( ‥)ノンフィクションを作る立場は
-□ 物語を作る立場より、ひとつ
圧倒的に有利な点がある
∧∧
( ‥)原理的にネタが尽きることは
ありませんと
*ここで言うノンフィクションとは自然科学に関するものであるとする。
(‥ )まあ、実際にはそのジャンルで出る
- 論文が元になっているから、
過去の論文の蓄積を使い尽くす、
あるいは新しい論文の出現速度を
上回る速度で記事を書くことは
不可能なんだけども
∧∧
( ‥)マイナーな分野や調査が難しい分野では
-□ そういう制限は生じうるでしょうね
消費し尽くす、ということも
局地的にはありうるでしょう
だが、分野を少し広げれば、いくらでも書ける。相手が自然だ、宇宙だ、地球だ、分子だ、遺伝だ、生物だ、人間だ、社会だ、科学史なのだ。ネタ自体は無限に存在する。
∧∧
( ‥)まあ、書く側の理解速度も問題になり
ますけども
( ‥)本を1冊書くために一年かけて
-□ 理解していたら、そのままでは
飢え死にしちゃうしな
*理解速度よりも執筆速度を、正確さよりも売れることを優先するとろくでもないことになるのだけども、それらに関してここでは論じない。
つまるところ、ノンフィクションを書く立場ならネタに困るということは、まあない。
∧∧
( ‥)確かにセンセーショナルなネタや、
まだみんなが知らないネタを
書いてくださいと言われると
ネタ探しで苦労しますけど
(‥ )ネタが無限でも、
自分がリサーチできる時間、
さらに要望に合ったネタ、
どちらも有限だからな
新聞の科学コラムを担当していた時(この話=>*)、極端にマイナーでなく、一般の人が興味を持てる出来事、発見で、しかしそれでもみんなが知らなくて、最近数年のトピックで目新しいもの、という制限があると確かに2、3日考えることもある。
あるけども
∧∧
(‥ )2、3日考えればすむのならねえ
\- リサーチや資料代、それにお金を
かけることを割り引いても、
楽っちゃ楽ですよね。
(‥ )お姫様と勇者と魔法使いの三角関係
どうやって決着つけるべ? とか
そういう答えが見いだせないもの
とは違うからな。
そうだ、リサーチという投資さえすれば、理解と状況把握の速度が執筆速度に見合っていれば、科学に関することで、なおかつ妥当で要望に応じたテキストを作成できる。
ある程度の体力があってやる気があって、なおかつ幾つかの条件が整えば出来る、そういうことでもある。
しかし、これは言い換えるとこういうことでもある
∧∧
(‥ )コラムが複数のネタの寄せ集めに
\- 成り果てました
(‥ )投資をしていない、
理解が追いついていない、
小手先でごまかしている、
原理的に可能なことが
出来ていない。
それはようするに、老いだ。