( ‥)サイエンスライターの書く本
ってのは、そういう意味では
登山ガイドブックのような
ものなんだよな。
∧∧
( ‥)科学者の人々が累積させて得た
結果を道筋立てて紹介すると?
(‥ )というか、整備された登山道がある
からここを通ってくださいね。
でもこっから出ちゃだめ、
∧∧
( ‥)ここから先は未到地、あるいは
探索中だから、はい、眺めるだけに
しましょう、とか、そういう?
でもいくな、と言っているのに、自分勝手にいって遭難する馬鹿は必ずいる。当たり前
( ‥)夏山だからって防寒装備も
ないままに登っちゃう奴とかな
∧∧
( ‥)...まあ、よく死にますよね。
登山客には3つのタイプがある。
ハイキングで来て整備された登山道を散策し、楽しかったと帰る人
経験をつんで充分な装備で登って、未踏の場所のルートを自力で探せる人、
∧∧
( ‥)そして3番目がそのどっちでもない
装備も経験もないのに、オレ様出来ると
思い込んで踏み込んでしまう人、と。
(‥ )でっ、オレ様理論を思いついて
遭難するんだ。
現実の世界と違って、遭難しても死なないので、ここが幻の最高峰だ、とか谷間の底でぎーぎー喚きだす。救援する義理もないので、みんなはガン無視。
∧∧
( ‥)言い換えればですよ、素人向けに
本を書く以上、登山道と登り方と注意点を
ただ書けばいいってことですか?
(‥ )ただ、世の中なあ、本に対して
知識の図書館を求める
奴がいるんだよな。
知らない知識を暗記しやすい体系に手直しして、ほら、と与えると食いついてくる場合がある。
∧∧
( ‥)知らない知識を大量に手に入れられる
そういうメリットを感じるんでしょうね。
( ‥)でもさあ、知らない知識って
それ危険なんよね。
なぜ今まで知らなかったの?
∧∧
( ‥)それは間違っているから
誰も教えてくれなかった
そういうことも
ありますね。
(‥ )しかも知識を暗記しやすいように
体系化したものは理論じゃないからな
しかし人間、意外とこの区別には無頓着。単なる暗記体系のはずなのに、暗記体系で世界を記述できると思い込む。ここで一部のいわゆる革命的な仮説を発見したと自称するマニアと研究者の争いが始まる。
∧∧
(‥ )すいへーりーべーぼくのふね
\- とか言っているのなら
その暗記は自然の体系なんですけどね
(‥ )ボロンたんがうらんでりじうむ
とか覚えだすと、それは自然の
体系ではないよなあ。
自然の体系を暗記しやすいようにする、それはよいが、アレンジしだすとおかしなことになる。おまけに知らない知識には間違っているからこそ、知らされていない知識もある。
知りたいという欲望に応じて誰も知らない知識を分かりやすく、しかも自然に頭に入ってくるような本を書くとしたら、そりゃあ危険なことだ。