自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2013年9月13日金曜日
草葉の陰に大統領
hilihiliのhilihili: 警察官はいやだけど、警察官しなくちゃいけないの続き
湾岸戦争(1991年開戦)が始まる前、一般市民を相手に演説をする大統領にやじがとんだ。あるいは、垂れ幕であったか。
「石油のために戦争をするのか?」
これに対し、ブッシュ(父親)大統領は答えた。
「いや、これは正義のための戦争なのだ」
∧∧
( ‥)うろ覚えだけど、
あなたの記憶ですね
( ‥)本当は石油のための戦争
なんだけど、
兵隊さんに向かって
石油のために死んでくれ、
とは言えないからな
本音は本音。建前は建前。理想は理想。現実は現実。
そんなこと、百も承知なブッシュ大統領(パパ)とパウエル将軍であったのだろう。
∧∧
(‥ )確か、クウェートから
\‐ イラク軍をたたき出した
現地司令官がさらなる
追撃をしようとしたのを
パウエルさんが
やめさせたって出来事
ありませんでしたっけ
(‥ )うろ覚えで書くのは
良くないけども、
そういう話あったよな。
シュワルツコフ司令官を
途中で止めたって話ね
結果的に延命を許されたフセイン大統領は国内で起きた反乱を鎮圧したのであった。
南部のシーア派を。北部のクルド人勢力を。
それを見たアメリカ国民からは当時、ごうごうたる非難の声が上がった。なぜフセイン大統領をそのままにしたのか? なぜイラクに攻め込まなかったのか?
∧∧
( ‥)湾岸戦争はフセイン大統領を
退陣させられなかったから
軍事的にも失敗だった
そんなことを書いた本も
当時、ありましたよね
(‥ )アメリカ人が書いた本でね
あれを見た時は、
衝撃だったな
本当にめまいがしたよ
パパブッシュと将軍の
判断はまったく正しかった
のではなかったか?
少なくともアメリカの立場で見る限り、敵であるイランと同じシーア派を助けてどうなるだろう? 周辺諸国にまたがり、お互いに敵対する組織もあって、さらにそれぞれの国の政府と対立しているクルド諸勢力に介入してどうなるだろう? それらをしたら周りの国々はどんな顔をするだろう?
見捨てたのは確かに人の道には反するが、では介入したらどうなっていたのか?
∧∧
(‥ )石油ではなく、正義の戦いだ
\‐ アメリカ国民はそれを
真に受けたって
ことですかね?
(‥ )事実、2001年の
アメリカ同時多発テロを
受けた後、
ほとんど言いがかりで
2003年、イラクに
攻め込むわけだね
湾岸戦争の画竜点睛を
いまこそつけるのだ、
そういう勢いだよな
バカバカしいが本気でね
しかし、というか、当然のごとくあの結果。
∧∧
( ‥)パパブッシュの判断は
正しかったのだ、と
( ‥)この世界には
‐□ 遅れた進んだとかでは
なくて、
欧米とは状況も条件も
統治もまるで違う国家が
存在する、
そこに民主主義を
押し付けても機能なんか
しやしない。
そういうことを
アメリカ人の大多数は
まったく
理解できていなかった
そういうことだよね
それを考えると
∧∧
(‥ )オバマさんが10日の演説で、
\‐ イラク戦争の後、
独裁者を排除したら
次に起こるすべてに
対応しなければならなくなった
我々はそこから学んだ、
今ひとつの独裁者、
つまりサダトさんを排除する
ことはしない、
これを言ったのは
画期的かもですね
(‥ )アメリカ大統領の演説を
全部網羅してるわけじゃ
ないけど、なんかすごい
ぶっちゃけたよな
大量破壊兵器の危険性を
アメリカに向けない限り
独裁は容認します、
ということだからね。
これも、サダム・フセイン大統領の功績、ということか。
( ‥)大統領も、
今頃、草葉の陰で
お喜びだろう
∧∧
( ‥)俺の前に気づいてほしかった
そう思っているのでは?
いや、気づいてはいたんですよ。少なくともパパブッシュとか、将軍とか。
しかしである。人はさほど賢くなくて、やってしまってから気づくのだ。
∧∧
(‥ )これを考えると、
\‐ これから先のアメリカは
大量破壊兵器の使用には
断固とした報復というか
見せしめの攻撃をする
その一方で、
逆らわない独裁者には
暗黙の了解を与える、
そうした方向へ舵を切る
そういうことですかね?
