?

 無限大の地獄に堕ちて永久の苦痛を受けるよりはるかにましだから。

 ∧∧
( ‥)ああ、そういう。

    ( ‥)完全なる消滅が救済になる場合もあるって
        こったな。

 ある種、都市伝説的になった話でこういうのがあるそうな。大事に育てたペットは死ぬと、飼い主がくるのを天国へ至る橋のたもとで待っている。そして飼い主が来た時に一緒に橋を渡る。

 ∧∧
( ‥)そうしないと別れに耐えられないんですね?

    (‥ )そうしないと別れたことに耐えられない。

 人は大事なものを喪失することに耐えられない。自分自身を喪失することにも耐えられない。

 ∧∧
( ‥)だから天国を必要にすると。
    しかしそもそも魂の存在を前提にする
     必然性がこの宇宙にはないでしょ?

    ( ‥)人は物質の流れ以上のものではない。
        この考えは人を地獄から救済してくれるが、
         天国の破壊という虚無と恐怖をもたらす。

 ようするに不等式で示すとこんな感じらしい。

 なんか楽しい場所にいけるっぽい>>>消滅>>>無限大の地獄と永久の苦痛

 ∧∧
(‥ )なんか最近はよほど悪いことをしない限り
\-   無条件に天国へいく/いったような認識ですが。

    (‥ )人の命の価値が昔より上がっているからなあ。
        大事な人を失うことに耐えられないとしたら
        いや、耐えられないから安らかであることを祈るんだろ。

 天国と地獄うんぬん以前に、はるか太古における死後の世界観は天国でも地獄でもない、何か恐ろしくて寂しい場所だったらしいけども、誰もそれには耐えられない。

    ( ‥)ともあれ、人は喪失の恐怖に怯えて
        自分は物質が織りなす流れだということを
        否定し、それ以上を期待する。
 ∧∧
( ‥)でも、魂があるのならお酒に酔っぱらうのって
   すごくおかしな話ですよね? 肉体の調子が悪くても
   魂さんからすれば、その立場は故障した巨大ロボットを
   操縦しているパイロットみたいなもんで、
   肉体の不調と魂のあり方は関係ないですよね?

 ロボがぐわんぐわんゆれるので魂さん、顔が真っ青、ついに「うげーーーっ」とコクピットの中で吐いてるとか言うのならともかく、人に魂があり、滅びる体と不滅の魂、この2つがあらゆる点で完全にリンクしているとするのなら、例えば不滅の魂がアルコールという滅びる物体に致命的な影響を受けているように見えるのだとしたら、その設定はずいぶん無理がある。

    (‥ )まあ、関係ないのに完全にリンクしているように
        一見見えるものは色々あるんだけどね。
        同じ時を刻む2つの時計とかな。
 ∧∧
( ‥)いやいや。

 渦潮を見た時、人は歓喜の声を上げるが、そのくせ自分は渦潮が持っていない本質的なものを持つと豪語するとはこれいかに?

 ∧∧
( ‥)でっ?

    ( ‥)喪失に耐えられないから必然でないものを手にするのは
        まあ、良しとしようじゃないか。

 だが自分が喪失に耐えられないからといって、すべてを虚偽で塗り固めようとするのなら、それは敵だ。

 ∧∧
( ‥)敵なら打ち倒すんですか?

    (‥ )いや、虚無と喪失を彼に見せよう。


 命とは結局のところ引き延ばされた緩慢な崩壊だってことを見せつけてやろうじゃないか。

 ∧∧
( ‥)それを知らない人は多いでしょうけど、
    分からない人っているんですかね?

    (‥ )生命は熱力学の法則に反してる、と言う人、
        今でも時々いるだろ。

 命も出会いも奇跡などでないことを教えてやれ。

 生きているなんてことはただただ自己を喪失する過程なのだってことを見せてやろう。

 ∧∧
( ‥)便宜的に設定した自己を喪失する?

    (‥ )便宜的に切り出した現象が存続を停止して
        元の場所へ還ることを観測する。

 二酸化炭素と水に還る。

 それはしかたないじゃないか。

 だけどあきらめられんかね?

 


自分が実在しなくてもいいじゃない

 
 ∧∧
( ‥)でっ?

     (‥ )人間を定義しろと言われると困る。

 ∧∧
( ‥)あなた自身は便宜的にルーシーよりも
    ブッシュUSA大統領(息子)に近い
     系統はすべて人間と呼称してますよね?

