最近、本屋に入ったおばちゃん(といっても45か50ぐらい)。愛想がないのはまあいいとして、仕事する時、手にした本に目がいっていない。そしたら案の定、
∧∧ 雑誌を落としました
( ‥)
-(‥ )雑誌を替えにいったけども
棚にそのままさして別のを
もってきておる。
落としたから替えるけども、落とした雑誌自体はそれを知らない誰かが買えば? ということをオープンスペースで大声で語っている、という構図。大丈夫かいな。
∧∧ やる気ないんですかね?
(‥ )
-( ‥)どっちかというと指にはめた
ロックなシルバーアクセサリーと
黒髪に数本混じった白髪が
無駄な哀愁をさそうけどもね。
うがった見方をすると、私のいる場所はここじゃない、みたいな感じ?
∧∧
( ‥)意地悪な見方ですね
(‥ )お前の居場所なんざ、どこにも
ありゃせんよ、という感じ。
ははっ、残念。人間に居場所なんかありゃせんよ。逃げたいなら全力に逃げるべし。中途半端だと、ほら、追いつかれる。
スーパーの100均で買い物したら、どこでまぎれたものか、自分の小銭の中からExpo75の記念コイン(100円)が出てきた。スーパーのおばちゃんは外国の硬貨か何かと思ったらしい。取りあえず、使わずに持って帰る。
∧∧
(‥ )100円以上の価値は特にない
\- みたいですね
(‥ )まあ、昭和の生き証人だな
゜-
40年近くもたっているのだ、すっかりくすんでいる。
さて
チェインバーズ編 「ローマ帝国の没落」 創文社 昭和54年を読み終える。
∧∧
( ‥)単著、ではなくて、ローマ帝国の滅亡と
その原因を論じた色々な人の意見、
さらに反論があればそれも含めて
抜粋し、ひとつにまとめた本ですね
(‥ )しかし色々な説があったもんだな
□-
曰く、人口が減ったから
曰く、ローマ人が堕落したから
曰く、気候が悪化したから
曰く、たまたま
曰く、混血が進んで劣った人種になったから
曰く、軍隊の質が低下したから
曰く、専制君主国家になったから
∧∧
( ‥)堕落したとか、人種がどうとか
-□ 精神論的を思わせる意見も多かった
ですね
(‥ )豊かになれば軍役なんか果たしたく
ないだろうから、征服が一段落
したら弱体化はするだろうけども、
精神論ですべてが片付くなら
簡単だろうな。
考えてみれば今だって、いや、はるか昔から「今時の若者がたるんでいて、世の中が悪い方向へ向かっている、オレは心配だ」という意見は多い。というか普遍的だ。しかしこれは言い換えれば「それを指摘しているオレはそうじゃないんだ、えらいでしゅー」という能天気な意見でもあるし、精神統一すればスプーン曲げの要領で国家はV字回復するという、残念な考えでもあるのだろう。
∧∧
( ‥)そんなことは起きないと思いますけどね
(‥ )まあ、起きた試しはないだろうな
∧∧
( ‥)それにしても、確かにローマ軍は途中から
市民軍では無くなるけども
でも、それだって堕落というよりも
農民が零落したからって言いますよね?
(‥ )そうみたいね。それで
貧乏人を雇った職業軍隊になって
いったし、さらには征服地から徴収
さらには野蛮人(ゲルマン人)を
大々的に使うようになって
いくのだけども。
資料によると徴兵拒否はあったという。もっとも、それが正しいとしても、新たな軍人たちが権力を掌握して新国家が建国されるものなのだから、それでローマが滅びることには、考えてみればならない。ただ、おかしなもので、どうもそうはならなかった。
∧∧
( ‥)滅びるだろうけども、権力者が
交代して、版図はそのままでも
おかしくはないのですよね
( ‥)奴隷を軍人に使った
-□ イスラーム世界では
奴隷たちが権力者になった王朝
マムルーク朝エジプトのような
国家があったわけだし、
堕落したのが仮に本当でも、
新興勢力によって
版図が温存されても
おかしくはないのだ。
ゲルマン朝ローマ帝国、になっても別にかまわないわけである。
だけども、そうはならなかった。
∧∧
(‥ )5世紀にゲルマン人の侵入を許して
\– 西側でゲルマンの王朝が幾つも
割拠しちゃったのは
まあしょうがないとしても
(‥ )むしろあれよな、分裂したことより
再統一できなかったことのほうが
問題とすべきかもね
∧∧
( ‥)中国だって2世紀に事実上、漢帝国が
瓦解してから400年あまり分裂したけど
6〜7世紀の随、唐で一応、統一され
ましたからね
(‥ )7世紀にイスラームがやってきて
ローマ帝国はその南半分を奪われて
再統一なんか不可能な状況に
陥るわけだから、それはまあ
しょうがないにしてもだ
残った東西は統一できてもおかしくね?
あるいはむしろ奇妙なのが、中国では侵入した異民族が中国式の王朝文化をきちんと取り込むのみならず、ついにはそれこそ、その騎馬民族系の北朝こそが中国を統一したのに、ローマはそうはならなかった。
西のゲルマン皇帝と東のギリシャ皇帝が戦って、ついにゲルマン皇帝が勝ってギリシャを征服しても良かった(逆でももちろん良い)。
でもそうはならなかった。というかそもそもゲルマン人は皇帝になっていない(後にカール大帝がローマ皇帝として戴冠する、とか神聖ローマ帝国のドイツ人皇帝とかいるにしても)。
∧∧
( ‥)やっぱゲルマン差別ですかね?
=>この話*
(‥ )476年、西ローマ帝国の滅亡も
西ローマ皇帝を廃位したゲルマン人
オドアケルが皇帝になるでもなく、
東ローマ皇帝の宗主権を認めて
自身は帝国の大臣にとどまった
そういう事件なのよな
∧∧
( ‥)ある意味、帝国は滅びていないどころか
版図の西側すら法的には帝国の
ものだったとさえ言えるかもですけども
(‥ )さりとて、それが長続きする
わけでもない。奇妙だよね
イスラーム世界のスルタンたちがカリフの代理人である、というように、日本の徳川幕府が朝廷から任命された征夷大将軍であるというように、東ローマ帝国皇帝を神聖不可侵の血統としてとどめ、自分たちは陛下の代官なり征夷大将軍である、という立場で実行支配を正当化する、それが何世紀も続く、そういうことにはならなかったらしい。
∧∧
(‥ )それを考えるとローマ皇帝って
\- イスラーム世界のカリフや中国の天子
とはまるで異なる存在なんでしょうね
(‥ )逆にいうとゲルマン差別がなくて
中国やイスラームのような
支配イデオロギーが認められていたら
どうなっただろうかね?
ローマ化されたゲルマン人の王朝が北アフリカは無理でも、残された北半分の版図を統一しただろうか? それともあるいは、共和制に由来するローマ帝国ではそんなことは無理だった、ということだろうか。