映画マトリックス
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( ‥)人間を発電機として使って生きる
機械達の世界。
( ‥)あれは確かに理想世界
なのだよね。
人間は発電するという対価を払い、自由を売り払って苦しみから逃れ、夢だけ見ていればいい。
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( ‥)でも僕らの世界では技術うんぬん
理屈うんぬんではなくて、
ああいうことは不可能なのですよ
(‥ )国民のほとんど全員は何も
知らなくてよい、技術者と
科学者たちだけが苦しみ、
国民はカプセルの中にいて
必要な資金を提供すれば良い。
これは成り立たない。
なぜかというに、僕らには敵が、自分たちより強大か、あるいは互角の敵が存在するからだ。
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( ‥)人間が発電機で、科学と技術の使徒が
それに支えられるってのは必然的に
”側”だけしか競争の戦線に
送り込めなくなる
そういうことですからね。
( ‥)それでは負けてしまう。
軍人貴族によるプロの軍隊が
フランス市民軍の前になす術が
なかったようにね。
補充に必要な者以外、全員を戦線に投入せよ。それは集団に帰属する全員を戦線に関連づけよという要請でもある。
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( ‥)巨大なひとつの戦闘機械、それが
近代民主制と国民国家の正体だと。
(‥ )民主制を道徳的に善と見る人も
いるけども、むしろ血塗られた
肉轢き器だと考えるべき。
国民に高度な教育を施そう
というのも、結局は
動員体制なのよね
今の科学や技術は徒弟制度で維持や優位を保てるようなもんじゃない。集団全体に教育を施すことで、ブレークスルーを起こせるような何者かを絶えず抽出しなければいけない。そうでないと競争に勝てない。そういう意味では「この勉強が何の役に立つのですか?」という質問は主語がおかしい。
「この勉強は”私”にとって何の役に立つのですか?」ではなく、「この勉強によって、使える”何者か”を抽出し、利益の還元をはかる」というのがむしろ正しい。
端的に言ってしまうと、「それを発見できないお前は発電機としての使命を全うせよ」ということでもある。なんのこっちゃない、学校は皆がよく知っている場所、人を選別する場所なのだ。
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(‥ )でも発電機になっても
\- マトリックスのような幸せの世界は
やってこないということですね。
(‥ )マトリックスの”発電機”たちは
こんな訓練を受けるわけじゃ
ないからな。無駄なバーチャルで
彼らは幸せなのだ。僕らよりもね。
この世界は失望に満ちていて、未来は確定的であり、可能性はほとんど閉じている。果てしなき競争に最後に勝ち残る、ではなく、次々に脱落する皆々を尻目に走り、そして最後に滅びるというのが我らに残された、ほぼ唯一の選択肢。