自己紹介

イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック

2015年11月3日火曜日

機械にはメンテナンスが必要ですよ

 
 ∧∧
( ‥)ようするにいつもの話で
 
  (‥ )不老不死を目指して
      体を機械に置き換える
      記憶と人格を電子化して
      完全に電脳世界で生きる
      そして純粋知性になる
      これって何の解決にも
      ならないし
      不老不死にもなれないって
      ことなんだよな
 
 体を機械化するとは、例えば脳はアップル社、足は本田技研、手や各種内臓電源駆動系、さらにはネジやボルトに至るまで、それぞれの企業の生産ラインに運命をゆだねるということであり
 
 ∧∧
(‥ )自動車でいう車検や
\‐  買い替え、メンテナンス
    それに該当することを
    ずっと続けないといけない
 
  (‥ )機械は
     自己修復できないからな
 
 
 生物は原子や分子を部品としている。原子は部品として均一だし、非常に小さいので熱エネルギーさえあれば液体のブラウン運動で動かすことができるし、組み上がる。
 
 だが機械にはこれが出来ない。ボルトやナットはそのへんに転がっていないし、サイズがでかすぎて自然に動くこともない。
 
 これゆえ、生物は自己修復と自己複製ができるが、機械にそれは不可能だ。
 
 ∧∧
(‥ )代わりに生物は必然的に
\‐  液滴であることを
    余儀なくされる
 
  (‥ )反対に機械は液滴から
      逸脱して
      金属の塊でもいい
 
 これゆえ、多細胞生物とて小さな液滴である細胞の集合であり、必然的に体が軟らかい。
 
 反対に機械は合金の塊であり、非常に頑強だ。
 
 多分、サイボーグに人が憧れるのは機械が持つこの点だけに着目した結果だろう。生物と違って頑強で腐朽しない、文字通り鋼の肉体! これを体に出来たらどんなに良いであろうか!
 
 ∧∧
( ‥)でも残念
    機械だと自己複製も自己修復も
    できないから
    摩耗も構造疲労も自分では
    修理できないよ
 
  (‥ )サイボーグや純粋知性に
      憧れる人ってさ
      機械のメンテナンスや
      サポートのことを
      丸っと忘れていたのな
 
 ある漫画でこんなシーンがあったそうだ。主人公たちに壊滅させられた悪の組織。それを知った敵のサイボーグ部隊はがっくりと膝を折る。
 
 俺たちの体、これからどうしたらいいんだ...
 
 組織の壊滅は、あなたの体のサポートは本日をもって終了しまーす♡ という宣言に等しい。体を機械化したサイボーグたちにとって、それは緩慢な死刑宣告と同じだ。
 
 ∧∧
(‥ )純粋知性も電脳化された
\‐  電子人間も同じだよね
    税収の減少で
    この界隈のメンテナンスは
    本日を持って終了しますと
    言われたら
    死ぬか難民になるか
    どちらかを選ぶしかない
 
  (‥ )電子化された電子人間や
      純粋知性にとって
      メンテナンスの終了は
      その地域の砂漠化と
      同じなんだよな
 
 蛋白人間ならその場が砂漠化しても、放牧でもなんでもして生きていける。だが機械生物や電子人間、純粋知性はそうはいかない。自己複製できない機械生態系を維持することは自動的ではないのだ。機械生態系は人手から離れると、あっという間に丸ごと消滅してしまう。つまり砂漠化よりも深刻で、場の消滅に等しい。
 
 かように考えれば、電子人間のような純粋知性に期待された不老不死の夢など、たわ言であることが明白であろう。
 
 純粋知性を信じる人は色々なことが分かっていないが、機械にはメンテナンスが必要ですよ、という単純なことが丸っと分かっていなかったのだ。
 
 
 

ブログ アーカイブ