自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2013年7月22日月曜日
首都を守るために敵国の首都を陥落させる
見れないから直接確認したわけじゃないが、宇宙戦艦ヤマトのリメイクがやっている。
∧∧
( ‥)なつかしい?
( ‥)子供の頃、見てたなあ
船底をドメル将軍の
自爆でふっ飛ばされても
翌週には何事も無く
航海していて、
どうなってるんだ?
そう思ったもんだけどね
あれはなにか記憶に残っている。将軍の自爆に気がついて退避するのだけど、間に合わずにみんな吹き飛んで、船底はがっぽりそげ落ち、死体の断片なのか遺品なのか知らんけども、なにか納めたカプセルをごろごろ宇宙に流して葬式を上げる。
しかし、今にして思えば、補給なしの戦艦。しかも自分たちの技術ではなく技術供与された知識で作ったがゆえ原理的に構造がよくわからない、そのたった一隻の船で大帝国の奥深く入り込み、あまつさえ、首都星を陥落させるというすごい話。
∧∧
(‥ )でも、リメイク版だと
\‐ 色々と工夫されているみたい
ですね。
ネットで見る限りでは
集結したガミラスの艦隊が
バラン星の崩壊で
首都星から遠く
孤立してしまうという
困った状況らしく。
(‥ )相手の大国が首都を
防衛できない状況に陥る
一隻で敵国に攻め入る
条件をストーリー上、
整えたわけだな。
それでも御都合主義は
否めないだろうけども、
物語ってのは本来は夢で
夢は基本的にそういう
無茶ぶりを強引に
押し通すものだからね
そこがフィクションに
必要な工夫よな。
例えば、容易に敵の侵入を心臓部まで許し、そこを戦闘機に攻撃されただけで大爆発してしまうスターウォーズのデススター。
そんなものは...まじめに考えるのなら作らないよね。
だが、そうする。あえて。
∧∧
( ‥)あなたがヤマトの旧作を
見たのは
再放送時みたいですね
ちょうどスターウォーズの
映画が公開された時でしょ
( ‥)田舎だったからかな
‐□ あれが地元では事実上の
本放送になるのかも
しれないけども、
あれよね、
日本の制作者も
アメリカの制作者も
無理な設定であっても
物語とストーリーのため
あえてそういう展開にした
それが分かる二作だよね。
それが同時だったというのは、どうでもよいことだけども、感慨深い。
物語をそういう展開にしないと、デススターを陥落させるために3本ぐらい映画を撮ったり、ガミラス帝国の首都星を陥落させるために、地球艦隊を長距離遠征させなきゃならんわけで、一隻の船の話でもなんでもなくなる。当然、人間関係も国家や組織のあり方さえも根本から変わらざるをえない。
それはそれで面白いかもしれないけども、番組や映画にするのは、うーん、だろう。
∧∧
(‥ )現実世界の話でいうと
\‐ 7世紀、東ローマ帝国皇帝
ヘラクレイオス1世さんは
自国の首都を敵にさらしながら
敵国の首都をついた人ですよね
(‥ )まだ原典を読んでないけど
聞く限りはそうなのよな
東ローマ帝国の首都、
コンスタンティノープルの
城壁は、古代の技術では
打ち破れないから
包囲されても
持ちこたえられる。
そして敵の軍隊を退かせるために、敵の軍隊を打ち破る必要性はかならずしもない。
∧∧
( ‥)中国の春秋戦国時代の話
でしたっけ?
大国に攻められた小国を
救うために、その大国の
首都を突く、という。
(‥ )たしかそうよな。
ヘラクレイオス1世も
ペルシャの首都を突いて
勝利を納めて、
奪われた国土を取り返し、
英雄として帰還する。
∧∧
(‥ )昔の軍隊はその点、
\‐ 良いですよね。
現地で略奪すれば
補給できますから
(‥ )昔の軍隊って何年も
敵国内をうろうろしたり
するからね。
今みたいに機械化された
軍隊だとちょっと
厳しいよね。
未来技術で機械でも
現地略奪でオッケーだと
したら...、なんかどんな
世界なんだろうね?
自分たちの母星が包囲されているのに、敵国の首都を陥落させるという物語を(歴史的な、あるいは現実的な意味で)まじめに作ったらこうなってしまうのだろう。
∧∧
( ‥)それが面白いか
面白くないかはともかく
(‥ )物語の意味がまるで
変わってきちゃうよな。
ある人、曰く、宇宙戦艦ヤマトはなすすべもなくアメリカに敗北した、という日本の経験と望みから来た物語であると。
∧∧
( ‥)陥落寸前、爆撃、
起死回生
( ‥)ヘラクレイオス皇帝の
‐□ 話にしたら、
そういうものは
なくなっちゃうよね
現実の話をすれば、それは悲惨なものだった。だからこその物語である。
そして、もはや関係ない話だけども、悲惨と言えば、それはヘラクレイオス1世もそうだった。ローマ帝国とペルシャ帝国。何世紀にも及ぶ宿敵同士の最終決戦が始まったその時、それはヒジュラ暦元年。勝利を納めた皇帝の前に、やがて信仰に燃えるイスラームの軍勢が砂の彼方から現れる。最終戦争で疲弊した二大超大国はもはや抵抗できず、ライバルのササン朝ペルシャは瓦解。ローマ帝国も取り返したばかりのエジプト、シリアを奪われ、皇帝は人生をかけたすべてが崩れ去るなか、病に倒れ不遇のまま死ぬ。
∧∧
(‥ )なんか、現実って
\‐ そういう、いやーんな話が
多いですよね
(‥ )英雄たちは、みんな戦場を
駆け巡ってるからなあ。
引退して静かに死ぬ人も
いるけど、
そうでない人が多いよね。
∧∧
( ‥)プルタルコスさんの
英雄伝なんかを
読んでますとね。
(‥ )なんか、皆さん、
たいていはしょうもない
悲惨な死に方するんだよな
市街戦と乱戦のさなか、
おばちゃんだか誰だかが
投げた石が、がつっ、と
当たったりしてな。
だが、それがたまらなくすばらしい。
少し続く=>hilihiliのhilihili: 瓦で頸椎が砕けた
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