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2014年11月28日金曜日

蛋白人間の幻覚はなめらかに動く

 
 機械の演算で動作をシミュレーションし、現実の世界を擬似的に再現する仮想現実。
 
 ところで、単純に考えた場合、電子の世界に移植された電子人間の思考速度は、回路を流れる電気の速度、つまり光速に到達するのではなかろうか?
 
 そして人間の認識もまた演算。
 
 なれば、機械の演算と電子人間の認識は同じ速度。
 
 だとすると電子の世界に心を移植して、電子世界の仮想現実で楽しく過ごそう、というSF的な欲望。あれはうまくいかないのではないだろうか?
 
 機械の演算と認識の速度が同じなら、蛋白人間にはなめらかに見える仮想現実の風と水の流れも、電子人間にはカクカクしたコマ送りに見えるのではないか?
 
 とっ、ここまで考えて
 
 ∧∧
(‥ )でもそうだとしたら
\−  蛋白人間の幻覚も
    動作はカクカクのコマ送りに
    見えるはずだけど
    どうもそうじゃない
    みたいですよね?
 
  (‥ )蛋白人間、つまり我々の
      脳が作り出す幻覚と
      我々の認識は
      原理的に同じ速度な
      はずだからな
 
 だが、どうやら、話からすると幻覚というのはなめらかに動くものらしい。少なくともカクカクとコマ送りに見えるという話は聞いたことが無い。
 
 夢もそうだ。あれがカクカク動くというのは聞いたことが無い。
 
 ∧∧
( ‥)仮想現実
    つまり幻覚を動かすことと
    その幻覚を認識することは
    まるで別のことだ
    そういうことですかね?
 
  ( ‥)現実にある脳の損傷には
    −□ 風景がコマ送りに
      見えちゃうのが
      あったけども
      それは
      なめらかな動作の認識は
      脳が編集作業をした
      結果であることを
      示唆しているように
      見えるけども...
 
 この理解が正しいのかどうか。それは確認しなければいけないけども、これを踏まえると
 
 ∧∧
(‥ )ネットの世界に意識を移植して
\−  不死になり
    仮想現実の世界で永久に
    楽しもうという
    引きこもり的な発想は
    一応、可能だということですか
 
  (‥ )問題はやはり
      容量の争奪戦が起こること
      電子世界の電子人間には
      独自の淘汰圧がかかるから
      人間じゃなくなるし
      蛋白世界の道楽や
      それを楽しむ認識自体を
      捨て去る方向へ進化が
      進むことだろうな
 
 敵のサーバーを物理的な攻撃で破壊するということもありえよう。サーバーを占拠して相手の情報を消し、サーバーの容量を再利用するのが最前だろうが、それができないのなら、敵をサーバーごと抹殺するのは次点の策である。
 
 サーバーの物理的破壊によって数十万の電子人間が死ぬ。
 
 ∧∧
(‥ )都市部の空襲、核攻撃で
\−  大勢の蛋白人間が死ぬのと
    同じだよね
 
  (‥ )違うのは
      サーバーは小さいから
      防御を固めやすいこと
      その反対に攻撃を
      しぼりやすいこと
      蛋白人間と違って
      媒体そのものが
      破壊されたら
      電子人間は
      即座に死んでしまうこと
      そこだよなあ
 
 蛋白人間は食料と酸素と水があれば生存できる。蛋白人間の媒体は地球全体なので、サーバー全部の破壊に相当するのは地球破壊だ。その点では蛋白人間は電子人間や人工知能よりもはるかに頑強だろう。
 
 ∧∧
(‥ )電子人間さんは
\−  余裕のある人なら
    自前のサーバーを買って
    シェルターに隔離するのでは
 
  (‥ )核兵器の電磁パルスからも
      防御できるようにな
      できれば攻撃後に
      自力で退避や
      移動もしたいから
      戦車にサーバーを
      乗っけるとかなあ
 
 軍用車両なら物理的な都市壊滅後でも移動は楽だろう。
 
 ∧∧
( ‥)電子の肉体を防衛するために
    機械の体を持つ
    機械の体を維持するために
    あくせく働く
    さらには蛋白質の肉体を
    持つようになったりね
 
  ( ‥)存続するためには
    −□ 一見すると
      無駄である保険を
      幾つも用意しなければ
      ならないわけだ
      そのために
      甚大な維持費を
      支払う必要がある
 
 考えてみれば人間など多くの動物が男性と女性という性を持つ、これこそが代表的な無駄のひとつであろう。実際、分裂で自分の数を増やせるのなら、配偶者を養う必要も、探す必要もなく、簡単に子孫を残せるのである。男女が無駄な存在であることは明らかだ。
 
 ∧∧
(‥ )でも男女がなく
\−  遺伝子の交換と混交がない
    そういうクローン集団は
    外敵、寄生虫、病原体の
    攻撃に弱く
    全滅することもある
 
  (‥ )無駄だ無駄だ
      そう言って
      合理性を追求する人間は
      大概の場合
      近視眼なんだよな
      大事なパーツを捨てて
      後から慌てるのだ
      そのくせ
      その合理主義ゆえに
      ネットで永久に
      仮想現実を楽しめるなんて
      妄想を抱くわけよ
 
 実際、以上を考慮すれば、ネット世界で永久に仮想現実を楽しむということが技術的には可能でも、原理的に不可能であることは明らかだろう。この世界は、合理主義者たちが思い描く単純な御都合主義のようには振る舞わない。
 
 ∧∧
(‥ )貧乏な電子人間は
\−  保険として機能する
    物理的な肉体を
    買えないし
    維持も出来ないという
    過酷な現実
 
  (‥ )そして豊かな電子人間は
      自前の物理的肉体を
      維持するために
      仮想現実を楽しむことなく
      ひたすら働き続けるの
      だろうなあ
   
 
 
 これはhilihiliのhilihili: 電子の心は化学反応の牢獄に捕われるの続き

 
 
 

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