自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2014年8月24日日曜日
なんかだんだん劣化してますね
以前、こんな話を見かけた
石油は数十年後に尽きる尽きる、そう言われていたけど尽きてないよね。なんでか知ってる? 実は、石油はマントルで無機的に自然に出来てくることが分かったんだ。だから石油は尽きないし、無尽蔵の資源なんだよ。
∧∧
(‥ )多分、2年ぐらい前に
\‐ 見たのでしょうね
(‥ )自分で検索をかけて
見つけたが
2012年の2月に
ネタにしてるからね
=>hilihiliのhilihili: それは実にたやすいことだ
*ちなみに今回、リンク先の文字列は、掛け合いの文字を18列以内に収まるように調整しなおした
∧∧
( ‥)確かiPhonでしたっけ?
それでこのblogを覗いたら
改行が収まり切れずに
文章のまとまりが
”壊れて”いたからね
( ‥)...まあ2年前は
‐□ それを知らなかったわけで
今回、リンクする際に
調整したわけだ
こんなことを考慮する
必要があるのか
よく分からんけどね
ともあれ、話を戻すと、以上は2年前のことだ。
そして先日見た話ではこうなっていた
石油はマグマから出来るんですよ。でもそれが公になったら産油国が困っちゃうの。
∧∧
(‥ )...マントルがマグマに
\‐ 置き換わっておるがな
(‥ )まあ、語の頭がどっちも
”マ”だしな
マントルとマグマ。この言葉の置き換わりは単純な勘違いなんだろう。なぜかというに世の中の人は、地球内部は溶けていると思い込んでいるからだ。だから地球内部の大半を占めるマントルもまた溶けている、そう思い込むのは無理もない。
∧∧
(‥ )というか多くの人は
\‐ マントルはマグマだと
思っているんだよね
(‥ )漫画やアニメでも
地下へいくと無駄に
マグマの描写があるからな
根は深いよね
実際には、地球の内部のほとんどを占めるマントルは基本カンラン岩で固体だ。溶けていない。溶けた岩石のマグマはところどころに局在しているだけだ。それは日本列島が火山国である一方で、朝鮮半島や中国大陸に火山が事実上存在しない事からも分かる。
とはいえ、勘違いだろうがなんだろうが、石油は地球内部で無機的に出来ているのではないか? という仮説は確かに昔からあるし、さらに言えば石油は火山とマグマの熱で出来る、という説自体もあることはあるそうだ。
∧∧
(‥ )でもまあ、
\‐ 先の発言自体は
単純な勘違いでしょうね
(‥ )マグマで出来る仮説
それ自体を
聞いた事があるのなら
”マグマの熱で出来る”
そう書くだろうからな
ネットで話を
聞きかじった時に
マントルをマグマと
勘違いした
それだけだろうね
ともあれ、勘違いにせよなんにせよ、この”マグマで石油が出来る説”、素人目に見てもかなり怪しいと言える。だってこの理屈で言えば、火山国である日本が産油国になるはずだ。だが現実はそうではない。
∧∧
(‥ )地層に貫入してきた
\‐ 火山岩は隙間が多いから
そこへ石油が集積するという
こと自体はあるみたいですけど
(‥ )まあ、石油は
生物起源だよね
マグマの勘違いはともかくとして
マントルで石油が出来るという仮説は、根拠自体はあるにせよ、疑問は尽きない。
例えば、
石油が多く出るのは1000メートル〜2000メートルで、それより深い深度ではむしろ減るという。これはなぜなのか? マントルがある大深度から上がってくるというのならおかしくないか?
石油に含まれる化合物には中心の金属元素がマグネシウムからバナジウムに置き換わってこそいるが、これは葉緑素だよね、というものがある。無機起源でこれが説明できるのか?
マントルから上がってくるというのなら、ではなぜ石油は分厚い大陸地殻から産出するのか? マントルまでの厚みが薄いはずの海洋地殻から産出しないのはなぜか?
石油が産出する場所はかつて海の水位が上昇した時に水没した地域の、それも原則として土砂が堆積した場所である。こんな偏りが無機起源説と整合的か?
∧∧
( ‥)石油は太古の
植物プランクトンであり
つまり太陽エネルギーを
化学エネルギーに圧縮した
ものである
( ‥)状況からすると
‐□ そう考えるのが
自然だろうね
石油が尽きる時間が先延ばしになっているのは、単純に掘削技術の発達で説明できる。話題になったオイルシェールだって、掘削した孔それ自体に孔をブチ開けてさらに孔を四方へと伸ばし、岩石を粉砕して取り出すという新技術がもたらした成果であるし。
∧∧
( ‥)でもネットでは
噂話が次々に語り継がれて
内容が変質し
劣化して拡散している
(‥ )ネットに限った話では
ないのだよなあ
本の時代から
そうだったからね
本もネットもそこは変らない。自分の知らない本に手を伸ばす、あるいはワンクリックしてリンク先を確認する、こういうわずかな動作も人間は節約してしまう。
∧∧
( ‥)そりゃそうでしょう
無駄なことをしてたら
消耗して死んじゃうからね
( ‥)少し手を伸ばせば
‐□ 届く知識や理解
だがそこへ到達するのは
絶対的に無理である
それが僕ら人間だ
どうしても越えられぬ壁があるのだ。それは頭の良し悪しの問題ではない。単純に体力の壁である。
確かに確かに、
本も、そしてネットも、知識と理解の格差を絶望的なまでに生み出す道具であって、正しい知識を広めるためものではなかったのだ。当たり前だ。レストランのメニューが増えたからといって、人は食わず嫌いを直すわけではない。偏食するだけである。
チョコを欲しい子供が栄養と無関係にチョコを食べ続けるように、人は自分に都合の良い理解を選び続ける。ゆえに理解自体も進化する。人が望む理解ほど拡散するのであれば、そこには淘汰が働く。理解は必然的に、より都合の良い、より理解しやすい理解へと変貌し、変質を遂げるだろう。その変貌は正しいとか正しくないとか、そういうことと関係なく進行するだろう。
では、先の言葉を次に見るとき、その時、それはどんな姿になっているのだろうか?
*2年後、2016年10月10日のhilihiliのhilihili: その分からないという言い訳であなたの脳はどれだけ節約したの?へ続く
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