     (‥ )それは個人的な定義だろ?
 
 普遍的な定義をしろと言われたら(そもそも普遍的な定義ってなんじゃそりゃ? というのは置いておいて)困るよなあ。

 ∧∧
( ‥)なんで?

     (‥ )受精した瞬間から人間ですって定義されると
         困る人がいるだろ?

 心臓が脈を打ちはじめところから人間ですと定義されても困るよねえ。

 ∧∧
( ‥)困るうんぬん以前に連続的なものを
    便宜的に定義しているってことですよね。

     (‥ )進化の歴史においてどこから先を
         人間というの? ということもさることながら
 ∧∧
( ‥)どこから先が個人なの? ということでも
    ありますよね。

     ( ‥)始まりの定義も一致せず、終わりの
         定義も一致できない。
 ∧∧
( ‥)ああ、脳死を人の死と認めるか否かって
    話とかですね。そもそも連続した現象を
    便宜的に分けただけなのに、便宜を通り越して
    この便宜の背景にはもっと尊い本質があるに
    違いないと思い込んでいるでしょ?

     (‥ )そもそもその便宜ってやつからして一致せんのだがな。

 ∧∧
( ‥)でっ? 系統も系譜も、個人の発生と成長の
    過程も連続しているわけですよね?
     人間だけでなく、個人も便宜的な
     概念だってことですよね。

 端的に言えば、個人だの人間だの、自分自身など、これらすべて便宜的に、かつ恣意的に定義された概念で、別に実在するものではない。

 ∧∧
( ‥)でもまあ、個人と呼ばれるものが
    無視できない現象であることもまた事実ですよね?

      (‥ )台風みたいにね。

 連続した気象現象において、どっからどこまでを台風と呼称するのかは恣意的だけども、台風と呼称される現象を無視したら死ぬよ、という意味で無視できない(温帯低気圧になったと聞いて「なんだー温帯低気圧になったのかー」となめてかかっても死にます)。

 ∧∧
(‥ )生物の系統において、どこのどの部分を人間、かつ個人と
    呼称するのかは便宜的であるけども、現象(系統)を
    無視することはできないと。

      (‥ )台風が気象現象の目立つ一部であるとして
          名前を与えられるのみならず、個別に
           認識されているみたいにね。
           (例:キャサリン/18号など)

 切り出す枠組みは便宜的。切り出す元はそこで確かに起きていることだけども、枠組みそれ自体は別に外界に存在しているわけではない。
 
 ∧∧
( ‥)じゃあ、あなたという個人はあくまで便宜的で
    実際のところは実在しないことになるんですかね?

       (‥ )法的にはどうだか知らんが、まあ、
           実在しないんじゃない?
           最低限、あれだ、系統から便宜的に
           切り出されて固有名詞を与えられた部分
           ではあるけども、それ以上となると
           懐疑的にならざるをえないなあ。

 だがしかし、自分が実在しなくたって別にいいじゃないか、そんなこと。

 

2010年4月2日金曜日

自分が今ここにいると妄想したので不幸になった

 
 とまあ、仏の世界であろうが、あるいはどこの宗教であろうが死後の世界、死者の国、魂が安息する場所を求めるし、それを否定するのは外交的によろしくない。

 ∧∧
( ‥)だけど?

     ( ‥)だけどもなあ、

 熱心に熱狂的に言うことでもないけども、別に普通に言ってもいいんじゃね? あなたが何をどう信じようが、恐怖から目を背けようが、ただただなすすべもなく消滅するだけじゃないか。そんなこと自分でも分かっているんだろう? いまさらいくら必死になって本を読もうが、知識を増やした気になろうが、世界を語ってみようが、森羅万象を理解した気になろうが、そんなことで救われるだなんて、自分自身からして信じていないじゃないか。事実、取り繕ってばかりじゃないか。読むべきものから眼をそむけてきたじゃないか。見たくないものから眼をそらしてきたじゃないか。聞きたくもない言葉を忘れたふりをしたじゃないか。充分どころか最低限ですらない。十重二十重に囲まれているんだろう? 圧倒的な圧力に圧壊寸前じゃないか。だがそれももう終わりだ。薄く引き延ばされてもうじき消える。

 ∧∧
( ‥)相手によっては残酷極まりないことですね。

     (‥ )知ってるかね? 罪を犯す右手と地獄に
         堕ちるなら、手を切り落として天国へ
         いった方がいいのだ。

 ∧∧
( ‥)はあ、そういう論があるのは知ってますが、
    あなたが今ここでそれを使いますか。

     ( ‥)今ここだからこそ使うのだ。ありもしない大前提に
         執着する脳ごと地獄へ堕ちるなら、
         罪を犯す脳みそ抜きでヘブンへ至ろう。

 ∧∧
( ‥)頭の中身空っぽで?

