自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2017年6月2日金曜日
イギリスの気候が悪いだけでしょ
時々、ネットで見る話。なぜヨーロッパだけで産業革命が起こったのか? それはヨーロッパには物理学があったからだ。
∧∧
( ‥)...うそでしょ
産業革命に物理学は
ほとんど貢献して
いないよね
(‥ )そもそも自然科学は
観察から生まれる
つまり自然科学は
所詮は後付けだからな
順番はむしろ逆
産業革命が起きてから
物理学が発達するのよね
というかそもそも物理学は基本、天文学である。テコの使い手であるアルキメデス、投射物の力学を考察したガリレオのような人物もいるが、物理学は星占いの補助としてそれまで発達してきた。
∧∧
(‥ )そのアルキメデスさんも
\− ガリレオさんも天文学を
やってるしね
続く物理学の王者である
ニュートンさんも
天文学と幾何学だし
(‥ )そんな物理学が産業革命に
寄与なんかするわけ
ないよなあ
例外は、蒸気機関の改良者(発明者ではない)のワットと交流があり、ワットと共に蒸気機関を改良する過程で潜熱を発見したブラック教授ぐらいのものらしい。
∧∧
(‥ )しかもこれだって
\− 今の蒸気機関のこの過程って
無駄じゃないかな?
具体的には
どのぐらい無駄なんだろ?
調べてみよう
わっ! なんだこれ??
こりゃいかんわ
そういう内容だよね
あくまでも技術が先で
科学はその後で成立してる
(‥ )産業革命は外燃機関と
内燃機関の
発達の歴史だけど
その物理学って言えば
熱力学だよな
しかし熱力学は1824年のカルノーから始まる。そしてこの時点ですでにワットの蒸気機関改良から50年が過ぎている。50年も後から出てきて革命に大きな役割を果たしましたなんてことはありえないし、
∧∧
(‥ )しかもカルノーさんの
\− 熱力学のアイデアって
元ネタは明らかに同時代の
外燃機関
スターリングエンジンに
着想を得たものだよね
(‥ )やっぱ後付けなんだよな
当たり前である。自然科学は思弁ではなくて観察から思いつくものだ。後付けになるのが当たり前だし、そもそも当時の物理学者は産業革命に興味もなにも持っていなかったらしい。
例えばニューコメンによる最初の蒸気機関=>https://www.google.co.jp/search?q=newcomen+steam+engine&source=lnms&tbm=isch&sa=X&sqi=2&ved=0ahUKEwiv4MK61p3UAhVFbbwKHRv-Bc4Q_AUIBigB&biw=8…
これと同時代の人であるニュートンの蒸気自動車とその発案=>https://www.google.co.jp/search?q=steam+car+isaac+newton&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwiqp42C1p3UAhUDXbwKHUdmCY8Q_AUIBigB&biw=824&bi…
∧∧
(‥ )阿呆だ
\−
(‥ )物理学の帝王にして
最後の大魔法使いたる
ニュートンがこれだもん
物理学者が蒸気機関や
産業革命とか
下賎なものに興味を
持っていなかったことは
明白だよね
非常に意地悪く言うと科学者が嫌われる理由ってこれが原因だろう。役に立たないことをするのはまあ良いが、現場作業や現実を小馬鹿にして関わろうとしない、こんなあからさまな傾向があれば、そりゃあ嫌われるし、信用もされん。
おまけに物理学のおかげで産業革命が進みましたとか、そんな歴史の書き換えがまかり通るようでは
∧∧
( ‥)ではなぜ西欧で産業革命が
起こったか?
(‥ )蒸気機関は
炭坑の排水のため作られた
それを見れば
一目瞭然じゃね?
木材は燃料である。日本であれば燃料を植林することで再生産することもできる。だが木をすべて切り倒して、そして生えてこないとしたらどうなるか? 生えるにしても再生産が追いつかない程度の速度ではどうなるか?
∧∧
(‥ )石炭を使わざるをえないし
\− 浅い場所の石炭も全部
掘り尽くしたら
どんどん深くするし
そうしたら排水との戦いに
なるし
そうしたら蒸気機関が
必要になるだろうね
(‥ )ようするに
産業革命って
イギリスの植生が貧弱で
気候が悪かったから
実現した苦肉の策だろ?
もちろん石炭紀、イギリスが赤道の大森林地帯にたまたまあったから、ということもあるが、基本的に気候が悪いこと、氷河期に根こそぎ植生を破壊されたことが産業革命の原因だろう。
*産業革命において科学、物理学はほとんどその役割を果たさなかった。しかし「動力物語」富塚 1980 岩波新書によれば、水車はこうではなく、その改良と革新はむしろ科学者が先導したという。理由は単純で、水力学がすでに確立されていたこと、さらに水車は当時、すでに完成されていたので、この限界を突破するには既存の経験、改良では駄目だったことが理由だそうだ。もっともこれ、イギリスで進行する蒸気機関発達に脅威を抱いて進んだものでもあるというから、やはり後付けであったとも言える。
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