自己紹介

イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック

2013年7月15日月曜日

質問だの反語だの、そんな小手先の問題ではない。資料が間違っている。

 
 ∧∧
(‥ )2位じゃいけないんですか?
\‐   この発言には弁護の余地が
     あるのではないか?
     そういう考察ですね。
 
  (‥ )ほう?
 
 
 事業仕分け。この時の有名な台詞「2位じゃだめなんですか?」は
 
 2位で駄目な理由を説明してください

 という意味かもしれないし、
 
 私は2位で良いと思います
 
 という意味かもしれない。
 
 どっちとも受け取れる。
 
 ∧∧
( ‥)しかも会議場での質問だから
    むしろ、駄目な理由を説明
    してください、そういう
    質問であろう、
    そう受け止めるべき、
    という見解。
 
  (‥ )...いやあ、疑問文なのか、
      自分の見解の表明で
      あったのか?
      あれはそういう小手先の
      問題ではないんだけどね。
 
 例えば2009年に事業仕分けされた掘削船「ちきゅう」。
 
 後に中国との緊張が高まる中、日本周辺の海底にあるメタンハイドレート、その産出実験を成功させたことで報道された船。仕分けされても、なんとかやりくりした結果だ。
 
 この船の事業仕分けにおける質疑応答は以下
 
 =>‎www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/h-kekka/pdf/nov13gijigaiyo/3-19.pdf
 
 この中では、まず「ちきゅう」を管轄する文部科学省の人が事業内容を説明
 
 次に財務省の人が主計局からの立場として、
 
 「ちきゅう」の目的のひとつであり、海底下7000メートルにあるマントルまで掘削、マントルの岩石を採集することは現実的か? という指摘を財務的な立場から行う。
 
 船の竣工から現在(2009年当時)に至るまで、掘削できた深さが1600メートル。7000メートルを掘り抜くのにいったい、何年かかるのか? 維持費は年間155億円。これは無駄ではないのか?
 
 ∧∧
(‥ )こうした説明の後、
\‐  2位じゃいけないんですか? 
    の蓮舫議員さんも含めて
     質疑が続く。
 
  (‥ )蓮舫議員、彼女は言って
      いるのだ。
 
 3年間で1600メートル掘ったものが、どうして4年間であと4,400m可能なんでしょうか?
 
 ごもっとも。理屈の上では10年以上もかかる。確かに予算の無駄だ。
 
 と言いたいが、実はこれ、そもそもまったくの勘違いなんである。
 
 3年間で1600メートル掘ったわけではない。1回の航海でちゃちゃっと掘ったそれぞれの掘削孔。その中で一番深いものが当時1600メートルだったというだけなのだ。別に4年間がりがり掘って、ようやく1600メートルなのではない。実は一ヶ月もあれば掘れるんである。
 
 *2011年にはそれまで650メートルまで掘っていた穴(低気圧の直撃で現場を離れざるをえなかった)をもう一度掘り進めて、2466メートルまで掘削した。これが現時点における海洋掘削の世界最深記録。これだって一回の航海の掘削だ。
 
 **では、「ちきゅう」が今でもマントルまで掘っていないのはなぜか? 別にマントル掘削だけが目的でない、例えばメタンハイドレートや地震と断層の解明ということもある。しかし、それもさることながら、実はマントル掘削は国際プロジェクトなのだ。どこでマントルを掘るか、欧米アジアその他含めて、研究者の間でまだ審議中。
 
 ∧∧
(‥ )でもやむを得ない勘違い
\‐  なんですよね。だって
    当時配布された資料と、
    財務省の人の説明が
    間違っているんですから
 
  (‥ )だがな、これは
      言い訳できないんだよ。
 
 本来、財務省が、「あなたがたはこれだけの予算をくださいとおっしゃるが、これはどういうことでしょうか?」、そういう問いを書類で出して、それに対して文部科学省が「いや、これはこれこれだからです」そう書類で回答するのが筋なのだ。
 
 自分の金を湯水のごとく使える大富豪とかならともかく、国家の予算なんである。
 
 年間100億以上かかる事業を口頭だけでやりとりする馬鹿が近代国家のどこにいるというのか?
 
 ∧∧
( ‥)つまり、本来、こういう
    勘違い、
    ”4年間で1600メートルしか
    掘っていない”、は
    書類のやり取りで是正される
    はずのものである。
 
  (‥ )そういう官僚のやり取りに
      だな、口先だけで参加した
      のは、誰か? 
      それを自ら望んだのは
      誰なのかって話よ。
 
 資料は間違っていた。
 
 ゆえに理解も間違っていた。
 
 だから事業仕分けも間違っていた。
 
 そんなことになったのは官僚のせいではない。彼らはそれを是正する手続きを進めるためにこそ、書類を作る。
 
 間違えたのは、自ら望んで、書類ではなく、口頭だけでええかっこうしいをした政治家、本人たちが負うべきことだ。
 
 ちなみに
 
 ∧∧
( ‥)あなたは資料が間違っていると
    どの時点で気づきました?
 
  (‥ )どうもおかしい、そう
      思ったのが検索開始から
      3時間後だね。
      確信したのはもう少し先
 
 しかし事業仕分けは一件につき30分程度の時間しかかけなかった。
 
 ∧∧
( ‥)じゃあ不可能だ。
 
  (‥ )だからさ、書類で正式に
      担当者とやり取りするのが
      筋なのよ。
      官僚いやだ、書類は
      官僚主義のごまかしだ、
      とかじゃ駄目なんだよ。
      そこまで社会は複雑で
      巨大化しているんだ。
      村の公民館じゃないんだよ
   
 
 30分、口頭で。これで、一体全体なにができる? なにもできやしない。
 
 事実、こんな時間で資料の間違いも探せというのは無理だ。
 
 だが、それを自ら望んでやったのは、政治家本人なのだ。
 
 だから言葉が足りませんでしたとか、そんな問題ではない。
 
 言葉が是正されても、そんな小手先では根本的な誤りを直す事などできやしない。小手先の勝負では、自分の愚かさは是正できないのだ。
 
 

      

ブログ アーカイブ