自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2014年12月31日水曜日
彗星に夢を見るか? それは自然のひとかけらではなかったか?
以前、南半球の夜空で長い尾を引く姿を見せたラブジョイ彗星
*2015.01.01 注:これは普通に間違い、南半球で大彗星になったのはC/2011 W3で、以下で述べているのはC/2014 Q2 該当部分は赤紫で補正
∧∧
(‥ )ラブジョイ彗星さん
\‐ C/2014 Q2は
南半球の空から
北半球の空へ移動中
みたいですね
(‥ )やや増光したけど
5等級かあ...
肉眼では無理だなあ
都市の光がなく、夜空が澄んでいれば目で見ることができるやもしれないが、なにぶん、ここは神奈川である。周囲の大都市に覆われて、4等星の星さえ見えることが難しい。
∧∧
(‥ )デジカメでもちょっと
□‐ 無理ですか
(‥ )でも望遠鏡なら
見えるかな
30日から本日31日の夜明け前、ラブジョイ彗星はうさぎ座の星、h3750の脇を移動中だそうだ。覗いてみると、見れた。明るい夜空でじっと動かない、かすかな白いしみである。
写真は無理だが、スケッチは出来た。
∧∧
(‥ )...また誰一人として
\‐ 喜ばないスケッチだね
(‥ )でも本物は
こんな感じなんだよね
ラブジョイ彗星で画像検索すれば色々なものが出てくる=>https://www.google.co.jp/search?q=ラブジョイ彗星+12月&biw=1256&bih=804&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=kQCjVNj4MZHx8gW3hoDoBQ&ved=0CAcQ_AUoAg#t…
どれも、暗いなりになかなかきれいな写真ではないか。
*注:以上の画像検索では異なる彗星が混ざっているけど、C/2014 Q2で検索をかけるとこう=>https://www.google.co.jp/search?q=c/2013+R1&biw=1147&bih=822&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=KUakVKreIo_-8QXq8oHIDA&ved=0CAcQ_AUoAg#tbm=isch&q…
∧∧
(‥ )だけどこれらは
\‐ 機械で光を集めた結果
肉眼で見ると
本当にスケッチのような
感じなんだよね
(‥ )しかもデータ化した時
画像のコントラストが
強くなっているからな
現実はもっと見にくい
集中力が低い人や
視力がやや弱い人だと
視界にとらえても
見えないだろうぐらい
暗いのだ
5等級というと望遠鏡では明るい天体である。しかし、彗星は、ごく小さな本体の周辺にチリやガスが希薄に広がった天体だ。大きさを持たぬ恒星とは違う。
恒星は事実上の点であり、その身が放つすべての光を一点に凝集している。恒星なら拡大しても問題ない。
しかし、大きさを持つ彗星は望遠鏡で見ると広がる。それゆえ、5等級という評価よりもずっと暗く見えてしまう。
∧∧
(‥ )現実はこんなもんですよ、と
\‐
(‥ )現実は色褪せた存在だ
それゆえに夢や妄想
つまり認識の方を
選択する連中も多い
例えば文化人とか知識人とか、詩人とか、そういうもったいぶった連中がそうだ。彼らは月が真空で死の世界であり、ウサギもいないという事実を嫌悪する。あるいは彗星がチリと不純物が混ざった雪の塊であるという事実に幻滅を覚える。
∧∧
( ‥)それよりは月を眺めて
詩を詠み
そうして感慨にふけり
彗星にロマンをたくす
( ‥)自分の意のままにならぬ
‐□ 自然を拒否して
己の妄想と認識に
逃げ込んで
そうして自分たちこそ
自然を愛でている語る
詩人というのは
度し難い暴力主義者どもだ
それでは、自分の思い描いた巨乳の幼なじみを脳内彼女にしていることと変わりないではないか。いや、文化だ高尚だと言う分だけ、なお悪い。
脳内彼女は他人に関わりないことだが、詩人は己の認識を垂れ流し、他人に強要する。これはひじょうに恥ずべきことだろう。
ああ、そしてしかし、詩人が嫌悪する現実。真空、放射線、高温と極低温、地獄のような彗星の核の現実とは、例えばこのようなものであった
=>https://www.google.co.jp/search?q=rosetta+landing+comet+photos&biw=891&bih=880&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=5QWjVIqWMqbMmwWC0oCgCQ&ved=0CA…
*以上はチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の核(churyumov-gerasimenko comet)
∧∧
(‥ )なかなかに雄大じゃ
\‐ ないですか
(‥ )自然は詩人どもの
薄汚れた脳みそが作る
詩や妄想や認識よりも
はるかに恐ろしく
圧倒的だ
詩だの文化だの、そんなひ弱な妄言、自然の恐怖の前では無価値である。
∧∧
( ‥)天空を走る
かすかな彗星も
自然のひとかけら
( ‥)あのもやの中心にも
‐□ このような自然が
隠れているのだな
そして肉眼では雲のように見える彗星も、それは科学の歴史において大いなる使者であった。彗星が気象現象ではないこと、大気層よりもはるか高い場所を動くこと。天空を突っ切っていく彗星の様を見て、天文学者チコ・ブラーエは気がついた。天球というものは存在しないと。
世界にはありとあらゆるところにヒントが隠されている。それを認識論で糊塗して自分の妄言を塗り重ねてしまうのか、気がつくのか、それは人それぞれだろう。
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