自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2014年10月5日日曜日
不老不死ってやばくね?
∧∧
( ‥)でっ?
( ‥)ほら、この前
‐□ 不老不死を真面目に
検討していた人の話を
しただろう?
この話=>hilihiliのhilihili: 不老不死の男
∧∧
(‥ )純粋に科学的な装いは
\‐ こらしてたけど
不老不死はねえ...
(‥ )人間の”意識”を
機械に移し替える
あるいは
遺伝子が
寿命を制限するのなら
その遺伝子を作り替える
確かに実験動物の遺伝的な
変異の中には
通常の4倍まで
寿命が延びるとか
そういうものもあるからね
もちろん、以上のような不老不死を可能ならしめうる知見、それ自体は科学の業績だが、その応用は科学というよりは技術の話でしかない。
とはいえ、彼の不老不死論が科学的なものであったことは事実。
∧∧
( ‥)でも、その彼には
妙なところがあった
( ‥)どういうわけかさ
‐□ おかしな科学理論を
探してきちゃうのが
ある意味、得意な人でな
単に目新しいものが好きなだけだったのかもしれない。あるいは悪い意味でオタク的な側面が発露したのかもしれない。珍奇で珍しいものを見つけると、それを皆に見せたくなるという趣向は、狭くて集中力がある世界ではありがちだ。
だが、そもそもこれは、彼が仮説の検証を軽視していた証拠なんだろう。実際、論理的に無矛盾なら正しいはずだ、そう言ったり、書いたりしてしまう人だったから。
∧∧
(‥ )そんな彼はある日
\‐ またひとつの理論を
探してきて
それに惚れ込んだ
(‥ )実際には科学理論でなく
オタクの思いつきだったの
だけどね
意地悪な人がいった、あの人は自分が知識オタクだから、知識オタクの思いつきに惚れ込んだのでしょう、と。
∧∧
( ‥)でっ、あちこちで吹聴し
本にも書いた
テレビで触れたこともある
( ‥)だけどもさ
‐□ オタクの思いつきって
所詮は科学者のものに
敵わないのだよね
理由は簡単である。オタクの人は知識の配置は非常に得意だ。というか、知識の配置が非常に得意ですらすらとよどみなく脳から情報を引き出せるからオタクと呼ばれるのだとも言える(言い換えるとオタクだからこの人はうんぬんというのは、正確には本末転倒なんだが、ここではこのまま続ける)。
だが、科学で必要なのは検証なのだ。さきの彼は、論理的であれば理論はそれで正しいはずだと言った。その事自体が、彼が決して科学者に敵うはずがないこと、そればかりか、妥当な科学理論を見いだす事ができないということを示していた。 おかしな理論ばかり探してくるのもそのせいだったのだろう。
そして結果は、以上を反映した通りになった。次々に続く発見は、知識オタクの思いつきとは全然別世界の方向へ向かった。というか、科学者の考えていた、面白くもない、ありきたりの仮説がただ補強されただけだったのである。
そんなある日、ある人からこんな話を聞いた。
その人は、先の彼にこう言ったという。
あの理論、どーなったのー?
この問いはからかい半分だったのかもしれないが、返答は次のようなものだった。
ああ、あれは駄目になりました。
∧∧
( ‥)それを聞いて問うた人は
あきれたというか
怒ったのだよね
(‥ )駄目だよ!
責任を持って最後まで
吹聴しなくちゃ!
そう言ったそうだな
確かにそうかもしれぬ。そもそも科学理論でさえない知識オタクの思いつきを、現状の理論を覆す画期的なアイデアと紹介してしまったのだ。それに反対する人、懐疑する人、それは周囲に幾人もいた。それらの意見を押し切って、そこまで吹聴したのだから、責任はあるはずだろう。
∧∧
(‥ )実際、最後まで吹聴した
\‐ みたいですよね
(‥ )これを見て聞いて
知ってな
俺は思ってしまうのよ
不老不死ってやばくね?
∧∧
( ‥)別にその人が本当に
不老不死になったわけじゃ
ないですけどね
( ‥)それはそうだが
‐□ 不老不死を望む
その根幹はなんだ?
死にたくない。
それはそうであろう。
だが、それは全員、同じなのだ。だから、死にたくない、だけでは説明にならぬ。
”死にたくない。私は不老不死なりたい。それにはどうすれば良いのだろうか?”
この発想へと至る、その根幹こそが問われなければならぬ。
そしてこの発想の根幹とはつまり、
死にたくない、
”今のままでいたい”
ではないのか?
∧∧
( ‥)それは現在の固定である
そしてそれは
死を前提にした模索
例えば
”死にたくない
だが俺は死ぬ
ではどうするのか?”
そういう発想ではないのだと
(‥ )死にたくはない
だが死んでしまう
ならば価値あるものを
後の世代に手渡そう
そういう発想で
なかったことは
事実だよね
なぜって、以上のやり取り、つまり、「ああ、あれは駄目になりました」 その返答の後に書いた子供向けの本でも、駄目になったと自分で認めた、その理論を彼は書いたからである。
∧∧
( ‥)駄目になったと自分でも
一度は認めた理論を
なぜ次世代に手渡すような
ことをしたのか?
(‥ )これが彼の不老不死か?
確かに、不老不死とは現在の固定だ。変化ではない。
これは正しい理論だ、そう信じることは現在でしかない。それは検証でもないし、確認でもない。
検証とは、これは良さげな理論だ、では確かめてみよう、という動作だ。このように検証とは未来に属する話だ。必然、今しかない人間に検証などできるわけがない。
以上を踏まえれば結論は明白である。不老不死を望む者、そのようなやからは皆殺しにせねばならぬ。ただの一人も生かしてはならぬ。
そして人が前に進むには、自分は死ぬ、ならばどうするか? という問いが必要だ。
今この世界には、この問いに答えぬままに歳をとった老人が多すぎる。
∧∧
(‥ )高齢化社会だからね
\‐
(‥ )高齢化社会ってのはな
物書きが正しいことを
書く上では
不向きな世界なのだ
検証は未来に属する事柄だ。老人に未来はない。少なくとも、死にたくない、だけでは未来がない。
俺は死ぬ、ではどうする? こう考えない限り、自分の死を乗り越えた先の未来は存在しない。
未来が無い以上、検証はなく、不老不死を求める人間には今しかなく、不死者は嘘だけを申し述べるだろう。
この状況は是正されねばならぬ。
そして不老不死はただひたすらに殲滅されるべきである。首を切り落とし、全身の血を抜いた上で焼却せねばならぬ。
これはhilihiliのhilihili: 死ぬという自覚が無い限り、正しい事は正当化できないの続き
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