自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2014年11月8日土曜日
客は購買層ではないし、言う事とやってることが違うし
hilihiliのhilihili: 言葉や議論では外には出れぬの続き
∧∧
( ‥)例えばの話
( ‥)こんなことがある
‐□
アメリカの研究者チャタジー博士は、自分はプロトアヴィスという化石を見つけた、これは始祖鳥よりも古い鳥の化石である。そう主張したことがある。
始祖鳥よりも古い鳥の発見! 始祖鳥は鳥ではなかった?? 鳥は恐竜ではなかった?? このニュースは当時、センセーショナルに伝えられ、今でもその残響が残っている。
問題はである
これ鳥じゃないよね。
というか、博士がプロトアヴィスの手だ、これは鳥の手だ、といっているこの部分、これはワニの化石だろ?
∧∧
(‥ )ワニの足だって意見も
\‐ ありましたよね
(‥ )写真を見る限り
手だとすると
恐竜や鳥の手ではなく
ワニの手の骨なんだよな
手にこだわらなくても
良いよ
そう言われるのなら
ワニの手よりも
ワニの足の骨かもね
博士は叉骨を見つけた、とも主張した。鎖骨は体の左右にある。鳥の場合、これが融合して叉状の骨になる。つまり叉骨。それゆえ、叉骨を真ん中から割って片方を見ると、内側と外側がある。だがしかし、博士の言う”叉骨”にはどうもそれがない。
これはむしろ、体の正中線にある骨だよな?
∧∧
(‥ )あれは神経棘だと
\‐ 言われているよね
(‥ )背骨を走る神経を守る
突起状の骨な
頭部はかけらが見つかっているが、これ自体は肉食恐竜のものでよいらしい。だが鳥だと言える証拠は見つかっていない。
要するに地層から見つかった異なる複数の動物の骨を一緒くたにして 恣意的に鳥だと解釈したもの。それがプロトアヴィスである。端的に言うとこれ、チャタジー博士のほらなのだ(博士はこういう話が多い、というかほとんど全部それである)。
まあ、こんなほら話自体はどうでも良いことだ。この手の話はどんな分野のどんなジャンルでもひとつふたつあるものである。
問題があるとしたら。
∧∧
(‥ )あれ、ほら話だよ
\‐ そういう知識が全然
広まらないことだと
(‥ )そういうことを書いた
日本語の本は
2つ3つあるのだ
だが、”始祖鳥よりも古い鳥プロトアヴィスはほら話だよ”、という話は全然、全く広まっていない。
これはつまり
∧∧
( ‥)恐竜の本なんて
誰も買ってないじゃん、と
( ‥)少なくともあれだね
‐□ お客は口では
詳しい本が欲しいと
言うのだ
だが実際には
詳しい本を買っていないね
あとあれだね
2000円以上する本は
買ってないな
知らない、とは、何を買っていないか、何を読んでいないのか、それを自己申告する行為でもある。
つまりこうである。
恐竜のことを詳しく書いた本が欲しい。
その要望は問題ない。だがしかし。
恐竜のことを詳しく書いた本が欲しいし、そういう本があれば売れる。
これは明らかに間違いだ。
∧∧
(‥ )それを知らないとは
\‐ それについて書かれた本を
読んでもいないし
買ってもいないことを
示している
(‥ )だから
売れない事はすでに
明らかなのだ
彼ら自身が知らない
つまり
買っていないのだからな
そういえば、以前、こんなことがあった。ある出版社から出ていたシリーズものの本。自分もそのシリーズの一冊を作ることになっていた。だが、自分の知り合いが先に恐竜の本を書いたのである。そしてそのシリーズは...そこで終わりになった。
恐竜の本がまったく売れなかったので先が続かなくなったのだ。恐竜の本のためにシリーズ丸ごとひとつがつぶれた。
∧∧
( ‥)そしてあなたの仕事も
無くなりました
( ‥)恐竜の本は売れないのさ
‐□ シリーズをつぶす
インパクトがあるほど
なのだからな
まあ、あれはあれで良かったのかもしれない。もし自分が先に書いていたら、自分がそのシリーズをつぶしていたかもしれないし
∧∧
(‥ )つぶしたらつぶしたで
\‐ その黒歴史は
経験にはなった
でしょうけどね
(‥ )これは駄目だった
それは分かるからな
黒歴史が無くば今もない
黒歴史が生かせぬ人間に
先などありゃせん
確かに他人の失敗ではあるが、少なくとも、傍目に見て分かったこともある、これでは駄目なのであると。他人の大失敗ではあるが、それは経験とすることもできよう。
∧∧
( ‥)だとすると
やるべきことは
ただひとつ
(‥ )以上でないことを
具体的にやれってことさ
そして、少なくともこうは言える。マニアとか客の意見とかはどうでも良いと。
そもそも客は客ではないのである。購買層とは集合だ。客は個体であって集合ではない。個体は集合名詞ではない。客が購買層の一部になりうるからといって、客が購買層という集合の動態を把握しているわけではないのだ。
つまり客も消費者も、何がどうなっているのかまったく分かっていないのである。
そうである以上、客の意見を聞くなど愚劣だ。
思いつきを実際に実行して検証できる作り手のみが仮説を完成へ近づけることができる。そういうことである。
そもそも客というものは、口で言っていることとやっていることが、まったく乖離しているのである。以上で申し述べたように、知りたいと口では言うが、本をまったく読んでもいないし買ってもいないことは明らかだ。かように客というものは、自分の動作も把握できていないのである。彼らの口先だけの主張が一体何の参考になるのであろうか?
やるべきことはただひとつ。試す事だ。
口だの、言葉だの、考えただの、議論だの、そんなものはいらん。実行あるのみ。検証あるのみ。前進あるのみ。
∧∧
(‥ )とはいえですよ
\‐ あなたは後
何手打てますかねえ
(‥ )現状、8手なんだがな
打ち終える前に
詰んでしまう可能性も
高いからな
詰むとしたら
2年以内だね
∧∧
( ‥)詰んだら詰んだで
( ‥)まあ、
‐□ これでは駄目でした
そういうことが
分かるだろうねえ
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