自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2013年3月1日金曜日
均衡する北半球/遠きにありて南半球
∧∧
( ‥)つまり?
( ‥)前、ネットで見たな、
–□ チェスは話し合いによる
引き分けがある
これは西欧における戦争の
知恵ではないのか?
というような意見
∧∧
( ‥)チェスがそういうものを反映
しているかどうかはともかく
西欧の戦争が諸国の均衡に
あったことは事実でしょうね
(‥ )西欧征服を成し遂げた
ナポレオンが没落した後、
だからといってフランスを
分割占領しよう、という
結果にはならなかったの
だよね。
もちろん、近代における市民の動員、銃剣と突撃戦、ナショナリズムの高揚。軍人貴族の時代にはなかった国民同士のいがみあいもあった
∧∧
( ‥)普仏戦争とロレーヌ割譲
その遺恨試合のWW1
敗戦したドイツに
天文学的な賠償金要求
その遺恨試合のWW2
色々ありますけども
(‥ )原則的に列強の勢力均衡
という構図は一応、
西欧においてずっと
保たれたのだよね。
それが本当に壊れたのは
∧∧
( ‥)WW2の最後ですよね
( ‥)WW2で最後まで戦った
米露日はいずれも西欧の国
ではないからね。
しかもその結果たるや、ドイツは分割、ソビエトロシアによる東欧の征服、アメリカによる日本の武力放棄というとんでもない有様。
∧∧
(‥ )占領征服しちゃうのは
\– いかにもロシアらしいですよね
(‥ )ロシア本来の故郷は
そんな広くないしね。
旧モンゴル帝国の遺領を
継承した白いモンゴルなんて
言われるくらいで、
今だに大部分の植民地を
征服統治したままの
列強だよね。
ロシアは西欧世界じゃない。
アメリカによる日本の武装解除だってあからさまに馬鹿っぽいのだ。事実、ソビエトロシアや共産中国に対抗するために慌てて自衛隊を作らせる始末。見通しが甘すぎる。
∧∧
( ‥)西欧でない以上、
アメリカは列強同士による
勢力の均衡とは
無縁の国でしたから
( ‥)アメリカって他の列強と同様
–□ 汚いことに手を染めたし、
残虐なことも
非道なことも
無知蒙昧なこともしたけど
意外と基本、お人好し、
理想主義者なのかもしれんね
∧∧
( ‥)征服できない諸列強同士の均衡、
まだそういう西欧式の
お作法が身に付いていない
ということですかね
(‥ )日本も中国も、それは
たぶん同じなんだよね。
WW2で手ひどい敗北を喫したから、じゃあ非武装中立でいこうか、そんな鎖国じみた意見がまがいなりにも大手を振っていた日本。
今この時期、他の列強との主戦論を堂々と唱えてしまう中国。
∧∧
(‥ )海外からの資源に頼らなくては
\– いけないこの時代に
近隣の列強と過剰に
ぶつかるのは致命的に
なりかねませんよねえ
(‥ )アメリカ、日本、インド。
対立する国が貿易線上に
勢力を持っているし、
封鎖されたらアウトだよね
チベット、ウイグルの問題
北のロシアとも戦闘に及んだ
ことがあるし、問題山積み。
∧∧
( ‥)海で囲まれた英米日
(‥ )山脈と荒原に囲まれた
中国、インド、イラン、
同様にロシア、そして民族や言語、河川、山脈で周囲から分たれたドイツとフランス
征服不可能な障壁と人口で形作られた列強が北半球をぐるりと囲う世界。
∧∧
(‥ )アメリカの圧倒的な支配は
\– 揺るがないまでも、
見た目は1世紀前と同じ。
北半球全体が西欧化し、
諸列強がひしめく
感じですかね。
(‥ )インドやオーストラリアも
巻き込んで
中国の包囲網を作りつつ
あるらしい日本の外交は
時代に即したものなんだろう
いかにも西欧的かもね。
∧∧
(‥ )中国だって春秋戦国時代には
\– 合従連衡とかしていたの
ですけどもね
(‥ )それを思い出すことも含めて
日本と同様、これから
西欧化するんじゃね?
あるいは戦国モードと言うべきか。
ああ、考えて見れば中国が愛国心を掲げるのも、まだ時代に即していない結果なのかもしれない。
∧∧
( ‥)なぜ?
(‥ )銃剣突撃の時代とかなら
いざしらず、今の戦争って
ナショナリズムを高揚
させて歩兵を大量動員する
そういう総力戦とは
少し違うだろ?
国民がいくら愛国心を奮い立たせたからといって、プロ化された軍隊や、かつてないほど機械化された戦場や局地戦の勝敗がそうそう動くのか? という疑問。
( ‥)考えてみれば中国って、
人海戦術や突撃で
成功を収めた
最後の国じゃないかな?
だとすると愛国心を
掲げるのは当然かもね。
∧∧
( ‥)まあ、そういう側面は
あるかもですね
そういえばこの前、見たのである。日本もこの危機で愛国心を煽られるだろう。しかしもっと文化と心を信じて、というような意見。
∧∧
( ‥)馬鹿げてる?
(‥ )想定が時代遅れじゃ
ないかね?
愛国心批判は良いけども
この時代、そもそも
愛国心で、一体全体
何をするっていうんだよ?
どっかの国を占領するため
大量の志願兵が必要だとか
そういう状況じゃないだろ
アメリカでさえ、イラクを占領統治することに成功したとはいささか言えない。過去の帝国主義時代はいざしらず、現在において、他国、他民族の征服なんて原則的にほとんど無理だ、ということがうかがえる(今だに植民地を征服統治することに成功している一部列強の事例は相手が少なすぎるか、あるいは現在、多かれ少なかれ紛争の真っ最中か火種を抱えている状況)。
∧∧
(‥ )それを考えるとこれまでは
\– 文化人らしかった発言、
つまり愛国心批判とか
平和論とかもその有り様を
変えていくってこと
ですかね?
(‥ )戦争の形式が変われば
最低限、愛国心のあるべき姿
国から要請される形式も
これまでと
変わってくるよね?
だとしたら既存の批判も
批評も、もはや的外れ
時代遅れになるは必然。
∧∧
( ‥)消耗品の予算調達のため、
公共サービスの
一部を縮小しまーす
非常事態ですから
ご理解のほどをー
(‥ )しょーがねーなー
この先の”愛国心”とやらが一体どんな愛国心になるのか、細かいところは分からないが、実際、戦争のあり方は歴史上、何度も変わってきた。だとしたら愛国心とやらの有り様も変わってしまうだろう。そもそも愛国心自体、そういう要請に応じて過去において作られたものだった。ならば、未来の愛国心は、愛国心に燃える人には徹底、愛国心とは思えない異形なものになるのかもしれない。
そして変われないのは、それが主戦論者であれ、平和論者であれ、いつも老いた個人だけではなかったか? 老いた文化人と詩人が生き残れる場所は北半球にはなく、少なくともこれから先は、もう南半球にしかないのではないか?
ゆえに詩人よ、南半球を目指せ。
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