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2013年9月19日木曜日

魔法がファンタジーだと勘違いしては駄目だ、逃げるんだ!

 
 ( ‥)ああああ、、体が重い
     というか急激に眠気が
     襲ってきたり、
     食事したらおさまったり
 
 ∧∧
( ‥)なにもかも不足して
    いるんじゃね?
 
 さて
 
 先日、こんな話を見た
 
=>和訳魔法にシステムは必要か ― 西洋ファンタジー界に起こりつつある異変 : Kotaku JAPAN

=>原文But, but, but — WHY does magic have to make sense? | Epiphany 2.0
 
 ∧∧
(‥ )へー、ファンタジー小説にも
\‐  魔法の体系化の波が
    押し寄せているんですか
    めんどくさいですね
 
  (‥ )それが言う通りだとしたら
      なんかSFの末期みたいだな
 
 SFの末期、というと怒り狂う人も、力のない諦観の笑みを浮かべる人もいるだろうけども、これは

:かつてのSFは設定がめちゃくちゃで科学的考察はげろげろ、御都合主義だったけども、だが面白かった

:ある時、どういうわけかSFは科学的考察を重視するようになった

:そんなもの、一部のマニア以外、面白くないしろもので、当然、ジャンルは低迷し、取って代わるかのようにファンタジーが勃興して、読者を奪われたSFは敗北した

:これは巨大科学の負の側面が注目され、科学が軽視され、オカルトが重視されるよからぬ風潮の反映だと...
 
 ∧∧
( ‥)はあ、そうなの?
    もっともらしいけど、
    前半と後半、矛盾してね?
 
  (‥ )ひとつの解釈で、
      そういう意見を
      申し述べた人が
      いたって話さ
 
 彼の解釈は解釈だ。単なる懐古趣味ではないか、とか以前に、いかにもっともらしくても解釈は解釈。その解釈が妥当な説明そのものとは限らない。
 
 とはいえ、
 
  ( ‥)まあ、科学したSFは
    ‐□ つまらなくなるだろうな
      大人気のスターウォーズも
      科学的な見地からすれば
      まったく正当化できない
 
 ∧∧
( ‥)光速を自在に越える宇宙船、
    異星人と人類が普通に
    会話して社会を築ける世界、
    それを科学じゃないと
    否定して、
    人気作をSFから追放したら
    ジャンルはただ衰亡する
    だけでしょうね

 
 創作は創作でしかない。現実ではないのだ。そして科学は現実を記述する理論体系だ。創作は科学ではない。事実、創作は論文ではない。
 
 確かに、SFはサイエンスフィクションである。ゆえに科学すべきだ、と言えば、それは三段論法的で論理的かもしれない。しかし、SFはまぎれもない創作であり、創作は現実からの飛翔である。この理屈からすれば、前の言い様はただのたわ言だ。現実からの飛翔であるはずの創作を、現実を記述する理論で束縛してどうする?
 
 ∧∧
( ‥)創作は飛翔力を失い、
    現実という大地に
    叩き付けられる
 
  (‥ )そういう意味では、
     科学じゃないものは追放だ、
     これが本当にSF界において
     起きたのなら、
     創作の自殺行為だよね
 
 ファンタジーも創作だ。呪文一つで状況を是正し、ほうき一つで空を飛ぶ。
 
 ∧∧
(‥ )ファンタジーもかつてのSFと
\‐  同様で、現実からの飛翔で
    あったのですよね
 
  (‥ )現実からの飛翔。
      意地悪な言い方をすると
      逃避なんだがな。
      まあ、楽しみってものは
      不道徳で淫らなものでね
      言うなれば、
 
 逃避でないものは娯楽ではない
 
 といったところだろうか?
 
 だが、そんな淫らで自堕落な世界において、魔法が体系化されたらどうなるか?
 
 その世界では魔法はただの学校の授業と同じだろう。それも魔法学校という言葉から連想できるものじゃないだろう。呪文を覚えるとか、ドラゴンの名前を覚えるとか、マンドラゴラを使って秘薬を作るとか、そんな微笑ましいものじゃなくなるだろう。
 
 ∧∧
( ‥)まるで周期表を覚えるように
    元素霊の関連性を学び、
    物理の公式を覚えるように
    呪文を読み解き、
    魔法力学と魔法量子論を学び
    微分積分を用いて問題を解いて
    勉強をしなければいけない
 
  (‥ )魔法が体系化された時、
      ファンタジーは現実の
      似姿になって魅力を失い
      地に落ちるというわけだ
 
 リンク先の著者の嘆きはごもっとも。
 
 魔法は科学ではないのだから...
 
