「古代末期の世界」ピーター・ブラウン 刀水書房を読む。
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( ‥)日本語の副題は、ローマ帝国は
なぜキリスト教化したか?
ですけども、どう?
( ‥)ううーーーむむむむ
-□ そうねえ。
:個人の内面世界を重視する風潮が生まれた
:この風潮のもとでは「罪を犯すこと」は間違い、ではなく、その人が悪魔に操られているという判断を生む
:対して、悪魔をコントロール下に置いている、悪魔に勝利したと主張していた宗教はキリスト教であった
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( ‥)これだけ読むと。はあ?
-□ という印象ですが。
(‥ )著者はこれが重要だと
□- 書いているけども
この説明自体は短くてね。
むしろその後に述べられる
:3世紀、帝国の都市間を行き来する人々がいた
:キリスト教徒であれば、都市にあるそれぞれの教会で便宜をはかってもらうことができた
:教会は貧しい人々を援助したし、信者の収めた奉納金を信者に分配することもした
という説明の方が長くて具体的(もちろん、長くて具体的であれば正しいってわけではないけども)。
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(‥ )この場合ですと、便利な互助会だ
□- という利点の指摘ですね。
(‥ )ローマ帝国は裕福な有力者が
統治する都市の集合体なので
そのままでは法律、制度が違うから
人の行き来にあまり向いていない
という指摘でもあるね。
他の宗教はそういうことしなかったのだろうか? という疑問は、まあ、おいおい確認することにして。
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( ‥)キリスト教会はじょじょに
-□ 増えたのではなくて、3世紀に
なって急に増加したとありますが
(‥ )3世紀末にディオクレティアヌス帝
が大迫害をするけども、それまで
半世紀、帝国はずーっと内乱と
異民族の侵入に対する防衛戦、
ササン朝ペルシャとの戦争だったから
基本、ほったらかしだったのだよね。
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( ‥)一般的に言われる、いわゆる危機の3世紀で
帝国内部でキリスト教がかなり躍進した
ということなのでしょうけども。
( ‥)まだひとつになりきれていない
-□ 帝国における、普遍的で便利な
互助会(著者はこんな言い方は
していないけども)、というのは
拡大の具体的な説明には
なっているよね
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(‥ )哲学者の述べる真理よりも
\- てっとりばやく真理が学べた
という分かりやすさもあった
ようですけども。
(‥ )まあ、他の宗教でもそれは
そうなのだろうけどもね。
例えばの話、哲学として始まったはずのストア哲学も、マルクス皇帝の自省録では倫理や生活規範の格言集のようになっていることからすれば(本の性質上、それが当たり前であるにしても)、それが当時の社会で求められていたものだったということか。
*マルクス・アウレリウス帝は2世紀後半の皇帝で、五賢帝最後の人。人類最良の時代なんて言われることもある五賢帝時代だけども、マルクスの時代には異民族の侵入があいつぎ、それを防衛する一方に。彼自身も転戦に次ぐ転戦を余儀なくされ、最後は戦線で没した。続く3世紀になると状況はさらに悪化する。
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( ‥)...つまるところ基本的には
-□ しばしば言われる理解で
良い、ということでしょうか?
(‥ )教会の組織力、
教えの簡便性、救いの提示
他の宗教に対する攻撃性と
非寛容、妥協しない態度
以上を優位とする政情不安
そういうことかね。