(‥ )そうなるのが現実だろうけど
現実の人々がそれを自覚する
のはまだ先かもね。
多分、言ってるオバマ大統領がそういう風には考えていない可能性もあるし。
∧∧
( ‥)なぜに?
(‥ )毒ガスの使用には
安全保障として断固たる
措置をとるが、
安定の要になるなら
たとえ相手が
独裁者であっても
温存し、利用しよう
そう自覚している
指導者がだよ
そういう理解の方針や戦略の枠組みで動いている指導者が、友邦国である日本の安倍首相(しばしば国家主義者と揶揄される)と距離を取る、というのは理にそぐわない。意味不明だ。
∧∧
( ‥)理に沿った行動を取らない
それは別の理に沿って
行動しているのでは?
(‥ )ということはだ、
オバマっち自身は
以上のようには
考えていないって
ことだよね。
あくまで当てずっぽうだけども
しかし、演説で、
4年半、戦争を終わらせる仕事をしてきました、帰還した兵士の皆さんはそれぞれの家庭からこの国を立て直してほしい、中産階級を盛り上げてほしい。
そういう言い方をしていることからすれば
∧∧
( ‥)国内問題しか見ていない?
(‥ )というか戦後処理しか
していないし、
それしか眼中にない、
そういうことじゃね?
リベラルらしいと
言えばそうだよね
そしてリベラルなら
安倍っちと仲悪いのは
おかしな話じゃないな
まあ、でも、それが当然なんだろう。人間、できることには限界があるし、理解できることにも限界がある。指導者ともなればむしろなおさらだ。
圧倒的な人気を誇った小泉首相だって郵政民営化、が精一杯だったわけだし。
∧∧
(‥ )人生でかなえられる願いは
\‐ たったひとつ
(‥ )パパブッシュはベトナムの
敗北を念頭にいれて、
将軍と一緒に大勝利を
おさめた。
もちろんこれは、とてつもない大兵力を長距離輸送して、万事条件を整えて、しかも敵国には基本的に入り込まない。それを踏まえて、局地的な勝利と目的を追求した戦いだったわけで。実は例外なのだとも言える。
∧∧
( ‥)アメリカって陸戦では
勝利を納めたことが
事実上、ない、とも
言えますよね。
(‥ )ロシアと挟み撃ちした
対ドイツ戦、
クウェートだけに
しぼった湾岸戦争、
それ以外は朝鮮戦争
ベトナム戦争、
そしてイラク戦争
ひどいもんだからね
いや、ベトナム戦争の愚を踏まえて、目標をしぼってせっかく大勝利した湾岸戦争だのに、それで訳の分からん勘違いをしてしまったからこそ、結果的にイラク戦争という大失敗をしてしまったわけで。
∧∧
(‥ )パパブッシュは勝った
\‐ しかしそれしか
評価されなかった
ジュニアは
フセイン大統領を打倒した
しかしそれだけだった
オバマさんは戦後処理、
それだけで終えるだろう
(‥ )戦後処理による復興の
果実があっても、
それを収穫するのは
オバマ大統領ではない
こういうのは当然、
時間差があるからね
たぶん、あまり良い評価を
されることもなく、
普通のレッテルを張られて
おしまいだろうな。
いや、指導者ってのは
ほとんど全員
そうなのだよね
みなさん、ひとつの仕事を終えて、そして草葉の陰へと去っていくのだろう。評価として考えた場合、実りの少ない人生。しかし、考えてみれば、それこそが彼らの義務だとも言える。
∧∧
(‥ )もしかしたら、オバマさんの
\‐ 演説はリベラルゆえの内容で
戦略的な深い意味なんか
実はないかもしれない
(‥ )軍隊とか専門機関から
具申はされるから
演説に戦略的な意味が
混ざるけど
本人自身の理解は
そういうものである
必然性はないからね
I agree あの二文字もそういう文脈で理解されるべきものなのかもしれない。
とはいえ、しかし、言い換えれば指導者たちはほんの少し、ただひとつだけあるべき方向へ舵を切ればそれで良いのだ。失敗すれば、それこそオバマ大統領がやっているように逆に切ればいい。これらが累積すれば結果が出る。この過程において本人自身に自覚がある必要性はないし、自覚がなくとも歴史には参画しているし、後の時代から、これがターニングポイントだった、そう言われることもあるのだろう。
皆、ひとつのことを成し遂げて、草葉の陰へと去りゆくのみ。
ところで
∧∧
( ‥)あの、クリントンさんは...
(‥ )口ですれば浮気にあらず
男一匹、成したり格言。
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