 いや
 
 嘆きはごもっともだけども、残念、魔法は本来、科学なのだ。
 
 ∧∧
( ‥)単に敗北して見捨てられた理論
    というだけでね、
    本来は自然を説明する理論体系
    それそのものであったと
 
  ( ‥)科学の歴史を調べていると
    ‐□ 自分自身がどうも
      魔法使いにならなければ
      いけない場面に遭遇する
      わけよ。
 
 ∧∧
( ‥)あなたは魔法使いになる
    必要があると
 
  (‥ )本を書くってのは
      そういうもんでな、
      だけどもねえ...
 
 魔法というもの、これがもう絶頂にうんざりする、見るのもいやな理論体系なんである。
 
 地火水風 熱冷乾湿、元素と状態の組み合わせからこの世界の流転を説明し、惑星、植物、宇宙、人体、鉱物のすべてを説明、操作できるという、巨大な理論体系。
 
 天文学、占星術、冶金学、医学、草本学、それら全部がひとつとなった、いわば古代、中世の大統一理論。
 
 ∧∧
( ‥)でも、なんのこっちゃない
    これは日本で言う
    漢方とか風水なんですよね
 
  (‥ )そもそもおそらく
      漢方とかの原点は
      西洋魔法だからな、
      なんだかんだいって
      近似なのよな。
 
 漢方、風水だ、という言葉の響きを考えれば分かるが、こんなもの面白いわけがないんである。面白くないだけなら良いのだが、なお悪いことに役に立たない。
 
 ∧∧
( ‥)苦痛ですよと
 
  ( ‥)おれ、魔法、
    ‐□ 大嫌いなんだよね
      確かに、西欧魔法は
      科学を生み出したし、
      錬金術と天文学の要素は
      東洋魔法では薄い要素で
      そこは魅力的なんだがね
 
 だが、やはり魔法はそんな面白いものじゃない。
 
 だもんだから、ファンタジー創作を見ると、いつも思う。
 
 これ、魔法じゃねえじゃん。
 
 魔法はこんな楽しいもんじゃあないでしょう。
 
 ∧∧
( ‥)それを考えると、
    ファンタジー小説は
    実は魔法から逃げたのだと
    言えますかね。
 
  (‥ )魔法は敗北したが
      本来は現実を説明する
      科学理論体系だった
      だとすると、
      現実から逃げるのが
      創作なら、
      ファンタジー小説は
      魔法から逃げなきゃ
      だめってことだ
 
 ああ、そう見ると、やはりリンク先の著者の言っていることは正しい。
 
 ファンタジーは魔法である、これがそもそもの間違いなのだ。ファンタジーといえば魔法だ、そう思い込んで魔法に手を触れてはだめだ、魔法はファンタジーじゃない。それは敗北した現実だ。勘違いして触れちゃだめだ。逃げるんだ。

 ファンタジーは魔法から逃げなければならない。
 
 ∧∧
( ‥)SFを科学だと勘違いして
    現実に触れて大地に
    叩き落とされたような
    ことになりますよ、と
 
  ( ‥)でもなんか、すでに
    ‐□ 手遅れみたいね、
      次は、みんなどこへ
      逃げるんだろうなあ?
 
 ついでにいうと
 
 ∧∧
(‥ )まあ、でも、魔法に
\‐  現実逃避の要素があった
    ことは事実ですよね
 
  (‥ )魔女ってのは経験的に
      草の持つ薬物に詳しい
      ばあさんが独自に調合した
      ものでラリった姿だ、
      そういう解釈あるよな。
 
 それこそ飛翔感を得るためにラリって、セックスの暗喩であるほうきにまたがり、薄汚れ、老いた自分を忘れて飛翔することを、一人寂しく隠れながら空想する。ファンタジーにおいて魔女が最高のシンボルであることは、多分、偶然ではないんだろう。
 
 
 続く=>hilihiliのhilihili: その冒険は暗い物置で起きていることだった
 
 
 

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