     (‥ )魂あるなら問題ない。


 ∧∧
( ‥)魂という大前提を置くことがそもそも
    ここでは罪だという論調ですよね?

     (‥ )大丈夫だ。脳がなければ
         魂があると勝手に思い込む大罪からも
         フリーダム。

 

その必然でない前提を渇望しないと死ねない猿の物語

 
 仏陀はあるかないか分からないものを論じるべきではない、とかなんとかそんなことを言ったらしい。

 ∧∧
( ‥)少なくとも複数の人があなたにそう言いましたね。
    ようするに魂とか天国とかそういうあるかないか
    分からないものを論じるべきではないと

      (‥ )当たり前な考えであると同時に
          宗教的には恐ろしい考えでもあるだろうなあ。

 あるかないか分からないものを論ずるべきではない。

 あるいは

 説明する時に不必要な前提を立てるべきではない

 という考えは宗教的に許されざる考え方でもある。この考えの延長線には”神や天国の存在を仮定する必要も前提もありはしない”という結論が必ず出てくる。

 ∧∧
(‥ )そういえば神学大全にもそういう
\-   結論に対する反論とその論証がありましたね

     (‥ )そりゃあそうだろうな。神の存在を前提と
         する必要がないことには誰かが気づくし、
         宗教はそれに反論する必要があることも
         当然、誰かが気がつく。

 この世界には秩序がある。人間はこの秩序ある世界で解答を発見する能力を持っている。神が我らと世界を共に創り、この世界で生き延びられるようにプログラムしたと言うのなら、ではなぜそのプログラムの結論は神の存在を必然としない? 

 神にプログラムされた知能が神を必然としないなぜだ?

 なぜ神は自分が実在することを論証できないように世界を作った?

 ∧∧
( ‥)あなたのその問いに創造論者の方は
    こう答えました。
    それは楽園追放の時に魂が歪んだのだと。

     (‥ )それはあなたのプログラムが
         誤作動を起こしているという回答であるね。

 彼はこちらの質問の意図を理解していたか? 神の創造した秩序と調和するプログラムがなぜ神の存在を出力できないのかをこっちは尋ねているわけで、プログラムが誤作動するというのなら、ではなぜ私たちの誤作動な知性が世界と調和する? 神の創りたもうた世界もまた誤作動しているのか?

 神は世界を発狂させたか?

 ∧∧
( ‥)あちらが立てばこちらが立たず

     ( ‥)人がこの世界で生きていること、それ自体が
         宗教にとって最悪の問題を生み出す。

 ある人はこういった。仏陀は天国とか魂を論ずることを避けたから、科学の出現も進化論も仏教にとってさほど脅威ではなかった。

 ∧∧
( ‥)本当ですかね?

     (‥ )まあ、そういう側面はあるかもね。

 しかし、仏陀から由来したとされる思想のすべてがそういうものではない。もっと宗教に近いものもあるという(まあそうだろう)。

 ∧∧
( ‥)そういう人々に対して、天国?
    そんなあるかないか分からないものを
     論じても無駄だよ、とは言えないという
     話もありましたね。

      ( ‥)論じないということは天国を
          保証しないことでもあるからな。

 天国が無いということは証明不可能な問題であり、ゆえに「あなたが天国を期待してもそれが無駄であること」これもまた証明不可能である。

 ∧∧
( ‥)とっ、肯定的に言われてもみんな嬉しくないでしょうね

      (‥ )宗教抜きにして人間は死に耐えられない。

 

 

私はからまった糸の束

 
 人間はいろいろな考え方を持っている。

 ∧∧
( ‥)考え方を持つ?

     (‥ )あー考えればいい、こー考えればいい。
 
 1つの個人が1つだけの考え方を持つとは限らない。ある場面ではこれ、別の場面ではこれ、って場合もある。

 ∧∧
( ‥)そうですかね?

