昔、ある研究者にこんな質問をした。
人間は最節約に推論するように出来ていると思います? たぶんね
それは進化で獲得された能力だと思います? でしょうね
では世界は最節約に出来ていると考えていいと思います? いや、それは分からない
∧∧
(‥ )......
(‥ )?
∧∧
( ‥)つまり当時のあなたは進化で得られた能力なら
世界の構造を反映していると考えたわけですね?
(‥ )とっ、思っていたんだけどね。
そればかりか世界が最節約に出来ていることを論証することに使えるのでは? とも思っていた。もう何年も前の話。
しかし考えてみればそうではない。あるいはこうも単純には言えない。
選択されるのは”子孫を多く残す変異”なわけで、例えばの話、”食える類”というカテゴリーを識別して集める能力がある生物は子孫を残すだろうし、そういう性質を持つ種族ができるだろう。
∧∧
( ‥)”食える類”って明らかに人為分類群というか
その種族本意分類っていうかで、
実在なんかしないしろものですよね。
(‥ )世界の構造を反映したものじゃなくて
”食べる側の生物の仕組み”を反映した
ものなんだよな。
”自分では合成できない必須ビタミンを含んでいる類”というのを考えてみればいい。
つまりこう。生物が持つ能力には世界の構造を明らかに反映していないものがあると予想できるし、事実として多分そう。だとしたら
∧∧
( ‥)最節約に推論する能力を進化的に獲得したとしても
それがただちに世界は最節約に振る舞うように
できていることを示すわけではないですね。
(‥ )あの日、あの時、あの研究者の返答は
実は当然のものだったんだよな。
世界は概して最節約に振る舞うか? そうであるようにも思えるけども、そうであると論証できるのやら。
∧∧
( ‥)でもさ、”食える類”というカテゴリーが進化する
というのは”てっとりばやく必要なものを手に入れる”
っていうことですよね。
(‥ )その背後にある要求は
最節約ではあるのかもしれないのだよね。
何を最節約というのか、科学の各ジャンルが述べる最節約がそもそも同じなのか? という問題はあるのかもしれんけども。