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2015年4月7日火曜日

デフォルト物語

 
 分子生物学は非常に名詞が多いのである。
 
 ∧∧
(‥ )生物が持っている化合物は
\‐  無数だからね
   
 
  (‥ )それでさ
      分子生物学者や医者は
      やたらと頭文字を
      使いたがるのだよな
 
 だからAPCだのrasだのGTPだのmycだのが氾濫することになる。
 
 ∧∧
( ‥)まあDNAもそうだよね
    これはもう普及したけど
    こういう頭文字系の単語は
    覚えにくい?
 
  ( ‥)意味が分からない
    ‐□ 無味乾燥な単語だと
      個人的には頭に
      入りにくいのだよね
 
 ショウジョウバエはこの点では良い。100年あまり前、突然変異の名前を決めた時、ホワイトとか、ジャイアントとか、ヘアリーとか、見た目からまんま名前をつけたからだ。最近でもウイングレスとかイーブン・スキップド、ドーサルなど、これまたまんまな命名である。
 
 *ただし、例えば遺伝子の命名は機能を喪失した突然変異が発見の由来になるので、命名と機能が正反対であることも多い。ホワイトとかドーサルはそういうもののひとつだ。
 
 **ホワイトは赤を司り、ドーサル(背中)は実際にはベントラル(腹側)を司る。
 
 ∧∧
(‥ )でっ?
\‐  日本語文献が見当たらなくて
    今困っていると
 
  (‥ )あるにはあるが
      数が少なくてな
      必要を網羅し切れない
      それで困っている訳よ
 
 英語の文献を読めばいいだろう? と言われればその通りである。しかし、編集さんもクロスチェックする時に、確認元が英語しかない、というのは痛いのだ。もちろん英語も読める人だけども、時間がかかるのは致命的である。
 
 ∧∧
( ‥)というわけで
    メモも兼ねて英語の文献を
    翻訳してテキストにすると
 
  ( ‥)俺の英語力は
    ‐□ ひどいもんだが
      無いよりましだろう
 
 いや、考えてみれば英語をもっとちゃんと読める研究者ですら、翻訳がはちゃめちゃになっていることがある。英語をそのまんま日本語に訳したような状態なので、日本語になっていない、という状況はしばしば見る場面でもあろう。
 
 それはそれとして
 
 repression of default fates

 これはなんと訳すべきであろうか?
 
 ∧∧
(‥ )辞書的には
\‐  失敗する運命の抑制
    だよね
 
  (‥ )デフォルト(default)
      つまり債務不履行だ
 
 でもそれでは意味が通じない。どうもこのデフォルト、基底状態の意味で使われていると考えるのが妥当である。続く文脈における使われ方もそうだ。
 
 つまり、基底状態へと至る運命を抑制し妨害する、と訳すべきなんだろう。
 
 *本来は状態Aになるはずなんだが、それを邪魔することで状態Bの完成を実現している、という意味。
 
 ∧∧
( ‥)この意味のデフォルトって
    製品が出荷された時の状態が
    ”デフォルト”であるとか
    そういう意味合いで
    使われるものだよね
 
  ( ‥)最近使うようになった
    ‐□ 言い様だよねえ...
      手持ちの辞書は
      1985年のものだけど
      その意味は載ってないな
      あるのは債務不履行だ
 
 債務不履行と出荷された時の状態が基本、とではかなり意味が違うけども、ここ最近のいつどこでなんの変化があったのであろうか?
 
 ∧∧
(‥ )この本自体は
\‐  2001年のものだよね
    1985年から16年間
    その間になにかあったと
 
  (‥ )なんだろうねえ?
      パソコンの普及か? 

 
 
 

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