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2013年3月31日日曜日

自由には死が付き従っている

 
 
 ∧∧
( ‥)つまり
 
  (‥ )もう、僕らには
      科学を捨てる自由が無い
      そういうことだね
 
 文学も音楽も芸術も、これら全部、捨てる自由はあるが、科学を捨てる自由はもはや無い
 
 ∧∧
( ‥)まあ、実際には捨てる
    自由自体はあるんですよね
 
  (‥ )捨てても良い。
 
 ただし、より優勢な国家に滅ぼされるか、あるいは奴隷化される。これは今や、全人類に共通する問題で、究極的なところ、逃げ場は地球上のどこにもない。
 
 ∧∧
( ‥)血を吐くマラソンか
 
  (‥ )死ぬか、どっちかを選べ
      そういうこっちゃ。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、自由はあるんですよ
 
  ( ‥)問題はだ。自由には
      責任が従うのだ。
 
 というよりも、自由には死が付き従っている。そういうべきか。
 
 ∧∧
( ‥)時に死に追いつかれ、
    食い殺される
 
  (‥ )自由ってのは
      ろくなもんじゃないと
      思うんだけどね。
 
 
 
 
 

2013年3月30日土曜日

音楽が会話に勝てる道理はない、よなあ

 
 
 ∧∧
( ‥)なによ?
 
  ( ‥)いやさ、一人でずーっと
    –□ 仕事をしているとね
 
 仕事以外の時間に途方に暮れることがある。
 
 ∧∧
( ‥)公園いったり、写真撮ったり
    スケッチしたり、画材を買いに
    出かけたり、喫茶店でお茶を
    飲みながら本を読んだりして
    いるじゃないですか。
 
  (‥ )仕事のための運動を、
      仕事のためになる物事を
      仕事のための画材を、
      仕事のための資料を、
      だな
 
 それらは確かに気晴らしであった、しかし、実際には仕事だ。この状況、この場合において、これらは仕事の一環だ。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、あなたは確かに
    仕事以外の検索では、
    フリーズしちゃいますからね
 
  ( ‥)....調査の検索、調査の捜査
    –/ それ以外、いかなる
       キーワードも
       脳裏に浮かばない。
 
 
 
 ああ、そして思う。時々いく喫茶店には音楽がかかっている。
 
 ∧∧
( ‥)歌詞はないけどね
 
  (‥ )疲れている時、
      本を読む時、
      歌詞なんか聞く気に
      ならないからな
 
 一方、なにも思いつかない時、確かに音は気分転換になるのだ。
 
 ∧∧
( ‥)公園の森をごそごそ歩く時の
    ようにね
 
  ( ‥)サバンナとキャンプで
      暮らしていた猿、
      生物としての本来の
      欲求というかな。
 
 沈黙ではなく、音を聞きたい。こんな要求は我ながらキャラではないと思うけども、そう感じることがある。
 
 ∧∧
( ‥)ところが? ある場所で
    そういう欲求を全然
    感じなくなったと
 
  (‥ )みんなで老いも幼きも
      集まって騒いでいたのでな
      ゲームの電子音は響き
      うまくいかない子供の声や
      たしなめるお母さん、
      世間話に、意見交換に
      うるさい、うるさい。
      だけども、音楽を聞きたい
      なんていう欲求はぴたっと
      おさまった。

 
 
 そこでふと思う。音楽なんぞに特に興味のない自分が音を聞きたくなるような、そんな(追いつめられているような)状況がありうる。
 
 
 ∧∧
( ‥)だが、みんなでお互いに
    しゃべっている場所にいると
    そんな要求が雲散霧消する
 
  (‥ )これは猿本来の要求を
      満たしたからかね?
      あの場はサバンナの
      キャンプだったのか?
      そしてだ、
      今、信じ難いけど
      漫画やラノベでさえも
      ネットで果てしなく
      行われる会話に
      負けつつある、そんな
      状況なわけだよね?
 
 *この話=>hilihiliのhilihili: ラノベも漫画も読まれぬ時代
 
 漫画やラノベでさえも、人と人との会話に浸食される。
 
 というのなら
 
 ∧∧
( ‥)音楽も同様だと?
 
  (‥ )勝てる道理はないだろう?
 
 考えてみれば、勝てるわけがないのだ。
 
 考えてみれば、みんなで会話をしている時に本を読みふけったり、漫画を読みふけったり、音楽を聞いてばかりいる奴は
 
 ∧∧
( ‥)暗い奴?
 
 (‥ )まあ、そう言われるだろ?
     否定はできんよな。
     というか、普通、そんなこと
     しないだろ。
     場合によってはすごく
     失礼な態度だしな。
 
 皆の輪に入らない。それは本人には十分な理由があるが、周囲からすれば、お前達は価値がない、という宣戦布告以外の何ものでもない。
 
 ∧∧
( ‥)それを考えれば、音楽が
    衰亡するのは当然だと
 
 (‥ )音楽が売れないのは
     違法ダウンロードが原因だ!
     いや、それは逃げだ
     違法でもなんでも
     広げないと認知されず
     買ってももらえないだろ!
     とか、
     そういう見解以前にだ
 
 音楽が、人と人との会話に勝てる。この前提自体が大間違いだったのではなかろうか?
 
 ∧∧
( ‥)考えてみれば、
    勝てるわけがない
 
 ( ‥)駅前でさ、歌っている
   –□ お兄ちゃんたちも、
      あれは会話のない人々が
      行き交う場所だから
      需要が生まれる、
      そういうことかもしれん
 
 実際、会話のある場所で歌ったら、概していやな顔をされるだけだろう。最低限、ムードにあった音楽をリクエストされるはずだ。自分の曲を一方的に歌うなど、ああいう場所でなければ、本来は許されまい。
 
 皆が音楽を求めている。それ自体が誤った前提だった場合、どうなる?
 
 ∧∧
( ‥)音楽はただの代替物かも
    しれなかった。
 
 (‥ )今の時代、音楽を売るとは
     キャバクラでダッチワイフを
     売るようなものかもしれん。
 
 ∧∧
( ‥)下品だし、他人事ではないな
 
  (‥ )下品な言い様だが、
      他人事ではないんだよ
 
 

 
 

じょじょに起きる現象を理解する

 
 ∧∧
( ‥)どう?
 
  ( ‥)んーーーー
    ‐□
 
 人類の出アフリカ以降に起きた大量絶滅。昔から、これは氷河期(氷期)の終了による気候変動が原因だ、という説と、人類による狩りが原因だ、という説がある。
 
 ∧∧
( ‥)...まあ、あなたは
    人類が原因説を
    採用していますよね。
 
 (‥ )もろもろの理由からそうだろ
  □‐  と思うのだけども、
      言い換えればだよ、なぜ
      かなり多くの研究者が
      人類原因説ではなく、
      気候変動説を採用するのか
      あるいは”した”のか、
      それを把握する必要が
      あるよなあ。
 
 人類が原因説を採用するある人は曰く、それは、多くの研究者の関心は、本当に最後の最後、大量絶滅が進行するその最後の記録そのものではなく、より古い記録にあったためである、と。
 
 ∧∧
(‥ )とっ、解釈できる文章が
 □‐  出てきましたね
 
  (‥ )研究者が当時の生態系を
      再現することを
      目的とすれば
      絶滅の過程そのものを
      クローズアップしない、
      というのは当然かもね。
      そして、再現した生態系で
      絶滅を説明するのも
      また、当たり前だなあ。
 
 例えば生態系的な説明では曰く、氷期にはパッチワークのような植生と多様な植物が生えていた。この寒く乾いた世界は、氷期の終了と共に、緯度ごとにグラデーションとなった一様な世界になった、これが絶滅の原因である、というような説がある。
 
 ∧∧
( ‥)少なくとも、この文献は
    氷河時代の気候を
    推し量った論文であり
    資料ですね
 
  ( ‥)絶滅の説明はともかく
    ‐□ 当時の様子を知る
       ために必要な
       文献ではあるよな
      
 
 
 もちろん、こういう絶滅説の場合、人類というそれまでの生態系になかった要素は自動的に考慮されないことにもなる。
 
 ∧∧
( ‥)この場合、人類が原因説は
    原理的に成り立つわけがない
 
  ( ‥)んんんんーー
    ‐□ しかし、それだけ
       なんだろうか?
 
 例えばの話、あいつら気に入らねえ。全滅させるべきだ! 殺せ! という意見がある。
 
 ∧∧
( ‥)でも? そういう一気に抹殺する
    ような力は非現実的。
    やるにはもっと小さな
    作用でもいいのだと
 
  (‥ )例えば1年間に相手の人口、
      個体数の1パーセント、
      いや0.1パーセントを
      奪うだけでもいい。
 
 これを100年、1000年、1万年続ければ
 
 ∧∧
( ‥)数学的にはともかく、
    現実的には絶滅がおこる
    でしょうね
 
  (‥ )ところが計測的には
      困ったことにだ
      1パーセントならともかく、
      0.1あるいは、0.01とかの
      減少率だとリアルタイムで
      観測している人には
      それが見えて
      こなくなるわけだ
 
以上はたとえ話にしても、つまり、リアルタイムでは測定不能な作用でも、地質学的な尺度では破滅的な効果を及ぼす場合がありうる。そういうことは分かる。
 
 ∧∧
( ‥)昔から指摘されることですね
    現在進行形では計測できない
    だが歴然とした結果をもたらす
    作用がありうる。しかし、
    これをはたして
    科学できるのか?
    そういう問題と議論。
 
  (‥ )こういう場合、もしも
      人類が出アフリカ以来、
      連綿と日記を
      残していたとしても、
      人類がマンモスを滅ぼした
      直接的な原因であっても
      「最近、マンモスを
      見なくなりました」
      なんて、
      彼らは書かないよな
 
 10年でマンモスが急減したとかならともかく、地質学的には瞬間に近いが、しかし人間にとっては長大な時間、1000年、1万年かかって起こる現象を実感として書き遺すことはありえないだろう。
 
 仮に「最近、マンモスを見なくなりました」という日記が残されているとすれば、
 
 ∧∧
(‥ )それは局地的、短期的な
 □‐  気候変動や個体群の移動、
     消滅などの記述であって、
     種族の絶滅そのものの
     記録ではないでしょうね
 
  (‥ )しかもだ、日記に該当する
      化石記録は
      連続記録ではなく
      さらに非常に断片的な
      記録になるわけだよね。
 
 化石記録は進化の記録を残すにはおおむね十分な頻度で残るように見えるけども、絶滅の過程は残すのは難しそうだ。
 
 ∧∧
( ‥)絶滅とは生物種が移動できず
    進化もできない状態、つまり
    急激な現象
 
  (‥ )進化記録は残せても、
      絶滅記録は荷が重い。
      つまり断片的な記録から
      こういう現象をどう見るか
      なにを抽出するか、
      どう抽出するのか?
      そこ問題だよねえ。
 
 もちろん、ふーんだから化石なんか信用できないのさ、だから俺様の理論を見るぴょん、とかそういう何も知らないありがちな馬鹿は放っておくとして。
 
 ∧∧
( ‥)研究者の議論や
    採用した仮設、その根拠、
    それを支えた方法論、
    それらは理解しなければ
    ならないのだと
 
  (‥ )たとえ間違っていても、
      間違っていると
      思っていても
      なんであれ、
      その仮説の理由を
      理解せねばならんのだ。
 
 

 
 

2013年3月29日金曜日

ネットも文字だが校正がない

 
 先に書いたことだけども、
 
 ∧∧
( ‥)より詳しく言うと、
    今時の高校生は
    ラインなどを使い、
    果てしなく文字で
    会話するから
    もう、漫画もラノベも
    読まないのである、と。
 
  ( ‥)ネットとかで拾っただけなら
    ‐□ 真に受けない話なんだがね
 
 だが、これは現場由来の話なので、
 
 ∧∧
( ‥)マジですか?? と
    正直、あなたは驚いた。
 
  (‥ )さすがに予想外なんでね
 
 だが、ふと思い出す。あの強烈に売れている海賊漫画。買っているのは子供じゃない、むしろ大人だ! という統計結果。
 
 あるいはこれを踏まえて曰く、あれは実は子供に人気などないのだ、というネットの揶揄。
 
 ∧∧
( ‥)この統計や、
    揶揄の説明がつくと?
 
  (‥ )少なくともつくだろ?

大人は購買力がある。
 
それに加えて、
 
今時は子供も漫画を読まない(あるいはその割合が下がった)。
 
というのなら。
 
 ∧∧
( ‥)奇妙に思える偏りの
    説明はつきますね
 
  (‥ )ジャンプに
      「課長 島○作」が
      掲載されているー、とか
      言うのならいざ知らず、
      あの海賊漫画は冒険ものだ
      特別、大人向けって
      わけじゃないからな。
      先のような揶揄を
      信じるには無理があるよ
 
 
 
 その一方で、そこそこな進学校にいた高校生から話を聞けば、
 
 いや、うちの学校の生徒はみんなではないですが、本を読みますよ。と、
 
 ∧∧
( ‥)どうも話を総合すると、
    教科書を読む人間しか
    漫画やラノベを読まない
    そういうことらしい。
 
  ( ‥)これも個人的には
      腑に落ちる話でなあ
 
 元旦の横須賀線で見た、無駄に教育ママなお母さんに追い詰められていた子供が読んでいたのは、たわいもないジュブナイル小説だった。
 
 ∧∧
( ‥)分からなくもないですね
    学校だの塾だのに追われている
    子供が岩波文庫なんか
    読むわけないという感じ
 
  ( ‥)ジュブナイル小説は
    ‐□ 一服の清涼剤みたいな
       ものだからね
 
 勉学は若い時にしかできないが、若い時に勉学することは人間的に無理がある。一部の”いわば異常者”をぬかせば、みんなどこかで必ず逃げ道が必要だ。
 
 ∧∧
( ‥)それが一服の清涼剤になる
    軽い読み物。
    
 
  (‥ )ゆえに整合性はある。
      個人的には腑に落ちる。
 
 ∧∧
( ‥)勉学のできる人間しか
    漫画やラノベを読まない時代
    それはともかくとして
 
  ( ‥)んー、これは、
    ‐□ ネットで誤字脱字が多い
       理由でもあるのかな?
 
 出版界というプロ集団が素人に圧倒的に勝る部分、それは
 
 ∧∧
( ‥)金や経験、人脈、組織
    肩書き、しかしそれ以上に
    明瞭なのは
 
  (‥ )誤字脱字の排除、
      ルビの徹底
      ここなんだよね
 
 
 
 ∧∧
(‥ )これが大変なんですよね
 □‐ 
 
 (‥ )どうしてこんなにあるんだ?
     どうして見落としていたんだ
     何度読みなおして、
     何度チェックしても
     必ず何か出てくるからな
 
 *あれほどチェックしたはずなのに、出版後にキャプションにおける倒木のルビが「とうぼう」になっていることに気づくという実体験。
 
 
 人間は前後の文脈で文字を読む。そのため間違った文字や抜けも、脳内で補完、補正して読んでしまう。だから間違いはそう簡単には見つからない。
 
 ∧∧
( ‥)そして、これは本を
    読んでいた人間にしか
    できない作業であると
 
  (‥ )読んでいないと、
      脳内補完うんぬん以前に
      間違いがわからんからな
 
 一方、そういうチェックが原理的に存在しないネットでは、例えば「絵を書く」とか、そういう誤字が妙に多い。「絵を描く」という正しい表現がむしろ少ないのでは? というほどに。
*他:確立と確率、個体と固体、など。
 
 
 ∧∧
( ‥)同音異義語ですね
    ありがちな勘違いです。
 
  ( ‥)キーボードその他に
      おける変換ミスが
      主な原因だろうけども、
      そうでない要因、
      本気でそう思っている、も
      あるだろうからね。
 
 漫画すら読まない人間による、ネットによる活字会話というのは、こういう勘違いの温床になりうるだろう。
 
 ∧∧
( ‥)少なくとも本は、内容は
    ともかくとして、
    文字表現自体は調整され、
    最善を尽くしていますから
 
  (‥ )そういうものを読まずに
      音の知識だけで漢字を
      当ててばかりだと
      間違いは是正されない
      からなあ。
 
 ∧∧
( ‥)それを考えると漫画も
    ラノベも、正しい文字表現を
    維持する出版文化の
    担い手になるのだと。
 
  ( ‥)それ自体は当然なんだが、
      その重要性は、今後、
      より強調されるべき
      ではないかと思えるね。
 
 言い換えると
 
 ∧∧
( ‥)出版業界に就職するには
    本を読んでください、と。
 
  (‥ )まあ、当たり前だけどね
      そこんところも、より
      強調されるだろうな。
 
 
 
 

 
 

面倒くさいは体力がないの言語的翻訳

 
 ( ‥)先日、帰郷した先で
     走ってみたんだがね。
 
 ∧∧
( ‥)ああ、中学時代に走って
    いたコースね
 
 走れることは走れるが、
 
 ∧∧
( ‥)ひどく疲れました、と
 
  (‥ )あんなに疲れるとは
      思わなかったよ。
      故郷は扇状地でな
      わずかだが坂になって
      いるのだが
 
 コースは大雑把にいって長方形なんだけども、斜面方向に駆け上がる過程でかなり体力を奪われるらしい。続く、斜面と直角とでもいうか、同じ等高線を走っている過程でその疲労が回復しない。以前は10分以下、ノンストップで走り抜けた道のりだが、今はこんな短距離でも、ぜーはーぜーはー、という有様。
 
 
 ∧∧
(‥ )なんでもお知り合いの方は
 □‐  子供の運動会で転んで
     肋骨にひびが入ったとか
 
  (‥ )おいちゃんと年齢はほぼ
      同じ、40代前半
      なんだけどね。
      これは深刻だよねえ。
 
 時々、街で見かける光景。道をよろよろと、しかしのろのろ横切る老人を前に、困惑して立ち止っている自動車。
 
 ∧∧
( ‥)あれは昔だったら
    向こうに見える自動車が
    あの距離あの速度なら
    自動車がここにやってくる
    前に道を横断しきれる、
    という過去の経験のまま
    行動している老人なのだと
    言われますが
 
  (‥ )以前はできた、だから今も
      できるはずだ。
      そう思い込んだままだ、
      そういう説明だね。
 
 以前はできた。だから今もできる。ああ、しかし、
 
 ∧∧
( ‥)だが残念、過去は未来でもなく
    現在でもない。過去は無条件に
    現在と未来を意味しない。
 
  (‥ )経験にとらわれているとも
      言えるし、
      経験を前提にした
      論理にとらわれているとも
      言えるかな。
 
 ∧∧
(‥ )私はできる。ゆえにできるはず。
 □‐
 
  (‥ )こういう言い方すると、
      より、論理的に聞こえるね
      間違っているけどね。
 
 ∧∧
( ‥)大真面目に言うと過去は未来を
    包含しないから、以上は
    破たんした論理のはず。
 
  (‥ )破たんした論理だね。
      単純に言えば体力は衰える
      かつてできたことが
      いまやできない、
      ただそれだけの話なんだが
 
 一方、さらに大真面目にいえば、私はできる、という言い方が問題なんだとも言える。
 
 ∧∧
(‥ )過去の私と今の私を
 □‐ ”私”という大雑把な主語や名詞で
     ひとくくりにした詭弁だとも
     言えますか
 
 (‥ )まあ、そうだろうね。
     もちろん、こんな大真面目な
     言い方をする必要も
     また、ないんだけどな。
 
 単に、昔できたことが今もできると思うな、それが老いというものだ。それだけの話。
 
 ∧∧
( ‥)でもさ、この話って、
    できるはずもない素早い横断を
    できると思って歩く老人と
    できると思って走ったら
    できない40代が連続している
    そういうことでも
    あるのですよね
 
  ( ‥)当然の話なんだがな
    ‐□ なかなか気がつかない
       ものだね
 
 ∧∧
( ‥)気付く局面がない、そういう
    ことですかね。
 
  (‥ )たぶんなあ、無意識のうちに
      気付く局面を避けて
      いるのだと思う。
 
 そして、そのキーワードはたぶん”面倒くさい”
 
 
 
 ∧∧
( ‥)たとえば?
 
