紀元前21世紀、ウル第三王朝は滅び、これを最後にシュメール人の王朝は途絶え、これ以後、メソポタミアではセム語族の人々が活躍するようになる。
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(‥ )その最後の王様
\− イビシンさんも
四界の王という称号を
使ったのだよね
(‥ )その四界の王に
象形文字の五芒星が
使われているんだよね
現在でこそ魔術の象徴である五芒星だが、紀元前21世紀の時点では、区域の意味であった。四界の王という文脈で意訳すれば天下とでも言えば良いか。壮大な意味ではあるが、五芒星の文字(ウブ)に魔術的意味合いは薄かった。
五芒星が魔術となるのは多分、アッシリア滅亡から後、紀元元年あたりまでのどこかの時点であったらしい。
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(‥ )でさ...
\− このイビシンさんの文字
なんて読むの?
決定詞のアンはともかく
このまま読むと
イビエンズだよね?
(‥ )あーなんだろな?
イビはわかりやすかった。”上げる”の象形文字(発音がイ)と 松明の象形文字(読みはビル)を組み合わせたものなので。
*まんま読むとイビルなんだけども、イ・ビルで”イビ”と読むらしい。日本人が夜露死苦を”よるろしく” ではなく、”よろしく”と読んだりするようなもの。
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(‥ )でも続く3文字は何?
\− 神の決定詞アン
主人の象形文字エン
知識の象形文字ズ
これをなぜシンと読む?
(‥ )んー... なんだろ?
調べているうちに、古代メソポタミアではかなりの王様が神エンズと書いてシンと読むことがわかってきた。
例えば、有名な、サルゴン王の孫であるナラムシンもまた、その名は月神シンの信者という意味であり、シンの部分はエンズと書かれていた。
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(‥ )分かったよ
\− エンズは文字通り
知恵の主人
月の神シンは
知恵の神であり
知恵の主人と書けば
それはシンのこと
(‥ )ああなるほど
洒落というか
そういう読みなんだな
ムカデは本来の漢字では蜈蚣と書く。
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( ‥)でも日本語では
百足とも書くよね
足がたくさんあるから
百足と書いてムカデと読む
中国の人にこれを言ったら
ええ?? って
びっくりされたこと
あったよね
(‥ )知恵の主人
知恵の支配者と書いて
そのままだと
エンズと読むところを
シンと読む
これも同じことだな
エンズの前に神を意味することを示す決定詞のアンを置いて、知恵の支配者の神=シンを意味させて、エンズをシンと読む。そういう表記であった。