自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2013年12月28日土曜日
私のいる世界は割り切れない世界
∧∧
( ‥)あなたは疑っているのだと
( ‥)そうだね、疑っているね
:プラトン
:SFファン
:ロジカルシンキングを信奉するビジネスマン
:マルクス主義者
これら全部、根っこは同じ
∧∧
( ‥)定義、公理、演繹、体系化
それしかない人々だと
(‥ )定義、公理、演繹
そして体系化、
これさえあれば
完全な理解に到達できる
そう考えた人々だ
実際、SFマニアである人が曰く、すべての素粒子のベクトルを測定し、それを量子コンピューターで解析すれば過去も未来も分かり、そのシミュレーションによって初めて古生物学は科学になりえるのだと。
∧∧
( ‥)たわごとだと
だがあなたには以上の
見解から納得もしたと
(‥ )端的言っちゃうとだ
彼らの世界は
割り切れる世界なんだな
彼らの世界には、おそらく無理数というものが存在しない。いかなる数の比でもっても表現できない、無限に続く数、それが無理数。これが存在しない世界に彼らはいる。
∧∧
( ‥)量子論や不確定性
そういう話を抜きにしても
計算の中に無理数があったら
どうするつもりなのか?
(‥ )無限の彼方までいかないと
正確な値が分からない数字
それが計算に入ったら
さて、何度目の演算で
明らかな誤差が出現するか
無理数が存在する世界はシミュレートできるか? 少なくとも、彼がその可能性を考慮していないことは確かだろう。過去も未来も正確に演算できる。そう主張しているということは、彼の、いや彼らの世界には割り切れる有限の数字しかないこと、いわば自然数しか存在しない世界に住んでいると、予測できる。
∧∧
(‥ )それって例えば√2や
\‐ πが存在しない
世界なんですよね
(‥ )考えてみれば信じがたい
話であるんだ。
どれも義務教育で習った
数のはずだからな
だが、先の言い様、量子コンピューターによる大演算を用いれば宇宙を再現出来る、この主張に感銘を受けた人々も確かにいた。
つまり、世界には自然数しか存在しない。そう信じ込んでいるらしき人々がいるのだ。これは衝撃である。
この世界は完全に割り切れて完璧に予測可能である。この思想は驚きである。
だが、そう考えると理解しやすいことがある。
世界は確定的で、未来は予測できる。こういう思考をする人々は過去から現在に至るまで、連綿と存在した。
確かに彼らはいた。
未来は予測可能だ。うかつにもそう言い立てて、我々こそ指導者にふさわしい。そうマルクス主義者は主張して、そして失敗したのではなかったか?
確かに確かに、マルクス主義者の開祖、マルクスはダーウィンと同時代の人物でありながら、ダーウィンがおぼろに導入を始めた統計学の世界に住んでいなかった。マルクスの世界はむしろ時代遅れになっていく決定論的な古典物理学の世界のままだった。彼はまだ、ラプラスの魔が住んでいられた世界の住人だった。端的に言うとマルクスもマルクス主義も、誕生の瞬間から時代遅れの単なる遺物でしかなかった。
そして、現在でもロジカルシンキングを信奉する人々がいる。
これらすべての始まりのようにも見えるプラトンは、イデアを前提として定義を信じ、論理を振りかざし、無理数を抹殺しようと試み、師匠が開いた無理数の証明をあろうことか記述せず、師匠の証明は記録から消えた。おそらくはユークリッドの原論の内部に痕跡自体は残っているはずなのだが、師匠とその証明に対するなんという暴虐。
そしてSFファンは先のような有様。
サイエンスフィクションと言いつつ、この宇宙は完璧に割り切ってシミュレートできる、このような主張を信奉する有様は、まさに奇怪。発想ではなく、思考がスチームパンクなのだとも言える。ラプラスの魔が実在できた決定論的宇宙の住人たち。見捨てられた時代遅れの遺物。それがSFだということではないのか? そうでないというのなら、では冒頭のあの主張は一体なんだ?
∧∧
( ‥)そして、全部、根っこは同じ
人は定義と論理と体系化で
分かった気になれる動物だ
(‥ )というかだな、
定義と論理と体系化に
固執する人間が
必ず、ある割合で
産まれてくる、
そう見るべきではないかと
思うのだけどね。
そして彼らは仮面をつける。それはプラトン主義であったり、イデアであったり、あるいは決定論であり、あるいは分類主義であり、あるいはマルクス主義であった。そうではないか?
彼ら自身は科学を口にするが、実際には彼らの世界観は非常に古く素朴なのだと言える。自然数しか存在しない世界とはあまりも古典的だし、そして義務教育とは一体全体なんだったのか? と思わせるものがある。
∧∧
(‥ )自分は割り切れる世界に
\‐ 住んでいるか否か
(‥ )これは、意外と重い
課題なのだと思う
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