  (‥ )青信号が点灯してる。
      以前なら走った、だけども
      なんか面倒くさいなあ
      だるいなあ、信号待てば
      いいんだよねー、
      そういう感じ
 
 
 ∧∧
( ‥)自分に言い訳してる?
 
  (‥ )体は、もう体力がないから
      そういう行動はやめてくれ
      そう言っているんだけどね
      それを言語的に翻訳すると
      めんどくさいになる。
      そういうことじゃないかと
      思う。
 
 ∧∧
(‥ )まあ、青信号自体は
 □‐  待てばいいだけの話
     ですけども。
 
   (‥ )青信号自体はそうだね
       だけどもね、思い出せば
       30代後半から、
       この”面倒くさい”が
       いつの間にか、
       日常のあらゆる局面に
       入り込んでくるんだ。
 
 
 ∧∧
( ‥)面倒くさいは体力がもう
    ありません。そういう
    表示と思えと。
 
  (‥ )日常の動作は毎日行う。
      つまり日常自体は
      トレーニングしている状態
      だから、それを行う体力は
      維持されている。
      だが、それが曲者だとも
      言えるよね。
 
 日常の動作は日常的な反復でトレーニングし続けている状態。
 
 これは言い換えると、頻度の少ない動作に必要な体力は落ちる一方だ、ということでもある。
 
 ∧∧
( ‥)つまりいつの間にか
    日常以上のことが
    できなくなっている
 
  (‥ )しかも無意識のうちに
      面倒くさいと体力の壁を
      回避してるわけだろ?
      体力の低下が
      日常を浸食する
      その時まで、気付かない。
      そういうことだよな。
        
 
 

2013年3月28日木曜日

働き盛りが破滅の始まり、いや、むしろ原因

 
 
 
 ∧∧
( ‥)35、40歳を過ぎて
    まがいなりにも仕事が
    軌道に乗ったと
    しましょう
 
   (‥ )やったー、これで
       一安心と思っていると
       概して破滅が待っている
 
 
 ∧∧
( ‥)40歳をピークに、以後は
    体力が下落する一方
    それがひとつの理由ですか
 
  (‥ )ひとつの、というか、
      ほとんど唯一の理由だなあ
 
 単純に言うと、このまま走りきれる! と思っていたが、走りきれない。
 
 ∧∧
( ‥)いけるいけると思っていたのに
    50歳を超えたあたりで
    息切れですか
 
  (‥ )まあ、そんなとこ、というか
      見た限りでは、
      息切れがもっと早い時点で
      やってくる、
      そんな感じかな。
 
 もちろん、「そんなことは無い。事実、俺様はまだまだ安泰だ。これを見よ!」という人もいるけども。
 
 ∧∧
( ‥)実際は息切れしてる?
 
  (‥ )してるなあ。自分では
      してないように思える、
      思っているけど、それは
      組織によって外部の圧力や
      変動から 緩衝されている
      せいじゃね?
 
 安定度は不等記号を使えば、概して以下のように示せる。
 
 公務員>会社員>フリー
 
 この構図から考えると、フリーの方が、いわばこの年齢による浸食の影響をもろに受けると予想されるが、事実、というべきか、フリーはどうも40を超えたあたりで
 
 ∧∧
( ‥)落ちていくと
 
  (‥ )落ちていくね。
 
 そんなことはない。俺様を見よ! という人もいるけども
 
 ∧∧
( ‥)落ちていると
 
  ( ‥)いつの間にか、
      どこか、慣れと怠惰が
      侵入しているんだ
 
 ∧∧
(‥ )慣れがあるのは当然なの
□‐   ですけどもね
 
  (‥ )慣れも効率化も蓄積だ。
      問題は慣れの蓄積で
      なにをするか、だな。
 
 例えばの話。絵で言うと、おおむね質は量にはかなわない。
 
 ∧∧
( ‥)それを言うと、質の悪い絵を
    いくら累積させたって0だろう
    そう指摘されるものですが
 
  (‥ )ただなあ、累積させても0に
      しかならないのは、
      もともとが0の場合だけ
      なんだよね。
 
 言い換えると。わずかな質があればいい、それさえあれば
 
 ∧∧
( ‥)累積させれば結果を出せる
 
  (‥ )つまり量は質に転化する
 
 考えてみれば当たり前の話なんである。極論すれば画面を正方形に区切って色を指定すればよい。
 
  ( ‥)馬鹿でも能無しでも
      きれいな絵を描ける
 ∧∧
( ‥)刺のある言いようですが、
    ごくわずかな質しかないもの
    でも、あきれるほど大量に
    累積させれば絶大な効果を
    生み出せるということですね
 
 絵やイラストは芸術なのだ。それは量では生み出せない! と断言する人間もいるが。
 
 ∧∧
( ‥)生み出せる、と
 
 ( ‥)ある種の線が人の神経を
     励起する。それが感動だと
     言うのであれば、その線を
     発見するのが
     イラストレーターの仕事だ
 
 自称賢い人間ならば、理論だけでこれを語るだろう。あるいは語って”しまう”だろう。
 
 ∧∧
( ‥)でも? 頭が悪くても、
    大量に下描きを描けば
    目的の線を発見できる。
 
  (‥ )理屈じゃない。試行錯誤だ
      進化的アルゴリズムによる
      解の探索だと言っても良い
 
 解の探索に知能は必要ない。質も関係ない。量だ。
 
 ∧∧
( ‥)へたうまって、おそらくそうして
    発見された奇跡のスタイル
    でしょうしね
 
  (‥ )だからプライドだけ無駄に
      高くて手が遅く、
      自己満足な
      俺様野郎は
      へたうまにもなれない。
      量が少ない、
      無駄に時間をかけすぎ、
      そしてへたくそ。
      三拍子そろった
      能無しで終わるのだ。
 
 質と言いつつ質がなく、馬鹿にしている量をこなせない。これでは駄目だ。そんなだから人生を棒に振ってしまうのだ。
 
 
 一方、慣れ、というのは速度の短縮である。
 
 ∧∧
( ‥)慣れた時に何をするか、
    ですか
 
  (‥ )慣れが短縮なら、
      慣れによって単位時間
      あたりにこなせる量が
      増大するのだ。
 
 量が質に転化するのなら、これは福音。
 
 ∧∧
( ‥)より上を目指して飛べる
 
  ( ‥)だが、それをしなかったら
      どうなるか?
 
 俺はやった、俺は頑張ってこの地位を手に入れた。満足して「うん、先輩として、おじさんからのアドバイスだよ、諸君」と若者向けに自慢げに.....
 
 ∧∧
( ‥)だが、それは現状維持
    ではないか?
 
  (‥ )現状維持自体は悪くない
 
 しかし、この世界で安定的な状態は唯一死だけだ。実際、人間は最終的に自らの肉体を構成する元素のふるさとである二酸化炭素と水に戻ろうとしている。絶えず、どんな時でもだ。
 
 ∧∧
( ‥)現状維持をもくろんだ時
    それは現状維持ではなく、
    ゆるやかだが確実な
    下り坂になるは必然
 
  ( ‥)慣れと効率化を選んだ時
      わずかでもいい、隙間に
      別の作業を入れないと
      浸食に抵抗できない
 
 ∧∧
( ‥)ましてや体力は40が
    ピーク。
 
  (‥ )つまり加速的な浸食で
      この状況だ。
      これでは
      破滅あるのみだ。
 
 ∧∧
(‥ )仕事に慣れ、働き盛りで
□‐   脂が乗り切った時期こそが
     破滅のはじまり、
     いやむしろ原因
 
  (‥ )さあ、この状況でどう
      走り抜けるか?
      これが僕らの問題だね
      
      
 
 
 
 
 

実験星

 
 
 ドサディ実験星 砂の惑星の作者ハーバートが書いた小説。いわば”どこでもドア”が普及した世界。誰もが望む場所へすぐに行ける社会。誰でもすぐに、瞬時にいかなるものにでもアクセスできる世界。
 
 しかし、この時、気がついた人々がいた。
 
 ∧∧
( ‥)物事に即座に
    アクセスできる。
    それは任意の物事を
    完全に隔離できること
    に他ならない。
 
   (‥ )つまり、ドアでアクセス
       できないようにすれば
       ひとつの惑星を丸ごと
       隔離できる。それに
       気付いた人間がいた。
       そして、人々を隔離して
       何世代も実験を行う。
       そういう物語。
       
 
 瞬間的なアクセスが普及した世界で面倒くさい手段をとる人間はいない。
 
 つまり瞬間的なアクセスさえ遮断すれば、任意の場所を完全に隔離することができる。
 
 
 
 現実にこれを置き換えればこうである。
 
 いかなる情報にでも瞬時にアクセスできるネットが普及した今、ネットに接続できないようにすれば任意の情報を丸々、人々の目から隠すことができる。
 
 ∧∧
( ‥)いや、接続できていても
    いいのですよね。
 
   (‥ )さる人曰く、検索の上位に
       出てこない情報は
       存在しないことと同じ。
       ほら、彼は隔離できると
       述べている。
       情報を隠すことは、実は
       非常に容易な時代なのだ
 
 本に携わる仕事をする人でも、編集の中核にいないと、wikiで物事を調べ、確認しようとすることさえしない。そして、しかし、そのwikiは間違いだらけ。
 
 つまり、正しい情報を人々の目から隠すことは、むしろたやすい。
 
 ∧∧
( ‥)人によっては検索上位に
    こない情報は需要がない
    だから知る必要もない
    そう言うでしょう。
 
  ( ‥)だが残念。それが成立する
      のは人が検索上位にくる
      情報のみで行動する時
      だけなのだ。
 
 概してそうだ。だが絶えずそうか?
 
 いやあ、そうではない。
 
 ∧∧
( ‥)言い換えると、
    アクセスの障害を
    突破できるようになれば
    それは独自の仕事に
    なるのだと
 
  (‥ )検索上位にない、という
      ことは、確かに需要は
      少ないということだ。
      だが皆無なわけじゃない。
 
 ましてや、無限に続く活字による会話に人が呑まれたというのなら、教科書を読む人間でないとラノベや漫画を読まない時代だ、というのなら、本が相手にするのはもはやマイナーな需要でなければならない、そういうことでもあるだろう。
 
 ∧∧
( ‥)本は情報を隔離する
    ツールである。
 
  (‥ )本は知識と情報の差別と
      格差を作るツールである。
      ならばやりようはある
      そういうことだ。
 
 

2013年3月27日水曜日

ラノベも漫画も読まれぬ時代

 
 
 ∧∧
( ‥) つまり?
 
  (‥ )最近の子はラノベも
      読まないそうだ。

 聞けばそれも当然。ラインとか、ネットでずーっとしゃべっているからだと。
 
 
 ∧∧
( ‥)しゃべるといっても
    文字のやりとりでね
 
   (‥ )まあ、活字を読んで
       いるわけだ。
 
 そりゃあ、ラノベだろうが、漫画だろうが読むわけないよなあ。
 
 ∧∧
(‥ )勉強ができて教科書を
    読む子はラノベも読むと。
 
    (‥ )割合としては少ないが
        本を読むそうだな。
 
 言い換えてしまえば、漫画もラノベもエリートが読む時代、そういうことか。
 
 ∧∧
( ‥)子供に対する漫画の
    悪影響なんて過去の話
    単なる時代錯誤、そういう
    ことですか
 
    ( ‥)時代は変わったよ。
        そして僕らがいる
        業界としては深刻な
        話であるね
 
 この先、生き残るのは、漫画、ラノベ、教科書だけである。
 
 ∧∧
( ‥)とっ、あなたは言いましたが
 
    ( ‥)予想自体は正しかった
         しかし、この状況は
         はるかに深刻だな
 
 ∧∧
( ‥)どうします?
 
    (‥ )まあ、やりようは
        あるな。
 
 この状況は極めて不都合と言えば不都合。しかし、好都合と言えば好都合。
 
 ∧∧
( ‥)具体的には?
 
    ( ‥)まあ、見てろって
        というか、やらなきゃ
        説得力ないからな。
 
 
 
 
 

因果関係の推論とは興味深い問題

 
 hilihiliのhilihili: 彼の滅びと死を書き連ねるべしの続き
 
 
 ∧∧
(‥ )でも、放射能が怖くて、
\–   得体の知れない民間療法や
     疑似科学にすがった人は、
     「これを笑うなんて、
     そこまで追いつめられた人の
     気持ちが分からないのか」
     と反論するみたいですね。
 
  (‥ )ああ、それは因果関係の
      建て方が少しおかしいなあ
 
 現在、この地域の放射線の量はかくかくしかじかです。
 
 分かる人は、ふーん 
 
 多くの人は、よくわかんないけど、なんかみんな騒がないから大丈夫だろう
 
 あるいは
 
 めんどくさいからやめちゃったー だって、何も起きないんだもん
 
 しかし
 
 ∧∧
( ‥)しかし、一部の人は大問題だ
    どうしよう? どうしよう??
    そこで、”これです!”と
    マニアックな手段に走る
 
  (‥ )これは、放射線のせい、
      ではないよねえ。
      この選択肢は個人の問題
      自身が原因だよな。
 
 あるいはこう言えばいい。科学的に測定された放射線の量、それを見たこと、知ったことが原因でその行動が引き起こされたわけではない。事実、大部分の人間はそんなことをしていない。
 
 ∧∧
(‥ )つまり、ご本人の問題
\–
 
 (‥ )失恋したAさんが、
     もう女は信用できない、
     そう言った。
     それを聞いた女性Yさんは
     私を信用できないというの?
     と激怒した。
 
 
 Yさんの怒り、という反応は、Aさんのぼやきが原因だろうか? 
 
 ∧∧
( ‥)むしろ、Yさんの受け取り方
    それ自体がYさんの怒り、
    という反応の原因ではないかと
 
  (‥ )例え話で言うと、
      まあ、そういうことね。
 
 *注:以上は、男性、女性、その他主語を色々と入れ替えても可。
 
 ∧∧
(‥ )自分の不安、そのものが
\–   原因となって行動を起こす
 
  (‥ )科学的、医学的根拠とは
      無関係な反応をした人が
      科学的、医学的根拠とは
      無関係、あるいは
      正当化できない対応策を
      選んでしまう。これは
      整合的と言えば、整合的だ

 
 
 以上を踏まえると、先の言い様。そこまで追いつめられた人の気持ちが分からないのか、とは
 
 ∧∧
( ‥)因果関係の指定が適切ではない
 
  (‥ )適切ではないな。
      原因をすり替えてる。
 
 
 ∧∧
(‥ )そういう因果関係の推論が
\–   適切でない人の対応策が、
     発酵させたとぎ汁だか
     なんだか、というのも
     示唆的でありますね
 
  (‥ )発酵させたなんちゃらが
      効果を発揮した。
      これは因果関係に関する
      主張だからね。
 
 因果関係の指定が適切でない人が、効果(つまり因果関係)が認められていないものにすがる。これもまた、整合的だ。
 
 ∧∧
( ‥)彼の人たちは、これには
    きちんと効果があるんです
    事例を上げて、
    そう主張するでしょう。
 
  ( ‥)ここで僕らは、
      興味深い領域に
      入り込むわけだよ
 
 タバコを吸ったAさんは肺ガンで死んだ。Aさんの死はタバコが原因である。
 
 これは正当か?
 
 ∧∧
( ‥)正当とは言い難いですね
    タバコ以外にも肺ガンを
    引き起こす原因はあるでしょう
 
  ( ‥)アボガドを食べた。
      翌日死んだ。
      因果関係があるか?
      これだけでは
      否定もできんし、
      肯定もできん。
 
 ∧∧
( ‥)因果関係の推論は実は
    論理や事例の枚挙では
    正当化できない
 
  (‥ )だが、もしその人がだ、
      こう考えていたらどう?

 
 
 品物Aは効果がある。使用したら良い結果が出た。ゆえに品物Aは効果がある。
 
 品物Aを使った時、良い結果1、2、3がある。ここから品物Aはすべからく効果をもたらすと考えてよい。
 
 ∧∧
( ‥)論理的、あるいは
    事例の枚挙による
    法則化ですね
 
  ( ‥)彼らがそう考えて
      いるとしたら、
      彼らの行動は説明できるし
      実に興味深い。

 
 
 少なくともこういう考え方では、1つの事例、あるいは幾つかの事例の列挙だけで効果が証明されたと思うだろう。
 
 だが、実際には、統計的な解析や説明が必要だ。
 
 しかし、先のような人々の考え方では、そもそも統計的な因果関係の推論は理解できない。
 
 ∧∧
( ‥)つまり、誤りを是正できない
 
  (‥ )だとしたら最後のテストは
      ご本人たちに自己責任
      ということになる。
 
 
 失敗した選択肢を歩むと、命の損耗が大きくなる。言い換えれば、結果的に、生き残った方法論が妥当だ。
 
 ∧∧
(‥ )でも、困ったことに
\–   その過程、それ自体が
     統計的な過程なんですよね
 
  (‥ )まあ、気づかない人は
      ずっと気づかないまま、
      最後まで正しいと信じて
      摩耗することに
      なるわけだ。

 
 
 因果関係の推論とは興味深い問題。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

彼の滅びと死を書き連ねるべし

 
 
 アオハタをリンク=>Untitled Document
 
 ∧∧
(‥ )青くもないのに青いハタの
\–   名を持つアオハタさん
 
  (‥ )謎だよね。それにしても
      さすがに連続して魚の
      スケッチをすると疲れるよ
 
 ∧∧
( ‥)生ものだしね
 
  (‥ )置いとくと痛んじゃうから
      買った以上は
      描かないといかん

 
 
 まあ、魚のスケッチは、しばらくこれでおあずけ。
 
 さて
 
 ∧∧
(‥ )ニセ科学! と怒っても
\–   ニセ科学に騙された人は
     態度を硬化するだけ。
     それにそういう言い方では
     すべてを疑うという
     科学の根幹を伝えることが
     できませんよ、と。
 
  (‥ )まあ、いわんとすることは
      分かるけどね。
 
 トンデモや疑似科学にひっかかった人に、「こんなこと信じるなんて、お前、馬鹿なの?? 」と怒鳴っても、それは相手の態度を硬化させるだけだ、というのは事実としてそうだ。
 
 ∧∧
( ‥)でも?
 
  (‥ )優しく分かりやすく、
      丁寧に説明したって
      同じだろ。
 
 ∧∧
( ‥)根拠は?
 
