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2015年11月19日木曜日

異世界への扉は閉ざされた

 
 SFは衰退した。それは、何を読んでも、このネタは何々だ、この描写は科学的におかしい、これにはSF魂が無い、そう文句ばかり言うSF原理主義者共のせいである。
 
 
 ∧∧
(‥ )どうなんですかね?
\‐
 
  (‥ )痛い奴がいるから
      ジャンルが衰退する
      それが正しいのなら
      アイドル産業は
      存在しないよね
 
 ∧∧
( ‥)SFが衰退した原因は
    多分単純で
 
  (‥ )火星や金星に
      生物が
      いなかったからだろ?
 
 何百日もかかるとはいえ、化学反応の燃焼で推進するようなロケットで行ける距離に生物がいるかいないか、居住可能惑星があるかないか、というのは夢や展望に大きな影響を与えるだろう。
 
 ∧∧
(‥ )探査機が到着するまで
\‐  火星や金星は本物の
    実際にいける異世界だった
 
  (‥ )それが
     探査機が
     到着したらどうだね?
     片や
     南極がハワイのように思える
     低圧低温の砂漠で
     もう片方が
     90気圧400度以上の
     灼熱地獄だろ?
     これじゃあ夢もロマンも
     冒険も無いよね
 
 
 今、火星の映画を作っても、そこにあるのは冒険ではない。遭難した人間が遭遇するサスペンスである。
 
 金星の映画なんてものがあるとしたら、それは一体全体、どうなることやら。

 異世界の扉はこうして閉ざされた。
 
 本当にいける異世界ならファンタジーにも勝るだろう。事実、勝っていた。
 
 だが、いっても生活できない地獄と分かれば、ファンタジーが勝利する。
 
 
 ∧∧
(‥ )まあ単純な話だね
\‐
 
  (‥ )あとはあれな
      なんでもそうだけど
      一度衰退し始めると
      科学のことを
      良くわかっていない
      原理主義者が
      俺様理論をふりかざすから
      ますます
      原理主義化して
      残るのはテロリストだけに
      なるってやつだなあ
 
 
 それに流行りもあれば廃りもあろう。人の好みは一定することなく、とどまることもない。アニメの女の子の顔を時代順に並べれば、それは誰でも分かること。
 
 それはそれとして
 
 ∧∧
(‥ )最近みたものでは
\‐  何が良かったですか?
 
  (‥ )シドニアの騎士って
      やつだな
 
 ∧∧
(‥ )小惑星を推進させて
\‐  それをこちらに
    ぶつけようとする敵を
    阻止するって話が
    あったよね
 
  (‥ )厳密に言うと描写は
      正しくないんだろうけど
      言わんとすることは
      分かるのよね
 
 長い砲身を持って迎撃に向かったら、小惑星の重力でどうも操作がうまくいかない。砲身をそのままにして墜落してしまう者も。
 
 ∧∧
( ‥)小惑星の重力が
    そんな大きいとは
    思えないけども 
 
  (‥ )でも言わんとすることは
      分かるだろ?
      小惑星を周回する軌道に
      乗った時
      長い砲身なんてものを
      もっていて
      それを操作するのは
      危険だよね?
 
 天体の周囲を周回する物体は、なんというか、重心で動く、とでも言うべきか。

 それゆえ、重心から見て天体に近い方は速度が足りない。高度が下がる。それと反対に天体から遠い方は速度が過剰だ。高度が上がる。
 
 ∧∧
(‥ )砲身のように
\‐  細長いものを持っていると
    天体を向いて姿勢が
    安定しちゃうんでしょうね
 
  (‥ )でも小惑星上にいる
     敵を狙撃するわけだよな
     敵は必ずしも砲身の
     真っ正面に
     いるわけじゃない
     ある方向を向こうとする
     砲身を操作して
     正確に狙撃できるか?
     きちんとできるにしても
     制御しきれるか?
     命中率下がらないか?
     という話でな
 
 
 一方、相手は小惑星の上にいる。天体を足がかりに姿勢を維持、あるいは変更できる。遮蔽物に隠れられるし、ビームを使う。当然、重力なんか関係ない。理屈では下にいるはずなんだが、上を取ったこちらを平然と迎撃してくる。
 
 ∧∧
( ‥)ちょっと困りますよね
    物語だと仲間が次々に
    やられて
    ほぼ一方的に
    損害が増えていくという
    いやな描写
 
  ( ‥)言わんとすることは
    ‐/ 分かるし
      漫画で描写すると
      ああこうなるのか
      という感じでな
      あれは才能というか
      熟練の技だよねえ
 
 当たり前だが科学的に厳密に描くと、物事は訳分からなくなる。そもそも私たちがたしなむフィクションは、いかなるものであれ、それが私小説のようなものでさえ、科学的に言っても物理的にいっても肉体的にいっても心理的にいってもどこか破綻しているのだ。
 
 そういう破綻を意図的に起こして、なおかつ認識的に楽しませるもの。そもそもそれがフィクションである。
 
 ∧∧
( ‥)そうである以上
    それをうまく見せられる人とは
 
  (‥ )そりゃ大変な才能と
      経験値ですよ
 
 そういえばあの物語、シドニアの騎士では、宇宙船の推進燃料は、未知の、しかし宇宙に普遍に存在する粒子であった。
 
 ∧∧
(‥ )そうでもないと
\‐  恒星間宇宙船なんて
    動きませんよね
 
  (‥ )宇宙で物体を動かし
      しかも光速近くにまで
      加速していくってのは
      めちゃくちゃ大変だからな
      あの選択肢は正しいよね
 
 
 逆にいうと、そうとでも考え、そして描写しないと、異世界への扉はこじ開けられないってことなのだろう。
 
      
 

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