自己紹介

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2013年7月28日日曜日

瓦で頸椎が砕けた

 
 俺様理論家。
 
 色々な奴がいる。鳥の進化を勝手に想像するもの、あるいは人間の進化、あるいは数学の証明をなし得たと主張し、あるいは相対性理論の間違いを指摘し、一昔前なら、私は湯川博士を超えたと自称研究所(自宅)を作り、あるいは地球の中身は液体だと考えて独自の地震理論を語る講演会を開く。
 
  ( ‥)愚かよな、
    −□ 健康論とか吹聴すれば
      詐欺師になって
      楽に暮らせたのかも
      知れないのに。
 
 ∧∧
( ‥)あなたたちお猿さんにとって
    重要なのは、
    健康、金儲け、地位の向上
    ですからね。
 
 そこんところを突かないようでは、駄目だね。ほら、そんなんだから人生があっさりと詰むんだよ。
 
 ああ、だから諸君。君らの人生はまったくの無駄に終わるのだ。
 
 それは君が俺様理論屋だから、だけではない、おまえがきちんと論文を読まなかったから、それだけじゃない、そこを全部突破しても、それだけではどうにもならんのだ。
 
 ∧∧
( ‥)生きる方向性というか、
    人生という商売において
    販売戦略が間違って
    いたから。ですね。
 
  (‥ )生きるためには売らねば
      ならんわけよな。
      何をどこに売るのか?
      人生には販売戦略が
      あるのだ。
      ここんところ間違えると
      人生は容易に詰む。
 
 人生とはそれ自体が販売で商売なのだ。何を売るか? 体力を売る、時間を売る、危険を売る、才能を売る、色々あるけども、どんな場合であれ、同じは同じ。売り先、売り方を間違えると破滅だ。

 ほんのわずかなずれでしかないのに、自分はそう思っているのに、自分は勝手に才能があると思い込んでいるのに、自分は努力したと思っているのに、隣は馬鹿売れで、自分は閑古鳥、ということになる。
 
 ∧∧
( ‥)あなたも人のことは
    言えませんよね
 
  ( ‥)もし、才能とやる気が
    −□ あって、萌絵とかの方向で
      突き進んでいれば、
      ひょっとしたら今よりは
      収入面で楽、だったかもね
 
 もっとも、そんなこと、想像の域を出ないし、想定するだけ無駄だ。
 
 ∧∧
( ‥)無駄ですね。年齢35を
    超えたら、もう第二の
    選択肢を試すなんて
    ほぼ不可能でしょうから
 
  ( ‥)可能だと、安易に言う
      連中もいるけどな。
      だがそこがいい。
 
 例外をいくら積み重ねても例外は例外だ。分子をいくら増やしても同じ割合で分母が増えるのなら、結果は同じ分数だ。いくら積み重ねても不利は改善しない。無駄なあがきだ。
 
 だが、それがいい。
 
 無駄に終わる人生、これがもうたまらない。
 
 ∧∧
( ‥)人生の終わりに、
    自伝を書く人もいますけどね
 
   ( ‥)聞いてみればいい。
 
 あなたは他人の自伝を読みたいですか?
 
 ∧∧
( ‥)答えは、否、でしょうね
 
  (‥ )馬鹿げたあがきだ
      自分が欲しくもないものを
      他人に売りつけとる。
 
 そしてhilihiliのhilihili: 首都を守るために敵国の首都を陥落させるの、最後の部分の続き
 
 ∧∧
(‥ )ピュロス王さんですね
\−  プルタルコスの英雄伝、では
    ピュルロスで表記されてますが
 
 *プルタルコスの英雄伝。幾つか和訳があるが、「プルターク英雄伝」岩波文庫 全十二巻が、やや古いけども良い感じ(ただし絶版である)。和訳は他にもあるが、ものによっては抜粋であるのみならず、人物名や地名、都市名などが英語読みで、誰だお前? 状態で訳が分からない。
 
  (‥ )岩波版だとピュロス王は
      第六巻で登場。
      前3世紀の人物で、
      読み直したら、
      石じゃなくて瓦だったね
 
 アレクサンダー大王の死後、マケドニア本国に今だに残る王家の威光は色あせて、いまや大王の将軍たちはそれぞれ王を称し、互いに争う乱世の時代。一地方部族の王子として生まれたピュロスは自力でのし上がり、勝ち抜いて、この時代、それなりな地位を築く。
 
 ∧∧
( ‥)歴史的にはまったく
    マイナーな王様ですけど
    ローマと最初に戦った
    ギリシャの軍事指導者ですね
 
 
  ( ‥)ほんのかすかにだけど
    −□ 古代の大数学者、
      アルキメデスの人生を
      かすめた人でもあるの
      だよな
 
 たぶん、アルキメデスは子供時代にこの人の軍隊を見ている。
 
 勇猛で軍事的にすぐれた王であったという。だがおそらく、いくら武勇にひいでていても諸王が割拠する地中海東部に限界を感じたものか、ピュロス王は地中海の西部へ手をのばし、ローマと戦い勝利する。しかし被害は甚大。最終的には撤退せざるをえなかった。そしてギリシャの都市アルゴスを攻め落とそうとしている最中に死んだ。
 
 当時、状況の不利を見て取り、後退を指示。都市から出ようとしたところ、命令が誤って伝わったため、救援部隊が外から殺到。混乱状態に陥った。身動きがとれない道での乱戦中、自分に投げ槍を当てた兵士に切り掛かった際、その兵士の母親が屋根の上から投げつけた瓦が王の兜を直撃、頸椎が砕けたという。
 
 ∧∧
( ‥)即死ではなかったけど
    こいつピュロス王じゃん
    そう気づいた敵兵が、
    動けない王を物陰へ
    引きずり込んで、
    首を切り落としたと
 
  (‥ )なんかさ、王がおっかない
      から、手元が狂って、
      一撃で切れずに、
      何度もがんがん斬りつけた
      らしいよね。
 
 あんまりな死に様である。
 
 ああ、しかし、だからすばらしい。
 
 ∧∧
( ‥)才能も経験も実力も実績も
    あるのに、それでもなお
    あっさり、
    しょうもない死に方をする
    これが人生ですか
 
  ( ‥)人生は無意味でくだらん
    −□ それを教えてくれるだろ?
      実にいいね。
 
 みんな、しなびるように死ぬのだ。努力だ、頑張った、僕を見て、まったくもって馬鹿げている。



 
 
 

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