  ( ‥)ここで希有壮大な話をば
      いたします。
 
 ネアンデルタール人とホモ・サピエンスを比べると、我々、ホモ・サピエンスの方が、宗教的な遺物を大量に残している。
 
 ∧∧
( ‥)あなた方は根拠のない固執と
    信念を抱く動物である
 
  (‥ )これが種族的特性だ、と
      するならばだ。
 
 疑似科学を信仰する人に怒鳴ろうが、優しく丁寧に説明しようと同じである。何を言っても無駄だ。
 
 
 
 ∧∧
(‥ )言い換えると科学を信仰する
\–   人々が出てきてしまうのも
     同じ理由なんでしょうね
 
  (‥ )オレ様、算数できるから
      なんでも分かる、とか
      演繹さえすれば実験なんて
      する必要がないだー、とか
      再現実験できないものは
      科学じゃない、とか
      そういう隙のあること言う
      連中はごろごろいるからな

 
 
 ∧∧
( ‥)どれも、どうにもなりませんと
 
  (‥ )どうにかなった試しが
      あるかね?
 
 いや、ない(反語)。
 
 
 ∧∧
( ‥)どうしましょうね
 
  (‥ )それを決めるのは人間では
      ないよなあ。
 
 失敗した選択肢を選ぶと死ぬ。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、死ぬ確率が増える
 
  ( ‥)いかなる選択肢を選んでも
       死ぬ確率は増大するのだ
       だが、すべての選択肢で
       増加率が同じわけ
       じゃない
 
 
 なんでも漫画家さんのtwitterで知ったけども、米のとぎ汁を腐らせて噴霧すると放射性物質を除去できると伝え聞いて、信じて実行した人が具合悪くなったとか。
 
 ∧∧
( ‥)米のとぎ汁を発酵させる
    だかなんだかして
    飲んだり噴いたり
    そういう疑似科学療法
    でしたっけね
 
  ( ‥)知らんうちに世間では
    –□ 面白いことが流行って
       いるわけだよね。
 
 なんだ、ずいぶん楽しそうなことをやっているじゃあないか。
 
 しかし、まあ、体に良くはないし、そんなんで放射性元素がどうこうなるものでもない。
 
 ∧∧
( ‥)失敗した選択肢をチョイスした
    人々が命を摩耗させる事例?
 
  (‥ )それ以外なんだって
      言うのだ?
 
 ∧∧
(‥ )あの人達は放射能の方が
\–   体に悪いのだ、と言う
     でしょうね
 
  (‥ )思うのも信じるのも自由
      根拠の無い信念にすがる。
      それがホモ・サピエンスの
      種族的な特性だ。
 
 信じるのも固執するのも自由だ。想いも自由だ。
 
 だがしかし、その選択肢の妥当性を最終的に決定し、命の損耗度を割り当ててくるのは信仰心や信仰や人間でもない。
 
 ∧∧
( ‥)それは宇宙が決めること
 
  ( ‥)反原発だろうが、
    –□ 太陽光発電だろうが、
       事業仕分けだろうが、
       全部同じだ。
 
 失敗したら、財産を失うなり、死ぬなり、社会が丸ごと奴隷化される。それだけの話。
 
 ∧∧
( ‥)あなたは相手を説得する気は
    ありませんと。
 
 (‥ )これが現時点での妥当解です
     この意見はこことここが
     おかしい、とは書くけどもね
     説得したり、
     助けたりする気は
     全然ないよ。
 
 
 友人が怪しげな宗教にひっかかったら、別に彼を説得する必要はない。
 
 無駄だから。
 
 一応、こことここがおかしいと書くことは出来る。
 
 でも彼にそれを見せる必要も言う必要もない。
 
 無駄だから。
 
 出来ることと言えば、彼がみじめにくびれ死んでいくのをじっと見守ることだけである。
 
 
 ∧∧
( ‥)ひどいと言う人もいるでしょう
 
  (‥ )だがテストとは
      こういうものだ
 
 テストがあるから失敗が分かるのである。そして、失敗は成功のもとである、そう言うではないか。
 
 ∧∧
( ‥)それが科学の動作でもある
    事実そうして歩んできた
 
  ( ‥)ならば説得の必要なし
 
 
 ただ、彼の滅びと死を書き連ね、これが失敗例であったと人々に伝えるべし。それで十分。
 
 
 
 
 
 
 
 

2013年3月25日月曜日

ノーライフキング

 
 ノーミュージック、ノーライフ
 
 使用料をいかに厳格に適用し、取り立てるか? そんなことに眼を奪われているうちに、音楽業界は自らの土台を腐らせ、瀕死の有様になったという。
 
 ∧∧
( ‥)ついにノーミュージックの
    時代の到来ですか
 
  (‥ )つまり、
      ノーライフキングが
      やってくる!
 
 ∧∧
( ‥)ノーライフの王って
    どんなの?
 
  (‥ )ミクダヨー、さん、とか?
 
 
 

さあ、いくがいい。幸せな破滅の道を

 
 
 ∧∧
( ‥)他人の評価を気にしてばかり
    いるから幸せになれない。
    どう思います?
 
  ( ‥)そうねえ。
 
 遭難した。今、2人のガイドのどちらかについていかなければいけない。ガイドとしての能力は、片方は評価が高く、片方は低い。
 
 ∧∧
( ‥)高い方が二日酔いですとか
    そういうことが無い限り
 
  (‥ )どっちについていくのか?
      これは明瞭だ。
 
 結果も明瞭である。確率的に、ではあるが明瞭だ。
 
 ∧∧
( ‥)人が他人の評価を気にするのは
    当然ですね
 
  ( ‥)評価とは究極的には命なんだ
    –□ 他人の評価を推し量るのも
       自分の評価を気にするのも
       当然だろうな。
 
 困ったことに。評価が低いと金も情報も人も話も仕事も集まってこなくなる。
 
 
 ∧∧
( ‥)そりゃ、もってくるのは
    人間ですからね
 
  (‥ )そんな評価を気にするな、
      という言い回しは、
      世捨て人か、さもなきゃ
      あれだよね。
 
 みんなあの会社の株に群がってるけど、あの会社は粉飾決算してるよ
 
 ∧∧
( ‥)と、言っているような場合
 
  ( ‥)この評価は
      評価に値しないから
      破棄すべき
      そういう状況だよな
      
 
 ∧∧
( ‥)評価も評価の対象になる。
 
  (‥ )A君は君の絵をぼろくそに
      言ってるけど、あいつ、
      見る目ないし、
      へただし、浮いてるし、
      気にするな、というか
      気にしてもらうと困る
      お前さんの絵がおかしく
      なってしまうからな。
      こういう事例ね。
 
 *A君に対して意訳すると、「へたくそで能無しなお前ごときがこの人の絵に間違った評価を与えるんじゃねえ、今すぐ自分の舌を食って死ね」という意味。
 
 評価も評価の対象になる。この世界に逃げ場はない。
 
 
 ∧∧
(‥ )それでも逃げたくなる時が
\–   あるのでしょう
 
  (‥ )僕らの世界は声にしない
      疑心暗鬼と罵詈雑言だ。
      評価という牢獄から
      脱出したくなるだろうなあ
      世界は苦界だよ。
 
 ああ、しかし、幸せという脱出経路は破滅の道なのだ。
 
 ∧∧
( ‥)なぜかと申しますに
 
  (‥ )歩き続けないと同じ場所に
      いられない。
      登り続けないとずり落ちる
      それがこの世界だからだ。
 
 ああ、もう幸せになりたい、そう平穏の世界に腰を落ち着けた途端、
 
 ∧∧
( ‥)浸食が始まると
 
  ( ‥)浸食し切る前に死なない限り
      楽園は崩壊し、
      それ以上の苦しみが
      待っているのだ。
 
 自由は不幸の道、幸せが破滅の道、というのであれば
 
 評価とは命と生存に関わる統計的な数値である、というのであれば
 
 ∧∧
( ‥)他人の評価を気にするから
    不幸になるのよ、という
    主張は
 
  (‥ )自由は不幸の道と
      言っていると同じ。
      
 
 評価という数値を道具に、解を自力で探索しなければいけない以上、確かに自由は不幸の道に他ならない。
 
 ∧∧
( ‥)他人の評価を気にしないのが
    幸福の道なのよ、という
    主張は
 
  (‥ )幸せは破滅の道と
      言うがごとし。
 
 評価という数値もなく、道具もなく、ただ安泰な世界に腰を降ろせば、浸食が押さえ切れない。体力は落ち、脳の活動は衰え、心は嘘と肯定だけになり果てて残骸と化す。これは世界の摂理。すなわち、幸福は破滅の道なり。
 
 
 ∧∧
(‥ )つまり、最初の意見は
\–   正しいわけですね
 
  (‥ )タバコを吸うと癌で
      死ぬ可能性が有意に
      増大する、
      そういう意味合いで
      現実を記述している。
      つまり正しい。
 
 さあ、だからいくがいい。幸せな破滅の道を。
 
 
 ∧∧
( ‥)でも、自由な道もろくな
    もんじゃないですよね
 
  (‥ )いや、だから不幸になるよ
      と言っているわけさね。
 
 

2013年3月24日日曜日

走り続ける世界で35、40を越える

 
 hilihiliのhilihili: 科学は自立して走る現象で、理念ではないの一部、続き
 
 ∧∧
( ‥)でもさ、走り続けなければ
    いけない世界で、35歳を
    過ぎるって危険ですよね
 
  ( ‥)35歳以降になると劇的に
      体力が低下する。ゆえに
      多くの場合、人は
      経験をいかし、前線から
      後方の指揮担当に
      転ずることになる。
 
 言い換えると、それ以降でも自ら前線に立たねばならない仕事というのは
 
 ∧∧
( ‥)きついと
 
  (‥ )もし、ある体力の範囲内で
      同じ動作を反復すれば
      出来る仕事だ。その場合なら
      本当に老人になる時まで
      現役でいられる
      だろうけどね。
 
 だが、そういう仕事でも立場でもないとしたら?
 
 そもそもデビューできていなかったら?
 
 ∧∧
( ‥)立場も確保できず、さりとて
    部下を持って自分は後ろに
    退くこともできない。
 
 ( ‥)35歳までにデビュー
   –□ できなければあきらめろ
      そうしばしば言われるのは
      そのあたりが根拠であり、
      原因だろうからね
 
 *単純に言うと、35歳から人としてのピークである40までに人生の橋頭堡を確保、維持できる目処が立たなければ、もう後は自動的に負け戦だよ、人生は死ぬまで撤退戦になる、という意味。
 
 
 ∧∧
( ‥)これは、あなたも他人事
    ではない。
 
  (‥ )今、出来る処理速度で
      ぎりぎりだからな。
      40代のうちはまあ
      なんとかだが、
      50代になったら
      老朽化した船が浸水、
      沈没状態になる
      だろうからね
 
 これはほぼ確定的と言ってよい。事実、この領域の多くの人がこの運命を辿った。
 
 
 ∧∧
( ‥)今でさえ、半分潜水艦
    みたいなもんですから
 
  ( ‥)ではどうするか?
    –□
 
 こういう話をすると、世の中には、40代からでも成功した人はいっぱいる。そう気色ばむ人もいる。
 
 ∧∧
( ‥)あなたは、ああ、そう、と
    取り合わないと
 
  ( ‥)そういう意見はな
 
1:35すぎでもオレが(たまたま)成功したから、皆もできるはずだ(自分の成功体験を自慢したい)
2:今まさに自分自身がそういう危機的な状況なので、こういう現実をみつめたくはない
 
 ∧∧
( ‥)それらのどっちかだと
 
  (‥ )まー、順調にだな
      第一線を退いた人々は
      こんな気色ばんだことは
      言わんものよ。
 
 あの人たちは余裕があるからね(当たり前)。
 
 
 ∧∧
(‥ )まず第一に、オレは成功した、
\–   という意見。
 
  (‥ )言うのは勝手だが、
      それでは
      因果関係が不明だろ?
      たまたま成功しただけ
      かもしれん。
 
 というか、そんな事例、応用が効かないだろう。だって個別すぎる事例だから。
 
 *例:50歳でついに成功できた演歌歌手(こういう事例は応用が効かないのみならず、無駄な望みを抱かせるので色々な意味で悪い例)
 
 
 ∧∧
(‥ )2は言わずもがなですね
\–
 
  (‥ )まあ、そもそもだな
      40代でもこんなに
      現役の人がいる!!
      成功した人もいる!!
      という反論自体が
      すでに、終わっとるのよな
 
 
 それは個別の事例を列挙すれば趨勢をくつがえせるとでも言わんばかりではないか。
 
 いや、趨勢がもはや明らかなので、個別の例外的事例に逃げただけだ、とも言える。
 
 
 
 ∧∧
( ‥)40代で現役のA選手が
    いるから僕もまだやれる
    はずです
 
  (‥ )A選手の同期は何人
      残っているんだよ?
      という現実から
      眼をそむけておる。
 
 生き残った人がいるから電車事故は無かった、と言っているようなもんだ。
 
 例外的な事例は普遍や趨勢を意味するわけではない。
 
 ∧∧
( ‥)例外的事例を書き連ねて
    あたかもそうすれば
    誰でも成功できるように
    見せかける。
 
  (‥ )ご本人はその気でも、
      そんな体験に裏打ちされた
      アドバイスなんぞ、
      役に立ちはしないね。
 
 実際、そういうアドバイスは、どういうわけか抽象的だ。これはおかしい。
 
 確かに、普遍的な場合であればありきたりな約束事を守れば良い。こういう場合、アドバイスは抽象的になる。それなら良い。
 
 
 ∧∧
( ‥)だけども、35、40を越えて
    なんらかの道を見つけるという
    場合はですよ
 
 (‥ )もうそれは普遍的で
     ありきたりな事例ではないな
     洪水がやってきて中州やら
     建物、丘の上などに個別に
     取り残されているような
     もんだからね。
 
 
 つまり、こういうのは個別の事例で、解は個別にあるべきなのだ。避難経路は個別にある。
 
 こういう場合、成功へのアドバイスが抽象的になることはありえない。誰かが抽象的な成功論を言い出したとしたら、それはおかしい。
 
 *言い換えると、35、40を越えたらもう駄目だよ、と否定の方が抽象的になるのは当たり前なんである。それは失敗した事例が圧倒的に多く、失敗こそが普遍だからだ。
 
 
 ∧∧
(‥ )それを踏まえますと、
\–   40すぎてもこんな風に
     成功した事例が!
     という主張は、
 
  (‥ )問題を2つ抱えてるよね
 
 
1:個別の事例を列挙しても普遍にはならない。
2:個別の事例を列挙しても、それはまた別の個別事例の参考になるわけではない(*個別事例Aが個別事例Bの参考や解決策になるとは限らない)
 
 ∧∧
( ‥)そういう列挙は
    個別だから意味がない
    個別だから関係ない、
    そういうことですかね
 
( ‥)実際、40代でもがんばってる
  –□ スポーツ選手の事例を聞いても
     おいちゃんの突破口探索には
     役立たないしね。
 
 
 ましてや、40代でもこうすればきっと良い、と普遍的にアドバイスするってのは、あまりにも雑。あるいは自分か誰かの成功例を無駄に拡張しすぎ。
 
 具合が悪い時、アンパンを山ほど食ったら直ったぜ、と言ってるようなもん。
 
 
 ∧∧
( ‥)似た事例を探してヒントにする。
    出来ることというと、
    せいぜいそんなところですか
 
  ( ‥)自分に似た事例はなあ
    –□ ほとんど無いんだよねえ。
 
 失敗例は山ほどある。
 
 ∧∧
( ‥)つまり、あなたは現状、
    分が悪いってことですね
 
  (‥ )通常、これは負け戦なのだ。
 
 
 ∧∧
( ‥)成功例はある?
 
  ( ‥)1例、これは、ってのは
    –□ あるんだけどね
 
 もっとも先ほど調べたら、この人は30代だった。
 
 
 ∧∧
( ‥)ちょっとあなたには厳しいな
 
  ( ‥)面白い例なんだけどねえ
    –□ 
 
 
 
 
    
 
 
 
 

科学は自立して走る現象で、理念ではない

 
 
 ∧∧
( ‥)どう思います?
 
  ( ‥)まあ、あれね、科学が
    –/ 真理を追求する学問だ
       というのは
       間違いだろうね
 
 ∧∧
( ‥)過去においては神が作った
    この世界の有様を解き明かす、
    そういう使命や目的を持った
    時期もあったのですけどね
 
  (‥ )でも結局はそれを放棄して
       しまっただろ?
 
 科学とは、仮説を提案し、それを経験から検証する動作。だとするのなら、
 
 ∧∧
( ‥)経験と検証は神を肯定しない
    そういうことですね。
 
  (‥ )否定もしないが肯定もせん
      同様に真理も肯定しない
 
 どれが真理か? それを見極める絶対の手段がない以上、科学が真理を追求する学問だ、というのは致命的に誤りだ。あるいはこう、非現実的。
 
 ∧∧
( ‥)というか、科学は真理を
    追求する学問だ、と主張しても
 
  (‥ )原理的に不可能なのだ。
 
 考えてみれば当たり前なんである。経験は論理的に正当化できない。
 
 例えば、昨日の経験が明日を予想する。それは良いが、これを論理的に論証できるか?
 
 ∧∧
( ‥)無理ですね。
    昨日は今日でもないし、
    明日でもないですからね
 
  (‥ )初歩的に三段論法で
      考えてみれば明らかだ。
 
:AはBである
:BはCである
:ゆえにAはCである
 
 ∧∧
( ‥)しかし、
    昨日は今日ではなく
    今日は明日でもない
 
  (‥ )三段論法が成り立たん。
 
:昨日は今日である
:今日は明日である
:ゆえに昨日の経験は明日も有効だろう

これは成り立たない。
  
 三段論法が成立しないから、すべからく論理的に正当化できない、と主張するのはナイーブすぎるにしても、まあ単純にいうとこういうことなのだ。
 
 昨日は明日を論理的に正当化できない。
 
 ∧∧
( ‥)100万の日の出を見た
    からといって、101万回目の
    日の出を正当化できるわけでは
    ない。
 
  (‥ )ざっくり言ってしまえばだ、
      経験は論理的には正当化
      できないのだ。
 
 つまるところ科学が真理を追求する学問だなどと、それは嘘っぱちだ。
 
 *ちなみに物理法則から未来を演繹できる、という人はありがちだけども、これもまた正当化になっていない。物理法則は経験から導いたものであることを考えれば、これは明らか(論理を使った予測は論理だけでは成り立っていない、という意味)。
 
 ∧∧
(‥ )科学の仮説も、
\–   取りあえずこれと設定したの
     だから、それは宗教と同じ
 
  (‥ )じゃあ、宗教の神は仮説で
      ご本尊は仮のもの
      なのかい?
 
