自己紹介

イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック

2014年11月12日水曜日

オタクやマニアという言葉はただのごまかしであった

 
 マニアとオタクは金を使う。
 
 だから1万人のオタクとマニアの心をとらえれば雑誌は安泰である。
 
 ∧∧
(‥ )とっ、声高らかに主張して
\‐  壊滅した雑誌が
    かつてありました
 
  (‥ )だから彼らは怒ったのだ
 

 今時のオタクは根性が足りないのだ!
 
 俺たちが地道にオタクとマニアを育てなくてはいけないのだ!
 
 だから情報を発信するぞーーー!!!
 
 ∧∧
( ‥)単にオタクだのマニアだのの
    数が少ないだけじゃね?
 
  ( ‥)んー、というかだな
    ‐□ 今から考えると
      状況はもっと深刻というか
      見当外れだったのだと
      思うよ


 マニアとオタクの数が多ければ雑誌が成立する。これは一見すると正論のようでいて、実際には幾つかの前提が必要だ。
 
 つまり、
 
 (マニアとオタクの数)×(彼らが平均して使う金)=売り上げ
 
 
 ∧∧
(‥ )数が少なければ意味はないし
\‐   使うお金が少ないと
     やはり意味はない
 
  (‥ )さらにだな
      マニアとオタクって言葉が
      実はごまかしなんだよね
 
 この場合のマニアとオタクという言葉は、たくさんのお金を狂信的に使ってくれる客、という意味合いがある。
 
 ∧∧
( ‥)なんすか
    そのご都合主義設定は
 
  ( ‥)つまりマニアやオタクが
    ‐□ どうのこうのというのは
      お金を必要以上に
      無駄に使ってくれる人が
      たくさんいれば
      市場が成立します
      そう言っているだけ
      なんだよな
 
 これは、当たり前のことでしかない。
 
 いや、それどころか、実のところ肝心なことから眼をそらすごまかしではなかったか?
 
 なんでかというと、人が必要以上にお金を使うというのは特別な場合であり、これが成立するには条件が必要なのである。
 
 ∧∧
( ‥)オタクやマニアという言葉は
    その条件をごまかす
    言葉でしかなかった
 
  (‥ )言ってる本人は
      使うのが当然だろ? と
      思っているけども
      本当は
      当然でもなんでもない
      条件が必要なんだ
 
 例えば人は性に関してはお金を使う。これは当たり前だ。
 
 あるいは、ある種の症状を呈する人は”巨大で規則正しく動くもの”に異常な執着を示す。そういう症状を示す人は自分の執着をくすぐるものに大量にお金を使う。こういう人はかならずある割合で生まれてくるから、上記の方程式とその条件に合致する。
 
 あるいは、それを持っていると”さすがだ!”と周囲から思われるもの、つまり持っていることで社会的ステータスが上がるものに、人は金を使う。
 
 収集さえできるのなら、仲間内だけだが社会的ステータスを誇示することができる。人間は社会生活をする猿であり、絶えず自分の地位を気にしている。それを考えればコレクション自慢は無駄でもなんでもない。無駄ではあるが社会を勝ち抜く武器なのだ。
 
 
 ∧∧
(‥ )でも言い換えればですよ
\‐   これらのどれにも
     当てはまらない分野では
     こういうことは成立しない
     そういうことだよね
 
  (‥ )要するにだな
      オタクやマニアは
      無駄なことをしているが
      無駄なことをして
      いるようにみえて
      実は非常に現実的な
      行動をしているんだよな

 
 可愛い女の子のフィギアを買う。無意味な行為のはずだが、無意味ではない。
 
 電車に乗る事自体を目的とする。無意味な行為のはずだが、無意味ではない。
 
 ブランドのバッグで身を飾る。無意味な行為のはずだが、無意味ではない。
 
 骨董品を集めて自分の目利きを自慢する。無意味な行為のはずだが、無意味ではない。
 
 昆虫を集めて皆にそれを見せる。無意味な行為のはずだが、無意味ではない。
 
 ∧∧
( ‥)無意味な行為だけど
     全部に意味がある
 
  (‥ )そして全部に
      理由があるのだ
 
 言い換えれば、こういう理由が成立しない分野にオタクもマニアも出てくるわけがない。
 
 ∧∧
(‥ )例えば恐竜がそうだと
\‐   性と関連しないし
     社会的ステータスが
     高いわけでもないし
     集められない以上は
     集める者同士で自慢して
     自分を誇示できる
     わけでもない
 
  (‥ )オタクもマニアも
      出てくるわけがないんだよ
      実際、見た事無いしな
 
 冒頭の話に戻れば、マニアとオタクがだらしないのだ! と憤った人々は、マニアとオタクは理由もなく現れると思っていたのがまずかったのだ。
 
 ∧∧
( ‥)理由もなく現れて
    理由もなく人数を増やして
    理由もなくお金を使ってくれる
    彼らは
    マニアやオタクというものは
    そういうものだと思っていたと
 
  (‥ )端的に言うと
      冒頭の彼らは
      マニアやオタクを
      物理的な存在だとは
      思っていなかった
      肉体を持つ存在だとは
      考えていなかった
      そういうことなんだよな
 
 物事には理由があるのだ。一見すると無意味な行為に見えて、非常に即物的な理由がある。その条件を満たさない限り、無駄に大金を支払う大勢のお客は成立しない。
 
 そしてオタクやマニアという言葉は使うべきではなかったのだ。
 
 それは実のところ”無意味にお金を使ってくれる都合の良い客”という意味でしかなく、それはご都合主義のごまかしでしかない。
 
 そしてそれ以上に、人間の無駄な行為にも、きちんとした即物的な理由と原因があるという重大な事柄から眼をそらせる原因となる。オタクやマニアという言葉は、物を売る人間が使うべき言葉ではなかったのだ。解像度があまりにも悪すぎる。

  
 
  

ブログ アーカイブ