自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2014年11月2日日曜日
カワウソの思い出
「ニホンカワウソ 絶滅に学ぶ保全生態学」安藤元一 2008
この本によると、
1990年代はカワウソが絶滅したとは一般に考えられておらず、高知県に少数が生き残っているとの見方が強かった時期である。pp103
( ‥)だそうだ
‐□
∧∧
( ‥)ああ、そうだったんだ...
最後のニホンカワウソの目撃は1979年。それから10年以上が経過した時点でも、意外なことにまだそういう状況だったらしい。
ああ、それを聞くと思い出す。昔こんなことがあった
私ね、ニホンカワウソを探しているんですよ
相手がそう言うので。何気に聞いてみた。
あれ、絶滅したんでしょ?
絶滅してないんだよ!
∧∧
(‥ )そう怒鳴り返してきた人が
\‐ いたよねえ
(‥ )こいつ痛い奴だな
そう思ったものだが
あれは1998年以降だね
2001年に起きた
同時多発テロよりは
前だから
1999年か
2000年だな
以上の資料によると、79年の目撃以後、確かに糞や足跡は見つかるが、それが見つかる地域も、見つかる数もどんどん減っていたそうだ。減り具合から考えると、ニホンカワウソは1990〜91年には絶滅していたらしい。
∧∧
(‥ )つまり血相を変えて
\‐ 怒鳴り返した人が
必死に探していた時には
もう絶滅していたと
(‥ )そういえば
彼は言っていたな
カワウソの足跡かな?
と思って良く見たら
葉っぱから
雨が垂れた痕だった
そんなことをな
ようするに、明瞭な痕跡が無いので目をこらして色々な解釈をしていくうちに、無いものが見えてくるようになる、そういうことらしい。
∧∧
( ‥)すでに絶滅した動物を探す
それはこういうことだと
(‥ )まあそういうことだな
話を聞いた時には
それは心霊写真だよね?
そう思ったものだが
実際に彼は
幽霊を探していたわけだ
ある意味
これは貴重な話だよね
これは貴重な事例でもあろう。ひとつの種族が滅びて消えていく。その最中、それを追い続ける人がどうなっていくのか、それを示した話なのだから。
もちろん、彼にも、あるいは今でもニホンカワウソを探し続ける人にも言い分はあろう。痕跡はまだ見つかると。目撃情報もあると。
∧∧
( ‥)痕跡や目撃例から
グラフを延長して
絶滅時期を推定するなら
痕跡がある以上は
絶滅していない
まあこれは
形式的には正論でしょうね
( ‥)問題はだ
‐□ 痕跡が明瞭ではない
そこに尽きるよね
葉っぱから垂れた雨水が作ったくぼみ、そんなものまで、これはニホンカワウソの足跡ではないか? そう疑っているのである。それは明瞭な証拠がまったく見つかっていないということだし、そんな状況で”見つけた痕跡”なんか信用できたものではない。あるいはもっと穏便に言うとこうだ。明瞭な証拠から導かれたグラフと推論を覆すような力を、それらは持っていないのだと。
∧∧
(‥ )彼はずっと無駄に探していた
\‐ そういうことだね
(‥ )まあ、思わず
怒鳴り返してきた
それ自体がすでに
深刻さを示していたわけだ
本人も心のどこかでは
分かっていただろうな
だいたい、証拠があるなら怒る必要はない。あなたはそう言う、だがこれを見よ、そう言って証拠を出すだけで良いのだから。
怒る事でしか場をつくろえない。
怒りとは、
私は傷ついています。あなたに社会的な立場を傷つけられました、どうしてくれるのですか?
という意思表示だ。
それは論の本筋を脇にやって、争点を人間関係にすり替えようとするごまかしである。
それはもう中身の無いすっからかんだということだ。そうである以上、彼のやったことは徹底徹尾、そのすべてが無駄である。歩いた日々、歩いた時間、費やした金、そのすべてがまったくの無駄。
∧∧
( ‥)今頃は何をして
いるのでしょうね
(‥ )まだ探しているんじゃね?
ニホンカワウソは長く絶滅危惧種扱いだったが、2012年に絶滅種とされた。悔しがる人もいるが、悔しがることはない。環境省が認定する、認定しない、これはただの形式だ。悔しがることも無駄だ。そんなものは時間の無駄だ。単に見つければ良いのである。それはとても簡単なことだ。
∧∧
(‥ )まだ存在していればね
\‐
(‥ )信じているのだろ?
だったら原理的には
簡単だよね
口でぐちゃぐちゃ言っても
無駄なんだ
あなたはそう言うが
これを見よ
これが大事だよ
物事は有言実行であろう。そうであらねばならぬし、そうでなければ嘘つきだ。
言ったからにはやらねばならぬのだ。たとえ全人生を無駄にし、大量の金を散財したとしてもそうでなければならぬ。
探せ。探さねばならぬのだ。止めて良いのは自分が死んだ時だけだ。
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