 
 それはおかしいだろう。
 
 
 ∧∧
( ‥)これと設定した、その共通項
    だけを抜き出すからおかしく
    なるんでしょうね
 
  (‥ )男だから
      隆くんも一郎くんも同じ、
      と言っているような
      もんだからな。
 
 宗教は神を真理と信じているものだ。
 
 だが科学は真理を論証できない、そういうものだ
 
 ∧∧
( ‥)相違点を抜き出すと、
    どえらい違い
 
  (‥ )共通項だけ見ると
      色々なものが
      識別不可能に
      なっちまうからな
 
 実際、人の営み、という点に注目すると宗教と科学とカレー造りは区別できなくなる。
 
 
 ∧∧
(‥ )科学はもっと一般人と仲良く
\–   するべき、そうしないと
     都合の良いニセ科学に
     つけ込まれるよ、
     という問題提起。
 
  (‥ )別につけこまれたって
      いいんだよ。
 
 この宇宙は地獄のような場所でルールがある。失敗したら死ね、だ。
 
 
 ∧∧
( ‥)ニセ科学や、あるいは
   「二番じゃいけないんですかー」
    を選ぶ自由はある
 
  (‥ )選んでいいんだよ。
 
 ただし、その道を選んで、それが他国による奴隷化や死を意味するものであった時は、奴隷として酷使されて死ね、それだけの話だ。
 
 
 ホメオパシーを選んでも良い。だが、失敗したら死ね。

 巨大技術を仕分けても良い。だが、失敗したら奴隷化されろ。低賃労働者として極貧の中で死ね。

 海洋の大深度掘削が可能な船を仕分けても良い。だが、その結果、自国の領土と資源と技術を維持できなくなったら、その責任を取れ。
 
 それだけの話だ。難しいことじゃない。
 
 
 ∧∧
( ‥)なんの権利があって死ねと
    言うのか?
 
  ( ‥)権利ではない。この世界の
      原理だ。

 
 自分の人生を考えてみるがいい。この世界が良いものであった試しがあったか? そもそもおぞましい世界だから調子の良いバラ色の夢を見せる詐欺師や政治家やニセ科学とやらに手をのばしたのではなかったか?
 
 お前の選択肢、それそのものが、この世が絶望的だということを示している。
 
 
 ∧∧
( ‥)この世界は地獄だと。
 
  (‥ )地球は奇跡の星だとか
      そういうたわ言を信じる
      からいかんのだ。
 
 見渡してみればいい。どこもかしこも死、それのみじゃないか。圧倒的に死が卓越している。
 
 ∧∧
( ‥)つまり、この宇宙では
    死こそがあるべき姿
 
  (‥ )生きているとは不自然な
      現象なのだ。いや、
      安定的ではない、
      というのが
      より正確だよね。
 
 だからほら、「ああ、オレは良くやった。だからここでいいや」そう思って腰を落ち着けた時、何が起きた? そのことを思い出してみればいい。
 
 
 ∧∧
( ‥)腰を落ち着けた場所に
    いられないんですよね、
    いつのまにかずるずる
    落っこちている。
 
  ( ‥)生が不安定だというなら
      これは必然的な結果だよ
      絶え間なく走り続けて
      いないと、状態も地位も
      姿も場所もすべて劣化する
 
 下りエスカレーターを歩いて登るようなもんである。歩き続けなければいけない。
 
 考えて見れば当たり前。死こそが本来の姿なら、ちょっとエネルギーの注入や投資を怠れば安定状態である死へと変質するのは当然だ。
 
 生はこの宇宙の環境では不安定だ。まるで高温高圧でこそ安定だった鉱物が、地上では不安定となって崩壊していくように、努力を傾注しないと現状すら維持できず劣化する。
 
 周りを見回してご覧よ。なすすべもなく劣化していった生ける屍がごろごろしているじゃないか。思い出してみればいい。自分の記憶の中にいたあの人、この人、あいつや、こいつ、皆、どうなった?
 
 
 ∧∧
( ‥)走り続けなければ存続も
    できない、それがこの宇宙
 
  (‥ )この世界は地獄なり。
      宗教が天国を想定するのは
      そもそもなぜだ?
      それはこの世界が
      地獄だからだ。
      そうじゃないかね?
  
 だとしたら現世において科学が存在する意義は単純明快である。いや、意義なんてないのだ。原理だけしかない。
 
 生き残りたかったら科学を維持しろ。死にたかったら別の道へまろび落ちれば良い。
 
 ∧∧
( ‥)ニセ科学も仕分けも選ぶ自由は
    ありますよ、と
 
  (‥ )単にそういう連中は
      消えていくだけさ。
 
 1世代あたり1パーセントの不利益でも、時間はまるで腐食剤の様に人を浸食してしまう。ならば走り続けるしかないではないか。いや、立ち止まる人もいるだろう。しかし、そうした人は次々に呑まれて、
 
 ∧∧
( ‥)後は血を吐きながら
    走り続ける人々だけに
    なりました
 
  (‥ )死ぬ可能性を増大する自由
      より不幸になる自由、
      それは誰でも持っている。
      しかし生き延びた人々が
      手にしている道具は
      有意に科学だろう
      それだけの話だよね。
 
 科学は理念じゃない。現象だ。その背景にはこの底意地の悪い宇宙における原理が働いている。
 
 反対に、幸せになりたいのならば選べば良い。一時の夢と引き換えの死を。
 
 
 
 
 
 

イズカサゴ

 
 
 イズカサゴをリンク=>Untitled Document
 
 
 ∧∧
(‥ )スケッチ、背鰭棘の数で
\–   しくじっちゃいましたね
 
  (‥ )うかつだよなあ。
      最近、集中力が落ちてる
 
 ∧∧
( ‥)でっ、wikiの記述は
    おかしいだろうと
 
  (‥ )分類同定するのが検索表の
      使命、目的であれば、
      分類のキーで検索表を作る
      それは当然だけども、
      そうすると場合によっては
      外部から分からないキーが
      入ってくる。
 
 それ自体は問題ない。
 
 ∧∧
(‥ )どんなジャンルでも予備知識が
\–   ないと扱えませんからね
 
  (‥ )問題はだ、自分は予備知識が
      あるから自在に無自覚に
      こなせるから、
      分類学に基づけば
      検索表を
      予備知識無しに使える
      かのように錯覚して
      喧伝して、他の方法論を
      おとしめようとするのが
      いかんのよね。
 
 *ちなみにこれは魚の話でも魚類検索の話でもない。こういう、はあ? という意見を最初に申し述べた人は魚の人ではなかったので。
 
 ∧∧
( ‥)そういえば昔、wikiのこの
    記述を見て、分岐学ってこんなに
    問題がある方法なんだ!!
    ってネットで言ってる人、
    いましたよね
 
  (‥ )そいつはなあ、検索も
     したことないんだろうな
 
 一回検索してみなよ。どれだけ大量の予備知識が必要なのか思い知らされるから。
 
 系統学もそうだが、分類学が予備知識なしで自在に便利に使えますよーって、馬鹿だろ。
 
 
 
 
 

2013年3月23日土曜日

人生はしけた花火である

 
 おおむね以下の続き=>hilihiliのhilihili: あいまいな用語は理解不足を誤摩化す道具になる
 
 
 ∧∧
(‥ )でも、人によっては、それでも
\–   理想を追求したい、
     かくあるべき、
     そう言うでしょうね
 
  (‥ )ああ、まあ、言うのは
      自由だからな。言えばいい
 
 ∧∧
( ‥)あなたは否定的?
 
  (‥ )そういう立場に立った時
      言いたければ
      言えば良い。
 
 言って失脚するか、言わずに何もしないか、言わずに何かするか、それだけだ。
 
 
 ∧∧
(‥ )こう否定すると、あなたは
\–   否定してばかりだ、
     そう言う人いますよね
 
  (‥ )人は永遠に生きられない
      これもまた否定だな。
 
 ∧∧
( ‥)否定も肯定も現実とは
    関係ない。
 
  (‥ )否定しようが、肯定しようが
      駄目なもんは駄目、
      成功するもんは成功する
      それだけさ
 
 否定してばかりだ。
 
 ああ、そうとも。だからじゃあ、やればいい。お前がな。
 
 ∧∧
( ‥)あなたはやらない
 
  (‥ )オレが言ったわけじゃ
      ないからなあ。
 
 やる義務も理由も動機もない。
 
 やりたければやれ、それだけだ。
 
 
 ∧∧
(‥ )でも、全員失敗したの
\–   ですよね
 
   (‥ )あるいは言わずに
       何もしないか、
       あるいは言わずに
       何かしたかだろうな
 
 詳しく見れば、言わずに何かしたことは、見えてくる。無名のまま義務を果たした人は大勢いる。
 
 
 ∧∧
( ‥)それでも、もっとこうあるべき
    そういう人は必ずいますよね
 
   (‥ )ああ、いるねえ、
       ごろごろいるねえ。
       というかいっぱい見たな
 
 ∧∧
( ‥)その人たちが成功したら
    なんて言います?
 
   (‥ )おめでとうって言うよ
 
 もっとも、この台詞、一度たりとも言ったことがない。
 
 
 ∧∧
( ‥)全員失敗した?
 
   (‥ )いやあ、違うなあ。
 
 全員、何もしなかった。
 
 
 ∧∧
( ‥)言うだけ?
 
   (‥ )発言の自由はある
 
 そして、それで終わりである。
 
 人生はしけた花火なのだ。
 
 
 
 
 
 

2013年3月22日金曜日

あいまいな用語は理解不足を誤摩化す道具になる

 
 
 ∧∧
( ‥)なに?
 
  ( ‥)2011年の3月11日に
    –□ 震災が発生。14日に
       福島第一原発の3号機で
       水素爆発。
 
当時の、これに関する最初のプレスリリース=>*

 ∧∧
(‥ )翌15日の時点での、あなたの
\–   blogですが=>*
   
 
  (‥ )まあ、この時点で燃料棒の
      ジルコニウムが損傷している
      それは分かるわけだ。
 
 
27日の時点では、文献によると水素爆発はジルコニウムの損傷を意味する、ということを書いているので=>*
 
 ∧∧
( ‥)つまり、あなたでさえ
    最初の1日から2週間の間で
    今、原子炉内部では
    燃料棒が損傷しているだろう
    そういう情報や理解、根拠
    解釈に辿り着けたってことは
 
  (‥ )世の中にはもっと速く、
      水素爆発が起きた、それは
      燃料棒がすでに損傷、
      あるいは溶け落ちている
      ことを示す。
      これを即座に
      理解できた人たちが
      ごろごろいるってことに
      なるわけさね。
 
 でっ、これの続き=>hilihiliのhilihili: PM2.5 今、世間で何が起きてる?
 
 
 あの当時、メルトダウンだろ?? メルトダウンしたんだろ?? なんで政府や東電や経済産業省はメルトダウンしたって言わないんだよ?? と大騒ぎしている人たちがいた。そう記憶している。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、燃料棒がメルトして
    ダウンしました、という
    意味でなら、そりゃあもう
    水素爆発の時点で起きて
    ますよ、と。
 
  (‥ )だから不思議といえば
      不思議なんだよな。
 
 メルトダウンしたんだろ?? と、なんでいちいち聞くわけ?
 
 
 ∧∧
( ‥)メルトダウンの言葉の
    意味が違うかもしれない。
 
  ( ‥)臨界したままのウラン燃料が
    –□ 容器を融解して際限なく
       周辺を融解、落下する
       そういう意味で使っていた
       のかもしれない。
 
 ∧∧
( ‥)だとしたら、官僚や政治家は
    絶対にメルトダウンした、
    とは言えないだろうと。
 
  (‥ )少なくとも臨界状態に
      なった燃料が...、減速材が
      無い状況でどう臨界するのか
      想像しかねるけど、ともかく
      そういう燃料が容器を融解して
      移動していると確信を
      持たない限り、彼らは
      メルトダウンとは言わない
      だろうね。
 
 ∧∧
( ‥)というか、言っちゃいけない、と
 
  (‥ )あいまいな用語、というか
      俗語だな、
      そういう言葉を使うと
      誤解をまねくからね。
      言えば当然、責任問題になる
 
 メルトダウン=臨界と考えている人がごろごろいるなかで、燃料棒が(崩壊熱で)メルトダウンしました、と言うわけにはいかないだろう。言ったら、臨界だ、臨界だ、と言う人、書き立てる人が出るし、そういう意味で申し上げたわけではない、と言っても、メルトダウンって言ったじゃないか、と言うだろう。
 
 *メルトダウンは燃料がメルトしてダウンなのか、臨界した燃料がメルトさせながらどこまでもダウンなのか、あいまいすぎて、使うと、まず間違いなく混乱をまねく単語。そういう用語を使うことは責任問題になるし、責任問題うんぬん以前に責任をとれない、という問題が生じる。そうである以上、使うわけにはいかないだろう、という意味。
 
 
 ∧∧
(‥ )責任問題になるから
\–   明言を避けるのか?? 
    そう怒る人もいるでしょう
 
  (‥ )まあ、そういう人には
      がんばれ、としか
      言えないなあ。
 
 ∧∧
( ‥)がんばれねえ
 
  (‥ )社会に出て、ある程度の
      組織に入って、そこそこな
      地位になるとな、
      責任の取りようがない
      責任問題が生じてくるからね
 
 
 ∧∧
( ‥)僕が責任を取ります
 
  (‥ )それは意思の問題だよね
      実際には責任を取れるか、
      つまり可能かどうかが
      問われるわけだ。
 
 責任を取ります、ではない。辞職は当然だが、それでどうこうなるわけじゃない。お前のやったことも言っていることも所詮は独りよがりの無責任だ。そう言われることになる。
 
 ∧∧
(‥ )いや、無責任なのはそっちだ
\–   責任をとって真実を伝えようと
     する人をよってたかって
     つぶそうとする気だ、
     そう怒る人もいるでしょう
 
  (‥ )ああ、だから、
      がんばれ、と言うのさ。
 
 ∧∧
( ‥)つまり
 
  (‥ )そこそこの地位になれば
      多かれ少なかれ、
      あれほどのことじゃないけど
      似たような立場に
      置かれるわけだろ?
      だったこうならないか?
 
 同じ立場になった時、まあ、自分の信念に従って思うところをやってみなさい。がんばれ。そういう話。
 
 ∧∧
( ‥)どうなりますかね
 
  (‥ )まっ、人間はほとんど
      3つしか選択肢ないけどな
 
1:責任と信念の矛盾によって心が折れ、病んでしまう。

2:こんな腐った会社はオレが変えてやる!! 20年後、しれっと役員に収まっている。

3:外野の安全地帯からずーっと無責任、無責任と言い立てる。
 
 
 ∧∧
( ‥)まあ、そうなるでしょうと
 
  ( ‥)それ以外のパターンは
    –□ 見たことないね。
 
 だから、まあ、がんばれ。
 
 
 ∧∧
( ‥)あなたはどうします?
 
  (‥ )調べるだけだよ。
 
 短寿命核種の崩壊熱で燃料棒が損傷する、溶け落ちる。これはまあ分かりやすい。
 
 ∧∧
( ‥)究極的なところ現象としては
    収束する性質を持つ。
    そういう意味では問題ない。
    もちろん、短寿命核種が
    放出されれば問題山積み、
    現場だって、
    状況が収束しても、
    寿命の長い核種が
    放射線を出し続けるから
    立ち入り、調査などの点では
    問題おお有りですけど。
 
 (‥ )だけどもそれらを脇に
     置くとしてもだよ。
     収束するまでの過程で
     どの程度の破壊を
     どう引き起こせるか
     それは知らないからなあ。
 
 それをメルトダウンと呼ぶか、呼ばないか、そんなこと、どうでも良いことなのだ。
 
 ∧∧
( ‥)あいまいな言葉でごまかすなと
 
  ( ‥)あいまいな用語は理解不足を
    –□ 誤摩化す格好の道具になる。
       理解不足をあいまいな用語に
       隠して逃げてもどうにも
       ならんでな。
 
 単に調べればいいんである。
 
 *ちなみに、新聞やテレビがあの時、なにをどう報道したのか、それは知らないし、それは考慮していない。
 
 


      
    

時間は腐食剤として作用する

 
 
 ∧∧
( ‥)でっ?
 
  ( ‥)そうねえ
 
 小学校で低学年の時、算数が上手な奴がいた。先生にほめられ、みんなからも「頭が良い」と言われていた。クラス替えでクラスのメンバーが代わり、高学年になったある日、ある時、彼と同じクラスになった奴に聞いた。
 
 「ああ、彼と同じクラスなんだよね? 彼、頭が良いだろう?」

 「ええ? あいつ? あいつはただの馬鹿だぜ??」

 そういう返事が返ってきた。確かに、ある日、ある時、彼を見た時、以前の得意満面な彼からは考えられないような、世界を恨み、睨みつけるような眼を思い出した。
 
 ∧∧
( ‥)なんか、神童と呼ばれながら
    ある段階からついていけなく
    なって落後する人、いますよね
 
  ( ‥)なぜなのかは知らんけどね
      算数までは良かったけど、
      数学できない奴がいるよな
 
 挫折すると、人はああいう恨みの眼で世界を見る。別に算数に限った話じゃない。スポーツだろうが、文芸だろうが絵だろうが同じだ。
  
 あるいはこんな、
 
 そやつは美術が好きだった。いや、もったいぶっていただけでアニメも漫画も好きだった。クトゥルーを読んでる自分が偉いと思っている奴だった。だけども実際にはそんなに読んでいなかった。なんというか、なぜだかインスマスっぽかった。彼は絵を描くのが好きだった。他人の絵をすぐに批評して、ここがいけないんだよ、と言うのはいいんだが、
 
 ∧∧
( ‥)でも、ご本人の絵がね、
    へたっぴなんですよね
 
  (‥ )へたなんだよなあ。
      びっくりするくらいへた
      なんだよねえ。
 
 それでも一般の人には、どこかうまく見える絵だった。時々、人からすごいね、と言われて得意だったが、まあ、僕らは黙っていた。こいつはへたくそだ、とは言わなかった。
 
 知ってか知らずか、ご本人はますます調子にのって、もったいぶって、絵はこうして描くのだ、こうしてデッサンの狂いを見つけるのだ。そう言っていた。
 
 だがへたくそなのだ。致命的にへたくそなのだ。
 
 美術の本を模写してもアニメや漫画の絵を模写してもへたくそだった。どういうわけだか技術が向上しないのだ。
 
 ある日、ある時、そやつがいない場所で1年先輩の部長がいった。
 
 「あいつは実力もないのに、自分は絵がうまいと思い込んでいる。かわいそうな奴だ」
 
 その先輩は一応、芸術系の学校へ進学した。
 
 あやつの方は絵がへたくそなままだった。
 
 
 ∧∧
(‥ )自分のこのデッサンはここが
\–   狂っているのだ、だから
     直すのだ、と言って
     いましたけども
 
  (‥ )たぶんなあ、あいつは
      うまい絵を描きたいから
      おかしな点を見つけようと
      したのではないと思うよ。
 
 あいつは単に的確に間違いを是正する職人芸にあこがれていただけで、もったいぶって巨匠や職人のまねごとをしているだけの馬鹿だった。
 
 どれだけ描いても、どれだけ修正してもまったくうまくならない。
 
 ∧∧
( ‥)同期にはもっとおおらかで
    楽しい人もいましたよね
 
  ( ‥)ただ、あいつも絵が
    –□ へたでなあ。
 
 彼は漫画を描いていた。陳腐だがなかなか普通に面白い漫画を描くのだが、いかんせん、ストーリーをはしょりすぎ以前に、絵がへたくそだった。いや、描く速度が遅すぎるのだ。遅いと絶対的に描く枚数が減る。つまり上達するわけがない。こなす速度がのろすぎるのだ。
 
 彼の漫画は、結局のところ思いついたストーリーをなんとなくノートに描きとめただけだった。
 
 ∧∧
( ‥)7年あまり東京でぶらぶら
    過ごして、とうとう親に
    実家へ連れ戻されました
 
  ( ‥)バイトもろくにしない、
    –□ 勉学もしない、
       貧乏アパートで
       気楽だけど自堕落な
       生活を送っただけで
       デビューもしないし
       デビュー以前の問題
       だった。
 
