自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2014年8月10日日曜日
セミクッキング
もはや日付が変わった昨日、土曜日は、どうも自分はなにも分かっていない、そう考えさせられる1日だった。
そして雨上がりの曇り空の下、新大阪から新横浜まで新幹線で帰る。途中、ところどころで激しい降雨に遭遇したが、それは比較的短い範囲であり、小降りであったり、雨が降っていない場所もあった。
台風11号が関西に
∧∧ 接近中だからね
(‥ )
‐( ‥)米原あたりと
名古屋近辺が
強烈だったかな
台風と雲の構造を突き抜ける電車の旅。多分、今の空は同心円状だ、そんな感覚。
疲れたので帰って一眠りすると夢を見た。誰かが激しく言い争っていて、相手の人間性や知性を疑うような揶揄と言い合いと罵倒の応酬だ。しかし、その議論の争点たるや、
筒の中にどんな割合で仕切りを入れるべきか?
というものである。激しい言い合いは聞くに堪えないレベルにまでエスカレートしていったが、突然、前触れも無く風景がぶちぶちとテレビが切れるように消え始めた。すべてが空白になっていく中で、遠く小さくなる筒だけが見える。しかし、それも仕切られた区画ごとにぶちぶち消えて、ついにはすべての視界が消滅した。そして目の前には照明を消した自分の部屋と暗い天井。
さて
買い物をして帰る途中、もはや飛べなくなったアブラゼミを見つけて、拾って帰る。
∧∧
( ‥)蟻さんたちの
餌にしようと
( ‥)新鮮な生きているうちに
‐□ 解体だー!
ばらしかたが分からん
∧∧
( ‥)...まあ、何度かやれば
要領がつかめるでしょう
( ‥)魚のさばきと同じよな
‐□ それにしても
節足動物は神経が
分散しているせいか
あれよね
頭をはずしても
ばらしても動いてるから
やりずれーな
ロブスターやイセエビを調理する料理人が、でかい包丁で、ばつんっ! とエビの体を縦切り真っ二つにしても、エビはわさわさ動いている。そんな状況に近似。
さて、ともあれ、蟻んこたちの分はそんなに多くなくて良い。
∧∧
( ‥)四分の1は蟻さん用で
残りはどうします?
( ‥)んー
‐° 食ってみるか
生で食うのはなんなので、フライパンを用いて油でいためることに。
見た目は...悪くもないが良くもない
半分におろした胸部と、はずした腹部
ちなみに、胸部も腹部も背腹が逆さまである。なんか一部の組織が緑色なのが気になるところ
キッチンペーパーに乗せて白背景で撮影しても、なんか微妙に生焼け感が漂うが、時間は感覚的に言って十分なはず。
∧∧
( ‥)ちゃんと火は通ってる?
( ‥)んー、あっ、通ってるね
‐° 殻ごと食えるわ
食感は、炒めたエビだ。
というかエビの殻?
∧∧
( ‥)味は?
( ‥)少なくとも胸部は
‐° 特に味しないなあ...
だから余計に
殻感がするというか
セミの胸部には飛行に使う筋肉がつまっている。他の器官はどこにあるの? と違和感を持つほどだ。しかも生で見た時、鳥の胸肉に似た感じにも見える。それゆえに良い味と充実感がするのではないかと期待したのだけども、残念、これといった肉の味はしなかった。
量が少ないからかもしれないが、ともかくよく分からない。調味料自体を使っていないからだけども、なんというか、エビが持つ海のしょっぱさ、隠し味の塩味をうばったような感じ。
それを考えればである。この味は油で揚げたテナガエビに、つまり淡水のエビの揚げ物に近いと言える。ただし泥臭さはない。
昆虫のキチン質の外皮は基本、エビと同じだ。それを炒めたら、かりかりのエビの殻と同じになるのは道理。翅も同様。かりかりのエビの殻と同じだった。
つまり、炒めたアブラゼミの胸部は、豚肉の脂身をエビの殻に入れて揚げた、そんなような味と感触だと言えば良いか。脂身っぽく感じるのも、単に使用したサラダオイルの味なんだろう。だとすると良くもないが悪くもない内容だと言える。
∧∧
( ‥)腹部はどう?
( ‥)このセミは雄でなあ
‐° 腹部には
鳴き声を出す板を
振動させる
貝柱みたいな
筋肉があるから
期待したんだがね
残念ながら、貝柱のような感触はなかった。これも揚げたエビである...のはずなんだが、妙に青臭い。
(‥ )これ、エンドウマメを
すごく青臭くした
感じだ
∧∧
( ‥)樹液吸っているから
ですかね?
一匹を食しただけにすぎないが、結論から言うと、アブラゼミは
”油で揚げたテナガエビとエンドウマメの青臭さが大丈夫なら翅ごと食べられる”
そんな感想。
びっくりするほどうまいわけではないが、まずいわけでもない。
∧∧
(‥ )考えてみれば
\‐ びっくりするほど
おいしかったら
とっくに食用になって
いるはずだからね
(‥ )さりとて拒否するような
味でもないわけだ
単純にあれだな
大量に集められないから
食用にならないんだな
食用にされる昆虫、イナゴなどは大量に集めやすい。農薬による駆除さえなければ普通に田んぼにいるというだけではない。彼らが成虫になる秋は昼夜の寒暖差がある。変温動物であるイナゴは明け方は動きがにぶく、捕まえやすい。体温を上げるために日光を浴びようとするのか、田んぼの縁の稲にむらがっていることもある。あぜ道を歩けば容易に大量に集めることが可能。
∧∧
( ‥)でもセミさんは
そうじゃないからね
( ‥)イナゴはなんていうかな
‐° 独特な匂いがするの
だよね
だけど食用なんだよな
イナゴの匂いは表現が難しい。稲やススキなどの葉っぱの匂いを極端に濃集させたもののように思えるが、あれはイナゴ臭としか言い様がない。佃煮にされても残っているし、生きている時からあれはする。
それに比べればアブラゼミは食品としてはイナゴより上かもしれない。
∧∧
( ‥)でもイナゴは食べるけど
セミ食べなーい
(‥ )考えてみれば
人間が食べる節足動物は
どれもこれも
大量に集められるものか
大きくて罠にかかる
ものだよね
*同日、2014.08.10 19:30に以下追記
結果的に言うと蟻さんたちはアブラゼミの肉には見向きもしなかった(らしい)。
∧∧
(‥ )少なくとも放置されてるね
\‐ 量が変っているけど
これは...乾いてひからびた
だけだよねえ
(‥ )なんでだろうな?
アブラゼミの肉がお気に召さなかったのか?
あるいは今はタンパク質に興味ありませんとかそういうことなのか、不明である
∧∧
( ‥)まあ、色々と試してみますか
( ‥)バッタが良いのかなあ?
‐□
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