自己紹介

イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック

2015年11月24日火曜日

これまでは例外的な時代でしたと

 
 以前、時々一緒に仕事をしていたイラストレーター3名は消えた。
 
 ∧∧
(‥ )別に死んだわけじゃないし
\‐  時折、名前を見るよね
 
  (‥ )1人は2年ぐらい前に
      造形関係で名前を見たな
      本やイラストじゃない
      別の仕事へと
      移動していったから
      俺との接点が消えた
      観測範囲からも抜けたから
      見当たらなくなった
      そういうことだね
 
 ただ、昔も今も、彼らの収入が自分より少ないのは確実であるように思われた。
 
 ∧∧
( ‥)あなたも去年今年と大打撃を
    受けているけどもね
 
  ( ‥)でもなあ彼らの場合
    ‐/ 年収100万
       いってないと思うけどね
 
 たとえば彼らのうちの1人を取り上げて考えてみよう。彼の場合なら1年間全力でノルマをこなして...理想的な状態で年収120万になろうかどうか、という感じ。
 
 ∧∧
(‥ )でもそれでも生きている
\‐  生活はできているわけだ
 
  (‥ )実家ぐらしだからね
 
 例えば親が怒って、お前は月に5万円、家に入れろ! と言ったところで、そんな金は年間で60万にしかならない。
 
 年収100万あれば問題ない。60万を入れても、40万自由に使える。
 
 あるいは自分の生活費はすべて自分で立て替えたとする。

 自炊すれば食費は月に3万、4万程度に収まるし、ガス光熱費は1日中家にいて、何部屋もあるから費用はかさむものの、それでも2万、3万とかそんなもんだろうか?  通信費は携帯とネットで2万というところ。
 
 すると月に9万。年間で108万
 
 ∧∧
(‥ )年収100万では
\‐  苦しいだろうけど
    それでも不可能ではないね
 
  (‥ )もちろん、税金とか
      保険料とかもあるから
      もう少し必要なのは
      確かではあるがな
 
 だが、アパートで一人暮らしすると以上の前提は苦しいうんぬん以前に破綻する。なぜって、単純に家賃がかかる。家賃が一月5万なら年間60万の出費が加算される。
 
 ∧∧
( ‥)アパート暮らしなら
    年収170万で
    ぎりぎりですかねえ
    実際には
    200万は欲しいところですね
    年収240万なら
    快適快適ー
 
  ( ‥)おかしなもので
    ‐/ 実家暮らしの連中は
       全員消えてしまったなあ
 
 これを言うと時に人は言う。なるほど実家暮らしの連中はハングリー精神が足りないのだ、と。
 
 ∧∧
(‥ )でも実際にはもっと即物的
\‐  この場合はイラストレーターの
    話であるけど
    一人暮らしと実家暮らしでは
    年間に描いている枚数が
    必然的に変わるからだろうと
 
  (‥ )イラスト1枚1万円
      だとして
      アパートの家賃が
      年間に60万なら
      一人暮らしは
      実家暮らしに比べて
      最低でも60枚
      余計に描く必要がある
 
 この差は10年で600枚の差になる。これだけ描いた枚数に差があれば、人目に触れる機会が変わることは必然。
 
 ∧∧
(‥ )人目に触れれば仕事が来る
\‐  仕事が来れば人目に触れる
    収入は上昇するだろう
  
  (‥ )反対に
      描かないと
      人目に触れない
      人目に触れないと
      仕事がこない
      収入は下がらざるをえない
 
 実家暮らしが全滅し、一人暮らしだけが残った。それはこれで十分説明できるだろう。

 ハングリー精神だの、そんな精神論は必要ない。
 
 *イラスト1枚1万円:イラストにそんな高いお金を払ってくれる奴がどこにいるんだよ?? と思う人もいるかもしれないが、ここでは計算がしやすいように、あえてこの金額を設定しています。
 
 でも、現実はもっと単純かもしれない。
 
 ∧∧
( ‥)たまたまあなただけが
    生き残った
    それだけの話かもしれない
 
  (‥ )そしてな
      俺はもう駄目なんだ
 
 人目に触れれば仕事が来る。仕事が来れば人目に触れる。これで収入の増加が見込めるのは最初のうちだけだ。
 
 ∧∧
(‥ )収入とは
\‐  単位時間あたりにこなせる
    仕事量と
    仕事に支払われる単価で
    決定されるのである
 
  (‥ )1枚100万のイラストを
      描いても
      そのイラストに1年間を
      かけたら年収は100万
      反対に
      1枚1万のイラストでも
      年間に200枚描いたら
      年収200万だ
 
 見事なイラストを描いても、それ自体には意味はない。
 
 数こそがすべて。
 
 しかし、とはいえこうも言える。1年間に描けるイラストの枚数が200枚であった場合、ここが年収の収束点になってしまうと。
 
 ∧∧
( ‥)あなたはもうとっくに
    その限界点に到達して
    いるからね
 
  (‥ )だからこのままじゃ
      駄目だな
      加齢は進む
      体力は低下する
      収束点が下降する
      つまり間違いなく死ぬね
 
 ∧∧
(‥ )それをどうするのかが
\‐  今の課題だね
 
  (‥ )しかもこれからの
      日本と先進国は市場が
      じりじり縮小する世界だ
      イラスト1枚あたりの
      単価はさらに下げられる
 
 あるいは単価は下がらないが、発注される枚数が減るだろう。
 
 どっちにしても結果は同じだ。それは収入の目減りである。
 
 ∧∧
(‥ )いわば世界の目減りが
\‐   進行しているのである
 
  (‥ )つまりあれだ
      これからの時代
      実家暮らしなのに
      無意味に大量に
      イラストを描く馬鹿が
      勝利する
 
 というか、むしろこう言うべきであろうか? 生き残るのはそういう人たちで、他のみんなは全滅しますよ、と。
 
 
 ∧∧
(‥ )言い換えれば
\‐  これまでの時代は
    イラストレーターが
    一人暮らしできる
    良い時代だったというわけだね
 
  (‥ )むしろ例外的な時代だった
      そこを認識するべきだな
 
 
 
 

ブログ アーカイブ