 あいつ、原稿用紙で漫画描いたり、ペンや墨を使う、ということすらしなかったなあ。
 
 ∧∧
( ‥)野球選手にあこがれるけど
    素振りしかしないみたいな
    ものですかね
 
  ( ‥)かもしれないねえ。
 
 結局、彼は自分の人生を自力では切り開かなかった。
 
  
 実家がそれなりな人がいた。イラストレーターだった。ただ、やっぱり絵がへたくそだった。この人も絵を上達させよう、という気はなかった。親を恨んでいた。でも実家で暮らしているままだった。だから稼ぎが低くても生活できた。いや、稼ぎが低いから実家にとどまったのか、実家にとどまったから甘えが生じたのか? 仕事もないけど生活できる。だから暇で暇だった。それなのに絵を描かずにゲームばかりしていた。真剣なのはゲームをする時だけだった。他の時間は眼に力が無かった。自分に都合の悪い現実を素通りさせるガラス玉みたいな、どうでもいい眼で周りをぼんやりと見回していた。
 
 ついでにいうとデブだった。
 
 ∧∧
(‥ )Yahoo知恵袋で、オタクは
\–   どうしてデブなんですか?
     という質問ありましたね
 
  (‥ )....あの知恵袋は
      なんでもありだな。
      オタクの定義は不明瞭だから
      より明瞭なデブの原因から
      論じるべきだと思うが。
 
 ゲーム、漫画、アニメ、いや、小説でもテレビでもドラマでもいい。こういう娯楽は体を動かさない。家から出ない。
 
 ∧∧
( ‥)さらに、それに夢中だ、
    というのなら
    部屋を出ないどころか、
    他のことには手を
    動かさないでしょうね
 
  ( ‥)自炊しないんだ。
    –□ 生活が不規則になると
       スーパーでものを
       買えなくなる。だから
       コンビニで買うことに
       なるだろうね。
       主に炭水化物系だろうな
       それも油脂がたっぷり
       そういうやつ。
 
 するとつまり、
 
 ∧∧
( ‥)生活に手間を向けない、
    デブになると
 
  (‥ )アニメを見るからオタク
      うんぬん以前にだな、
      こういう由来の肥満体を
      世間はなんと呼称するか?
      そう言う問題だね。
 
 
 ちなみに、この話で出てきた人たち。後になればなるほど年齢が上がっていく。
 
 ∧∧
( ‥)つまり後の人ほど、
    代謝が落ちている。
 
 ( ‥)でっ、後から出てくる人ほど
   –□ 生活に手間を向けない
      デブなのだよ。
 
 彼らの、自分には才能がある、絵がうまい、オレは評論できる、オレ様のアドバイスを聞けば君の絵はうまくなる、こういう勘違いな自信過剰は全部、ただの逃げだった。
 
 彼らはしばしば攻撃的になるが、それは挫折であったり、神童ともてはやされた栄光から滑り落ちた恨みでもあり、皆から白い眼で見られているという自覚の現れだった。
 
 ∧∧
( ‥)本当は絵を描くのが
    好きじゃない?
 
  (‥ )本当は自分が好きなだけで
      絵なんかどうでもよかった
      のさ。
 
 本当は好きなものなんてどこにもないのだ。自分だけが大好きで、でも大好きなはずの自分には才能がかけらもなくて、そんな自分が現実の中で傷つくことが怖くて、逃げているうちに無駄なデブになった。それだけの話。
 
 ∧∧
( ‥)それでも時はやってくる
 
  ( ‥)チャンスをつかもうと、
      なんとなく上京した。
      しかし何もできなかった。
      いや、外に出るのが
      怖かったのだな。
 
 上京しても部屋から出なかった。持ち込みをすれば”へたくそ”だとののしられ、ますます殻に閉じこもった。代謝は落ちて、生活は狂い、肉体はじょじょに肥満体となり、体力は落ち、気力は失せ、気がつけば35歳を過ぎ、40を越え、時間だけが無情に進行する世界の中で、神童ともてはやされた薄汚れた夢だけを抱えて、自分を見る周囲の白い眼を口汚くののしる根拠のないプライドの塊に...
 
 
 
 
 

 
 

2013年3月21日木曜日

春分と花粉と黄砂と鉱物粒子と同定と定義と陰謀

 
 
 ∧∧
( ‥)仕事が終わりましたね
 
  ( ‥)あとは印刷してもらう
    –□ だけだね。
 
 さて
 
 ∧∧
(‥ )昨日は春分の日でした
┷   日時計の測定はその前の
    19日でしたけど
 
  (‥ )20日は午後から曇りの
      予報だったからね。
      記録を1日早めたのだ
 
 南中時、つまり太陽が真南に来た時、高度は55度に到達。
 
 その翌日であった昨日。予報によれば、黄砂はそれなりな量が関東にまで飛んできて、そして午後から少し雨が降る予定。
 
 ∧∧
( ‥)スライドグラスを外に出し
    雨粒が落ちるのを待つ。
    予報通りやってきました
    期待通りの小雨です。
 
  ( ‥)それを乾かしたら何やら
    –□ 細かい粒子が!!
 
 おおっ、黄砂か? と思って顕微鏡で見てみると、それは全部、花粉でしたとさ。
 
 ∧∧
( ‥)先日の風が強い日に降った
    雨粒には鉱物らしき粒子が
    たくさんだったのにね。*
 
  ( ‥)んーーーーー、
    –□ まいったね、黄砂飛来と
       そこそこ雨が降る条件
       それを狙ったのに
       出てきたのが花粉だけ、
       とはなあ。
 
 もちろん、微細な粒子もあるんだけども、先日の雨粒のような、乾いた雨粒の痕に本当に細かい微粒子がわさっとある、ああいう感じではない。あの時は水滴が蒸発する過程で出来たのだろうか、一種、同心円的な配置もあったのに(*水たまりや塩水の水滴が干上がる時などに出来る蒸発の過程を示す構造のこと)。
 
 ∧∧
( ‥)言い換えるとですよ、
    先日18日の鉱物らしき
    微粒子もですよ
 
  (‥ )あれ、黄砂じゃないの
      かもしれないね。
 
 風が強かったから、あれもまた関東のどっかから飛んできた微粒子なのかもしれない。
 
 *注:今ここのセンテンスで言っている「黄砂」とは大陸から飛んできた土壌由来の微粒子(粒子の大きさのピークは大体1000分の4ミリ)のことです。
 
 **注:気象庁や、あるいは環境省でさえも、何らかの現象を黄砂、と呼ぶ場合、それは「大陸から飛んできた土壌由来の微粒子」を必ずしも意味しないし、指定できないらしい。黄砂という言葉の使用は実のところむしろ混乱を招くかもしれない。*(実際、以下で使用している「黄砂」という言葉には明らかに以上と違う定義と範囲と指定があることに注意)。
 
 ∧∧
( ‥)日々と違う粒子の有様、
    黄砂の予報、それらとの
    整合性から大陸由来の
    鉱物粒子と言えそうなものを
    探す。思ったよりもはるかに
    やっかいですね。
 
 ( ‥)例えば日本にはないような
   –□ 硫黄酸化物で汚染された
      鉱物粒子を見つける。
      でも、そんな機械は
      持ってないしなあ
 
 持っていて、特定、同定しても、それだけで他も全部黄砂でございます、などと言えるわけもなし(かなり黄砂が多いですね、ということもそれなりに大変だろう)。
 
 ∧∧
( ‥)黄砂なんて組成も現象も
    定義も、自然界の中では
    かなり単純な方のはず
    なんですが
 
  (‥ )その単純なものとやらでも
      同定作業はわけわからず、
      世間は言葉の定義で
      大混乱して陰謀論が
      渦巻くわけだ。
 
 なるほど、この世界は単純なようでいて、しかし、複雑怪奇、かつ、難解。
 
 
 
 
 

2013年3月20日水曜日

アニメだろうが漫画だろうが、好きだろうが

 
 
 ∧∧
( ‥)例えばの話
 
  ( ‥)この漫画が好き、とか、
    –□ このアニメが好き、とか
       熱心にすばらしさを
       語っているのに、
       ちゃんと読んでないな...
       そういう奴は必ずいる
 
 ∧∧
( ‥)漫画だろうがアニメだろうが
    前後の文脈で物事を推し量る
    能力が欠けているのだと
 
  (‥ )小説を読む奴でもそうだ
      ましてやこれがだな、
      教科書だの参考図書だの
      論文だのになると
      理解が滅茶苦茶になるのは
      当たり前だよね。
 
 だが、これは言い換えればこうである。
 
 好きだと自ら熱心に読み込む漫画やアニメでさえも、その文脈をきちんと読み取ることができんのだ。
 
  ( ‥)わくわくする教科書を
      作ればみんなが理解できる
      それは愚かな提言よ
 
 ∧∧
( ‥)ああ、以前、話題にしたね。
 
 面白ければ理解できるって、そりゃあ嘘だろ。真っ赤な嘘だ。
 
 事実、好きなものさえ理解できていない。
 
 
 
 

壁に耳あり、障子にメアリー

 
 
 
 ∧∧
( ‥)何?
 
  ( ‥)...いや、先ほどtumblrで
    –/ こんな話を見てだな
 
 知り合いが医学生で、解剖実習中に遺体から切除した耳を壁にくっつけて、「壁に耳あり」とやったら退学になった、と
 
 ∧∧
( ‥)...それ、あなたが昔、
    知り合いから聞いた話と
    ほぼ同じですよね?
 
  ( ‥)あやつの話の場合、
      昔、自分たちの先輩が
      これをやって、
      指導教官に「退場」と
      言われたというオチでね
 
 今から20年以上前、多分、23年前に聞いた話ではなかったか?
 
 
 ∧∧
( ‥)都市伝説ですか?
 
  (‥ )というか、
      もはや小話だよね
      おそらくは。

 
 
 
 

ミノカサゴ、煮たのに肉取りづらい

 
 
 ミノカサゴをリンク=>Untitled Document
 
 ∧∧
(‥ )なんか、煮ても骨からお肉が
⧻    取りにくい魚ですね
 
  (‥ )なんでだろうねえ?
      包丁で切って調理する時
      には問題ないんだけどな
 
 なんか色々と思うところがあったのだけども
 
 ∧∧
( ‥)もう、食べちゃいましたし
 
  ( ‥)調査は次回だな
 
 

2013年3月19日火曜日

牢獄の北半球、夢の南半球

 
 
 ∧∧
( ‥)つまり?
 
  ( ‥)大雑把に言えばそうねえ
 
 列強が事実上存在しない南半球の連中の言い分や幸せを聞いても役に立たない。
 
 ∧∧
(‥ )まあ、オーストラリアみたいに
\–   北上もすれば、かつて日本と
     まがいなりにも戦争した国も
     あるんですけどね。
 
  (‥ )南極の領有権を主張する
      国々もあれば、紛争も
      あるわけだ。
 
 だが、軍艦が軍港内から動かぬまま、朽ちかかっている国があったりするのも事実(大国で)。
 
 ∧∧
( ‥)つまるところ
 
  (‥ )南半球の理想論も
      南半球のいい加減さも
      南半球の幸せも
      北半球には通用しない
      おおむねそう思えば
      いいのじゃないか?
 
 例えばの話、自分から国のために手を上げるとみんなからたかれられ、奪われるだけ奪われる。そんな状態に固定された社会。そんな社会が北半球で成立するか?
 
 ∧∧
( ‥)成立することは成立する
    かもですね
 
  (‥ )でもなあ、一部の成功者が
      利益を独占し、
      社会に不満が渦巻き、
      抑圧はあり、それでも
      みんなが自由勝手してる
      中国だって、
      そんな社会ではないらしい
      のよな。
 
 その中国の、あの、るつぼのような活気ある有り様でさえ、ここから先はつらいだろう。
 
 ∧∧
( ‥)活力で成り上がるのは簡単
    なのですよね
 
  ( ‥)問題は、そこから先だ
    –□ 日本だって成り上がるのは
       簡単だったからね。
       本当に難しいのはここから
       先なのだ。
       持続力、組織力、
       そういう集団の力が必要だ
       それも冷酷で、事務的で
       うんざりするような
       いやなやつ
 
 中国も日本も、おそらくはアメリカでさえ、列強同士の均衡というこの北半球の不幸な現実に、今、とまどっているのではないか?
 
 ∧∧
( ‥)鎖国気質な日本は湾岸戦争で
    エゴイストとののしられ、
    神の国と舞い上がった
    理想主義者のアメリカは
    イラク戦争で馬鹿じゃね?
    と白い眼で見られる。
 
  (‥ )中国もあのやり方は
      いかにも中国らしいのよな
 
 広大な国土で、長い文明と歴史を持っていて、人々の競争があまりにも激しくて、自由すぎて、とにかく、オレが、オレが、という世界。
 
 ∧∧
( ‥)問題はオレが、オレが、
    と言っていると、
    組織力うんぬんだけでなく
    そもそも周囲から
    白い眼で見られると
 
  ( ‥)図体もでかいし、国力も
    –□ あるからね、それで
       オレが、オレが、と
       やっていると、
       周囲全てから敵視され
       恐れられ、攻撃されうる
 
 実際、火種は山のようにあるし、作ってしまったし、ある意味、手足になってくれそうな友邦国は核兵器を持つ以外、なんかびみょーな2国だけだし、パキスタンにいたってはもはやどうなっているのかよくわからない有様。
 
 ∧∧
( ‥)あのようなやり方では
    もたないだろうと
 
  (‥ )ある意味中国って、
      上京してきたお登りさん
      状態じゃね? あるいは
      独自ルールにあふれた
      古き都から
      新進の首都に出てきて
      場違いになっている
      由緒正しい人
 
 でも、なんかそうなってしまうのも分かるような気がするのだ。あの広大な国土と歴史だもの。いくらかつて列強に攻め込まれたことがあるとはいえ、外にまったく別の世界があるということを、彼らが理解しているのか疑わしい。
 
 
 ∧∧
( ‥)それを考えれば
 
  ( ‥)北半球はいわば牢獄だね
      生存競争が激烈な
      地獄のような世界。
      みんなこれから
      しかめっ面で、
      文句と愚痴と疲労の中で
      生きなくちゃいけない。
      それにもう慣れた国、
      まだとまどっている国、
      しかしいずれも最後は
      慣れざるをえない。
 
 だって牢獄だもの。
 
 だからこう。視点を変えれば、状況の違う南半球の常識も良識も、それは北半球には通用しないし、役に立たないだろう。地球全体が閉鎖された地獄へと邁進しているが、北半球の方がその進行は速いだろう。事実、昔からそうだった。
 
 ∧∧
( ‥)そして予想するに
 
  (‥ )いつか南半球は北半球の
      残忍さの前に屈服する
      おそらく。
 
 今はまだそれができない。海を越えての征服は容易いものではないから。
 
 ∧∧
( ‥)でもいつか技術が
    ブレークスルーを起こす
 
  ( ‥)まあ、それまでは
      楽園の夢を見ていてくれ
      そのうちそっちにいくよ
      アミーゴ、って感じかな
 
 それにしても
 
 ∧∧
(‥ )いつか、南半球からも
\–   覇王が現れますかね?
 
  (‥ )オーストラリアは候補の
      ひとつだけども、
      出るとしたら、
      アフリカじゃねえか?
 
 たぶん、まだ何世紀もかかるだろうけども。人類の文明がもし、このまま瓦解せずに進行するなら、いつか。
 
 
 
 

間違った結果から遡及して間違った前提を確信する

 
 
 ∧∧
( ‥)つまり?
 
  ( ‥)そうねえ。
 
 3月10日に関東を覆った土ぼこりを「わー、すげー黄砂。こんなの初めて」と思っていたら、「これは黄砂ではなく煙霧です」と言われて、「えっ?? そうなの??」
 
 ∧∧
( ‥)と、あなたは思った
 
  ( ‥)似たことは多くの人が
    –□ 思ったみたいだし、
       だから陰謀論も出てくる
 
 ∧∧
( ‥)でも、そのとまどいの背景に
    あったのは
    「これは黄砂に違いない」
    という前提であった。
 
  (‥ )より正確に言うとだ
      ある微細な鉱物粒子を
      指し示して、これは
      大陸から飛来したものだ
      そう同定することが出来る
      そういう前提があった
      ということなんだよね。
 
 少し考えてみれば当たり前なんだが、そんなことを言うのは容易なことではないんである。
 
 ∧∧
(‥ )一応、テレビなどで、
\–   硫黄酸化物系の物質が
    見つかったから、大陸由来の
    ものが混じっている、という
    同定はあったみたいですね
 
  (‥ )だから、あれは黄砂に
      違いない、
      そう確信した人も
      いるみたいね。
 
 だが、この理屈で言うと、コップの水から砂糖の分子が見つかれば、それは砂糖水だ、ということになる。
 
 ∧∧
( ‥)コップ1杯の水に砂糖を
    ひと粒、入れただけかも
    しれない
 
  (‥ )それでこれは砂糖が入った
      甘味飲料です、と言ったら
      まあ、ぶっとばされるかな
 
 ∧∧
( ‥)人間らしいと言えば
    人間らしい?
 
  ( ‥)大前提を疑わない
    –□ *これは黄砂である
       濃度や程度を無視する
       *砂糖分子が混入して
       いればそれは甘味飲料だ
       人間らしい誤謬と言えば
       誤謬だろうな。
 
 定義の問題もある。例えばPM2.5という言葉。本来は空中を浮遊する1000分の2.5ミリ以下の物質を指し示しているけども、これがいつのまにか中国産の有毒物質を示す名詞になっている。
 
 ∧∧
( ‥)だからPM2.5の値が上昇した
    と聞くと、
    汚染濃度が上昇したと考える
 
  (‥ )弱ったことに外見上は
      意味が通るのだよね。
 
:PM2.5の濃度が上昇した=>浮遊する微細な粒子の濃度が上がりました、健康にはよろしくありません
:PM2.5の濃度が上昇した=>中国産の汚染物質の濃度が上昇しました、健康にはよろしくありません
 
 ∧∧
( ‥)おおまかな意味が同じ
 
  ( ‥)それにどうも、人間は
    –□ 結果から遡及して
       間違った前提を正しいと
       考える場合がある。
 
例:

健康にはよろしくありません
=>健康に有害というと中国の汚染物質である
=>中国の汚染物質というとPM2.5である
=>PM2.5の濃度上昇は中国の汚染物質が舞い上がったことを示す
=>黄砂はPM2.5に汚染されているのだから、濃度上昇は黄砂が舞い上がったことを示す
=>3月10日にはPM2.5の濃度が上昇した
=>つまり3月10日の煙霧はまぎれも無い黄砂である
 
 
 ∧∧
(‥ )実際には途中で論理や
\–   言葉に飛躍が起こっている
     わけですけども
 
 (‥ )PM2.5は大陸由来の黄砂も
     含みうる言葉だけども
     PM2.5=大陸由来の黄砂
     ではない。
     つまり
     PM2.5の上昇は必ずしも
     黄砂の舞い上がりを
     意味しない。しかしそれが
     途中でイコールになってる
 
 言うなれば名詞の包含関係がおかしい。山田さんは人間ではあるが、人間=山田さんではない。これを勘違いすると話の筋道は通っているのに結論がおかしくなる。
 
 *筋道が正しいのに結論がおかしい、というのは文章の誤りが単語の中に、いわば押しやられているということになる。そのため、外見上、文章に誤りがなくなる。名詞の包含関係がおかしい、というのは誤りが名詞の中に折り畳まれた、ということだ。
 

 砂糖分子が含まれているうんぬんの話も構図は同様だ。
 
 砂糖水=砂糖分子が含まれた水、ではあるが、砂糖分子が含まれた水=砂糖水ではない。少なくとも私たちは砂糖分子が含まれた水を砂糖水とは呼ばない。
 
 間違った推論で得た、間違った結果から遡及して、間違った前提を確信する、これは人の行動を理解する上での、ひとつのヒントなんだろう。
 
 
 
    

2013年3月18日月曜日

雨と微細な鉱物粒子

 
 
 
 ∧∧
( ‥)どうです?
 
