ある研究者がテレビに出ているうちに売れ出し、本を次々に乱発して売れに売れるのだが、書いていることがたわ言だと苦言を呈され、人に言わせればまったくのトンデモさんになり下がったという。
∧∧
( ‥)まあ、その評価がどうであるのかは
ともかくとして。
( ‥)そうねえ、研究者からライターに
-□ なったにせよ、もとからライターで
あったにせよ、行き着く先は決まって
いるもんだ。
:当初、信念に燃えて真面目に本を書いていた→だが売れない
:てきとーなことを書いた/言った→どういうわけか売れた
:てきとーなことを次々に書く→売れる、売れる、びっくりするくらい売れる
:自分一人では執筆が追いつかない→ゴーストライターを雇う
:当然、質が維持できなくなる、あるいはあまりに乱発し過ぎて市場が飽和状態、というか平たく言うと飽きられた
:まじめに戻るには手遅れ、未来はじり貧になって閉ざされて行く
∧∧
( ‥)まあ、大体こういう経過を経て
終焉していくもんだと。
(‥ )売れるっていう経過がない人もいるし
そこそこ売れただけで加齢で
体力が尽き質が維持できなくなり、
じり貧の終末だけは一緒、そういう
最後もあったりする。
とはいえ、まあ、こんなもんらしい。
∧∧
(‥ )興味深いことに
□- 最後は相対主義者になったり
科学好きな人に対する憎悪を
むき出しにしたりしますよね。
(‥ )売れる本は読者の心理に適応している
自然科学に適応しているわけじゃない。
売れる本を書く以上、科学とコンフリクトするのは当然。スタンダードと相容れないのは当たり前。
∧∧
( ‥)それを正当化するために相対主義になる
それを「おかしいと否定する人」に
対抗する過程で憎悪をむき出しにする。
(‥ )まあ、気持ちは分からんでもないな。
良い本を書いても誰も肯定してくれない
人は安全やおいしさよりも危険とまずさに強く反応する(命に関わる危険を察知しそこなうと死ぬのだから当たり前)。
∧∧
( ‥)だから否定の反応の方が強くなる。
(‥ )書き手からするとこれが
こう見えるんよな。
良いことしても評価しなかったくせに、妥協して馬鹿相手にわざわざトンデモ書いてやったら、そうしたら今まで黙っていた連中が急に声を上げ始めて非難を始めやがった。なにこの素人ども馬鹿じゃないの? 馬鹿相手には馬鹿な内容が売れるんだよ、そんなことも分からないのか? 買いもしなかったくせに今さらなんだ!!
∧∧
( ‥)まあ、あれですね、
自然科学と経済のコンフリクト
ですね。
(‥ )ついでにいうと否定に関して
強い反応を示す人間の反応も
背景にあると思う。
否定の方が強く反応するし、否定の反応の方がより強く感知する。その結果は不幸でもあるし、必然でもある。
ついでにいうと「買いもしなかった」わけでは必ずしも無い。反応しなかっただけなのだ。
∧∧
(‥ )まあ、これ自体はあなたの
\- 解釈ですけどね。
(‥ )でもそう見えんか?
あの人がダメになったのはいい加減に書いた対談本とかが売れたから、そういう意見も目にした。
ただ、それはおおむねは正しいが、ちょっと違うかもしれない。
∧∧
( ‥)対談本って売れないって
聞きましたよね。
(‥ )代わりにごく短時間で作れるから
それで稼げるらしいのよな。
10倍売れる本を10倍の時間をかけて売るのか、10分の1しか売れない本を10分の1の時間で作って売るのか、そういうことらしい。
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( ‥)ようするに対談本が売れたから、
ではなくて
(‥ )売れたので対談本まで出すという
乱発状態に陥った、というのが
多分正しい説明だと思う。
ようするに、その状態に陥ったということは市場が飽和する前兆なわけで、破滅まで間もなくということでもある。