自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2017年6月6日火曜日
自動餌やり機の前のハトは運命のダイスを振るか?
その人は言った。書いてくれと言われたが原稿料が1枚5000円だった。私のような人間がそんな安値で受けたら若い人はどうなるのか? だから辞退した。価格交渉はちゃんとした方が良い。
あるいはその人は言った。価格交渉をするべきです。私は小説の表紙を描いているが、ちゃんと取り分を取っています。若いイラストレーターが食べられないのは安易に安請け合いするからです。
∧∧
(‥ )これは論としては
\− まったく正当なんだけども
(‥ )問題は現実がそれを
可能にするかは
交渉とは関係ない
ということなのだ
私のこの仕事には1000円分の支払いが必要です。
その主張が正当でも相手が500円しか持っていなかったら、1000円はどうしても払えない。
これは単純にいうと、無い袖は振れない、ただそれだけのことなのだが...
∧∧
( ‥)問題は袖は必ずあると
思っている人がいることだ
(‥ )1000円分の
仕事なのだから
1000円もらうのが
当然なんだけども
1000円無くても
1000円もらえるはずだ
と思い込んでいる人が
いること
ここがやばい点ね
毎日1000円もらい続けてきたから、今日もこれからも、死ぬまで1000円もらえると信じ込んでしまっている。
そういう状況だと思えばたぶん近い。
∧∧
(‥ )イラストレーターや物書きは
\− 自営業者だから
給料取りのサラリーマンより
ずっとお金のことは
考えているし把握していると
自慢するものだけどね
ところがどっこい
全然そうじゃないわけだ
(‥ )経済学者みたいな
ものじゃね?
例えば曰く、1人1日100円を節約すれば1年でおよそ4兆円の打撃を日本経済に与えることができる。皆で安倍政権を打倒しよう!
そう言った人間は大学教授であり経済学者であった。
∧∧
( ‥)計算はできるのに
その結果
自分の給料が下がったり
あるいは失業してしまう
というところまでは
頭が回らない
(‥ )ほらな?
みんな全員
どいつもこいつも
自動餌やり機の前で
ただじっと餌を待ってる
ハトやネズミのように
成り果てておる
経済学者だの大学教授だのがこんなだもの。そりゃあ皆さん分かりませんわなあ。そうだろう? 経済学者の諸君よ。
価格交渉しようが、それが労働の正当な対価であろうが、権利であろうが、経済であろうがなんであろうが、駄目になったら賃金は発生しない。
自動餌やり機が壊れたら餌は出てこない。出てこないのだ。
この単純な事実をまるで分かっていない。
物書きからイラストレーターから、自力で稼いできたと自負している自営業者から、大学教授から経済学者に至るまで全員誰もかれも全然まったく分かっていない。
ただただ、餌やり機の前で、どいつもこいつも馬鹿面並べて口開けてるだけだ。
∧∧
(‥ )もちろん
\− 分かる必要なんて
どこにもないんだよねー
(‥ )もちろん分かる必要なんて
どこにもないさ
以上の現実を正確に
認識したところで
生き残ることとは
なんの関係もない
現実はそういうものだ。我々全員が自動餌やり機の前でぼんやり待ってる知性無き動物にすぎない。自動餌やり機が壊れたら死ぬ。餌をもらえるのが我々の権利だと主張しても、機械が壊れたらただ飢え死にだ。
そう理解したところで、生き残るすべが見えるわけではないし、逃げ道が見通せるわけでもない。
分かったところで死ぬ奴は死ぬし。
分からなかったとしても生き残る奴は生き残るだろう。
現実とはそういうものではなかったか?
∧∧
( ‥)そして生き残った奴は
得意げに
私はこうやって
生き残ったと
役立たずのガラクタ人生訓を
書き残すのである
( ‥)まっ所詮はそんなもんだ
−/
とはいえしかし、さてどうする?
冒頭の人々は、つまり価格破壊をしないと言った人、あるいは安請け合いで価格破壊をするなと諭した人、彼らの主張は正しいが意味はない。もちろん無意味な勘違いでも運が良ければ生き残れるだろう。個人的には彼らが生き残れるとは思えない、まあ餓死だよね。しかし運が良ければ生き残ることは可能だ。それが現実ってもんだ。現実に善悪だの理念だの価値観だの、そんなもの無いのだからな。
∧∧
( ‥)さもなきゃ
餌やり機が壊れる前に
運良く死ねるかだな
(‥ )でよ
俺はそこまで
運任せにできないのよね
どうしようか?
さて? 我々は自動餌やり機の前のハトだ。これが壊れたら死ぬ。どれが壊れるのかは分からないし、他の餌やり機に移ったところでそれがどうなるのかは分からない。移って死ぬか、残って死ぬか、さあどれだ?
すなわち、自動餌やり機のハトは運命のダイスを振るか?
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