 ( ‥)グリセリンを少し塗布した
   –□ スライドガラスを外に置く
      付着したものを見る。
 
 花粉、土ぼこり、そして
 
 ∧∧
(‥ )少し細かい雨が降りましたが
□–   スライドグラスに残った
     雨粒の乾いた痕に細かな
     粒子が見えますね。
 
 (‥ )カバーガラスとグリセリンの
     追加、そして透明マニキュア
     による封入、この過程で
     ばらけてしまったけども
     花粉と比較して考えるに
     これが黄砂かもしれないね
 
 大きさは花粉の10分の1とかそれ以下。透過光で見ると小さすぎて透明、どうも微小な鉱物であるらしく、粒子が集まった土ぼこりとは違う印象。
 
 ∧∧
( ‥)大きさは黄砂に該当しますね
 
  ( ‥)問題はだ、今日は風が
    –□ 強くて、これもまた
       近隣でまきあがった
       土ぼこりなのか、
       そうでないのか、
       その判定がつかない。
 
 考えてみれば当たり前。
 
 大きさは花粉の10分の1、おそらくいかにも単独の鉱物粒子っぽい。なんか角いし、だから...
 
 というだけでは
 
 ∧∧
( ‥)微細な鉱物だとしか言えない
 
  (‥ )つまりこれだけでは
      起源について
      何も語れないわけだ。
 
 ∧∧
(‥ )気象庁が言う”黄砂”はどうも
\–   本来は視界を悪くする
     もやもやのことを指す
     らしいですし
  
  (‥ )環境省が使う”黄砂”は
      健康に影響を与えうる
      微細な浮遊粒子のひとつで
      ライダー観測でも、
      粒子の組成や起源が
      分かるというわけでもない
      どうやらね。
 
 つまり論証が困難である以上、また組織の役割と義務と果たすべき分野によって立つ以上、彼らが言う、”黄砂”とは、大陸から運ばれてきた黄砂、を必ずしも意味していない。
 
*=>このくだりはここの続きhilihiliのhilihili: 黄砂と気象庁と環境省
 
 
 ∧∧
( ‥)正確には空中を漂う
    土壌由来の微細な鉱物粒子、
    そう言うべきなんでしょうね
 
  ( ‥)ひょっとしたら、そもそも
    –□ 気象学で言う黄砂本来の
       意味はほとんどそれに
       近いのかもしれんね。
       見通せる距離が短くなる
       というだけなら、さらに
       意味が広がるが。
 
 確かに、空中を漂う土壌由来の微細な鉱物粒子、この中には大陸由来のものが混ざっている。だがしかし、
 
 ∧∧
( ‥)今、目の前にある粒子が
    大陸由来である、と
    より確からしく言うには
    もっと別の根拠が必要だ。
 
  (‥ )それをどう論証するか?
      難儀よなあ。
 
 

マトウダイ再び

 
 
 
 マトウダイのコンテンツにスケッチを追加=>Untitled Document
 
 ∧∧
(‥ )最初のスケッチに間違いが
\–   ありましたからね
 
  (‥ )まあ、色々あるんだ。
      それにしても、スケッチは
      少し疲れたよ。
 
 
 マトウダイはうまかった。
 
 
 
 
 

2013年3月17日日曜日

黄砂と気象庁と環境省

 
 
 日が変わってしばらくした夜、グリセリンを垂らして外に出しておいたスライドグラスを、夕刻、回収して顕微鏡で観察する。
 
 ∧∧
( ‥)どう?
 
  ( ‥)あのね、花粉だらけ
    –□
 
 というか、スライドグラスを肉眼で見ただけで、黄色い点々がまんべんなく落ちているのがはっきり分かる有様。
 
 *ちなみにうちは神奈川県です。
 
 
 ∧∧
(‥ )スギ花粉の直径は
\–   100分の3〜4ミリ
     だそうですが
 
  (‥ )差し渡しで考えて、
      日本にまで届く黄砂の
      10倍ぐらいだな。
 
 表面積で比べると、形は違えども、まあ、ざっくりいって100倍ぐらい、体積では1000倍ぐらい大きい。
 
 ∧∧
(‥ )10日に採取した土ぼこりは
 □–  スギ花粉よりずっと小さな
     ものもあれば、差し渡しで
     数分の1ぐらい
     あるいは同じぐらい
     あるいは数倍のものが
     ありますね
 
  (‥ )つまるところ、やはり
      黄砂だと考える必要は
      ないわけだ
 
 確かに10日に関東まで届くと言われた黄砂も混ざっちゃいるんだろうけど、普通に土ぼこりだよね、これ。
 
 ∧∧
(‥ )黄砂が混ざってても
 □–  これでは判別できませんし
     当日の状況を考えれば
     土ぼこり、圧倒的に主体
     と考えるべきでしょうね
 
  (‥ )と、いうか、黄砂よりも
      多分、体に悪いと思う
      けどもな。
 
 酸が付着しているであろう黄砂が薄くたなびくのと、もうもうと土煙がたちこめるのと、どっちが体に悪いのか? というのは議論されてしかるべきだけども、あの量ではねえ、土ぼこりの方が圧倒的に体に悪そうだよねえ。
 
 ともあれ
 
 ∧∧
( ‥)10日、当日、あの土煙を
    煙霧と発表した気象庁は
    一部から嘘だ、と批判された
    わけですけども。
 
  ( ‥)自分も黄砂だと
    –□ 思っていたから
       違うよ、と言われて
       違和感をもったのは
       事実だが、では
       どう言えば良かったの
       だろうねえ?
 
 例えば環境省と気象庁、合同のサイト=>黄砂情報提供ホームページ
 
 ∧∧
( ‥)少なくとも、これだけ見ると
  –/ 気象庁の黄砂の観測は
     目視によるものみたい
     ですね
 
  (‥ )実際、10日当日は、
      気象庁黄砂情報のサイトは
      関東の黄砂確認地点が
      真っ赤っかになっていた
      からな。
 
 =>気象庁 | 黄砂情報
 
 *赤くなる:観測した場所から見た時、視認できる距離が2km未満になると赤く表示される。
 
 これだけ聞くと、なんだ、気象庁も煙霧と言いつつ、あれを黄砂と認めているじゃないか(陰謀だ、陰謀だ)、となるけども。
 
 ∧∧
( ‥)でも、これ、視認出来る距離が
  –/ 2km未満、というだけの話
     なんですよね
 
  (‥ )黄砂情報というより、
      視認できる距離がこれだけ
      ですよー、そう言っている
      だけなんだとも言える。
 
 気象的には、あれは煙霧になるし、視認出来る距離をもって黄砂情報とすると、関東は真っ赤になる。
 
 それを僕ら素人は見ると、すげー黄砂だ、黄砂だ、あれ?煙霧なの? 黄砂なの? どっちなの? 嘘なの?? と。
 
 ∧∧
(‥ )でもさ、これ、説明文で、
\–  「黄砂を含む小さな砂や
     ちりが大気中に
     浮遊している状態
    (以下、「黄砂等」)を...」
    と書いてありますよね
 
  (‥ )前もした根本的な話よな
      大気中を浮遊する微細な
      塵のどれが黄砂でどれが
      別起源のものなのか
      識別どうするの? 
      という問題だ。
 
 識別できない以上、「黄砂を含む」になるし、土ぼこりが大量に舞い上がれば、そちらが圧倒的に主体、ということになるだろう。
 
 ∧∧
(‥ )それを考えると気象庁の
\–   黄砂情報は、あくまで
     天候、視界、など
     気象現象のみについて
     述べているだけだ、
     そうともとれますね
 
  (‥ )あくまで大気中を浮遊する
      微小粒子に関してのみ
      語っているのだ、
      そういうことに思えるね。
      そして今見えているものが
     「大陸由来の黄砂」
      であるかどうかは、
      総合的、整合的に考えて、
      個別に結論づけるものだ。
      そういう内容っぽいな。
 
 あくまで、ざっくり見た限りの印象だけども。

 *ただ、黄砂の気象学的な定義は視程10キロメートル以下のかすんだ状態をさすそうだ。さらに最近は気象全体を加味して判断されることになったという。参考:「黄砂その謎を追う」 岩坂泰信 紀伊国屋書店 pp20 
 
 **どうもここからするに、やはり、黄砂自体は、本来、ある種のもやもやをさす言葉でしかなく、それが大陸由来の土壌粒子だと判断するには、データの整合性に基づいた推論によらねばならない、ということのように思われる。
 
 ∧∧
( ‥)一方、ライダーで観測して
  –/ いるのは環境省ですね
 
=>黄砂〜環境省黄砂飛来情報(ライダー黄砂観測データ提供ページ)
 
*ライダー:レーザーを用いて大気中の塵の大きさと分布を計る機械。先の「黄砂その謎を追う」によると黄砂に使われたのは1979年が最初。ここから、実のところ黄砂はしばしばかなり高い高度で密度が最大になり、地上2キロとか6キロを移動していくことが分かったそうな。
 
 
  (‥ )あああ、確かにね、
      これは環境省の仕事だよな
 
 ∧∧
( ‥)大気中を浮遊する微細な粒子
    粒子の種類を問わず、
    それが高い濃度であることは
    健康にとって良くない。
    確かに環境省の仕事ですね。
 
 先のライダー黄砂観測ページで過去データを見ると、3月10日、東京、千葉、つくばなどに飛来した黄砂のデータを見ることが出来る。
 
 ∧∧
(‥ )これを見ると、東京は
\–   9時から14時まで、
     1立方メートルあたり、
     0.1~0.3mg、つまり
     少ないからやや多い
     であったと
 
  (‥ )いやはや、なるほどね、
      実は当日、千葉の方が
      多かったりしたわけか
      一時、0.3~1mgまで
      増加しているからな。
 
 また、先のHPの注意書きは興味深い。

:気象庁が発表する黄砂(目視観測)とは観測方法が異なるため、気象庁の観測結果とは必ずしも一致しません。また、局地的に舞い上がった砂や塵、霧雨を高い値を示すこともあります。ご留意ください。
 
 ∧∧
( ‥)だいたい、今まで推し量った
  –□ ことと一致しますね
 
 (‥ )それとあれだな、さすがに
     ライダーでも粒子の高度や
     分布、濃度、直径は分かるが、
     粒子の起源までは分からんと。
     まあ、そりゃ当たり前だが
 
 先の、”10日の東京は9時から14時の間、ライダー観測で黄砂がやや多かった”という観測結果にしても、そのやや多いが、黄砂そのものであったのか、不確定な部分が残る。そういうことらしい。
 
 ∧∧
(‥ )以上を考えると、
\–   10日の黄砂騒動や
     黄砂陰謀論は、
     ”気象学的な意味しかない
     黄砂情報”を、そのまま
     健康面の話に置き換えて、
     理解に混乱が生じた例
     そう考えればいいと。
 
  (‥ )陳腐な言い方をすれば
      気象庁と環境省の
      縦割り行政を、部外者が
      ごちゃまぜにしてしまい
      理解が混乱状態に陥った
      とも言えるかな。
 
 ∧∧
( ‥)縦割り行政という
    否定的な言い様。
    陳腐ですか
 
  (‥ )陳腐だろ。どこの会社で
      営業が経理に割り込んだり
      経理が総務の仕事をしたり
      総務が営業回りするって
      言うんだよ。
 
 組織において役割が決まっているのは当たり前だ。会社でもなんでもそうだ。それを縦割り行政だ、と単純に否定する方がどうかしている。ただ、どんな組織でもそうだけども、部外者にはこれが分かりにくい。だから、特にこのあたりの経験が少ない人はしばしば理解が混乱する。
 
 ∧∧
( ‥)あなたは営業も経理も総務も
    一心同体ですけどね
 
  (‥ )そりゃ一人だからね
 
 
 でも、組織はそうはいかん。
 
 
 
  
      

PM2.5 今、世間で何が起きてる?

  
 
 妙なことがある。
 
 ∧∧
(‥ )PM2.5で検索すると、
\–   1000分の2.5ミリ以下の
     微小粒子である、そういう
     情報がちゃんと出てきます
 
 (‥ )だが、PM2.5が話題になると
     どういうわけか中国由来の
     有害物質、それも固体を示す
     本来とは全然違う意味の
     単語として使われて
     いるわけよ。
 
 *PM2.5は本来、1000分の25ミリ以下の微粒子を指す。つまり土ぼこりの非常に細かいものでも、黄砂でも、地元周辺から舞い上がった土ぼこりでも、タバコの煙の粒子でも、あるいは硫酸エアロゾルでも良い。こうした微粒子は肺の奥深くに入り込むので、たとえそれが土ぼこりであっても、当然、体に悪い。
 
 **一方、中国で話題の大気汚染とは、硫黄を含む石炭を燃やして排出されて出来た二酸化硫黄などが水分と反応して出来た硫酸エアロゾルのこと。つまり、水滴である。ただし、硫酸は蒸発せず、微粒子となるとそのまま大気中を浮遊して健康被害をもたらす。どうも世間一般的には固体だと思われているらしい。
 
 ***つまり、硫酸エアロゾルはPM2.5に該当する微粒子だが、PM2.5に該当する微粒子のすべてが硫酸エアロゾルではない。PM2.5が検出されたからといって、それが中国の硫酸エアロゾルであるとは限らない。むしろ、身近なもの由来の、別の微粒子の方が多いことになる。
 
 
 例えば3月10日(=>hilihiliのhilihili: 3月10日の太陽と、黄砂?)に関東で土ぼこりが舞い上がって、それはそれは大変な有様だったのだけども、この時の騒動を書いた記事でこんなのがあった
 
 そこでは、
 
 10日に都心やその周辺を襲った猛烈な黄砂、あるいは煙霧、これら正体は土ぼこりで、その土は強風で北関東から運ばれてきたのだろう
 
 そう正しく書かれているのだけども….
 
 ∧∧
(‥ )この記事はtumblrでも
\–   目撃しました。
     あの黄砂、あるいは煙霧は
     北関東から飛んできた
     土ぼこりである、そういう
     部分だけが抜粋されて
     reblogされてましたね
 
  (‥ )だがおかしなもんでな
      リンク先の元記事を見ると
      あの嵐の最中にPM2.5の
      濃度が増大した
      だからやはり
      中国から来て堆積した
      PM2.5が舞い上がっていたの
      ではないのか?? 
      この件を気象庁は
      どう考えているのか??
      という意味合いのことが
      最後に書かれているわけよ
 
 途中まではまっとうな記事なのだ。だが、最後の最後でPM2.5がまたもや本来と全然違う意味に置き換わって、陰謀論や危険を煽る内容になっている。
 
 *つまり途中までは関東の土ぼこりなのでしょう、と言っているのだが、最後のところで、PM2.5はすべからく硫酸エアロゾルである、という間違った定義が顔を出すことによって、話がおかしくなっている、ということ。
 
 **土ぼこりでも小さな微粒子はPM2.5に該当するので、こういう場合におけるPM2.5の濃度上昇は単純に土ぼこりと考えて問題ない。そうである以上、PM2.5の濃度上昇=中国産硫酸エアロゾルの上昇、ではない。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、土ぼこりもどっちみち
    体に悪いし、危機を煽っても
    結果的には効果的なんです
    けどもね

=>hilihiliのhilihili: PM2.5という言葉/土ぼこりをなめちゃいけない
 
  ( ‥)だけど、オチが間違い
    –□ なのは問題だよな。
 
 ネットで検索するとPM2.5、その本来の意味がちゃんと出てくる。
 
 だが、会話や記事になると途端にまるで違う意味、つまり中国の汚染物質を限定的に指す言葉になる。
 
 ∧∧
( ‥)テレビ、あるいは新聞のせいですかね?
 
 ( ‥)んーーーー、、、、テレビを
   –□ 持たず、ラジオを持たず、
      新聞も読まない身としては
      世間で何が起きているのか
      さっぱり分からんな。
  
 だけども、世間の用語に大きな影響力を与えるのはテレビとかなんである。
 
 多分、テレビがおかしいことを言っているのだろう。テレビらしいと言えばテレビらしい。
 
 悪い言い方をすれば、マスゴミは所詮はマスゴミなのだ。
 
 とはいえ、これは大いなる矛盾でもある。
 
 先の記事と同様、ネットの書き込みにおいても、
 
 PM2.5の濃度が上昇したから、ほら、中国の汚染物質が混ざってる、マスゴミはこれを隠蔽している!
 
 という声が上がったのだから。
 
 ∧∧
( ‥)マスコミがPM2.5の意味を
    きちんと伝えていないから
    誤解が広まって、
    その誤解からマスコミの
    陰謀論が強化されている
 
  (‥ )矛盾した話だが
      状況自体はそういうこと
      なのかもね

 
 マスコミの二枚舌や信頼性の低下は置くとしても、PM2.5という用語自体の混乱はどうもそういうことではないか?
 
 
 ああ、そういえばいたな。黄砂を煙霧と言い換えたのは詭弁だ。煙霧は塵が舞い上がる現象。だとしたらそこには堆積した黄砂も混ざっているはずだ。つまり言葉の定義を用いた詭弁で、黄砂を煙霧と言い換え、黄砂ではないと否定し、中国に配慮したのだ。つまり気象庁は中国に乗っ取られている。そしてこれではまるで....
 
 ∧∧
( ‥)炉心融解という詭弁と
    同じだと。
 
  (‥ )実は言ってることは
      ある程度正しいのだ。
      少なくとも、言葉の定義が
      混乱して、意思疎通が
      おかしくなる、という
      意味ではね。
 
 問題があるとしたら、以上を言ったご本人自身が言葉の定義を混乱して用いて理解しているので話がめちゃくちゃになっているという点にある。
 
 あるいは、炉心融解、あるいはむしろ、メルトダウンという言葉が巻き起こした騒動について言えばこうなる。
 
 メルトダウンというと、ひとつにはチャイナシンドロームのような意味合いがある。つまり臨界状態を維持したままの核燃料が格納容器どころか、その外装、さらにはコンクリート壁を破壊し、堆積物をも融解降下、ついには地下水と接して水蒸気爆発を起こすという意味。
 
 ∧∧
( ‥)でもメルトダウンが
    崩壊熱による燃料棒の融解
    ジルコニウム合金と
    ウラン燃料が溶け落ちて
    容器底に落下するという
    意味だとすると、それは
    もう起こっている。
 
  (‥ )水から露出した
      ジルコニウム合金が
      水蒸気と反応し、
      酸化する過程で水素が
      発生する。
 
 つまり、水素爆発があった時点で崩壊熱による燃料棒の融解はとっくに起きていることになる。これは明らかだ。
 
 実際、この指摘は2011年の震災の後、原発がぱーんした2、3日以内にはもう言われていたことだけども。
 
 *例えばスリーマイル島の事故を受けて、たぶんこうだという見解はすでにしかるべき場所であった。
 
 **一応、書いておきますと、崩壊熱と臨界状態は別ものです(熱を出すということは臨界している証拠じゃないか!! と、当時、言い立てていた人がいたので)。
 
 ∧∧
( ‥)でも? 世間の人は
    お怒りである
    政府もマスコミも
    メルトダウンと言わない、
    欺瞞だ!
    許せない、と。
 
  ( ‥)そりゃあ、臨界反応による
    –□ 際限ない融解と降下では
      ないからね、
      メルトダウンとは言わんさ
 
 だが、言葉と定義に混乱した人は、炉心融解って言うけどさ、それごまかしだろ? それはメルトダウンだろ? つまり臨界しているんだろ?? なにを誤摩化しているんだよ?? 
 
