自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2014年9月28日日曜日
浮世絵あっけらかん
hilihiliのhilihili: 死者の日の続き
アステカではないけども、征服者ピサロによって南米インカから略奪された黄金は、溶かされてヨーロッパ風の工芸細工にされたという。
それを子供の頃、本で読んで、西欧人たちが自慢げに作ったであろうその品の写真を見た時に愕然とした、
これ、キューピーちゃんだよな?? インカの金細工を溶かして作ったのがキューピーちゃんかよ??
∧∧
( ‥)それはキューピッドで
キューピーちゃんじゃねえよ
(‥ )同じようなもんだろ
キューピーちゃんなら軟質プラスチック製のものがあるのに、なぜ黄金でつくる? しかもインカのデザインをわざわざ溶かして作ったのがこれか?
∧∧
( ‥)だからキューピーちゃんでなく
キューピッドだと
( ‥)同じようなもんだべ
‐□ あれ以来、
西欧の趣味と造形は
下劣で悪趣味
西欧人はセンスが悪い
という印象が
非常に強くてな
子供の頃の経験というのは、そういう強烈なものでもある。オーケストラの演奏を見ても、舞台は暗く陰鬱で悪趣味だ。
∧∧
(‥ )趣味の話題は個人が持つ
\‐ 神経が励起するかどうか
そういう問題だから
普遍性を論ずることは
できないよね
だからこそ征服者が
やったことは
文化と趣味の押しつけで
それは文化侵略であり
自分の脳を押しつける
破廉恥な行為だったわけでね
(‥ )まあそうね
逆に言うと
もし自分が征服者で
現代の西欧を略奪したら
金細工や銀細工の工芸品は
全部溶かすだろうな
∧∧
( ‥)なんの躊躇も無くね
( ‥)キューピーちゃんは
‐□ いくらでもあるべ
プラスチック製のキューピーちゃんがあれば問題なかろう。
そして西欧世界から略奪し、鋳つぶした黄金のインゴットから、もっと趣味の良い金細工を中南米の人々に作らせるのだ。
とはいえ思うに
西欧人はやたらとごてごて飾りたがる。ガーゴイルたちで飾られたゴシック建築の教会しかり、アールヌーボーが見せる、華麗だけども、なんか悪趣味な感覚もその延長線なんだろう。
∧∧
( ‥)なんででしょうね?
(‥ )なんでだろうな?
高緯度のはかない太陽と
弱い光
氷河期に一度破壊された
単調な植生と
貧しい土地と暗い森
これらがああいう
趣味の根源かね?
やたらと裸を造形したがるのも、ゲルマン以来の伝統じゃね? とも思える。
とはいえ妙に感じることもある。例えばゴッホは日本の浮世絵に打たれて、南フランスの明るい世界を日本に見立てたと言うけども。
∧∧
(‥ )でも、日本の伝統美って
\‐ これもまたなんか暗いよね?
(‥ )西欧よりも低緯度なのにな
もしかしたら
更新されない過去の建築や
過去の工芸品が
古びてくすんでいるのを
見ているせいかも
知れないけども....
日本の漆細工とか螺鈿、屏風絵とかが、なんか暗いイメージがあるのは否めない。これは本当はくすんでいるだけで、出来た時は非常に派手で見栄えのするものだったのだろうか? あるいは見方が悪いという可能性もある。あれらは電気による照明がない時代、部屋に差し込む太陽の光、あるいは暗い灯火の元、光を反射させる姿をこそ見るべきものであったかもしれぬ。
一方、気候や太陽光線がその土地と、その土地の人々の感覚や芸術性に影響を与えるというのはしばしば言われるところ。別に統計的な論証があるわけじゃないが、感覚としては納得のできる話でもある。
∧∧
(‥ )アフリカへいった人が曰く
\‐ あちらの色使いは
原色が多いけども
本当にそういう自然だったと
(‥ )アフリカの人の色使いは
強烈だよね
でもなんか良い感じに
合ってるよなあ
肌が黒いこともあって
実に良い
だが、それも、太陽光線が相対的に弱い日本では、妙に沈んで見えたりはしないか?
∧∧
( ‥)しかし日本は西欧よりは
低緯度で
太陽光線はより強いはず
それだのに
なんか造形が暗い?
( ‥)湿気がいけないのかな?
‐□ ゴッホがもしも日本に
やってきたら
湿気にびっくりするの
だろうなあ
でも、浮世絵は
すかっとしているよね
庶民向けだからかな?
もしかしたら、室内で高額な工芸品や美術品の自慢大会をしているから暗くなるのだろうか?
反対に、庶民向けに、これが噂の二枚目です、こちらが噂の美人さんです、これがどこそこの名所です、そこから見た富士山です、そう案内する方が、物事は明るくなるのかもしれぬ。
それこそ、初期には暗い室内でジャガイモを食べる人々を描いていたゴッホが、やがて光と色を求め、南フランスへいけば日本な感じで浮世絵になるんじゃね? と当たっているのか外れているのかよく分からない思い込みをしたように。そう思えるような造形が浮世絵で実現されたように。
∧∧
(‥ )工芸品や美術品は
\‐ 自分の社会的な地位を誇示する
ものでもあるから
自慢大会の品である
そうである以上
造りがこるし
電気がない時代だと
暗い部屋で見ることに
なるよねえ
(‥ )だから暗い造形なのかな?
西欧の造形も
なんか暗くて陰鬱な
造形だものな
そして日本の緯度では
室内はやはり暗い
だからどちらも
薄暗い場所の造形だ
そういうことかな?
それに、そもそも自慢大会は閉鎖的で暗いものだ。自慢の箇所が開けっぴろげになるよりは、隠した方がオタク同士ではむしろ様になるということもある。これがゆえ、論点が隠されて分かりにくくなる。
そして太陽光線とそこに含まれる紫外線は、工芸品や美術品の天敵だ。強固な分子結合を誇るプラスチックでさえ分解されてしまうのは、物干しや洗濯バサミを見れば分かること。勢い、高価なものは室内に秘匿し、そこでひそやかに閲覧されることになろう。
∧∧
( ‥)だけど、庶民の手軽な娯楽は
そうではないのだと?
( ‥)例えば文学だって
‐□ 無駄に難解になって
読書家たちの
俺様の読書自慢アイテムに
成り下がっているだろ?
でもラノベはそうじゃない
どっちが良いとか以前に
違いが出るのはむしろ
こういうことかもな
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