自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2015年11月2日月曜日
純粋知性は必然的に阿呆で女のことしか考えていないし死ぬ
宇宙人は地球人ではない。当然、異なる進化の歴史を持っており、必然的にその器官と配置と起源と由来はまるで異なる。
∧∧
(‥ )それゆえ
\‐ 宇宙人の姿を想像することは
事実上不可能である
(‥ )宇宙人の姿を想像する
それは数億年に及ぶ
彼らの進化の歴史を
再現することに等しい
それが無理である以上は
無理なのだ
つまりこの話の続き=>hilihiliのhilihili: 宇宙人のデザイン
∧∧
( ‥)やるとしたら例えば
地球の生物をその惑星に
連れて行って離したら
こうなるよとか
その程度が関の山ですね
(‥ )それをやれば
例えば
その惑星の物理的な特性を
表現することが
できるわけだ
例えば重力が2倍の惑星へいったらどうなるだろう? 2倍の重力の惑星では、例えばゾウやウマや鳥はどんなプロポーションになるだろうか? とかそういうものだ。
*もっとも重力が地球の2倍とはえらい大きな岩石惑星であるし、岩石惑星であるとしても表面に大陸があるか分からない。全面が水に覆われているかもしれないし、海は水深何百キロ、何千キロもあって海底は相転移した氷のマントルで覆われているかもしれない。そしてそうなったら岩石と水の直接の反応が無いかもしれないし、生物が誕生しないかもしれない。
とはいえ、宇宙人のデザインというと思い出す話がある。カール・セーガンの書いた本でこういう話がなかったか?
スタンリー・キューブリックによって2001年宇宙の旅が映画化された時、宇宙人を出すべきかどうか? その件で原作者のクラークからセーガンは助けを求められた。
∧∧
( ‥)宇宙人の姿なんて
想像できないということを
スタッフに説明して欲しい
確かそういう助けでしたよね
(‥ )黒地に水玉の服を着せた
ダンサーを
黒バックで踊らせるという
案もあったとか言うな
セーガンは、それをやったら少なくとも印象的にはなったであろう、と述べていた。まあそうだろう。
ともあれ、実際には、2001年宇宙の旅で宇宙人は登場しない。何か暗示的な関与が描かれるだけである。そしてあれはあれで良かったのだ。
∧∧
(‥ )なぜって
\‐ クラークさんの宇宙人って
つまるところ肉体と
物理的な制限を超越した
神様だからね
登場する必要ないよねえ
(‥ )2001年もそうだし
幼年期の終わりも
銀河帝国の興亡も
そうなんだよな
幼年期の終わりは宇宙人オーバーロードの手助けで人類が次の段階へ移行するというもの。誕生した新人類は超能力の延長にあるものだった。彼らは個体を喪失し、全体でひとつとなり時空を越えた超存在となる
*ちなみにエヴァンゲリオンが「幼年期の終わり」のぱくりだ、と言われるのは、人間が全体でひとつになるという、たったこれだけの類似が根拠である。
もうひとつ、銀河帝国の興亡は滅び去った帝国に取り残された地球の物語。地球唯一の都市にすむ少年は帝国が残した知的存在と遭遇する。それはかつて絶頂期にあった帝国がその超絶的な物理学で生み出した遺産であった。肉体を超越し、知性のみで存在する純粋知性。まさに知的生物の悲願。
∧∧
(‥ )どっちも同じだね
\‐ 肉体を捨て知性だけになる
(‥ )こういう発想は
100年前のウェルズから
あるんだよな
ウェルズの火星人は機械を使う生活を長く続け、肉体機能の多くを退化させた。残ったのは呼吸器官と感覚器官と脳と機械を操作する指だけだ。内臓は喪失した。彼らはあろうことか他の生物の血液を直接自分たちに注射して代謝エネルギーを得る。
内臓を喪失した火星人には内臓から生じる情緒というものが無い。
おまけに無性生殖するので性に関する衝動も無く、睡眠すら行わない。
∧∧
( ‥)つまり火星人は脳だけになった
限りなく純粋知性に近い存在
( ‥)クラークの新人類や
‐/ 純粋知性は
火星人の延長だよね
こういう発想はどういうわけか根深いものがある。
例えばあるサイエンスライターは電脳化の究極は人間の精神をネットの世界に移植することだ。本気でそう述べた。
そうなればなんとすばらしきことか。
死滅する肉体から自由になった無限の時間を。純粋な知的活動に永久に割り当てられるすばらしさを想像してごらん!
∧∧
( ‥)...そんなわけねーだろ
(‥ )そんなわけねえよなあ
いつもの話だが、ネットにおける容量も通信速度も有限だ。それは限りある資源でしかない。
∧∧
(‥ )クラークさんの考えた
\‐ 純粋知性もそうなのだろうね
(‥ )あれは空間に刻印を刻んで
そのパターンで
知的活動を支えている
そういう
設定だったと思うが
もちろんこれ、正確に言うと、物質の制約から離れています、であって物理法則から自由ってわけではない。
∧∧
( ‥)思考するにはエネルギーが
必要になるからね
純粋知性であろうと
資源は有限ですな
それを考えると
思考量も有限だよね
(‥ )もちろん
”それでも時間は無限だ
だから事実上思考量は
無限だ”
そう反論することは
可能だけどね
問題は、資源の奪い合いになったら必ず、資源を制圧することに特化したものが現れるということであろう。
∧∧
(‥ )他の純粋知性が1個体死ねば
\‐ その分の資源を奪えるからね
(‥ )他の純粋知性を殺し
彼の容量を奪い
彼のエネルギーを
略奪するのだ
奪った容量とエネルギーで何をするか?
殺し合いが起こるのならやることはひとつ。
∧∧
( ‥)自分のコピーを作るべきです
(‥ )コピーを作り
存続の可能性を
確保したものが
より増殖していくのだ
無限の時間の中で有限の資源をめぐって確保と殺し合いとコピー増殖が起こる。もちろん、あらゆる戦略が登場し、生存競争の中で淘汰されるだろう。これは進化に他ならない。おそらく、知能を喪失して繁殖に特化した純粋知性や寄生生活する純粋知性も出現するはずだ。
∧∧
(‥ )そもそも
\‐ 空間に刻印したから
あるいは
電脳世界の電子媒体に
移植したから
不滅の存在であるって理屈が
おかしいのだよね
(‥ )俺たちの肉体を構成する
分子や原子も事実上
不滅の存在だからな
媒体が不滅でも
生物自体は不安定なんだ
つまりだな
生きるってことは
不安定と同義語なんだよ
実際、そうでないと存在は生物ではいられない。完全な無秩序は生物ではないし、完全に配置が固定された結晶も生物ではない。当たり前だ。
適度に安定で適度に不安定。これが生物。そして流れ込んでくるエネルギーで動作し、行動する。
∧∧
( ‥)完全に安定では
同じことを繰り返すだけだし
そうこうしているうちに
摩耗するだろうし
(‥ )でも
適度に安定で不安定なら
摩耗を自己修復して存続し
神経の状態を変えて
新しいことに対応し
学習できるわけよ
これが生物これが知性
なれば答えは簡単である。
∧∧
(‥ )空間にパターンを刻印して
\‐ 作られた純粋知性も死ぬし
忘れっぽいし
繁殖のことしか考えてないよね
(‥ )多分、阿呆だよね
同じことはいつか遠い未来に出現しうる電脳人間にも言える。彼らは思考速度こそ蛋白人間よりもはるかに速いが、忘れっぽいし、繁殖のことしか考えてないし、阿呆だし、死ぬだろう。
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