 ∧∧
( ‥)と、怒りだす
 
  (‥ )今回のPM2.5も同じだよな
      言葉の意味を独自解釈して
      意思疎通ができなくて
      不安感と見捨てられたという
      怒りが起きている。
      マスコミ工作員説と相まって
      不信感が増大している。
 
 
 そしてこれは、皮肉にもマスコミの怠慢とその結果だろう。それにしても、一体全体、今、世間では何が起きている?
 
 
 ちなみに
 
 ∧∧
(‥ )tumblrのreblogも
\–   罪作りですよね
 
  (‥ )そうねえ、あれは抜粋だから
      前後の文脈から解放されて
      元記事と意味が全然変わったり
      するものだけど
 
 ただし、今回、というかここで話題にした最初のreblogの場合、これが幸いして、間違ったオチは無視され、正しい部分だけが拡散した、そういうことらしい。
 
 
 *追記2014.0228 全体をやや手直しして補足説明を追加
 
 
 

その陰謀論が現実の近似値になる

 
 
 
 ∧∧
(‥ )取りあえず、スライドグラスに
 □–  グリセリンを一滴垂らして
     様子を見てみましょう。
 
  (‥ )まあ、この時期、これに
      ひっかかってくる浮遊性の
      微粒子といったら、
      杉花粉とか、黄砂だろう
      からね
 
 もっとも、黄砂自体は、現在、大規模には日本へ飛んできていない模様。
 
 さて
 
 基本的にはこちらの続き=>hilihiliのhilihili: それが黄砂であると、なんと論証しようか?
 
 今月10日、関東で起きたことが、3年よりも少し前の春に起きていたらどうなったか?
 
 ∧∧
( ‥)気象庁とマスコミが中国に
    乗っ取られているという
    陰謀論が現れたか?
 
  ( ‥)たぶん、現れなかったと
      思うんだよな。
 
 実際、あの時のマスコミはまだ信用されていたんである。事実、マスコミの自民党バッシングに乗るような形で政権交代が起きたのだから。
 
 ∧∧
(‥ )あの時、政権交代に熱狂した
\–   のはマスコミとか知識人とか
     そう言う人で、一般の人は
     まあ、自民党がなんか
     頼りないから、一度、
     別の人にやらせてみようか、
     その程度のノリだったと
     思いますけどもね。
 
  (‥ )それでも影響力は行使
      できたわけだよ。当時から
      ラーメンの値段だの
      やや高級なバーで飲んだだの
      漢字の読み間違いで
      バッシングするだの、
      マスコミのやりかたは
      常軌を逸していたけども
      結果を出すことが出来たのは
      事実であるな。
 
 しかし、あれから3年と半年あまり。マスコミは敵国のスパイ、工作員であるという陰謀論が急激に、それも普通に眼につくようになった。
 
 実際、マスコミはスパイである。ゆえに自民党に政権が戻ったら、以前のようにラーメンの値段とかそういうどうでも良いことを取り上げ、マスコミは狂ったようにバッシングするに違いない、という陰謀論の予想は的中した。安倍が3500円のカツカレーを食った! 彼には庶民感覚がない!! とマスコミがはやし立てた時、マスコミ工作員説という陰謀論は陰謀論ではなくなり、予想を導きだすアルゴリズムへと昇格した。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、このバッシングは、
    安倍さんを叩いた新聞社の
    社内食堂のカレーの方が高い
    という、どうしようもなく
    恥ずかしいオチが
    ついたわけですけども。
 
  ( ‥)正しさを追求した報いだね
    –□
 
 ∧∧
( ‥)正しさ? 二枚舌でしょ?
 
  (‥ )二枚舌とは正しさから
      生まれるものだ。
 
 正しい結論ありき。その結論に物事を合わせるとは、現実を正しさに合わせなくてはいけないということだ。
 
 そして現実を正しさに合わせるには嘘をつくしかない。
 
 ∧∧
( ‥)現実は現実であって
    現実自体が正しさ、である
    わけではないのだと。
 
  (‥ )それに、正しい、には
      重大、かつ、致命的な
      欠点があるわけさね。
 
 正しさは、正しさそれ自身の正しさを保証しない
 
 ∧∧
( ‥)こいつは魔女だから殺すのが
    正しい
 
  ( ‥)それはそれで正しいのだ。
      だがその正しさは
      自分自身の正しさを
      保証してくれない。
 
 正しさとはそれ自身ではまったくの空虚。うつろなガラクタでしかない。
 
 
 ∧∧
( ‥)正しさにとって重要なのは
    正しさではない。
 
  (‥ )正しさ、
      それ自体を推し量る
      普遍の物差しが必要だ。
 
 ∧∧
( ‥)普遍の物差しとはなに?
 
  ( ‥)さあね。
 
 
 
 だが少なくとも、ジャーナリズムとは、良く検証された、確からしい情報を伝えるべきだ、というのであれば、妥当性が物差しとなるだろう。
 
 ∧∧
( ‥)でも? 彼らは妥当性ではなく
    自分たちの正しさを物差しにして
    しまったと
 
  (‥ )ではないかね? 民主党や
      左翼やマルクス主義や、
      そういうものを用いれば
      地上と社会は楽園になる、
      そういう物差しを、
      そういう目的論を使って
      しまったのではないかね?
      楽園実現のためには
      こういう二枚舌だって
      いいはずだ、そういうこと
      ではないのかね。
 
 だがしかし、目的の正しさはそれ自体を何も保証していない。マルクス主義がいくら理論的な楽園を提示しても、理論自体は理論の成功を保証していない。
 
 成功したか、失敗したか、それは別の物差しで検証されねばならぬ。例えば経済とか、賃金とか、株価とか、
 
 ∧∧
( ‥)失敗しました
 
  (‥ )失敗したね。
 
 だが正しさ、それ自体を物差しとする人は、株価だの、人々の賃金だの気にするだろうか?
 
 ∧∧
( ‥)するわけないと
 
  ( ‥)するわけないさ。
    –□ だって彼らは
       そんな物差しを使って
       いないのだからな。
 
 
 ∧∧
(‥ )もし、人々の賃金を気にせず、
\–   自分の正しさだけを頑固に
     死守するのなら
     致命的でしょう
 
  (‥ )致命的だろうね。
      人々を不幸にしているのに
      自分は正しいと思っている
      他人から見れば、
      彼らは人を不幸にするのが
      正しいと思っている、
      そう見えるだろうね
 
 ∧∧
( ‥)つまり、大げさな言い方を
    すればですよ
 
  (‥ )大げさな言い方をすれば、
      このモデルに従った場合、
      マスコミ工作員説は
      現実の近似値になる。
      
 
 

2013年3月16日土曜日

汚染のうまい識別方法は...

 
 
 
 ∧∧
(‥ )黄砂が硫酸で汚染されて
\–   飛んでくるのなら、
     リトマス溶液とかで
     分かるでしょうか?
 
  (‥ )いや、どうだろね
      1000分の4ミリなんて
      小さすぎるからなあ
      1滴、リトマス溶液を
      垂らしても、顕微鏡下では
      大洪水だしね。
  
 確かに汚染された黄砂の顕微鏡写真で、黄砂の粒子からなんか周囲にじわっと汚染物質が滲み出ているのがあったけども。
 
 ∧∧
(‥ )汚染のうまい識別方法
\–   ないですかね?
 
  (‥ )まあ、手透きな時に色々
      調べてみようじゃないか
 
 
 
 

それが黄砂であると、なんと論証しようか?

 
 
 ∧∧
( ‥)つまり?
 
  ( ‥)そうねえ
 
 3月10日に起きた黄砂騒動。
 
 *3月10日に黄砂(中国における深刻な大気汚染によって汚れた黄砂)が日本、ひいては関東にも到達する。そんな予報がなされていた当日、強烈な風で舞い上がった関東ローム層の土ぼこりが東京や神奈川に襲来。辺り一面、黄色く煙って視界がせいぜい3kmにまで落ちた。ネットなどが騒然とするなか、気象庁がこれは煙霧であると発表すると、中国に配慮したマスコミの陰謀だ、気象庁はすでに中国に内部を乗っ取られている、という意見が駆け巡るなど、色々なことが起こった出来事のこと。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、マスコミのことは
    取りあえず置いて
    おきましょうか
 
  ( ‥)あの人たちがやっている
    –□ ことは、言い出せば
       切りないからな。
 
 ∧∧
( ‥)でっ?
 
 (‥ )そうね、例えばおいちゃんも
     当日、すげー黄砂、
     と思ってたけど、
     落ちてきた粒子を観察したら
     どうも黄砂ではなく、これは
     関東ローム層由来らしい*
     そう結論したわけだ。

 
 
 だが、ここで問題である。
 
 ∧∧
( ‥)あなたは黄砂の粒子そのものを
    見たことがない
 
   ( ‥)少なくとも、当日
     –□ 採取した粒子は
        黄砂よりも
        ずっと大きい
        そういうことは
        言えたけどもね。
 
 だが、黄砂そのものを顕微鏡で見たことがない人間が言うことを果たして信用できるのか?
 
 ∧∧
( ‥)人によってはそう言うでしょう
 
   (‥ )もちろん、そう言う人も
       いるだろうね。

 
 だが、ここでさらに根本的な問題に突き当たる
 
 
 そうは言うけども、見方を変えてみよう。例えば、見つけたその粒子を黄砂であると判定するにはどうすれば良いか?
 
 ∧∧
(‥ )先日、見ていた環境省HPの
\–   黄砂パンフレットには
     黄砂を構成する鉱物に
     ついて書かれていますね
 
=>黄砂パンフレットのご紹介
 
  (‥ )石英、長石、雲母、
      そういう造岩鉱物に加え
      カオリナイト、緑泥石など
      粘土鉱物が含まれる。
      日本にまで到達する
      粒子の直径のピークは
      1000分の4ミリ
      そう書かれているな。
      ありがたいね。
 
 
 ∧∧
(‥ )後は人為的な汚染による
\–   硝酸イオン、硫酸イオン
     などが検出されると
 
  (‥ )汚染による化学物質を
      手がかりに判別するのは
      個人でやるにはきついなあ
 
 とりあえず、そういう論証は設備と技術を持った研究者や技師にまかせるとして、これが黄砂である、と見て確かめられるか? という話。
 
 
 例えばの話
 
 ∧∧
( ‥)1000分の4ミリ以下の
    微小な粒子を顕微鏡で
    みつけました
 
  (‥ )それだけだと、
      どこか遠くの畑や地面から
      舞い上がったものと
      区別できないよね。
 
 それが石英や長石だと確認できたとしても、それだけでは黄砂起源なのか、あるいは日本起源なのか分からない。
 
 ∧∧
( ‥)どうしましょうね
 
  ( ‥)毎日とは言わないが、
    –□ 黄砂が来ていないと
       されている日も、
       黄砂が来ていると
       されている日も、
       同様に観察して、
       比較するしか
       ないだろうね。
 
 ∧∧
( ‥)黄砂が来ていると
    されている日に顕著に多く
    観察される細かな鉱物粒子が
    あれば、
 
  (‥ )それが黄砂ではなかろうか
      そう推論することは
      出来るだろうな。
 
 もちろん、あくまでそれは推論だ。
 
 考えてみれば私たちはタクラマカン砂漠から風にのって移動する鉱物粒子を連続して追っているわけではないのである。今、目の前にある鉱物粒子が、砂漠の地面から舞い上がっていくところをあらかじめ観察して、一緒に空を飛ぶなどして追跡し、顕微鏡のスライドグラスに収まるところまで見守ったわけではない。
 
 つまり、なにもかも断片をつなぎあわせた推論なのだ。
 
 ∧∧
( ‥)もちろん、推論であるから
    駄目、というわけではないの
    ですけどもね
 
  ( ‥)それはそうだ。しかし、
    –□ 人間はおかしなもんでな、
       やたらと論理的に考えて
       推論や仮説をいい加減な
       ものだと思い込む傾向が
       あるからね。
 
 直感でこの意見が正しいと思い込んでいるだけの人間が、対立意見を、それは仮説でしかない、断片的なデータをつないだいい加減な仮説だ、とか言い出すのだ。それが人間の奇妙にずさんなところでもある。
 
 実際には、どんなものも推論や仮説でしかない。ただし、推論や仮説には手堅い、手堅くない、妥当、妥当じゃない、そういう違いがある。
 
 推論が手堅いか、手堅くないか、そこが重要だ。
 
 *論理的に正しいだの、確信があるだの、矛盾がないだの、そんなことどうでも良い、というのは、ひとつはこれが理由。
 
 **別に理屈がめちゃくちゃでも良い、と言っているわけではない。理屈の筋道が通ったぐらいで、ふー満足じゃ、と座り込んでどうする、という話。そこはスタート地点でしょ。
 
 そうである以上、その推論が手堅いか確かめるだけでは、ちょいと足りない、手堅い推論を得るにはどうすれば良いか、それを考える必要がある。
 
 
 ∧∧
(‥ )予報や発表によると、現状、
\–   関東に届いている黄砂は
     ごくわずか、あるいは
     事実上、なし、
     そういう状況みたいですね
 
 (‥ )推論的に黄砂を見つけるには
     しばらく時間がかかる
     そういうこったな。
 
 これは見方を変えれば次のようなことでもある。
 
 ∧∧
( ‥)3月10日に観察した粒子が
    あまりに大きいので、これは
    黄砂ではない、
    そう結論するのは
 
 (‥ )ある微小な鉱物を指し示して
     これが黄砂だ、と主張するより
     ずっと手堅い推論
     なんだよね。
 
 
 

2013年3月15日金曜日

理解が混乱している典型的な事例

 
 
 hilihiliのhilihili: PM2.5という言葉/土ぼこりをなめちゃいけないのさらに続き
 
 
 ∧∧
( ‥)どうよ?
 
  ( ‥)そうねえ、ネットの反応を
    –/ ざっと見ていると、
       色々な知識がごちゃまぜ
       になっている感が
       あるかな。
 
 例えば3月10日の関東を覆った黄色く染まった空は、強風で畑の土が舞い上がったが、その時、積もって蓄積されていた中国由来のPM2.5も巻き上げられた。それゆえにPM2.5の観測数値が当日、上がったのである。
 
 という解釈。
 
 ∧∧
( ‥)この場合のPM2.5という単語が
    中国都市部を覆った
    硫酸エアロゾルだとすると、
    ひどく奇妙な解釈ですけどね
 
  (‥ )硫酸エアロゾルはそうそう
      落下するようなもんじゃ
      ないからね。
      硫酸エアロゾルが堆積する
      というのもかなり奇妙な
      考えだよな。
 
 たぶん、この解釈で言うPM2.5とは、中国の排ガスで汚染された黄砂、という意味ではないかと思う。
 
 ∧∧
(‥ )タクラマカン砂漠とかで
\–   舞い上がった「きれいな黄砂」
     が中国都市部などの排ガスを
     吸着させて「汚れた黄砂」と
     して日本、さらにはその先
     まで飛んでいくのは知られた
     事実ですけども。
 
 *注:「きれいな黄砂」でも濃度次第では体に有害です。
 
 
  (‥ )おそらくその知識と
      中国大都市部を覆った
      硫酸エアロゾルを
      ごちゃまぜにしているの
      だと思う。あるいは
      硫酸エアロゾルが直接
      黄砂の鉱物に付着する、
      そう考えたのだろうな。
      それ自体はありうるよね。
 
 そこまではかなり正しい理解ではないかと思うけども、あの日の砂嵐の最中、PM2.5の濃度が上がったのは中国由来の堆積していた黄砂も巻き上がったからだ、という解釈は正しくないだろう。
 
 
 ∧∧
( ‥)PM2.5が単に大きさを示す
    指標であるのなら、
    関東の粘土粒子とかが
    舞い上がってもPM2.5の
    濃度は上昇するでしょうからね
 
  ( ‥)黄砂自体も混ざっている
    –□ はずだろうけど、
       あんな砂嵐が起こるなら
       そんな微量の黄砂が
       あっても存在感ないよね
 
 考えてみれば、うわっ、すげー黄砂、これは尋常じゃないぞ?? と僕らが思っていた時点で、通常よりも別なものが圧倒多数で混ざっていたということなのだ。
 
 見方を変えれば、堆積していたPM2.5が舞い上がった、という解釈は、世間一般ではPM2.5という単語が、硫酸エアロゾルのような、有害物質を指し示す言葉になっていることを示している。それもむしろ、「中国産の有害物質」、しかも固体、という意味合いではないか?
 
