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2015年8月1日土曜日

月と不死とアルテミス

 
 あいも変わらず暑い日々。図書館の帰り、公園のベンチでぼんやりしてふと脇を見ると、粘菌がはびこっていた。
 











以前ここには切り株があったのだが、腐朽し、多分、クワガタの幼虫探しなのだろう、人に壊されて、崩れ、腐朽し、そして崩れ...。

 今では地下に残った木材の残りを食べているらしい、菌類の塊だけが残るのみ(画面右上の白いのがそれ)。

   黄色いのが粘菌だけど
 ∧∧ 菌を食べているの?
(‥ )
 ‐(‥ )さてどうだろうね?

 



 落ち葉を這い進むその姿は印象的だ。
 
 さて
 
 図書館では「月と不死」N・ネフスキー 東洋文庫 平凡社を借りた。
 
 ∧∧
(‥ )ネフスキーさんは
\‐  ロシア人で日本にきて
    民俗学を研究して
    柳田国男さんとかとも
    親交があったと
  
  (‥ )日本人を奥さんに
      したのだな
      留学中ロシア帝国で政変
      帰国した時はソ連
      スターリン体制下で
      夫婦共々捕まり粛清か...
      子供は生き残れたらしいが
      むごい話よな
 
 
 ともあれ、「月と不死」にはその題名となった論文が載っている。ネフスキーが沖縄の宮古島で取材した民話。
 
 月と太陽がアカリヤザガマという男に命じた。人には若返りの水を、ヘビには死に水をあびせよ。

 アカリヤザガマとは、明るい者、つまり輝けるものという意味らしい。アカリヤザガマは地上に来ると疲れて用を足した。その間にヘビが若返りの水を浴びてしまった。困ったアカリヤザガマは人間に死に水をあびせた。
 
 この報告を聞いた太陽は怒り、罰としてアカリヤザガマに、永久に立っているように命じた。それが月の模様である。かくて人は死ぬ存在となり。ヘビは不老不死となった。
 
 ∧∧
(‥ )これは月が不老不死の
\‐   象徴だったことを示す
     物語だろうと
 
  (‥ )満ち欠けを繰り返す月は
      死と再生の象徴だ
      ほとんど似た神話は
      アフリカにも
      あるみたいね
      人類の普遍的な世界観
      なんだろうな
 
 ∧∧
(‥ )日本だとかぐや姫だって
\‐  そういう話ですからね
 
  (‥ )天から降り来たる
      月人たちは
      冷酷無情な心を持つ人々で
      不老不死不滅の存在
      まさにままだねえ
 
 
 ∧∧
( ‥)取りあえずこれで
    文章は書けるし
    確認は取れましたね
 
  ( ‥)ところで疑問なんだが
    ‐/ ギリシャ神話とかでは
       月のこうした不死性は
       どうなっているのかな?
 
 ∧∧
( ‥)月の女神アルテミスは
    ちょっと影薄いですかね...
 
  (‥ )ギリシャ神話で死と再生を
      象徴するのは月ではなく
      アフロディーテだよね
      彼女とアドーニスの関係は
      メソポタミア神話における
      イシュタルの冥界下り
      だからな
 
 あるいはプルートーンにさらわれた女神ペルセポネーがそれに該当する。内容は変形してこそいるが、同じと言えば同じだ。豊穣の女神は地下に数ヶ月隠れる。女神は消え、しかし復活する。すなわち死と再生。
 
 しかしこれは月ではなく、むしろ季節の話だ。
 
 では、不死の月たる女神アルテミスは、はて、どうであったか?
       



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