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2014年10月22日水曜日

タヌキ急旋回

 
 洗剤を買ってコンビニから帰る途中、道を曲がろうとしたら、いきなり何ものか、小さなものがこっちへむけて猛烈な勢いで走ってきた。
 
 こっちもぎょっとしたが、あっちもびっくりしたらしい。自分の直前で方向転換すると、すぐ脇の溝の下に潜り込んだ。実に急旋回で器用なことだ。コンクリートで封をされた溝だ。中に入れば人間に手出しされることはない。
 
 潜り込む刹那、見えたのは街灯に照らされた、ふわふわした明るい色の毛皮と黒い模様である。
 
   びっくりした...
 ∧∧ タヌキだね
( ‥)
 ‐( ‥)あの連中はやっぱ
     眼があまり良くないのかな
 
 以前も書いた事だけど、夜の公園でタヌキと遭遇したことがある。この時もこちらが先に気がついた。見ていると、タヌキもベンチに座っているこちらに気づいたのが分かる。立ち止まって、月明かりの下、ぎょっとした仕草を見せたタヌキは、しばらくするとこっちを直角に迂回して立ち去った。
 
 こんな感じに

    ______ 
   |      | 
___| ◯    |____→
     ↑
     ベンチに座る私
 
 あくまでも自分の所定の進路は守るのである。なんという剛直ぶりか。迂回の仕方も、進路への復帰も、本当に直角なのだ。
 
 ∧∧
(‥ )さっきだって、
\‐  向こうからこっちは
    丸見えだったはず
    だからね
 
  (‥ )道の角だけど
      建物がない庭先だった
      わけだからね
      むしろ向こうの方が
      先に気づいても
      おかしくないんだが
 
 眼が悪いともあまり思えない。どっちかというと、視覚にあまり重きを置いていないのではないか、とも思える。
 
 反対に、嗅覚に重きを置かない人間の動作は、タヌキたちにはなんとも珍妙に思えるのではなかろうか。
 
 
 
 *以前、真っ暗な道を歩いていると、あちらからハクビシンが来るのが見えた。立ち止まって動かずにいると、そのまま足下まできてしまうのである。見てみようと思って首を動かした瞬間に、走って逃げた。見えてはいるんだが、見たものがよく分かっていないように思える。
 
 ∧∧
(‥ )でもさ、今日
\‐  夜の公園から帰る途中で
    角を曲がったバイクが
    こっちに向かってきたよね
 
  (‥ )ライトでこっちを
      照らしているのにな
      ほんの半秒ほどだけど
      反応が遅れているのだよね
      ぐずな奴なのか
      疲れてぼーっとして
      いたのか
      どっちだろうねえ
 
 確かにまあ、視覚依存の人間でも、こんなことがあるにはある。
 
 
 

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