     (‥ )進化を道徳で論じるべきではない、と熱心に
         主張する人が、次の瞬間にはサイエンスライターや
         ジャーナリズムは正しさ(妥当性)を追求するべきだと
         言う場合もあるだろ?

 何かの動態を記述する仮説と人間のルールは別もんだろ? という話をした後で、動態を記述できていないルールである職業の人々の動態を語っている。

 ∧∧
( ‥)そりゃあ、あなたたちは社会生活をするお猿さんですから
    あれでしょ? 虚偽の申告をする
    仲間を許せないんでしょ?

     (‥ )そういう意味では以上のことは
         同じことを言っているとも受け取れるけどね。

 道徳で進化論は間違いだ、という人間と、スタンダードでないどころかまるっきりマイナーな仮説であるのに、それがさも正しいことであるかのように(例:地球の歴史における大量絶滅は全部マントルプリュームが周期的に上昇するから起きました、洪水玄武岩がいつもどっかーんと爆発大噴火)と主張する人間は、それなりな人から見ればどっちも虚偽の情報発信をしている点で変わりないわけで、同じといえば同じかもしれない。

*注:虚偽とはこの場合、軽い意味では、その仮説がマイナーであることは仮説の妥当性と直接は関係ないが、ある程度は現時点における確からしさを反映しているんじゃないの? そういう危なっかしい仮説を宣伝するのならもう少し慎重にならないといけないんじゃないの? ということ。重い意味ではその仮説の妥当性はすでに非常に小さいことが論証/検証されてるのになんであなたはあえてそれを宣伝するわけ? ということ。
 
 
     (‥ )でも、1人の個人が時々に応じて手にした考え方は、
         それを聞いた、読んだ、理解した(と本人は思った)
         その時々、複数、個々別々に手にしたことは
         間違いないよね?
 ∧∧
( ‥)そりゃあ、そうでしょうね。ある個人が持つすべての
    考え方が同時に入力されたわけではないでしょう。

 
 ある個別の考え方は思想の系譜とでもいうのか、ある系譜Aからきたであろうし、そして別の考え方は別の系譜Bからきたってことになる。

 ∧∧
( ‥)音楽でも小説でも、アイデアでも漫画でも
    絵の描き方でも好みでも習慣でもなんでもいい
    わけですよね。

       (‥ )つまり人間、個人個人の持っている
           考え方ってのは、無数の系譜が
           よれた結節だってことだよね?

 同じ時期に同じような問題解決が現れるってのはそういうことだろうし、同じような解決手法に見えて個々違うってのはそういうことであろうし。

 ∧∧
( ‥)ウォレスさんとダーウィンさんみたいに?

      (‥ )同じ理論に見えて(人によってはあろうことか
          ダーウィンがウォレスをぱくったとか言うけども)
          実は全然違うってやつだな。

 ∧∧
( ‥)社会に広まっていく考え方の系譜が
    同じ解決策を発見するが。

      (‥ )個人個人はそれぞれ違う複数の系譜が
         よれたものだから、同じ解決策に見えて、
         共通しない部分もたくさんある。

 もちろん、個々の個人が持つ遺伝ってものもあるわいな。

 ∧∧
( ‥)それは例えるならハードウェアの話?

      (‥ )性能の話でもあるんだろうね。

 ∧∧
( ‥)では問いますが、人が解答を導く時、集団として
    考えているのですかね? あるいは個人として考えているのですかね?

      (‥ )どっちでもないんだろ?

 複数の考え方が系譜としてよれているのなら、つながった集団として考えているようでいて、そうではないし、まったくの個人で孤立して考えているわけでも当然ない。そもそも個人の考えが複数の系譜がからまったものなら、そもそも個人ってなんだ? それはどの程度まで有効な単位かね?

 ∧∧
( ‥)あなた達は何者なんですか?

      (‥ )さあ?

 
 
          

風吹く夜

 
 関東は神奈川県、本日はものっすごく強い風が吹いている。空をいく雲は千切れるよう。

 公園へいってみると立ち入り禁止にぐるりと囲まれたところがあって、何事かと思ったら。ぼこんとへんこんで地面が小さいながらも陥没した様子。

 ∧∧
(‥ )そういえば前々からあの場所は
   円形に凹んでましたよね。

     (‥ )地下を通る水か何かにもってかれて空洞が
         生じたのかねえ??