 
 ∧∧
( ‥)それを考えると、先の仮説は
    「堆積していた中国産の汚染物質
    が舞い上がった仮説」という
    べきですかね。
 
  (‥ )それが正しい言い様なんだ
      ろうな。
 
 さて、

:3月10日の黄砂みたいなのは関東ロームから飛んできた土ぼこり仮説
:3月10日の黄砂みたいなのは、堆積していた中国産の汚染物質が舞い上がった仮説

 このふたつの仮説が例えばある
 
 ∧∧
( ‥)土ぼこり仮説を採用した人は
    舞い上がった仮説を否定する
    でしょう
 
  (‥ )否定するだろうね。事実、
      今、僕はその仮説をここで
      否定しているわけだ。
 
 *あるいはより正確にいうとこう。地上に自らの重みで、あるいは雨に付着するなどして落下してくる黄砂はあるはずだが、そんなものを普段、気にしていない時点で、その存在は無視できるほどわずかだよね。という意味。
 
 ∧∧
( ‥)反対に舞い上がった仮説を
    支持する人は、土ぼこり仮説を
    否定するでしょう。
 
  (‥ )事実、それを採用した人は
      気象庁は黄砂を煙霧と
      言い換えることで事態を
      誤摩化している、そう
      見なしているわけだからね
 
 巻き上げられた土ぼこりではあっても、結局、中国産の有害物質が混ざっているではないか、だからこそ、PM2.5の数値が上がったのだ。そういう主張だから。
 
 ∧∧
( ‥)このままではどっちの仮説が
    正しいのか分からない
 
  (‥ )言い換えるとこういうこと
      になるわけだね。
 
 仮説は自分自身の正しさを保証できない*
 
 
 ∧∧
( ‥)理論は理論自体を保証しない
 
  (‥ )優劣を決めるのは仮説でも
      理論でも、正しさでも
      確信でもない。物差しだ。
 
 ∧∧
( ‥)あなたとしては
 
 ( ‥)あの日、採取したほこりは
   –□ 黄砂よりもずっと大きかった
      畑や赤土と区別できない、
      どれも透明な似た鉱物が
      混ざっている。
      そういう物差しを使う。
 
 ∧∧
( ‥)それ自体は物差しというより
    データですよね
 
  (‥ )そうだね、むしろ仮説と
      以上のデータとの整合性、
      それを物差しとして
      使った場合、
      土ぼこり説を採用する。
      そういうことだな。
 
:採取したものが黄砂の特徴と一致せず、むしろ関東ロームの土と一致するのなら「土ぼこり説」を採用するべきだろう。

:黄砂自体は飛来するという予報だったし、割合として少数であるにせよ混ざってはいるのだろう。

:しかし、PM2.5という単語、それ自体は別に中国産有害物質を指定するものではない。そうである以上、堆積した有害物質が舞い上がったからPM2.5の数値が上昇した、という仮説を取る必要はない。

:ただし、あの黄色く染まった大気の、そのほとんど全部が関東ロームの土ぼこりであっても健康には悪いので注意が必要です。似たようなことが起きたらせめてマスクしてください。

 もちろん、以上の見解は機会があればアップデートしなければならない。理解は分かったではない。理解は仮説だ。分かったとは知的に死ぬことを意味する。理解を追求する以上、それは避けるべき。
 
 
 ∧∧
(‥ )でも、この問題、非常に
\–   やっかいなことが色々と
     混ざっていますよね。
 
 (‥ )定義、誤解、マスコミ不信
     理解が混乱する典型的な
     事例だよね。
 

2013年3月14日木曜日

PM2.5という言葉/土ぼこりをなめちゃいけない

  
 
 hilihiliのhilihili: どうも関東ローム層由来でいいらしいの続き
 
  
 図書館へいき、ちょっと本を調べる。
 
 
    やらなきゃいけないことが
 ∧∧ あるのに、すぐこれだ
( ‥)
 –( ‥)まあ、さして時間も
   –□ かからないから。
 
 PM2.5
 
 しばらく前から話題の単語
 
 我が家にはテレビもラジオもないし、興味もないから、どうでもいい単語として、ずーっと聞き逃していたのだけど。
 
 ∧∧
(‥ )大気中に漂う2.5ミクロン
\–   つまり1000分の2.5ミリ
     以下の微小な粒子のこと
     であるのだと
 
  (‥ )アメリカで1997年、
      PM2.5の濃度は
      年間平均で立方mあたり
      15マイクログラム以下
      という基準が定められたと
 
 *参考:「ここまで分かった「黄砂」の正体」 三上正男 五木書房 pp64参考
 
 ∧∧
(‥ )環境省のHP、大気環境
\–   自動車対策でも黄砂や
     PM2.5のお知らせが
     ありますね
 
=>環境省_大気環境・自動車対策(水・大気環境局)
=>環境省_微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報
 
 (‥ )ようするにPM2.5は
     大気中を浮遊する微小粒子、
     つまりエアロゾルの
     ことなのな。
     くくりが広くて、定義は
     大きさなのね。
 
 例えば硫黄を含むものを燃やして発生する二酸化硫黄が、水分なんかと反応して出来る硫酸エアロゾルもこれに該当する。
 
 ∧∧
( ‥)これが、昨今話題になった
    北京や中国都市部を覆った
    PM2.5ですか?
 
  ( ‥)たぶん、そういう理解で
    –□ 良いと思うけどもね
       PM2.5に関する専門家の
       会合による報告書にも
       排ガス、石炭使用などが
       原因として上げられて
       いるわけだしね
 
上記環境庁HPより=>*
 
 ∧∧
( ‥)そういえば以前、中国へ
    いった時、ひどく硫黄くさい
    場所を通りましたよね
 
  (‥ )北京へ帰る途中の道路でね
      北京まであと100km
      ぐらいだったかなあ?
      あるいはもっと近くか、
      猛烈に硫黄臭くて、
      なにかの施設があって、
      石炭が山積みされてた。
 
 石炭を燃やしていて、脱硫しないまま排気しているんだろう。
 
 ∧∧
(‥ )あちらは石炭があちこちに
\–   ありましたよね
 
  (‥ )日本と違って植生が
      あまり密でなくてね、
      地層は露出してるし、
      普通に石炭を採掘する
      山もあるし、
      運んで燃料として山積み
      されている場所もある。
      そういえば駅内部だけど
      貨物の移送に蒸気機関車が
      立派に現役しているのを
      見た時には感動したよ。
      写真を撮るのも忘れる
      くらいにすばらしかった
 
 とはいえ、あんだけ普通に、しかも脱硫せずに石炭を燃やしたら二酸化硫黄は出るし、そこから出来た硫酸エアロゾルが危険な濃度に達するのも不思議ではないだろう。
 
 
 ∧∧
( ‥)それにしても、PM2.5って
    それだけ聞くと、
    硫酸エアロゾルを示す
    固有名詞みたいに
    聞こえますよね。
 
  (‥ )あるいは有害物質そのもの
      をさす言葉みたいだな。
 
 まあ、確かに有害物質なんではある。それが硫酸エアロゾルだろうが、黄砂だろうが、タバコの煙だろうが、解体工事で舞い散るアスベストだろうが、そんなものが鼻腔や気管、肺にまで入ったら、体に良い訳がない。事実、以上は濃度が高ければいずれも顕著に有害だ。
 
 ∧∧
(‥ )誤解を招くとしたら
\–   PM2.5は濃度を示す言葉
     でもない、
     ということでしょうか
 
  (‥ )先に引用したように、
      健康に関する指定では
      PM2.5の濃度は
      年間平均これこれまで、
      そういう基準だからな。
      PM2.5自体には大きさの
      意味しかないわけで、
      ただちに即座に
      それが必然的に濃密とか
      有害だとか、
      そういうことを意味する
      わけではないね。
 
 だが、例えば以下のようにこの言葉を解釈したらどうなるか?
 
:PM2.5はある特定の有毒物質を示す固有名詞である
:PM2.5はそれ自体が濃度に関係なく有害
 
 このように解釈した場合、
 
 ∧∧
( ‥)中国から有毒物質PM2.5が
    風にのってやってくる
 
  (‥ )言葉自体は正しいのだ
      硫酸エアロゾルもくるし
      同様な大きさの微小粒子も
      飛んでくるだろうからな
 
 だけども意味自体は全然変わる。
 
 ∧∧
(‥ )これじゃあ、神経質になる人が
\–   出るの当たり前ですよね
 
  (‥ )3月10日、黄砂が来ると
      言われたあの日に、強風で
      関東ロームが舞い上がって
      関東は土ぼこりに覆われた
      その時、一部地域で
      PM2.5の濃度が基準値を
      越えた。
      やっぱり中国から
      飛来しているんだ!!
      そう書き込んだ人が
      いたよね。
 
 いや、PM2.5には大きさしか定義がない。そうであれば、PM2.5の数値は関東ロームの土ぼこりでも当然上がる。大気中に大小様々な砂や土、粘土鉱物の粒子が舞い上がれば、1000分の2.5ミリ以下の粒子の濃度も増大するのは当たり前。
 
 ∧∧
( ‥)大きさしか定義がないから
    1000分の2.5ミリ以下の
    土ぼこりが舞い上がれば
    それが関東ローム由来であれ
    PM2.5の濃度それ自体は
    上昇する。
 
  (‥ )だけども、PM2.5は
      中国で生まれた有毒物質だ
      そう受け止めた場合、
      PM2.5の上昇は必然的に
      中国からの汚染を意味する
      そういう解釈になるわけだ
 
 ∧∧
(‥ )その解釈で理解を進めれば
\–   あれは煙霧ではない、
     やはり黄砂なのだ。
     気象庁は中国に
     配慮している、あるいは
     乗っ取られている、
     そのように考えるのだと。
 
  (‥ )これを考慮すると
      黄砂に関する陰謀論は
      より把握しやすくなると
      思うよ。
 
 ついでにいうと、10日の土ぼこりが関東ローム層から舞い上がった赤土でも、体に悪いことに変わりはないんである。
 
 ∧∧
( ‥)そもそもPM2.5は大きさの
     定義であって、その大きさの
     微小粒子の濃度がこれこれ
     になること、
     その高い濃度に
     人体がさらされるのは
     粒子の種類に関係なく
     望ましくない。
     そういうことですからね
 
  (‥ )粒子の種類によって
      影響自体は違うだろうな。
      しかしだ、粒子が
      中国の硫酸エアロゾルでも
      タバコの煙でも、
      舞散ったアスベストでも
      黄砂でも、
      関東ロームの土ぼこりでも
      体にいいわけない。
 
 実際、どうも当日以後、体調を崩したり、熱を出した人もいたようである。
 
 ∧∧
( ‥)あなたは特に問題無し
    でしたけどね
 
  (‥ )以前、関東ローム層から
      舞散った土ぼこりで
      ひどいめにあったから*
      あの日、
      黄色く濁った空を見て
      びびってマスクしたり
      うがいしたからかもね
      あの時は黄砂だと
      思ってたけどさ。
 
  
 土ぼこりをなめちゃいけない。粘土粒子だの、火山ガラスだか植物の珪酸体だか、色々な鉱物が肺に大量に入り込んでくるのだ。状況次第、個人差次第だけども、花粉症のようでいて、しかしもっと強烈で、熱が出たり、体がだるくなったり、ひどいダメージをくらう場合がある。
 
 
 
 

理論は理論自体を、黄砂は黄砂自体を保証しない

 
 
 
 ( ‥)そういえば10日午後、
   –/ 関東平野を包んだ砂ぼこり
      は黄砂ではなく、
      関東ロームと赤土だ
      という人がいるけども、
      そういう人は工作員だ、
      そう書き込んでる人いたな
 
 ∧∧
( ‥)ああ、するとあなたも
     工作員になるわけですか
 
 理屈の上ではそうなる。
 
 ∧∧
( ‥)なんと答えます?
 
  (‥ )その論法だと黄砂陰謀論の
       正しさは論証できない、
       そう答えるかな。
 
:理論Aは正しい
:正しい理論Aに反対するものは工作員である
:反対者Bは工作員である
 
 ∧∧
(‥ )理論Aは正しい
\–   その前提が正しいと仮定した
     その時に結論は正しい。
 
  (‥ )言い換えると、
      ある文脈に沿って
      結論しただけであって、
      理論Aの正しさが上昇した
      わけではないんだよね。
 
:マルクス主義は正しい
:マルクス主義に反対するものは反動勢力である
:反対者Bは反動勢力である
 
  ( ‥)一昔前、いや、今でも
    –□ 当時そのままの人々は
       同じだろうけども、
       よく使われた論法だな
 ∧∧
( ‥)理論、この場合はマルクス主義
    だけれども、結論しても
    理論の確からしさが上昇する
    わけではない。
 
 実際、反動、反動、俺たちに反対する奴らは全部反動勢力、と言っていて、いまやマルクス主義はあんな有様だ。
  

:天動説は正しい
:天動説に反対するものは聖書を認めない者である
:反対者Bは異端者である

:月はチーズで出来ている
:この事実に反対するものは無限の資源とその存在を糊塗する者である
:反対者Bは人類に対する犯罪者である
 
 以上いずれも経験的には間違いだが、いずれも論理的である。言い換えると、論理は文章の正しさを教えてくれるが、内容の正しさについてはまったく何も語らない。
 
 ∧∧
( ‥)10日の黄砂が関東ロームの
     土ぼこりだという人は
     工作員だ。そう言うことは
     出来る。
     しかし、そう主張しても
     10日の黄砂が黄砂である
     ことになるわけではない。
 
  ( ‥)まあ、言っている人から
    –□ すれば、10日の砂が
       中国から飛んできた黄砂
       であることは確信済み
       だから、今さら論証する
       必要はないんだろうけどね
 
 ∧∧
( ‥)問題はですよ
 
  (‥ )確信した、
      と
      正しい、
      は
      関係ないってことでね
 
 太陽が地球を回っていることは自然な発想であり、私たちの言語自体、太陽が地球を回っていること、つまり天動説体系を前提にしたものになっている。
 
 *例:太陽が東から登り、朝がくる。
 
 ∧∧
( ‥)しかし、天動説を確信しても
    それが正しいとは限らない
 
  ( ‥)そういうことを自覚しない
    –□ 論の荒さは、例えば
       ルターなんかが
       やっているんだよな
 
 ルターはコペルニクスの地動説を批判したという。
 
 地動説は神が太陽の運行を止めた聖書の記述に反すると。
 
 だが、この主張は誤りだ。あるいは循環論法的で意味がない。
 
 ∧∧
( ‥)なぜかと申しますに
 
  (‥ )天動説体系でも
      地動説体系でも
      神は太陽の運行を
      止められるからね
 
 天動説体系ならば、神は地球をめぐる太陽の動きを止めれば良い
 
 地動説体系ならば、神は地球の自転を止めれば良い
 
 ∧∧
( ‥)厳密には地球の公転運動も
    止めるべきですけども、
    自転を止めるだけでも
    太陽は見かけ上、
    ほぼ停止しますしね
 
  ( ‥)ルターの批判は天動説体系が
    –□ 先にありきの論法で、
       地動説体系でもそれが
       説明できる、ということに
       まったく気づいていないのだ
 
 ∧∧
( ‥)太陽の運行は天動説体系だ
    だから太陽の運行を止めるには
    天動説でなければいけない
    
 
 (‥ )たぶん、そういう発想だよね
     だけどもそれは結論の正しさを
     保証しているわけではないし
     ましてや大前提である
     天動説の正しさを
     保証しているわけでもない。
     保証のない前提で保証のない
     結論を下しているかもしれない
     そして事実、それは
     間違っているのだ。
 
 確信は正しさを保証しない。理論の正しさは、理論それ自体を保証しない。
 
 ∧∧
( ‥)そうではなく
 
  (‥ )我々に必要なのは
      推し量る物差しだ、
      そういうことだね。
 
 理論や確信の正しさそれ自体はどうでもよろしい。
 
 ∧∧
( ‥)理論は理論自体を保証しない
 
  (‥ )金みたいなもんだな
      貨幣も紙幣もそれ自身で
      自分の保証をしている
      わけじゃないからね
 
 そうではなく、もっと別の保証が必要になる。
 
 同様に10日の空が黄砂だろうが関東ロームの土ぼこりだろうが、確信それ自体には意味がない。確信から得られる結論にも、それだけでは意味がない。
 
 論証とそれを推し量る物差し、そして物差し自体の性能こそが問題となる。
 
 
 
 
 
 

2013年3月13日水曜日

撮影モードと黄砂陰謀論

 
 
 hilihiliのhilihili: どうも関東ローム層由来でいいらしいのさらに続き

 背景を一応、説明すると。
  
 ∧∧
( ‥)去る、3月10日は中国から
    飛んできた黄砂が関東に
    飛来するだろう、そういう
    予報がされていた日でも
    ありました。
 
  ( ‥)その当日に関東は午後から
    –□ 空が黄色く染まって
       えっ?? 何この黄砂?
       すごくね??
       という反応だったわけだ
 
 だがその後、気象庁からこれは黄砂ではなく、煙霧という気象現象、平たく言うと関東で舞い上がった土ぼこりでした、という発表があり、それが各報道機関を通じて流されると
 
 ∧∧
(‥ )中国に配慮したマスコミの
\–   陰謀ではないのか?
     気象庁は乗っ取られている
     のではないか? そういう
     陰謀論が出てきたと
 
 (‥ )あの土ぼこり自体は
     関東ローム層から舞い上がった
     もので良いとしても、
     見た目は黄色。
     まさに黄砂だからね。
     この黄砂、すげー、と
     思っているところで、
     黄砂じゃない、と言われると
     はあ? とは思うよな。
     というか、おいちゃんも
     思ったよ。
 
 ∧∧
(‥ )煙霧というが、煙霧の画像は
\–   白く青っぽいけど、
     10日のは顕著に黄色だ
     画像を比較すればそれは
     明らかである。
     ゆえに10日の黄色い空は
     煙霧ではないだろう
     やはり黄砂に違いない
     そういう主張もありますね。
 
 (‥ )ああ、気持ち分かるよな。
     10日のはあまりにも黄色で
      印象が強烈すぎるもの。

ただ、画像ってのは撮影時の状況やモード、撮影時の操作で印象が全然変わってしまう。例えば以下の2枚の画像は、自分がその10日に連続して撮影したものだけども。

 























 


 ∧∧
( ‥)まあ、なんていうか、全然
  –□ 違いますね。
 
 (‥ )撮影時のモードを変えたのだ
     ちなみに画面左の空に見える
     黒いぼやけた点はレンズの汚れ
     中央にぼんやり見えるのが
     距離およそ3キロ先の建物
     画像自体は黄色い方が現実に
     近いけども、少し、暗いね。
     明るさは下の方が
     現実に近いかな。
     撮影時刻は15:32だ。
 
 さらに、撮影する時、強制的にフラッシュを炊くと、黄色みはまったく消えてしまうが、白黒のコントラストがもっとクリアになった画像を撮ることも可能。
 
 ∧∧
( ‥)というか実際にそういう
    映像を撮ったけども
 
  ( ‥)黄色の雰囲気がまるっと
    –□ 消えちゃったから、
       画像データを削除したの
       だよね。今から思えば
       もったいないことしたな
 
 つまるところ、青っぽく、コントラストが強い煙霧の撮影画像も、本来当時の風景それ自体はもっと黄色かった可能性がありうる。最低限、そういうことはここから言える。
 
 つまり撮影時のモードや条件が分からないと、画像の印象だけから、”10日の現象は煙霧ではありえない”、とか、”10日のものは黄色いから黄砂である”、と断言することは、多分できないだろう。
 
 とはいえ、

 
 
 ∧∧
( ‥)とはいえ、たわいもない
    陰謀論と簡単に片付ける
    わけにはいかんと
 
  (‥ )陰謀論も理論なり。
      理論の予想が当たった時、
      その陰謀論の確からしさは
      増大する。
 
 例:自民党内閣の時、マスコミはラーメンの値段だの、漢字の読み間違いだのを、まるで政治家の資質がないかのように叩いた。それが民主党になると、不正献金や脱税ですらまるでスルーするかのような扱い。マスコミは日本国を破壊しようと画策するスパイであり、工作員である。だから自民党が政権を取り戻せば、必ずやどうでもいいような値段だの漢字だの、そういうバッシングをするだろう。
 
 ∧∧
( ‥)でっ、安倍さんが食べた
    カツカレー3500円を
    マスコミが叩いた時、
    そらみたことかと。
 
  ( ‥)あの時ね、
      マスコミ工作員説は
      ある意味においては
      陰謀論でなくなったのだ。
 
 理論の予言が的中したならば、その理論は確からしくなる
 
 ∧∧
( ‥)確からしくなる=妥当
    とは限らないわけですけどね
    天動説でも天体の動きは
    説明できる。
 
  (‥ )確かに天動説は正しくない
      だが、天動説でも現象を
      理解する手助けになるし
      事実として役に立つ。
 
 ならば、予想を的中させた以上、マスコミ工作員説が正しくないとしても、役に立っているではないか、そういうことは言える。
 
 理解と予測の役に立っている
 
 ∧∧
( ‥)つまり状況は深刻である
 
  (‥ )陰謀論が蔓延する状況が
      深刻なんじゃないんだ
      陰謀論がきちんと機能を
      果たせる状況が深刻。
      ようするにマスコミは今、
      陰謀論で予想できるような
      そういう怪しげな
      挙動をしている。
      そういうことだからね。
 
 このような背景を考慮した時、先のいわば、「黄砂陰謀論」も、たわいもない話であると簡単に切って捨てるわけにはいかないだろう。少なくとも、今、ああいう解釈が出てくる背景には色々なことがあったのだ。
 
 
     

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