 こういう陥没にありがちな防空壕にしては、丘の上なわけで位置が変。それとも昔、丘の斜面に穴を掘ったりしたんだろうか?

 散歩へいってみると月を千切れた雲が隠し、あるいは飛ばされ、ライトのように月が点滅をするよう。



 

2010年4月1日木曜日

真面目地獄、ずぼら天国

 
 例えば自分が何ヶ月かにいっぺんドングリを実らせる森に住んでいるとする。

    ( ‥)そういえば先日、見た夢ではおよそフレームと
        屋根だけが残った巨大な3階建ての廃屋が
        かしがいながらも、よろめき立っていて、
        しかし目当ての本屋にいったらお休みで、
        近くの広場にある立方体な赤土の山に登り、、、
 ∧∧
( ‥)本題に戻ってください。

 でっ、そんな森にいるとして、実って落ちたドングリを割ると時々丸々と太った虫が見つかるとする。ドングリは苦いので蛋白でミネラルな虫を目当てにドングリを割り続けるが、最近は虫がめっきり見つけにくくなった。探す時間を増やせば見つかる虫の数も増えるはずだし、実際、以前はそれでなんとかなったのだが、虫が減った昨今、増大する労力に対して見返りがさほど増えてくれない。

     ( ‥)探索するドングリの数は有限で、そのほぼ
         すべてを探し、それ以上に探索を広げるには
         時間、つまり次の実りを待つしか無いのだが、虫の数が
         絶対的に減っているために、、、

 ∧∧
( ‥)ようするにテレビと視聴者の関係ですか?
    それでどうだと?

     (‥ )面白い番組を探索する視聴者の行動を
         記述する公式は生態学の世界にすでに
         あったりしてー、とね。

 ちょっと念頭に置いておこう。もしかしたら視聴者は鳥で記述されたりするかもしれぬ。

 ひさしぶりに町に出てみたら。電車の中では皆、携帯かゲームで、1人が本、1人が週刊誌、1人がスポーツ新聞、1人が経済系の新聞を眠そうに読んでいた。

  
     (‥ )はて? ああいう大人たちでも
         活字離れはけしからんとか言うのかね?
 ∧∧
( ‥)活字離れを声高に叫ぶ人って
    結局はものすごいマイノリティーでしょ?

 世界はすばらしくも間抜けで、しかしまっとうだった。

 しかし真面目な人もいる。例えばネットで検索したら鳩山政権を批判する大マスコミの陰謀とか、それを鵜呑みにする大衆の民度は低いとか、反対にあんな政権を選んだ大衆の民度最低とか、検索してピンポイントにしぼれば騒がしい。

 ∧∧
( ‥)あなたの見た世界はどうでした?

     ( ‥)別にいつもと何の変化もない
         いつもと同じ、どうでもいい
         日常だった。

 みんなテレビの見過ぎかもしれぬ。そもそもテレビも新聞も、皆に見て欲しいから悪口、議論、褒め言葉に罵詈雑言が飛び交うわけで。

 ∧∧
( ‥)そういうのを民度が低いっていうの?

     (‥ )いやあ、ゲームのやり過ぎで頭が
         ぽけーーーっとしているのと同じだろ?
         考え過ぎると脳がぱーんになるんよ。

 民度:ちょっと頭のいい人が「こうすれば世界はgoodで絶対」という理論を思いつくが、それがうまく動作してくれないので失望し、「そもそもあんたの考えた理論が役立たずなんじゃね?」という周囲の突っ込みを無視したあげくに「オレ様理論が失敗したのはお前らが悪い」と、自分の理論を実践しない平均的な人間を嘲笑する時に使う言葉っぽい

 ∧∧
( ‥)バーチャル?

     (‥ )本の読み過ぎじゃね?

 本を読むと頭が「読書脳」になって人は馬鹿になるのです。あら悲し。読書週間は地獄に堕ちる。

 真面目な人の言うことと違って、世界はいつものままだった。いつもと同じく、間抜けでずぼらで平和。3月の最終日だからなのか、子供の集団があっちこっちにいたのがいつもと少し違っていたといえばいたけども。

 ∧∧
( ‥)お友達ですか。

     (‥ )半年もすれば忘れるだろうけどもね、
         それでも今が楽しければ、それを楽しみたい
         だろうなあ。

 ∧∧
( ‥)あなたは明日が〆切りですよね?

     (‥ )今を楽しんで寝ちゃだめかね?

 

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